今村聡の発言 (厚生労働委員会)
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○今村参考人 日本医師会で副会長を務めております今村聡と申します。この度は、大変貴重な機会にお招きをいただきまして、誠にありがとうございます。
今回の法律案に対する日本医師会の考え方について述べさせていただきますので、資料を御覧になりながら聞いていただければと思います。ページは右下に振ってありますので、それを御参考にいただければと思います。
まず、ページをめくっていただいて、一ページでございます。医師の働き方改革、医療法についてです。
医療法の改正で、医師の働き方を地域医療とのバランスを見ながら改革していくことになった点は評価できる点だと思っております。医師の厳しい勤務環境の改善、日本医師会ももう十年以上にわたって勤務医の健康支援ということで委員会を設けておりましたけれども、勤務環境の改善は長年の課題であって、医師の労働時間短縮への取組や健康確保策の推進は非常に重要な施策だと考えております。
一方、二〇二四年四月施行というスケジュールがあることで拙速に進めていくということは、地域医療の混乱を招きかねない。特に、現在のコロナ禍において、現場が医師の働き方改革に取り組める状況であるのかどうかということを、足下をしっかりと確認しながら進めていただくことが重要だと思っております。
医師の労働時間短縮計画を調査する評価機能と、臨床従事六年目以降の医師の高度技能の認定を取り扱う特定高度技能の審査組織というものは、地域医療の確保や医療の質の維持と進歩にとって大変重要なものでございます。持続的、安定的に業務が遂行できるように体制整備を進めていく必要があると思っております。
働き方の新制度を早期に幅広く浸透させる必要があると思っております。ここ四年、こういう議論をずっとしてまいりましたけれども、まだまだ、なかなか医療現場に十分浸透しているというふうには思えません。特に、大学病院と基幹病院に対しては、派遣医師の引揚げで地域医療に影響が出ないように、早期に詳細に周知を図っていただきたいというふうに考えております。
二ページ目、医療関係職種の業務範囲の見直しについてでございます。
タスクシフト・シェアについては、新たな職種の創設ということではなくて、既に認められている業務の着実な実施が基本だと思います。また、タスクシフト・シェアを受ける側の医療関係職種に対する支援というものも非常に重要な要素でございます。
今回の法改正による業務の拡大については、医療安全の観点から、相当程度の教育そして研修体制とメディカルコントロールが必須であります。あわせて、需給の見通しに基づく養成の視点も重要だと思います。
医師養成課程の見直しにつきましては、いわゆるスチューデントドクターに関する制度創設などの今回の改正概要は、日本医師会としても長年提唱してきたものでございます。医療安全と国民の医療への信頼を守るために、CBT、OSCEの不断の改善と診療参加型臨床実習の充実を求めたいと思います。
ページをめくっていただきまして、三ページ、地域医療構想の実現に向けた医療機関の再編支援でございます。
病床機能再編支援事業の対象地域、医療機関の選定や執行に当たりましては、それが当事者だけではなく、地域の関係者間の十分な協議と合意に基づいて行われることが実際の運用においても担保されることを求めたいと思います。
都道府県行政や病床機能再編支援補助金申請者は、交付条件を満たしている場合であっても、地域医療構想調整会議や医療審議会等の場において十分かつ丁寧な説明を行い、関係者の理解を得るよう努めることを求めたいと思います。
四ページです。新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項の医療計画への位置づけです。
平時から有事に備え、新興・再興感染症の感染拡大や災害等にも強い医療提供体制を構築すべきだと思います。
日本医師会として、医療計画におけるいわゆる五疾病五事業に新興・再興感染症対策を速やかに追加することを求めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大で強く認識されたとおり、新興・再興感染症による医療崩壊を防ぐためには、感染症法上の予防計画だけではなく、感染症への対応と通常の医療が両立し得る医療提供体制を整備していくことが肝要だと考えております。
本規定の施行日、この案は、次期医療計画に合わせて二〇二四年四月一日でありますが、現行の厚生労働省基本方針等への追加により、施行に先立って必要な医療提供体制を構築していくことが必要だと考えております。
ページをめくっていただきまして、五ページです。外来医療機能の明確化と連携でございます。
都道府県が、地域の医療機関の中から、医療資源を重点的に活用する外来を、地域で基幹的に担う医療機関として明確化することとなります。その際に、地域における協議の場において、各医療機関の自主的な取組等の進捗状況を共有し、また、地域における必要な調整を行うことを十分に担保していただきたいと思います。
また、上記の機能を担う医療機関は、紹介外来だけではなく、状態が落ち着いたら逆紹介によって再診患者を地域に戻す役割も担うべきだと考えます。その促進策は、地域の関係者にとっても納得が得られるものとすべきであります。
外来機能報告の対象となる有床診療所は、地域に密着した医療施設として限られたマンパワーで現在運営をされております。そのため、外来機能報告の有床診療所への適用に当たりましては、時期、報告事項等の設定や丁寧な説明について特に配慮を求めたいと考えております。
最後に、改正法案と今後の対応について意見を申し上げたいと思います。六ページです。
各地の医療現場は、本当に、日本を、地域を見ますと様々な状況にあります。公か民か、あるいは施設の大小や機能にかかわらず、新型コロナウイルス感染症への対応に大変な尽力をしております。今回の制度改正は、そうした現場の苦労に報い、支えとなるものでなければならないと考えます。
大規模な制度改革は想定外の問題を生じやすい、また、硬直的な制度運用がなされれば現場に不安や混乱を招きかねません。今回の医療法等改正法の施行に際しては、政省令、告示、そして関係通知等による具体的な制度設計を含め、地域の実情に応じ、かつ柔軟に運用されることを求めたいと思います。
また、国や地方公共団体に対しまして、地域の不安惹起や混乱の発生を未然に防ぐためにも、現場に対して丁寧かつ詳細な説明を求めたいと思います。
今回の医療法改正による制度改革を確実に進めていくためには様々な財政的な支援も必要でございますので、この点をお願いして、私からの意見とさせていただきます。
どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)