財政金融委員会

2020-11-24 参議院 全163発言

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会議録情報#0
令和二年十一月二十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     高橋はるみ君     山田 太郎君
 十一月二十四日
    辞任         補欠選任
     山田 太郎君     清水 真人君
     古賀 之士君     石川 大我君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 信秋君
    理 事
                西田 昌司君
                藤末 健三君
                宮島 喜文君
                牧山ひろえ君
                秋野 公造君
    委 員
                清水 真人君
                中西 健治君
                中西 祐介君
                馬場 成志君
                藤川 政人君
                宮沢 洋一君
                元榮太一郎君
                山田 太郎君
                石川 大我君
                勝部 賢志君
                古賀 之士君
                水岡 俊一君
                横山 信一君
                音喜多 駿君
                上田 清司君
                小池  晃君
                大門実紀史君
                浜田  聡君
                渡辺 喜美君
   副大臣
       財務副大臣    中西 健治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        前山 秀夫君
   政府参考人
       金融庁総合政策
       局長       中島 淳一君
       金融庁監督局長  栗田 照久君
       中小企業庁事業
       環境部長     飯田 健太君
   参考人
       日本銀行総裁   黒田 東彦君
       日本銀行理事   衛藤 公洋君
       日本銀行理事   吉岡 伸泰君
       日本銀行理事   内田 眞一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────
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佐藤信秋#1
○委員長(佐藤信秋君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、高橋はるみ君が委員を辞任され、その補欠として山田太郎君が選任されました。
    ─────────────
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佐藤信秋#2
○委員長(佐藤信秋君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総合政策局長中島淳一君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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佐藤信秋#3
○委員長(佐藤信秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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佐藤信秋#4
○委員長(佐藤信秋君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同理事衛藤公洋君、同理事吉岡伸泰君及び同理事内田眞一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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佐藤信秋#5
○委員長(佐藤信秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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佐藤信秋#6
○委員長(佐藤信秋君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。
 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田東彦日本銀行総裁。
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黒田東彦#7
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出いたしております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。
 まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。
 海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しています。先行きも改善を続けると見ていますが、新型コロナウイルス感染症の影響が残る下で、その動きは緩やかと予想されています。
 我が国経済も、感染症の影響から引き続き厳しい状態にありますが、経済活動が再開する下で、持ち直しています。輸出や鉱工業生産は、海外経済の動きを映じて、増加しています。個人消費は、飲食、宿泊等のサービス消費は依然として低水準となっていますが、全体として徐々に持ち直しています。一方、企業収益の悪化を背景に、設備投資は減少傾向にあります。先行きの我が国経済は、経済活動が再開し、感染症の影響が徐々に和らいでいく下で、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、改善基調をたどると見ています。もっとも、感染症への警戒感が残る中で、そのペースは緩やかなものにとどまると考えられます。
 物価面を見ると、消費者物価の前年比は、感染症や既往の原油価格の下落、GoToトラベル事業の影響などにより、当面、マイナスで推移すると見られます。その後は、原油価格下落などの影響が剥落し、経済が改善する下で、消費者物価の前年比はプラスに転じていき、徐々に上昇率を高めていくと考えています。
 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。
 日本銀行では、感染症への対応として、金融緩和を強化しています。具体的には、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、潤沢な資金供給を通じた金融市場の安定確保、ETF等の積極的な買入れの三つの措置を講じています。こうした対応は、政府の施策や金融機関の積極的な取組とも相まって、効果を発揮しています。内外の金融市場は、なお神経質な状況ですが、ひところの緊張は緩和しています。企業の資金繰りには厳しさが見られますが、CP、社債発行や銀行借入れといった外部資金の調達環境は、緩和的な状態が維持されています。
 もっとも、先行きの経済・物価見通しは、不確実性が高く、下振れリスクが大きいと認識しています。世界的に感染拡大が収まっておらず、感染症の帰趨やそれが内外経済に及ぼす影響については大きな不透明感があります。また、感染症の影響が収束するまで、成長期待は大きく低下せず、金融システムの安定性が維持されると考えていますが、これらの点にも不確実性があります。さらに、やや長い目で見た金融面のリスクとしては、低金利の長期化や人口減少などの従来からの環境に加え、今般の感染症の影響もあって、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうおそれがあります。一方、こうした環境の下では、利回り追求行動などに起因して、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあります。現時点では、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどから、これらのリスクは大きくないと判断していますが、先行きの動向を注視していく必要があると考えています。
 こうした認識の下、日本銀行としては、引き続き、現在の金融緩和措置をしっかりと実施し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めてまいります。また、当面、感染症の影響を注視し、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる方針です。
 ありがとうございました。
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佐藤信秋#8
○委員長(佐藤信秋君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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西
西田昌司#9
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。
 今、日銀から、総裁から報告がありましたけれども、その中でおっしゃったように、かなり低金利の金融環境、その中で銀行の収益が非常に落ちてきてくると。特に地方の銀行ですよね。
 そこで、この度、地銀と信用金庫を対象として、収益力の向上や経費削減、又は合併や他行との連結子会社化などのいずれかの条件を満たせば日銀が当座預金に〇・一%上乗せの金利を付けると。そして、金融庁も再編に踏み出す地銀に対して補助金を出すと。こういった地銀再編にかじを切るような政策が行われてきているわけです。
 私は、今回そのことについてちょっとお伺いしたいんですが、まず、この地銀が経営が悪くなってきたと。というのは、先ほどからおっしゃったように、低金利、人口減少とかおっしゃっていますけれども、基本的に低金利なんですよ。この黒田バズーカによっていわゆるゼロ金利政策、これが長らく続けられてきています。私自身は、当初、アベノミクスでこの金融の異次元の緩和、さらには財政の機動的な財政出動、そのことによって民間企業が成長戦略で投資をしていくと、この三本の矢について非常に期待をしていたわけです。
 ところが、現実問題は、日銀はそういう意味ではよくやったと思っています。日銀は本当に異次元の金融緩和をして、徹底的に金融面から支援していこうとしたんですが、結果的には財務省が財政出動を十分やらなかったと。まあアベノミクスの一年目のときには多少のお金が出ましたけれども、あとはずっと出ていないわけですよ。むしろ、この間、二回の消費増税をして、片っ方で金融緩和をしてやっているときに財政の方がブレーキを踏んでいると。まあ結果的に二%の金利達成をしようと思っていたのがならなかったわけですけれども、そもそもこの二%の金利達成を、当初、黒田総裁はどれぐらいの期間でできると考えていたわけですか。
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黒田東彦#10
○参考人(黒田東彦君) 二%の物価安定目標の達成につきましては、二〇一三年の一月に、私が総裁になる前ですけれども、政策委員会において二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということを決定され、政府と日本銀行のいわゆる共同声明にもこれが盛り込まれていたわけでございます。
 その上で、私、二〇一三年の三月に総裁になりまして、この共同声明にも盛り込まれている二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するというためには、やはり相当大規模な金融緩和措置を講ずる必要があると。その際は、やはりできるだけ早期というだけではなくて、ある程度のめどというか、そういうものとして、諸外国の中央銀行も金融政策の効果の完全な発現には二年程度掛かるというふうに言われていたことも踏まえまして、二年程度を目途に徹底した金融緩和を行うことによって二%の物価安定の目標を実現しようということで、いわゆる量的・質的金融緩和という形で乗り出したわけです。
 ただ、その後、石油価格の大幅な下落であるとか、御指摘の消費税の増税のその後の消費の低迷であるとか、いろんな状況があって、二%の物価安定の目標が二年程度というタイムスパンでは実現できないということが明らかになった段階で二年程度を目途というのは取り下げておりまして、ただ、二〇一三年の一月に政策委員会で決めた二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現する、そのために大幅な金融緩和を行うという方針は堅持して、それに沿って最大限の努力をしてきた、ただ、残念ながら、二%の物価安定の目標は現在でも実現されていないということであります。
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西
西田昌司#11
○西田昌司君 それで、二年ぐらいを目途にということであったんです。ところが、実際できませんでしたね。
 私は、その当時から、このゼロ金利政策というのは期間限定政策ですよ。ずっとやっていれば金融機関の収益力悪くなるのは決まっているわけですね。これ七年やっているわけですよ。七年やって、そして物価上昇率が二%達成できない。この後も、まだできるだけ状況に応じては金融緩和を行うということをさっき黒田総裁おっしゃいましたけれども、確かに今の経済状況では金融緩和せざるを得ないし、そのとおりなんですが、しかし、この政策というのは、当初から金融機関に対して体力を奪い去るという大きな大きなこの副作用があることは予見できていたわけですよ、これね。
 本当は、二%を二年ぐらいで達成する、そうすると、当然、金利も二%ぐらい付けなきゃいけないわけですよね。そのことによって金融機関も安定するし、そして景気がインフレ基調になってくれば、当然のことながら企業の収益は毎年二%ずつ上がるはずなんですよね、名目上。経済も良くなるし税収も増えてくると、こういうことが期待されていたわけですけれども、そのもくろみが外れてしまったわけですよ。
 そして、外れてしまった中で、今度は金融機関を守らなきゃならないと。特に地方の金融機関を守らなきゃならないというので、先ほど言った、この合併などをすることに手助けするための〇・一%の付利をするという政策に出られた。これは、ある意味、対症療法としては仕方ないと思うんですよ。
 しかし、私は、この間これだけ日銀が金融の緩和で努力してきたのに結果二%できなかったのは、今いみじくも黒田総裁ちょっとお話しになったけれども、消費増税の話を触れられましたよ、その後、経済低迷したと。それ二回やっているわけですよ。これは、与党の中でも上げるべきではないと、私はずっと言い続けてきましたけれども、言ってきたわけですよ。
 ところが、財務省側がいわゆる財政再建、プライマリーバランス、こういうことを重視した結果、上げていったわけですよ。そして、結果的に、上げただけじゃなくて、上げれば当然景気悪くなりますけれども、そもそも金融緩和やっているときに財政出動はセットでやるものですよ、これは当然。金利が低いんですから、財政出動のこの金利負担も非常に少ない。これセットでやるべきなのに、これもやってこなかったわけですね。
 私は、今日は麻生大臣来られていませんけれど、この間の麻生大臣、財務省のこの財政政策は、本当にこれは、申し訳ないですけど、万死に値すると思っています。非常に厳しい言い方しますけれども、これは元々、金融の日銀だけにこの政策の責任を押し付けるような形になってしまっているわけですよ。
 私は、日銀の総裁、黒田総裁にすれば、政府と協調して二%上げていこうという政策のそういう取組をして、協定をしてやってきて、自分は実行していると。実行しているのに、自分たちはこれ以上することできないわけですよね、ゼロ金利政策まで入れているわけですから。その中で、政府の方に対して、はっきり言いまして、何でもっと財政出動してくれないのかと。先ほど消費税上げられた話も触れられましたけれども、少しそこに対して疑念というか疑義といいましょうかね、政府の財政政策に対して、持っておられるんじゃないかと思うんですけれども、黒田総裁自体、元々財務省、大蔵省の出身の方ですから、一番その間の事情よくお分かりだと思いますけれども、是非、そこのところ、もうちょっと踏み込んで答えていただきたいと思います。
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黒田東彦#12
○参考人(黒田東彦君) もとより財政政策につきましては政府、国会がお決めになることですので具体的な点について私から申し上げることは差し控えたいと思いますが、共同声明におきましても、財政政策につきましては機動的な財政運営を行うと、その一方で中長期的に財政の持続可能性を高めるような措置を講じていくと、これは世界のいろいろな政策担当者にしてもエコノミストにしても同意される意見だと思います。
 そういう意味では、その時々の経済動向に応じて機動的な財政運営をするということは必要だと思いますし、この点は委員の御意見と全く同じなんですが、他方で、やはり中長期的に財政の持続可能性を高めるということ、これも財政あるいは国債に対する信認を確保するという観点からやはり必要なものではないかというふうに思っております。
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西
西田昌司#13
○西田昌司君 日銀総裁が財政政策には直接お話しできない、それは役割分担違いますから当然でありますけれども、しかし、私は、この間の財務省の財政、機動的な財政出動そのものをそもそもしましたか。一年目のときだけしかやっていないんですからね。今、今このコロナ禍でまさに機動的に財政出動といいましょうか、異次元の財政出動していますよ。そして、その結果、経済の下支えをしているわけですけれども。それで、しかし、それだけお金を何十兆円も出して、じゃ、この国家の、国債の信認が崩れるようなところの様子が今出ていますか。
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黒田東彦#14
○参考人(黒田東彦君) この点につきましては、今回のコロナ感染症の影響というのは日本だけでなくて全世界に及んでおりまして、特にG7を含む主要先進国は全て大規模な財政出動と大幅な金融緩和というポリシーミックスで対応しているわけで、これは、今回の経済不況、経済の落ち込みというものが基本的に感染症によって起こって、それに対応する公衆衛生措置等によって経済活動は抑制されていると。しかし、金融危機とか、あるいはかつてありましたような地震とか様々な自然災害とか何かによって、金融のインフラであるとかあるいは公共的なインフラが破壊されて、それの影響があるということがあって、そういうものは直接的には影響を受けていないと。単に感染症によって一時的に大幅に落ち込むと。そこに財政として雇用と生活を守るために大規模な財政出動をするということは当然であり、これは経済学者もマーケットも当然だと。それは中長期的な財政の持続可能性を確保するための政策と矛盾しないと。
 ですから、逆に言えば、そのコロナ感染症が収束して経済の活動が戻ってきたという段階において、既に各国の政府の政策担当者が言っていますように、現在の大規模な財政出動というものをどういうふうに転換していくかということが議論になるというふうに考えております。そういう意味で、日本のやっていることが非常に、財政に対する信頼を失墜するようなものではないということは委員のおっしゃるとおりだと思います。
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西
西田昌司#15
○西田昌司君 今おっしゃったように、当然、国民生活を守るのが政府の仕事ですから、この財政出動は当然であります。それで、そのことによって通貨の信認が落ちることはない。当然ですし、各国やっているから、なおさらバランス的にもそうだと、こういうお話なんですね。
 私は、一番大事なのは、要するに通貨の信認というのは国家の信認ですよね。国家の信認とは一体何なのかと。それは、単に国債残高が多いとか少ないというのは全く意味ないんですよ。
 というのは、先ほど、今みんながやっているから円の、通貨の信認も落ちることはないとおっしゃるけれども、そもそもその前からGDPの二倍を超える国債残高だと。これは、先進国でこんなところないよということで、財務省なんかはしつこくそういうことを言ってきたけれども、そのときから常に通貨の信認が落ちていることはないんですよ、ないんです。だから、財政問題で落ちることはないし、財務省が言っているように、自国の通貨で国債を発行している以上、これはもう黒田総裁も認められているように、これがデフォルトすることは絶対理屈上もないわけですよ。ただ、問題は通貨の信認がどうだと、こういうことなんですね、いつも言われるのは。
 私が言いたいのは、通貨の信認というのは国家の信認のことで、要するに日本の国がですよ、例えば、このコロナで大変国民が苦しんでいるのに、いやいや財政を守らなきゃならないからお金を出しませんとか、それから台風や地震で町が崩れている、生活が潰れているのに、いやいやいや財政再建しなきゃならないからその予算も出しませんとか、それから中国で今たくさんの船が、海警局ですか、尖閣諸島のところにたくさん入ってきていますよ。今、この接続水域も含めてどんどん、もう常時来ているような状況ですけれども、もしもこうしたときで彼らが領土を侵犯するような事案ができたときに日本政府が何もしない、こういうような、要するに国家として守るべき国土、国民の生活、それを全く行わないときに国の値打ちはなくなるんですよ。それが通貨信認がなくなる一番のもとなんですよ。だから、財政でなくなるんじゃない。
 ところが、今一番問題は、先ほど言った中国のこの尖閣の問題も、それから国土強靱化の問題も、それから今回のコロナでもそうですけれども、一番困っているのは、PCRやるにも全部保健所の人間がやるわけですよ、検査を。辛うじてまだ保健所が残っていますからいいですけれども、保健所もこの間どんどんどんどん少なくされてきましたよ。それらは全部財政的な理由。要するに、財政を小さくして、国家がやるべきことを予算がないということで抑えてきたわけですよ。辛うじてそれがまだ今システム残っていますから通貨の信認は保たれますけれども、このまま行っちゃうと、私、とんでもないことになると思いますよ。
 ですから、今回のコロナが我々に教えてくれたのは、国債残高が多いとか少ない、この多寡によって通貨の信認が疑われるようなことはないと。事実、自国建ての国債でデフォルトすることはないわけですからね。そうであるならば、要するに必要な国家がすべき仕事、それをどんどんやっていくべきなんですよ。そして、やることが実は全て国内において多くの需要を生み出すことになると。経済的にも需要を生み出して、結局今のこのデフレの原因というのは、お金が回っていないというのは、一番の原因は結局は需要不足なんですよ。
 だから、民間の方は、デフレ下では借入れをして出す、お金を借りて投資するということがなかなかできませんから、最後の借り手と言われている国家自身がそういう政策をどんどんやっていくことによって底上げして、そして最後は民間の方に火が付いて、もう一度投資が成っていくと、こういう循環をすべきであったし、元々アベノミクスもそういう考え方で、機動的財政出動、中長期的にはちょっと足りなかったと総裁おっしゃっていましたけれども、そういう思いがあったはずなんですが、それが十分できていなかった、できていないけれども、今回のコロナでそういうことが非常によく分かったんじゃないかと思うんですけれども、黒田総裁、いかがですか。
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黒田東彦#16
○参考人(黒田東彦君) 共同声明にありますように、機動的な財政運営、他方で中長期的に財政の健全性、持続可能性を高めるということ自体は、私は間違っていないというふうに思っております。
 その上で、やはり今欧米各国もそういう議論をしておられますけれども、やはりこういう事態に対して財政が大規模に出動するということは適切ですし、必要でありますけれども、その過程で財政赤字が非常に大きくなっているということについては、やはりコロナ感染症の収束後、適切にその状況を是正していくということが必要だということも彼らは言っているわけですね。
 その主たる論点といいますのは、委員が御指摘のその通貨の信認云々ということもあるんですけれども、やはり国債に対する信認というものが失われると、自国通貨建ての国債はデフォルトしないというのは通常そうなんですけれども、私自身もそういうふうに思っておるんですけれども、ただ、一方で、市場の方は、当然、財政状況がサステーナブルでないというふうになってくるとやはり国債価格が下落する、金利が上がっていくということが生じてしまうわけですね。ですから、そうなってくると、日本銀行も含めて今中央銀行がやっている金融緩和政策というのは、まさに金利、特に中長期の金利を低位にするということを通じて経済を支えようとしているわけですので、そういう意味でも、やはり中長期的な国債の信認というものを確保しておくということは、金融政策が十分効果を発揮するためにも必要なことではないかと。
 ただ、このことは、その時々の経済状況に応じて、財政出動をすべきときに機動的な出動をするということとも矛盾しないというふうに考えております。
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西
西田昌司#17
○西田昌司君 本当はここで麻生大臣がいて、またちょうちょうはっしで議論したいんですけれども、後で、最後、中西副大臣にはちょっと聞きますが、今、黒田総裁おっしゃいましたように、通貨の信認、国債の信認ね、そうおっしゃるんですけれども、要するに、国債の信認というのは、国債買わないということですよ、信認がなくなるということは。誰も買わないということなんです。
 しかし、国債というのは、これ要するに準備預金と裏表の関係ですよね、これは。要するに、準備預金が通貨そのもの、この日銀当座預金が、そして、それを有利子化したものが国債ですよ。要するに、国債の信認云々というのは円を使わないという意味です、これは。だから、日本国内で円を使わないというか、要するに、国債を売ったら、銀行が今、日銀が半分、あと金融機関が半分という、ばくっとそんな感じだと思いますがね。要するに、日銀がこの国債をもう信用できませんから買いませんと、これは当然ないと思いますが、まずそこだけ聞いておきましょう。
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黒田東彦#18
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行も含めまして各国中央銀行は、金融政策の運営に当たっては、特にこの二十世紀になって以降ですけれども、基本的に国債、長期あるいは短期の国債の売買によって市場の金利に影響を与え、それを通じて経済を、過熱している場合は抑制する、低迷している場合は刺激するということをやっておりますので、当然その国債の売買というのは金融政策の不可欠な要素になっているというふうに言えます。
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西
西田昌司#19
○西田昌司君 ですから、金融政策を行う上のツールですから、国債を買わないということはあり得ないということを、今のを通訳するとおっしゃっているわけですけれども。逆に、民間の銀行ですよ、証券会社等が持っていますけれども、国債ね。国債が、これ信用ならぬといって売ると。売ると、今度はこれ準備預金に変わるわけですね、結局。そうすると、それを持っていても金利付きませんから、何か買わなきゃいけないわけですよ、それを。
 じゃ、そのときに、国債を売って、民間のそういう金融機関は一体じゃ何を買うんですか。ドルを買うんですか、金を買うんですか。これらも当然変動が激しいものです。為替のリスクも、相場の変動もいろいろありますね。
 日本国内で事業をしている限り、結局、国債を持っている、この通貨を信認、信用して国債を持っている以外、それは持っていきようがないと思うんですけれども、何か違う選択が銀行等にありますか。
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黒田東彦#20
○参考人(黒田東彦君) これは、日本の過去も、それから世界各国の状況を見ましても、金融機関が国債を大幅に売ると、投売りするということは起こっておりますし、それは即金融危機になるということであります。
 そういう意味では、金融機関が国債を絶対売らないで必ず持ってくれるというのはやはり一定の信認があるからであって、そうでない場合は、それこそ委員御指摘のとおり、外貨であれ資源であれ商品であれ、あるいは民間の金融債権であれ、そういうものにシフトしていくということは過去においても各国においても起こっておりますので、国債は絶対にどんなことがあっても民間の金融機関は売らないということは言い切れないと思います。
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西
西田昌司#21
○西田昌司君 私は少なくとも日本でそういうことはなかったと思いますが、じゃ、今聞きますが、もしそういうことが起こるとしてですよ、頭の体操として、日銀は、そういうことが起こった場合、当然、金利が上昇するわけですよね。金融政策を守る番人として、当然日銀はそれは抑えるために国債を買うという判断になるはずですが、いかがですか。
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黒田東彦#22
○参考人(黒田東彦君) それはそのとおりだと思います。
 ただ、その、そういったことが起こっているときの経済状況にもよるわけでして、インフレが起こっていたらそんなことは当然できませんし、逆に物価が下落しているような状況であれば、当然のことながら、民間金融機関が売ろうと売るまいと、マーケットにおいて、国債を大量に購入してリクイディティーを市場に供給するということは中央銀行として当然だと思います。
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西
西田昌司#23
○西田昌司君 今おっしゃったように、結局、財政を下支えするという話じゃなくて、金融政策をしっかり保持するために、日銀はそういう事態になったら買わざるを得ないんです。ですから、いずれにしましても、冒頭言ったように、この自国建ての通貨の国債が破綻することはまあ理屈上もあり得ないんですね。
 そういうことを踏まえると、やっぱり余りにも今までの財政出動が少な過ぎたと。日銀だけの、財政の力だけでは二%、金融の力だけでは二%というのはできないんです。やっぱり財務省は、今のコロナのこの財政出動のことを見ても、大丈夫なわけですから、経済全体には、だからもうちょっと出すべきだったと思うんですが、最後に、中西副大臣、麻生大臣おられないから、ちゃんとあなたの本音で答えてください。
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中西健治#24
○副大臣(中西健治君) 西田委員のお説はもう本当によく承っておりまして、聞き入ってしまうところもございますけれども、機動的な財政支出というのも、今、コロナの今の状況をおっしゃられましたけれども、これは年がら年中やっているわけにはきっといかないだろうというふうに思います。
 二〇一三年一月、黒田総裁がおっしゃっていたあの共同声明も、こちらの中に持続的な経済成長と持続的な財政構造ということが書かれておりまして、総裁は中長期的な財政の持続可能性ということをおっしゃられましたけど、この持続的な財政を担保していくための、そうした財政政策というのをやり続けなきゃいけないかなというふうに思っています。
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西
西田昌司#25
○西田昌司君 もう終わりますが、今日は、無担保無保証の、無利子のこの緊急融資、これが中小企業を支えていますけれども、しかし、これも出口で必ず返せないという事態になるはずなんですね。ですから、そのときのことをどうするのかと。結局は無担保無保証ですから、これは取れないわけですよ。
 ところが、実際には保証協会が代位弁済しますからね。保証協会というのはしつこく返済を求めるわけです。そのことによって中小企業はかなり経営に大きな負担を受けるわけですね。実際取れないものを返せという形で、貸借対照表上にも負債とそれから損失が残っていると。
 だから私は、今からそのことの、それを出口どうするかということの準備をするために、ある程度、例えば税務調査なんかするというような条件を付けることによってモラルハザードを止める、つまり、わざと返さないというような会社を除いて、結局そういう方らの赤字の原因はいわゆる固定費ですからね、人件費とか家賃とか、売上げないにもかかわらず払ってきた、それを免除してあげるというようなことも含めて考えるべきだというのを中企庁に聞こうと思っていたんですけど、ちょっとこれはできないので次のときに移しますが。
 いずれにしましても、コロナは新しいこの財政の現実、金融政策の現実を教えてくれているわけですから、是非この現実を見て政策転換をしてもらわなきゃならないと、特に財務省、そのことを申し上げて私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
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古賀之士#26
○古賀之士君 立憲・社民合同会派の古賀之士でございます。
 今日、日銀の黒田総裁に直接質疑ができる機会を与えていただきました。ありがとうございました。総裁と私は同じ福岡県の出身でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 と同時に、先輩に苦言を呈させていただくのは大変恐縮ではございますけれども、まずは本日の、先ほど黒田総裁が御報告されました通貨及び金融の調節に関する報告書の中で、この一ページ目の「はじめに」の後、「経済金融情勢」というのがございます。その中で、二行目、「海外経済は、大きく落ち込んだ状態から、持ち直しています。先行きも改善を続けるとみていますが、」、ここまではもう大丈夫です。ただ、その後の「新型コロナウイルス感染症の影響が残るもとで、その動きは緩やかと予想されます。」。つまり、この文書を見る限りでは、新型コロナウイルス感染症がもう峠を越えたというようなニュアンスに取られかねないと思うわけです。
 もう釈迦に説法でございますけれども、御存じのように各国は史上最悪のペースでまだ亡くなる方も増えておりますし、また、ヨーロッパやカナダ、こういった都市でもロックダウンがつい先週始まってもおります。そしてまた、日本でもまさに第三波の真っただ中。危機を脱した、そしてその影響が残る下でというニュアンスではなく、つまりGoToトラベルなども見直しが行われているわけですから、現状の認識はもう少し厳しい表現がよろしいかと思いますが、済みません、突然の質問で恐縮ですけれども、総裁のお考えをお示しください。
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黒田東彦#27
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、コロナウイルス感染症は、ヨーロッパの場合は第一波がすっかり鎮静化した後、今第二波として非常にこの第一波を大きく上回る大規模な感染症の拡大が起こっておりまして、国によっては、第一波のときのように全国一律ではないにしても、一部都市でロックダウンとか、店舗の営業について時間を短縮するとか、そういうことを要請していると。
 米国の場合は、第二波が収まらないうちにというか、第二波が続いているのかもしれませんけれども、これもこれまでに比べますと最大規模の感染症の拡大が続いておりまして、米国の場合は州ごとですけれども、州によっては、その州全体なのかあるいはその中の都市なのかは別として、公衆衛生上の措置が講じられていると。
 我が国の場合は、御承知のように、第一波は収まった後に夏に第二波があって、第二波が完全に収まらないうちに、まあ第三波というか何か分かりませんけれども、これでこれまでよりもたくさんの感染者が発生しているということであります。
 ただ、欧米の場合も我が国の場合もそうですけれども、第一波のときが一番、何というんでしょうか、重症化率が高いとか死亡率が高かったんですけれども、今はある程度、医療体制の対応もできているということもあってか、そういう感じではなくなっています。ただ、確かに特に欧米の状況は極めて厳しい状況にあるということはそのとおりだと、特にヨーロッパがそうなんです。
 ただ、他方で、世界的に見ますと、東アジア、東南アジアは相当というかほぼ収まった状況になっているということで、世界的に一概に収まって、その残滓が残っているだけと言うつもりは全くありません。まだ完全に収束していないという状況でこういうことが起こっているという意味では、様々な措置が講じられる中で、どうしても回復というものは緩やかなものにとどまらざるを得ないというふうに私どもも見ております。
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古賀之士#28
○古賀之士君 少なくとも、我が国では誰一人恐らくワクチンを接種している人もいないという状況でもありますし、厳しい見方をしながら経済の緩やかな回復というものを図っていくという方がより現実に近いんではないかということを申し上げておきます。
 さて、続いて、同じくこれ通告をしておりませんで大変恐縮なんですが、資料の一で配付をさせていただいております日経新聞の十一月二十二日の記事でございます。
 FRB、アメリカの中央銀行に当たるものですが、ここは新型コロナウイルス対策として発動した中小企業向けの資金供給などを、対策を今年の年末で打ち切る方針を表明したと。トランプ・アメリカ政権が制度の延長を認めずということで、民主党のバイデン陣営は、極めて無責任などと反発したという記事でございます。
 日銀の文字どおり日本の中央銀行に当たります黒田総裁におかれては、このFRBの資金供給の縮小、打切りというようなこの記事を御覧になって、御自身、日本に対してはどのような今後対策を取っていくべきだと現時点でお考えでしょうか。
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黒田東彦#29
○参考人(黒田東彦君) 先ほど冒頭で申し上げましたとおり、日本銀行は、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム、それから潤沢な資金供給を通じた市場の安定確保、ETFなどの積極的な買入れ、この三つの措置を講じておりまして、この措置は当然必要な限り続けていくということでありますので。
 米国の場合は、御案内のとおり、これは、この二つのプログラムは財務省が資金を出して、それをベースにFRBが資産を買い入れるという仕組みだったものですから、その使用がたまたま余り大きくなかったということで、お金出したけれども、もう返してもらっていいですねということでやっているようです。
 ただ、FRB自体の金融緩和に向かっての態度には一切変更がないというふうに思っております。この部分についてだけは確かに財政補助の下でやっていましたので財政補助が終わってしまうと同じことはできないと思いますが、引き続きFRBはやはり企業の資金繰り支援とそれから市場の安定のために様々な措置を講じていますし、今後とも当分講じていくことになるのではないかというふうに思っております。
 いずれにせよ、日本銀行としては同様な懸念はありませんので、引き続きしっかりと三つの政策を実行していきたいというふうに思っております。
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