佐野雅宏の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○佐野参考人 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました健康保険組合連合会副会長の佐野でございます。
 本日、このような意見陳述の機会を与えていただきましたことに、委員長を始め委員の皆様に深く感謝を申し上げます。
 また、平素から、健保組合、健保連に御指導、御支援をいただいていることにつきましても、併せて御礼を申し上げます。
 さて、今回、政府提出法案につきましては、一定以上の所得のある後期高齢者について、自己負担二割を導入するという大きな改正が含まれておりまして、高齢者と現役世代の負担と給付のアンバランスの是正、また、現役世代の負担軽減という観点から、評価できるものであるというふうに考えております。
 本日は、二割負担導入の必要性につきまして、保険者の立場から、現役世代の負担の状況等も御紹介しながら、意見を述べさせていただきます。
 それでは、お配りしました資料の、おめくりいただきまして、一ページを御覧ください。
 左側のグラフを御覧いただきますとお分かりになりますけれども、二〇二二年、来年を境に、いわゆる団塊の世代の方々が七十五歳に到達し始めるため、後期高齢者が急増いたします。
 次に、右側の表を御覧ください。二〇一五年には、後期高齢者一人を支える現役世代は五・四人でしたけれども、二〇二〇年には四・六人、二〇二五年度には三・七人まで減少すると見込まれておりまして、高齢者数の増加以上に減少するということになります。
 現行制度のままでは、現役世代の負担は限界を超え、国民皆保険制度の維持も危うくなるとの危機感から、私どもは、これを二〇二二年危機と申し上げ、高齢者医療制度の早期見直しを要望してまいりました。
 次の二ページを御覧ください。
 このグラフは、健保組合の被保険者一人当たりの後期支援金などの推移でございます。
 法改正以前の二〇一四年度を一〇〇としたとき、一番上の赤い線の後期支援金は、今年度、二〇二一年度に一二五にまで伸び、さらに、二〇二二年から急上昇し、二〇二五年度までを推計すると、一七五まで大きく伸びると見込んでおります。下の紺色、この部分が加入者に対する医療給付費の伸びでございますけれども、これを大幅に超える状況となっております。
 一方で、賃金、これは一番下の線でございますけれども、ここ数年間、横ばいでございます。コロナ禍もあるため、今後も賃金の大幅な伸びは期待できないと考えております。今回、二割負担導入が行われなければ、これまでを超える負担増が現役世代にかかることになります。
 こうした流れを踏まえまして、私どもは、制度の見直しは時間との闘いでもあるというふうに申し上げてまいりました。
 次に、三ページを御覧ください。
 このグラフは、現在の制度が導入された二〇〇九年度から二〇一八年度にかけて、医療費と、保険料、自己負担の変化額について年齢別に表したものでございます。
 これを見ていただきますと、高齢者世代は医療費の伸びと比較して負担は余り増えておりませんが、逆に現役世代は、医療費に比べて保険料の負担増が大きくなっております。いわゆる高齢者に対する現役世代の仕送りが大きく増えていると言われておりますけれども、まさにその構図が表れているものでございます。
 次に、四ページを御覧ください。
 これは、年代別の高額療養費制度の所得区分とそれぞれの負担割合となっております。各年代の一般区分のところを赤く囲んでおります。
 対象人数が一番多い一般所得区分においても、後期高齢者は一割負担ですが、七十から七十四歳は二割負担、七十歳未満は所得に関わりなく三割負担というふうになっております。七十歳未満においては、今回新たに二割負担の対象となる方よりも所得の低い方、住民税非課税の方も三割負担というふうになっております。
 年齢だけで負担割合を考えるのではなく、負担能力のある方にはそれに応じた負担をしていただくということがまさに全世代で支える社会保障と言え、支え手である現役世代の納得感にもつながるというふうに考えております。
 次の五ページを御覧ください。
 こちらの資料は、厚生労働省の資料を基に私ども健保連で試算をしました、現行制度の場合の二〇二二年度からの四年間の現役世代の負担増を表しておりますけれども、この表の中にありますように、四年間の現役世代の負担増の総額は三・二兆円となります。これに対しまして、今回の政府案による二割負担の導入による負担抑制効果額は、四年間累計で三千百億円、負担増の総額の約一〇%にとどまっております。
 内容的に十分とは言えないものの、これ以上見直しの先送りは許されず、二〇二二年度の二割負担の導入が不可欠というふうに考えます。
 また、この表の中では二〇二二年度の負担抑制効果は七百二十億円とされておりますけれども、これは満年度の場合の数字でございます。十月以降の年度後半に実施されるということで、最大でも半分程度の効果となりますので、可能な限り早い時期に実施をしていただきたいというふうに考えております。
 次に、六ページを御覧ください。
 こちらは、健保組合の財政状況とコロナ禍の影響を表しております。
 二〇二一年度の健保組合財政の見通しは、コロナ禍により更に厳しいものになっております。加入者への医療給付費、いわゆる法定給付費の動向が不透明な中で、高齢者医療への拠出金が約千三百億円増加する見込みです。一方で、賃金水準の低下により保険料収入は二千二百億円減少し、更なる財政悪化が見込まれております。全体として、経常収支の赤字総額が拡大し、赤字組合数も全体の八割にまで増加する見込みでございます。
 左下の円グラフでございますけれども、健保組合にとって、いわゆる法定給付費と拠出金合計がまさに義務的経費ということになりますけれども、この義務的経費に占める拠出金の割合が四七%と、依然として半分近くを占めておりまして、法定給付費に近い額を負担をしております。
 これが五〇%となる組合数は、その右側のグラフでございますけれども、全組合の四分の一に当たる三百四十九組合に上ります。
 この上、さらに、コロナ禍による賃金への影響については、業態による差が大きくなっております。右下の表でございますけれども、二〇二〇年度に、コロナによる保険料の特例納付猶予、これを実施した健保組合は百二十九組合で、猶予残高は三百六十五億円になります。
 次に、七ページを御覧ください。
 これは、健保組合の方の財政状況とコロナ禍の影響でございます。業態ごとの賃金の動向について、二〇二〇年度と比較したグラフになります。
 一番左側、黄色で囲った部分が全体の計でございます。月額につきましてはマイナス一・三%、賞与はマイナス七・二%となっております。
 個別で見ますと、右側の赤で囲んだ部分ですが、やはり、宿泊、飲食サービス業、生活関連サービス業、さらには運輸業等、一般的にコロナ影響を大きく受けていると言われる特定の業態で賃金低下の傾向が大きく出ております。
 次に、八ページを御覧ください。
 これまで、現役世代の負担増の状況、世代間の負担と給付のアンバランス、健保組合を取り巻く状況等について御説明をしてまいりました。
 国民皆保険制度の維持、現役世代の負担軽減のために改めて申し上げたいと思いますけれども、やはり、二〇二二年度からの後期高齢者二割負担の導入については確実に実施をしていただきたいというふうに考えます。
 今回の改革は、一部の高齢者の方には確かに負担増となります。しかし、これまで現役世代は保険料を増やして高齢者を支えてきたというのが実情でございます。現役世代の負担は既に限界に達しており、二〇二二年危機の到来に加え、更にコロナに追い打ちをかけられているというこの状況において、是非皆様に御理解をいただきたいと思います。
 今回の二割負担案は、一定所得のある方を対象にしたものであって、自己負担については高額療養費制度による上限もございます。さらに、今回、新たに負担増の対象となる方々には配慮措置も用意されております。こうしたことも踏まえまして、全世代型の社会保障を進めるために、二割負担導入を確実に実施し、更なる対象範囲の拡大についても早期に検討いただきたいというふうに考えております。
 施行時期につきましても、可能な限り早期に設定をしていただきますようお願いをいたします。
 その上で、今回の政府案の附則にもありますとおり、次期改革に向けて、給付と負担の見直しを含め、速やかな検討の開始をお願いいたします。
 本日は時間の関係もございますので詳細な説明は割愛いたしますけれども、特に、今回先送りになった後期高齢者の現役並み所得基準の見直し、それと、その見直しが現役世代の負担増にならないようにするための現役並み所得者への公費投入につきましては、早急に検討開始をお願いいたします。
 健保組合の財政は、申し上げてまいりましたとおり、大変厳しい状況でございます。二割負担の導入は不可欠ですが、今回の改正による負担抑制効果は現役世代の負担軽減に十分と言える規模ではございません。
 今回の改革に当たりましては、財政が厳しい健保組合への拠出金負担に対する財政支援、それと、保険者機能を発揮するための推進策の拡充を是非お願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、九ページを御覧ください。
 こちらは、昨年の十一月に田村厚労大臣宛てに、本会のほか、協会けんぽ、経団連、日商、連合のいわゆる被用者保険五団体が連名で出した意見書の内容でございます。
 私どもは、従来から、もう一つの被用者保険である協会けんぽ、また、経済団体の経団連、日商、そしてまた、被用者の代表である連合と協力をしております。
 詳細な説明はいたしませんけれども、九ページ下の方のアンダーラインのところを御覧ください。「七十五歳以上の後期高齢者の窓口負担についても、低所得者に配慮しつつ早急に原則二割とする方向で見直すべきである。」というのが五団体共通の意見でございます。本日は、五団体を代表して要望させていただきます。
 また、拠出金負担軽減、医療費の適正化をお願いするとともに、保険者機能の強化につきましても、保険者としての責務を今後とも全うしていく所存でございます。
 繰り返しになりますけれども、制度の見直しは時間との闘いでございます。政府案の成立、早期実施を心から願っております。
 議員の先生方には、引き続き御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げまして、結びといたします。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 120404260X01320210420_002

発言者: 佐野雅宏

speaker_id: 28765

日付: 2021-04-20

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会