野上浩太郎の発言 (農林水産委員会)
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○国務大臣(野上浩太郎君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べます。
この度、新たな内閣の発足に当たり、農林水産大臣を拝命いたしました。委員の皆様の御指導を賜りながら、職責を果たしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
冒頭、新型コロナウイルス感染症や本年七月の豪雨災害など一連の災害により命を落とされた方々に対し、心からお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方々、被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。
新型コロナウイルスの影響により、我が国の経済社会に大きな影響が生じております。国民の皆様が一日でも早く日常を取り戻せるよう、農林水産大臣として誠心誠意努めてまいりたいと思います。
また、本年七月の豪雨災害については、土砂撤去、農業用ハウスなどの復旧支援、営農再開への支援を軸とした総合的な対策を取りまとめており、迅速な復旧復興に努めてまいります。
以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方について申し述べます。
農林水産業は、関連産業である食品産業とともに国民に食料を安定供給し、地域の経済やコミュニティーを支え、その営みを通じて国土の保全などの役割を果たしている、まさに国の基であり、農林水産業を発展させるとともに、日本の原風景である美しく豊かな農山漁村を守っていくことが重要であると考えております。
一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や農林漁業者の減少、高齢化の進行など、厳しい状況に直面しています。我が国の農林水産業を若者が自らの将来を託すことのできる産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していかなければなりません。
農林水産省では、こうした視点に立ち、これまで農林水産分野全般にわたる改革を推進してまいりました。その結果、生産農業所得は六年間で五千億円以上増加し、我が国の農林水産物・食品の輸出額が七年で倍増するなど、着実に成果が現れてきています。
他方、本年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、農林水産分野や食品産業分野におきまして、需要の減少や価格の下落などの大きな影響が発生しました。
また、食料輸出国による輸出規制や、一部の品目で欠品が発生したことなどを受け、国民の皆様から食料の安定供給に対し強い関心が寄せられたところです。
農林水産省といたしましては、こうした状況に対し、国民の皆様への食料の安定供給を最優先に、影響を緩和し、生産を継続していただくための対策を着実に実施してまいります。また、ウイズコロナ、ポストコロナ社会における食品需要の変化や、場所を問わない働き方の進展といった社会構造の変化も踏まえつつ、食料安全保障の更なる強化と食料自給率の向上、さらには、農林漁業者の所得の向上や農山漁村の活性化に引き続き全力で取り組んでまいります。
以下、具体的な施策を申し述べます。
まず、農林水産業全般についてです。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農林漁業者の皆様や関連産業に従事される皆様の生産基盤を守るため、生産の継続や販売促進の支援に全力を尽くしてまいります。さらに、甚大な影響を受けた外食産業とそこに食材を供給する農林漁業者への支援策であるGoToイートキャンペーンを適切に進めてまいります。
高収益作物次期作支援交付金につきましては、運用の見直しを行わざるを得ず、現場の皆様に御負担をお掛けしており、申し訳なく思っております。皆様の御理解が得られるよう、先般発表した追加措置と併せて丁寧に説明してまいります。
また、国民の皆様からの食料安定供給への要請に応えていくための食料安全保障の強化につきましては、輸入品が多くを占める加工、外食、中食原料の国産への切替えや、生産現場と食品産業との連携の強化などを図ってまいります。
国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれます。こうした中で、農林漁業者の所得向上を図るためには、輸出の促進が重要です。このため、二〇三〇年の輸出額五兆円の目標の達成に向け、農林水産物・食品輸出本部を最大限活用し、戦略的に輸出促進に取り組んでまいります。具体的には、輸出先国の規制やニーズに対応できる産地の育成、全国展開を進めるとともに、輸出にチャレンジする農林水産業者を強力に後押ししてまいります。また、関係省庁一体となって、各国の輸入規制の緩和、撤廃に取り組むとともに、輸出に対応できる施設の計画的な整備や食産業の海外展開を進めてまいります。
これらを実現し、農林水産物・食品輸出立国を確立するため、当面必要となる具体的な戦略を本年末までに策定してまいります。
さらに、輸出にも対応できる強い農林水産業、農山漁村を構築するべく、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく対策を着実に講じてまいります。
また、日本の品種の海外流出を防止し、輸出を始め我が国の農林水産業の発展に支障が生じないよう、登録品種の海外への持ち出しを制限できるようにすることなどを内容とする種苗法の一部を改正する法律案を本年の通常国会に提出しております。法案の早期成立に向け、御審議をお願いいたします。
SDGsや環境の重要性が国内外で高まっています。このような動きに対応し国産品への評価向上にもつなげていくため、みどりの食料システム戦略を検討してまいります。
コロナ禍を踏まえ、社会全体でデジタル技術を活用した変革が急速に進展しております。農林水産分野におきましても、生産性を向上させ、成長産業化を推進するためのデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた取組を進めてまいります。
また、ロボット、AI、IoT、ドローンなどの先端技術は、生産基盤の強化への貢献が期待されています。このため、スマート農林水産業の推進に向けた技術開発や現場実装の促進、スマート技術を用いた農業支援サービスの育成を進めてまいります。
中山間地域を始め活力ある農山漁村を実現するため、日本型直接支払制度による下支えを図りつつ、農泊、ジビエの利活用、農福連携などの取組を進めてまいります。また、農山漁村に新たな人材を呼び込むリモートワークなどの動きを生かし、コロナ禍において再認識された農山漁村の持つ価値や魅力を活用して、多様なアイデアにより所得と雇用を生み出す農山漁村発イノベーションともいうべき新たな地域政策を講じてまいります。
次に、農業政策についてです。農業の持続可能性を確保し、次世代に確実に引き継ぐためには、担い手の育成、確保と生産基盤の強化が何よりも重要です。
地域の農業生産や必要な農地を確保するため、農地バンク、農業委員会など関係機関の現場レベルの連携を徹底し、人・農地プランの実行を通じて担い手への農地集積、集約化を加速化します。
就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援などにより、多様な人材の育成、確保を進めます。あわせて、次世代の担い手への農地その他の経営資源の確実な継承を推進します。
米政策については、需給の緩和が見通される現状を踏まえ、需給状況等についての情報をきめ細やかに提供するとともに、輸出の取組や、麦、大豆、高収益作物等への転換を図る水田フル活用への効果的な支援などにより、需要に応じた生産、販売を更に推進してまいります。
地域の農業を発展させるためには、農業者の所得向上に全力で取り組む農協が欠かせません。農林水産省としても、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、改革に協力してまいります。
農業者の努力で解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通加工業界の再編、参入を促進してまいります。
特に、本年六月に施行した改正卸売市場法等に基づき、情報通信技術の導入や物流の効率化を図り、食品流通全体の合理化、高度化を進めます。
農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水などの農業、農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・耐震化対策を推進してまいります。
食の安全と消費者の信頼を確保するため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保と正確な情報伝達による消費者の信頼確保に取り組みます。
豚熱については、発生予防、蔓延防止に向け、飼養衛生管理の徹底、ワクチン接種、野生イノシシ対策にしっかりと取り組みます。
また、アフリカ豚熱については、アジア地域においても拡大が継続しており、依然として警戒が必要であることから、家畜防疫官の増員等により水際検疫体制を強化してまいります。
さらに、今般発生が確認された高病原性鳥インフルエンザについても、これから渡り鳥の本格的な到来シーズンを迎えることから、関係者全体で緊張感を高め、飼養衛生管理を徹底していくことが重要となります。
これらの家畜伝染病に対しては、都道府県や関係省庁と一体となって取り組むとともに、本年の通常国会で改正された家畜伝染病予防法を適切に執行し、対応してまいります。
林業政策についてです。森林・林業基本計画につきましては、本年十月から五年に一度の見直しに着手しました。現場の声に耳を傾けながら、精力的に検討を進めてまいります。
また、森林資源の適切な管理と林業の成長産業化を図るため、森林整備、治山対策を推進するとともに、森林経営管理制度や森林環境譲与税等も活用しつつ、意欲と能力のある林業経営者への森林の経営管理の集積、集約を進めます。
さらに、木材生産や造林作業の自動化などの林業イノベーションやCLTの普及、都市の木造化等による木材需要の拡大など、川上から川下までの取組を総合的に推進してまいります。
水産政策についてです。本年十二月に改正漁業法が施行されることも踏まえ、漁業者を始めとする関係者の理解と協力を得ながら、九月末に公表した資源管理ロードマップに沿って、新たな資源管理システムを確実に実施するとともに、養殖業の成長産業化を推進してまいります。
さらに、違法漁獲物の排除や違法、無報告、無規制漁業の撲滅を目指す目的で、国内における違法漁獲物の流通を防止する仕組みなどを内容とする水産流通適正化法案を提出しましたので、御審議をよろしくお願い申し上げます。
東日本大震災から十年がたとうとしております。大臣就任後、まず福島県を訪問し、復興に懸命に取り組まれている方々の声を直接に伺いました。被災地の皆様を始め多くの方々の御努力により着実に復興が進展している一方で、まだ取り組むべき課題があることも実感しました。引き続き、被災された農林水産業者の方々が再び立ち直るために万全の支援を行ってまいります。また、近年頻発する豪雨や台風などの自然災害への備えを強化してまいります。
以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。
国民の豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、産業政策と地域政策の両面から全力で取り組み、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現してまいります。
上月委員長を始め理事、委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻賜りますよう、お願い申し上げます。