厚生労働委員会

2021-04-20 衆議院 全91発言

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会議録情報#0
令和三年四月二十日(火曜日)
    午前九時十五分開議
 出席委員
   委員長 とかしきなおみ君
   理事 大岡 敏孝君 理事 門  博文君
   理事 菅原 一秀君 理事 長尾  敬君
   理事 橋本  岳君 理事 中島 克仁君
   理事 長妻  昭君 理事 伊佐 進一君
      安藤 高夫君    今枝宗一郎君
      上野 宏史君    大串 正樹君
      大隈 和英君    神田  裕君
      木村 次郎君    木村 哲也君
      木村 弥生君    後藤田正純君
      高村 正大君    佐藤 明男君
      塩崎 恭久君    繁本  護君
      田畑 裕明君    武井 俊輔君
      百武 公親君    深澤 陽一君
      八木 哲也君    山田 美樹君
      渡辺 孝一君    尾辻かな子君
      大島  敦君    白石 洋一君
      津村 啓介君    西村智奈美君
      山川百合子君    山井 和則君
      早稲田夕季君    高木美智代君
      宮本  徹君    青山 雅幸君
      高井 崇志君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    大隈 和英君
   参考人
   (健康保険組合連合会副会長・専務理事)      佐野 雅宏君
   参考人
   (日本福祉大学名誉教授) 二木  立君
   参考人
   (全国市長会相談役)
   (津市長)        前葉 泰幸君
   参考人
   (全国保険医団体連合会会長)           住江 憲勇君
   厚生労働委員会専門員   吉川美由紀君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十日
 辞任         補欠選任
  青山 周平君     今枝宗一郎君
  国光あやの君     神田  裕君
  小島 敏文君     八木 哲也君
同日
 辞任         補欠選任
  今枝宗一郎君     青山 周平君
  神田  裕君     国光あやの君
  八木 哲也君     深澤 陽一君
同日
 辞任         補欠選任
  深澤 陽一君     小島 敏文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
 高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(西村智奈美君外十名提出、衆法第一一号)
     ――――◇―――――
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とかしきなおみ#1
○とかしき委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案及び西村智奈美君外十名提出、高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として、健康保険組合連合会副会長・専務理事佐野雅宏君、日本福祉大学名誉教授二木立君、全国市長会相談役・津市長前葉泰幸君、全国保険医団体連合会会長住江憲勇君、以上の四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用の中、本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず佐野参考人にお願いをいたします。
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佐野雅宏#2
○佐野参考人 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました健康保険組合連合会副会長の佐野でございます。
 本日、このような意見陳述の機会を与えていただきましたことに、委員長を始め委員の皆様に深く感謝を申し上げます。
 また、平素から、健保組合、健保連に御指導、御支援をいただいていることにつきましても、併せて御礼を申し上げます。
 さて、今回、政府提出法案につきましては、一定以上の所得のある後期高齢者について、自己負担二割を導入するという大きな改正が含まれておりまして、高齢者と現役世代の負担と給付のアンバランスの是正、また、現役世代の負担軽減という観点から、評価できるものであるというふうに考えております。
 本日は、二割負担導入の必要性につきまして、保険者の立場から、現役世代の負担の状況等も御紹介しながら、意見を述べさせていただきます。
 それでは、お配りしました資料の、おめくりいただきまして、一ページを御覧ください。
 左側のグラフを御覧いただきますとお分かりになりますけれども、二〇二二年、来年を境に、いわゆる団塊の世代の方々が七十五歳に到達し始めるため、後期高齢者が急増いたします。
 次に、右側の表を御覧ください。二〇一五年には、後期高齢者一人を支える現役世代は五・四人でしたけれども、二〇二〇年には四・六人、二〇二五年度には三・七人まで減少すると見込まれておりまして、高齢者数の増加以上に減少するということになります。
 現行制度のままでは、現役世代の負担は限界を超え、国民皆保険制度の維持も危うくなるとの危機感から、私どもは、これを二〇二二年危機と申し上げ、高齢者医療制度の早期見直しを要望してまいりました。
 次の二ページを御覧ください。
 このグラフは、健保組合の被保険者一人当たりの後期支援金などの推移でございます。
 法改正以前の二〇一四年度を一〇〇としたとき、一番上の赤い線の後期支援金は、今年度、二〇二一年度に一二五にまで伸び、さらに、二〇二二年から急上昇し、二〇二五年度までを推計すると、一七五まで大きく伸びると見込んでおります。下の紺色、この部分が加入者に対する医療給付費の伸びでございますけれども、これを大幅に超える状況となっております。
 一方で、賃金、これは一番下の線でございますけれども、ここ数年間、横ばいでございます。コロナ禍もあるため、今後も賃金の大幅な伸びは期待できないと考えております。今回、二割負担導入が行われなければ、これまでを超える負担増が現役世代にかかることになります。
 こうした流れを踏まえまして、私どもは、制度の見直しは時間との闘いでもあるというふうに申し上げてまいりました。
 次に、三ページを御覧ください。
 このグラフは、現在の制度が導入された二〇〇九年度から二〇一八年度にかけて、医療費と、保険料、自己負担の変化額について年齢別に表したものでございます。
 これを見ていただきますと、高齢者世代は医療費の伸びと比較して負担は余り増えておりませんが、逆に現役世代は、医療費に比べて保険料の負担増が大きくなっております。いわゆる高齢者に対する現役世代の仕送りが大きく増えていると言われておりますけれども、まさにその構図が表れているものでございます。
 次に、四ページを御覧ください。
 これは、年代別の高額療養費制度の所得区分とそれぞれの負担割合となっております。各年代の一般区分のところを赤く囲んでおります。
 対象人数が一番多い一般所得区分においても、後期高齢者は一割負担ですが、七十から七十四歳は二割負担、七十歳未満は所得に関わりなく三割負担というふうになっております。七十歳未満においては、今回新たに二割負担の対象となる方よりも所得の低い方、住民税非課税の方も三割負担というふうになっております。
 年齢だけで負担割合を考えるのではなく、負担能力のある方にはそれに応じた負担をしていただくということがまさに全世代で支える社会保障と言え、支え手である現役世代の納得感にもつながるというふうに考えております。
 次の五ページを御覧ください。
 こちらの資料は、厚生労働省の資料を基に私ども健保連で試算をしました、現行制度の場合の二〇二二年度からの四年間の現役世代の負担増を表しておりますけれども、この表の中にありますように、四年間の現役世代の負担増の総額は三・二兆円となります。これに対しまして、今回の政府案による二割負担の導入による負担抑制効果額は、四年間累計で三千百億円、負担増の総額の約一〇%にとどまっております。
 内容的に十分とは言えないものの、これ以上見直しの先送りは許されず、二〇二二年度の二割負担の導入が不可欠というふうに考えます。
 また、この表の中では二〇二二年度の負担抑制効果は七百二十億円とされておりますけれども、これは満年度の場合の数字でございます。十月以降の年度後半に実施されるということで、最大でも半分程度の効果となりますので、可能な限り早い時期に実施をしていただきたいというふうに考えております。
 次に、六ページを御覧ください。
 こちらは、健保組合の財政状況とコロナ禍の影響を表しております。
 二〇二一年度の健保組合財政の見通しは、コロナ禍により更に厳しいものになっております。加入者への医療給付費、いわゆる法定給付費の動向が不透明な中で、高齢者医療への拠出金が約千三百億円増加する見込みです。一方で、賃金水準の低下により保険料収入は二千二百億円減少し、更なる財政悪化が見込まれております。全体として、経常収支の赤字総額が拡大し、赤字組合数も全体の八割にまで増加する見込みでございます。
 左下の円グラフでございますけれども、健保組合にとって、いわゆる法定給付費と拠出金合計がまさに義務的経費ということになりますけれども、この義務的経費に占める拠出金の割合が四七%と、依然として半分近くを占めておりまして、法定給付費に近い額を負担をしております。
 これが五〇%となる組合数は、その右側のグラフでございますけれども、全組合の四分の一に当たる三百四十九組合に上ります。
 この上、さらに、コロナ禍による賃金への影響については、業態による差が大きくなっております。右下の表でございますけれども、二〇二〇年度に、コロナによる保険料の特例納付猶予、これを実施した健保組合は百二十九組合で、猶予残高は三百六十五億円になります。
 次に、七ページを御覧ください。
 これは、健保組合の方の財政状況とコロナ禍の影響でございます。業態ごとの賃金の動向について、二〇二〇年度と比較したグラフになります。
 一番左側、黄色で囲った部分が全体の計でございます。月額につきましてはマイナス一・三%、賞与はマイナス七・二%となっております。
 個別で見ますと、右側の赤で囲んだ部分ですが、やはり、宿泊、飲食サービス業、生活関連サービス業、さらには運輸業等、一般的にコロナ影響を大きく受けていると言われる特定の業態で賃金低下の傾向が大きく出ております。
 次に、八ページを御覧ください。
 これまで、現役世代の負担増の状況、世代間の負担と給付のアンバランス、健保組合を取り巻く状況等について御説明をしてまいりました。
 国民皆保険制度の維持、現役世代の負担軽減のために改めて申し上げたいと思いますけれども、やはり、二〇二二年度からの後期高齢者二割負担の導入については確実に実施をしていただきたいというふうに考えます。
 今回の改革は、一部の高齢者の方には確かに負担増となります。しかし、これまで現役世代は保険料を増やして高齢者を支えてきたというのが実情でございます。現役世代の負担は既に限界に達しており、二〇二二年危機の到来に加え、更にコロナに追い打ちをかけられているというこの状況において、是非皆様に御理解をいただきたいと思います。
 今回の二割負担案は、一定所得のある方を対象にしたものであって、自己負担については高額療養費制度による上限もございます。さらに、今回、新たに負担増の対象となる方々には配慮措置も用意されております。こうしたことも踏まえまして、全世代型の社会保障を進めるために、二割負担導入を確実に実施し、更なる対象範囲の拡大についても早期に検討いただきたいというふうに考えております。
 施行時期につきましても、可能な限り早期に設定をしていただきますようお願いをいたします。
 その上で、今回の政府案の附則にもありますとおり、次期改革に向けて、給付と負担の見直しを含め、速やかな検討の開始をお願いいたします。
 本日は時間の関係もございますので詳細な説明は割愛いたしますけれども、特に、今回先送りになった後期高齢者の現役並み所得基準の見直し、それと、その見直しが現役世代の負担増にならないようにするための現役並み所得者への公費投入につきましては、早急に検討開始をお願いいたします。
 健保組合の財政は、申し上げてまいりましたとおり、大変厳しい状況でございます。二割負担の導入は不可欠ですが、今回の改正による負担抑制効果は現役世代の負担軽減に十分と言える規模ではございません。
 今回の改革に当たりましては、財政が厳しい健保組合への拠出金負担に対する財政支援、それと、保険者機能を発揮するための推進策の拡充を是非お願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、九ページを御覧ください。
 こちらは、昨年の十一月に田村厚労大臣宛てに、本会のほか、協会けんぽ、経団連、日商、連合のいわゆる被用者保険五団体が連名で出した意見書の内容でございます。
 私どもは、従来から、もう一つの被用者保険である協会けんぽ、また、経済団体の経団連、日商、そしてまた、被用者の代表である連合と協力をしております。
 詳細な説明はいたしませんけれども、九ページ下の方のアンダーラインのところを御覧ください。「七十五歳以上の後期高齢者の窓口負担についても、低所得者に配慮しつつ早急に原則二割とする方向で見直すべきである。」というのが五団体共通の意見でございます。本日は、五団体を代表して要望させていただきます。
 また、拠出金負担軽減、医療費の適正化をお願いするとともに、保険者機能の強化につきましても、保険者としての責務を今後とも全うしていく所存でございます。
 繰り返しになりますけれども、制度の見直しは時間との闘いでございます。政府案の成立、早期実施を心から願っております。
 議員の先生方には、引き続き御指導、御支援を賜りますようお願い申し上げまして、結びといたします。
 御清聴どうもありがとうございました。拍手
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とかしきなおみ#3
○とかしき委員長 ありがとうございました。
 次に、二木参考人、お願いいたします。
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二木立#4
○二木参考人 こんにちは。参考人の二木です。
 私は、お手元の配付資料、これに沿ってお話をします。
 私は、医師出身の、医療経済、医療政策研究者です。本日は、去年と今年に発表した二つの論文に基づいて、全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案のうち、中所得の後期高齢者患者の一部負担、窓口負担の二割引上げに反対する以下の四つの理由を述べます。
 一、応能負担原則は保険料や租税負担にのみ適用される。二、医療には受益者負担原則を適用すべきでない。三、後期高齢者の医療費は非高齢者の約五倍。四、後期高齢者の負担増のうち、現役世代の負担減に回るのは二割にすぎない。一と二は理念的反対理由、三と四はデータに基づく反対理由です。
 以下、順番に説明します。
 まず、私は、医療、社会保障における応能負担原則、支払い能力に応じて負担する原則に大賛成です。しかし、それは保険料や租税負担に適用されるのであり、サービスを受ける際は、所得の多寡によらず平等に給付を受けるのが社会保険の原則と考えています。これは、社会保障研究者の常識的な見解、通説です。
 例えば、社会保障法研究の重鎮である堀勝洋上智大学名誉教授は、社会保険においては、能力に応じて負担し、ニーズに応じて給付するという原則に従うのが望ましいと明快に述べられています。堀氏によると、保険料は能力、給付は必要に応じる方向で進むべきであると最初に提案した公式文書は、社会保障制度審議会の一九六二年の勧告だそうです。
 私が委員を務めた日本医師会の医療政策会議も、一昨年四月に公表した、平成三十・令和元年度医療政策会議報告書の序章の「財源」で、以下のように述べました。社会保障における能力に応じた負担という考えは、財源調達面に限るのであり、生活リスクに直面してニーズが顕在化し給付を受ける段階で、自己負担率に差を設けることは、社会保障の理念にそぐわない。
 日本医師会も、昨年十月二十八日に発表した「後期高齢者の患者負担割合のあり方について」で、二割負担導入に反対する理由の二番目に、応能負担、収入や所得に応じた負担は、本来は保険料及び税で求めるべきである、財務省が言うように可能な限り広範囲ではなく、限定的にしか認められないと、社会保険の原理に基づく主張をしています。
 実は、厚生労働省も、この原則を一九九〇年代までは遵守していました。例えば、介護保険法制定のときの際の老人保健福祉審議会の最終報告、「高齢者介護保険制度の創設について」、一九九六年には、以下のように書かれていました。「高齢者介護に関する現行の利用者負担は、福祉(措置)制度と医療保険制度との間でも、また、在宅と施設の間でも不合理な格差が生じているので、この格差を是正するため、介護保険制度においては、受益に応じた負担として統一的なルールを設定することが適当である。 利用者負担の設定に当たっては、受益に応じた公平な負担という観点から、定率一割負担とすることが考えられる。」と。
 なお、私は、今後は、保険料や租税の賦課対象に金融資産も含めるべきだ、必要があると考えています。個人金融資産の約三分の二は高齢者に集中しており、これにより、保険料、租税収入が相当増えることが期待できます。
 もう一つの理念的反対理由を述べます。
 それは、医療には受益者負担原則を適用すべきではないと考えているからです。
 一般には、医療の一部負担は、医療サービスを利用した人、患者さんと、利用していない人、健康な方との公平を確保する受益者負担原則あるいは応益負担原則から説明されます。しかし、患者が医療を受けることで得る受益とは、病気から回復、改善すること、つまりマイナス状態から正常状態に近づくことであり、消費者が一般の物やサービスを利用して得るプラスの利益、満足感、経済学では効用といいます、とは全く異なります。
 この点については、世界的な経済学者である故宇沢弘文先生も以下のように指摘されています。医療は元々、病気、けがによって健康を喪失した人々を健康な状態に戻すという防御的な面を持つ。つまり、自分から進んで積極的に求め、享受しようという一般的な財・サービスとは異なって、喪失したものを取り戻して健康な状態への回復を求めるものであって、豊かな医療サービスを多くの人々が利用できるような医療制度を維持することは、社会的な観点からも極めて望ましいものとなると。
 次に、第三の、データに基づく反対理由を述べます。
 それは、後期高齢者の一人当たり年間医療費は九十一・九万円で、六十五歳未満の十八・八万円の四・九倍であり、仮に二割負担を導入すると、年間自己負担額は十八・四万円となり、三割負担の六十五歳未満の自己負担額五・六万円の実に三・三倍になるからです。これは高額療養費制度は考慮しない粗い計算ですが、それを考慮しても、後期高齢者の患者負担の方がはるかに多くなることに変わりありません。これではとても公平な負担とは言えません。
 法案では、二割負担化に関して、長期にわたり頻繁に受診が必要な外来患者について、ある程度配慮がなされていますが、法施行後三年間の時限的なものです。しかも、田村厚生労働大臣が四月十四日に答弁されたように、二割負担の対象拡大は、法改正ではなく国会の議決を必要としない政令で行えます。
 重要なことは、当面は配慮がなされているにもかかわらず、厚生労働省の長瀬指数を用いた推計によると、受診日数が二・六%程度減少するとの結果が得られていることです。しかし、国民、特に高齢者がコロナ危機で心理的、経済的に疲弊しているときに、高齢者を狙い撃ちにした負担増方針を打ち出せば、コロナ危機で既に生じている高齢者の医療機関の受診控えを加速し、医療機関の経営困難を更に悪化させる危険があります。
 なお、一部負担増による受診抑制が健康に影響を与えるとの厳密な実証研究は、日本ではまだありません。この点は、田村大臣が四月十四日に繰り返し答弁されたとおりです。ただし、その理由は単純で、日本の従来の研究では平均値の検討しかなされていないからです。
 それに対して、アメリカのランド研究所が一九七〇年代に連邦政府の委託を受けて行った大規模な医療保険実験では、無料医療により、最も貧困な人々や疾病のハイリスクの人々の健康状態が向上する、逆に、患者負担はこれらの人々の健康状態を悪化させるとの結果が得られています。しかし、これらの人々は調査対象の中では少数派であるため、アメリカの研究でも、平均値のみで見ると、患者負担増による健康状態の悪化は見られませんでした。
 ついでに言うと、同じ研究では、一部負担が多い患者は無料医療の患者に比べて入院率は低いが、入院患者のカルテを個別に調べて個々の入院の適否を評価したところ、不適切と判定された入院の割合は無料医療の場合と同じだったことも明らかにされています。つまり、患者負担の引上げによって、不適切な入院のみを減らすことはできないのです。
 最後に、四番目の、やはりデータに基づく反対理由を述べます。これは、私が一番強調したいことです。
 それは、後期高齢者の負担増のうち、現役世代の負担減に回るのは二割弱にすぎないことです。なお、私は、本資料を作った四月十七日時点では最新資料を持っていなかったので、以下に述べる数値は、昨年十二月二十三日の社会保障審議会医療保険部会に提出された参考資料一、「議論の整理(案)に関する参考資料」に基づいています。御了承願います。
 参考資料五ページの数値を見ると、給付費減少、後期高齢者の負担増の千九百三十億円の中心は公費千十億円で、後期高齢者支援金、現役世代の負担軽減七百四十億円より多くなっています。その上、参考資料十九ページによると、現役世代の負担軽減には本人負担だけでなく事業主、企業負担減も含まれ、本人、現役労働者負担減は三百五十億円にとどまっています。これは、給付費減少の一八・一%にすぎません。私の知る限り、現役世代の負担に事業主負担を含んだ政府の公式文書はこれが初めてです。
 菅首相は、常々、若い世代の負担上昇を抑えることは待ったなしと強調されていますし、私もそのお気持ちはよく理解できます。しかし、言うまでもなく、本人のうち、若い世代はごく一部です。二〇一九年の二十から六十四歳の生産年齢人口のうち、二十―二十九歳は一八・二%にすぎず、若い世代を二十から三十九歳に広げても三八・九%にとどまります。
 しかも、参考資料七ページによると、今回の改革案により、一人当たり支援金に対する抑制効果は一年七百円です。この約半分は事業主負担なので、本人負担減は約三百五十円。つまり、一月当たり三十円弱にすぎません。若い世代は給与水準が低いので、保険料も少なく、支援金に対する抑制効果は更に小さくなります。これではとても、若い世代の保険料を減らすとは言えません。
 それに対して、自己負担が二割となる後期高齢の外来患者の一月当たり負担額は、経過措置の間でも、三十円の百倍、三千円に増えるのです。この数万円は訂正です、最大三千円です。このような後期高齢者の中でも、不幸にして病気になってしまった方に対してのみ負担を押しつけるやり方は、とても公正な負担とは言えません。
 私も、全世代型社会保障検討会議最終報告が書いている、若い世代は貯蓄も少なく住居費、教育費等の支出の負担も大きいという事情は深刻だと思います。しかし、これを、若い世代の保険料負担の上昇を少し、文字どおり少しですね、減らしていくことにより是正することは不可能で、若い世代の給与引上げと正規雇用化の促進、及び、住居費、教育費への公的補助、支出が不可欠と思います。
 今回の後期高齢者の負担増提案は、この課題から目をそらすレッドヘリング、これは専門用語です、本題から目をそらさせるための偽情報、本題からかけ離れた紛らわしい情報であり、経済学的には、公費、企業負担から高齢者負担へのコストシフティング、コストの置き換え、転嫁と言えます。厳しい言い方をすれば、若い世代はもちろん、現役世代の負担増抑制はそのためのだしに使われたと言えます。
 以上です。拍手
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とかしきなおみ#5
○とかしき委員長 ありがとうございました。
 次に、前葉参考人にお願いいたします。
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前葉泰幸#6
○前葉参考人 三重県津市長の前葉泰幸でございます。全国市長会の相談役を務めさせていただいております。
 厚生労働委員会の先生方には、コロナ対策に全力でお取り組みくださっていることを感謝をし、また敬意を表するものでございます。
 私ども市長たちは、最前線で、住民の期待に応えられるよう、日々力を尽くしております。昨年の今頃を考えてみますと、住民みんなが困って戸惑っていた、そういうところと比較いたしますと、今は、助けを必要とする方々、そしてその局面、あるいはその内容が多岐にわたっており、よりきめ細かな対策を自治体独自の創意工夫により講じていくということが肝要である、このように感じております。国からは、確実な財政措置と、それから、迅速に情報をお届けくださるようお願いをする次第でございます。
 さて、本日、私は内閣提出第二一号に賛成する立場から意見を申し述べます。
 全世代型社会保障に関する議論につきましては、令和元年の骨太の方針、これにおいて、医療等の分野について、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取組を進めるべき政策を取りまとめる、こうされたことを受けまして、同年九月の内閣総理大臣を議長とする全世代型社会保障検討会議の設置、そして令和二年十二月にはその方針が取りまとめられました。
 私も委員を仰せつかっております社会保障審議会医療保険部会におきまして、この検討会議と並行して、医療保険制度の改革を主に、個別具体の制度の在り方について議論を重ねてまいりました。
 議論の整理を十二月に部会として取りまとめましたが、政府において方針を出された、この方針の内容と私どもの医療保険部会の議論は、共に、両方を踏まえていただいたというふうに思っております。
 この改正案では、これらの議論の成果を具体化するために重要なお取組を進めていただくものというふうに思っておりまして、この実現に向けた政策が、丁寧かつ着実に実施されることが求められるものでございます。
 本改正案におきまして、後期高齢者医療制度及び国民健康保険制度に係る改正事項を中心に、意見を申し述べます。
 まず、窓口負担の見直しでございますが、我が国の国民医療費は増加の一途をたどっております。令和元年度の概算医療費の総計は四十三・六兆円でございましたが、このうち七十五歳以上の後期高齢者医療費は十七兆と、全体の四割近くを占めておるわけでございます。
 よく言われますように、二〇二五年の、団塊の世代、全て後期高齢者になるということで、更なる医療費の増嵩が見込まれており、現役世代の負担の増加は確実な状況でございます。
 この改正案は、課税所得二十八万円以上、年収二百万円以上の方に二割の窓口負担をお願いするものでございますが、この改正がなされた場合、二〇二五年度における後期高齢者支援金は八百四十億円の減少というふうに推計されております。これによりまして、国民健康保険や被用者保険における現役世代の保険料の負担の減少がもたらされ、持続可能で安定的な社会保障制度の維持のためにも一定の役割を果たすものというふうに思っております。
 この二割負担の該当者は約三百七十万人とされております。配慮規定が設けられておりまして、長期頻回受診患者の急激な負担増は一定期間、防がれるとされております。負担の引上げに際しましては、国における丁寧な周知、広報により、対象となる方々の十分な御理解を得られた上で実施されることをお願いをしたいと存じます。
 さて、次に、国民健康保険の中で、子供に係る国民健康保険料の均等割額の減額措置の導入を盛り込んでいただいております。国保の保険料の算定における均等割は、世帯に属する被保険者の数に応じて賦課される応益割の賦課方式でございますが、被保険者を世帯単位とする、国保ならではのものでございます。世帯の人数に応じまして保険料が増額されるということで、特にお子さんの多い多子世帯においては経済的な御負担となっているという現状がございます。少子化対策を政府として進めておられる中で、その対応が求められてきているところでございます。
 平成二十七年の国保法の改正の審議の際に、参議院の厚生労働委員会の附帯決議において、子供に係る均等割保険料の軽減措置について、地方創生の観点や地方からの提案も踏まえ、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら、引き続き議論するとされており、また、昨年三月の少子化社会対策大綱においても、子供の数に応じた国民健康保険料の負担軽減を行う地方公共団体への支援の着実な実施が記述されておるところでございます。
 以降、国保基盤強化協議会等において、国、全国知事会、全国市長会、全国町村会の間で協議を重ねていた事項でございます。全国市長会としては、減額措置の導入は従来から要望していたものであり、その実現を歓迎するものでございます。
 なお、その際、都道府県四分の一、市町村四分の一となっております地方側の負担につきましては、交付税措置が確実に講じられるよう、お願いを申し上げます。
 厚生労働省におかれましては、今後の対象範囲の拡大について、引き続き地方側との協議の場で議論していただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
 次に、保健事業における健診情報等の活用促進について申し上げます。
 国保法第八十二条において、市町村は、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者の自助努力についての支援その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うよう努めなければならないとされております。
 私ども保険者は、被保険者の皆様の健康づくりや生活習慣病重症化予防などといった様々な保健事業を行っておりますが、これらの保健事業の実施に当たっては、被保険者の皆様の健康状態を確実に把握することが重要となってまいります。
 高齢者の医療の確保に関する法律では、特定健康診査等に関する記録の提供として、第二十七条第二項で、保険者は、事業者等に対し、当該加入者に係る健康診断に関する記録の写しを提供するよう求めることができるとされており、この健康情報をもって各種保健事業を行うことが望ましいものであると認識をいたしております。
 そこで、国保の被保険者の構成を見ますと、自営業の方及び無職の方が大部分を占めておりますが、被用者の方も三割強を占めております。こうした方々につきまして、事業者が行う定期健康診査を受診していただいておりますため、国保保険者といたしましては、この事業主からの健診情報を国保の保健事業へ活用できると考えておりますが、特にこれまで四十歳未満の被保険者の方の健康状態の把握に難点がございました。
 四十歳以上の方々につきましては、事業主健診の結果を特定健診の結果として活用できるので、データの提供の法的仕組みがございましたが、特定健康診査の対象となっていない四十歳未満の方については、保険者へ提供される法的仕組みがございませんでした。このため、四十歳未満の方の健康状態の正確な実態把握が困難である、このような実情がございました。
 本改正案は、この課題の解決に資するものであります。四十歳未満の事業主健診情報につきましても、事業主への提供の要求が可能となるほか、その情報を保険者に集約することによって、より効率的な保健事業の実施が可能となると考えております。保険者がよりよい保健事業を実施することで、被保険者の健康が保たれ、医療費の抑制にも資するものと考えております。
 では、最後に、国民健康保険制度の取組の強化について申し上げます。
 本改正案では、都道府県の国保運営方針について、保険料の水準の平準化や財政均衡に関して、記載事項に位置づけることとされております。
 国保の保険料は、その自治体の医療体制や、加入者の所得状況、収納率など、地域によって様々な差異がありますことから、都道府県が示す標準保険料率を基に、各市町村が実情に応じた保険料を設定しております。しかしながら、このことは、患者にとって、同一の医療サービスを受けるのに、自治体によって保険料が異なる、こういう事象をもたらしている、このような事実がございます。
 国は、給付金等算定ガイドラインにおいて、将来的に同一都道府県内の保険料水準の統一を目指すこととしております。実際に、私の地元三重県におきましては、その保険料の統一に向けて、現在、暫定的な措置が講じられているところでございまして、全国でそのような取組の進展が見られつつあるところでございます。
 全国市長会といたしましては、従前より医療保険制度の一本化を要望しているところであり、その第一歩としては、保険料水準に差異が生じているこの現状について、一定の時間はかかるとは思いますが、徐々にならしていく必要があると考えておるところでございます。
 一方、平準化を進めるに当たっては、算定方式の統一、あるいは事務の標準化など多くの課題があります。その中で、特に一般会計からの法定外繰入れの解消が課題に挙げられております。これは、国保の赤字を補填するために一般会計から国保会計に繰り入れるものでございます。理由は、国保の被保険者は、比較的所得が低い加入者が多い、高齢者が多く、医療費が被用者保険に比べて高額であるなど、国保が抱える構造的な課題がございます。
 法定外繰入れは、二〇一四年度は、千百十二の市町村で三千四百六十八億実施をしておりましたが、二〇一八年度には、三百五十四に市町村数は減り、額も一千二百五十八億と約三分の一まで減少しており、私ども保険者といたしましては、着実にその成果が表れているところでございます。
 ただ、これは、一般会計から繰り入れますと、市町村民の税金でもって国保会計をカバーするということになりますので、引き続き適切ではないという認識をいたしております。
 そこで、今回この法律案で規定される、都道府県の国保運営方針への保険料水準等に関する記載ということでございますが、都道府県によっては既にその記載がされているところもございます。
 三重県の国保運営方針では、保険料水準の統一に向けた考え方として、被保険者の負担の公平性から、保険料の統一を目指すとはっきりと明記されておりまして、将来的な統一に向けた本格的な議論を進めるための準備として、保険料の算定方式を含めた統一の定義や前提条件等の考え方や課題を整理していく、このように定められているところでございます。また、赤字の削減、解消の取組については、赤字が発生した市町は、五年以内を目標に赤字削減、解消計画を策定し、その取組状況や改善結果を連携会議で報告するものとされております。
 他の都道府県の国保運営方針におきましても、保険料水準の統一に向けた、それぞれの地域の実情に応じた対策について記述がなされております。
 私ども保険者といたしましては、保険料水準の統一の実現に向けて様々な課題を解決していく必要があると認識をいたしておりますが、引き続き、国からの御支援、そして国との協議の中で、取組の継続的な進捗を図ってまいりたい、このように考えております。
 以上、意見を申し上げましたが、本改正案につきましては、少子高齢化の進む我が国において、社会保障制度を持続可能なものとしていくために不可欠なものであると考えており、私ども自治体といたしましても、国民皆保険制度の最後のとりでである国民健康保険制度を担う者として、引き続き、その安定的な運営に努めてまいる所存でございます。
 また、本改正案が施行された後も、我が国の少子高齢化は進展してまいります。国において、今後も継続的な検証と見直しをお願いをしたいと存じます。
 以上で意見の発表を終わります。ありがとうございました。拍手
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とかしきなおみ#7
○とかしき委員長 ありがとうございました。
 次に、住江参考人にお願いいたします。
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住江憲勇#8
○住江参考人 全国保険医団体連合会と申しまして、地域の第一線の医療機関で働く医科、歯科の保険医の団体でございます。常日頃、地域で、国民、患者さんの命、健康に携わらせていただいております。本日、こういう陳述の機会を与えていただいたことに厚く感謝を申し上げます。
 私どもとしては、今回の健保法一部改定案についての後期高齢者窓口負担二割化、この問題について反対の立場で意見陳述させていただきます。
 まず、一国民として。
 今、コロナ禍で生活困難にあえぐ国民に、ショックドクトリンとばかりに更なる負担増を強いることなんでしょうか。ショックドクトリンの本質は、新自由主義の狙う変革は危機状況によってのみ可能となるというフリードマンの言葉でありますけれども、であり、まさに更に大企業、富裕層に富を集積せんがための国民、働く人々への搾取、収奪そのものであると考えております。
 こんな暴挙が、コロナ禍という未曽有の困難に瀕する国民に強いること自体、許されるものではありません。今こそ、このコロナ禍で露呈された日本の社会保障制度の脆弱さ、所得再分配機能の脆弱さを二一年度予算で一歩でも二歩でも取り返すことこそ求められるところではないでしょうか。
 二ページに。
 次に、医療者の立場から述べさせていただきます。高齢者負担増反対でございます。
 一つ。四十年来の新自由主義政治、経済、財政運営による日本の社会保障制度、所得再分配機能の脆弱さがこのコロナ禍で一層あらわになりました。この脆弱性克服のために二〇二一年度予算で改善の道をつくることこそ求められているはずです。
 そもそも所得再分配は、働く人々の長年の血のにじむような不屈の闘い、運動によってかち取ってきた人類史上の財産でございます。時の政府の都合によって改変されることがあってはなりません。脆弱さがあれば、更なる改悪をすることではなく、まず是正することこそが求められるところではないでしょうか。
 二番目に、医療に求められているのは、常に早期発見、早期診断、早期治療による安全、安心でございます。負担増による受診抑制、治療中断はこれをことごとく困難にします。医療本来の在り方からすれば真逆の制度設計と言わざるを得ません。
 三ページをお開きいただきたい。
 今回のこの負担増について応能負担とも言われますけれども、応能負担は窓口負担に求めるのではなく、税金、保険料に求めるべしでございます。この税金、保険料が正しく、負担が公平なものになっているのかどうかというところが問題です。大企業や富裕層の税と社会保険料負担の是正こそが、何よりも求められるところではないでしょうか。
 高齢者にとっては原則一割負担の今でも高い窓口負担となっております。年収に対する窓口負担が占める割合は現役世代の二から六倍に近い負担になっております。
 この棒グラフ、見ていただくのは、左が一人当たり年間収入の棒グラフです。当然、高齢になっていくほど少なくなっていきます。右の棒グラフ、一人当たり年間収入に対する患者一部負担の比率を表した棒グラフです。ですから、高齢になるほど、複数科受診、そしてまた重症化、そして医療の高度化によって、やはり収入に対しての比率で見ますと現役世代の二から六倍の負担になっているということを表しております。
 続きまして、四ページ。
 既に年間三百八十三万以上は三割負担でございます。二割負担となるのは、中低所得となる年収二百万から三百八十三万未満の方々の三百七十万人でございます。
 そもそも二百万以上とは法案には明記されておりません。対象は政令で決めるとなっております、国会審議はなく。ですから、対象年収の引下げは、やはり必至と考えざるを得ません。
 この棒グラフです。七十五歳以上個人の年収額の分布です。平均値は百六十六万、中央値は百三十万、こういう実態なんです。能力に応じた負担というが、負担増の対象となるのは圧倒的多数を占める中低所得者ということを御理解いただきたい。
 また、政府の言い分として、せんだって田村厚労大臣が述べられました。年収二百万の方々の家計調査によると、年間十二万円の余裕がある、だから今回の負担をお願いする。
 しかし、考えていただきたい。十二万円の余裕なんか、一回入院でもしたらそれこそ吹っ飛んでしまう額なんです。この額でいうならば、後でも述べますけれども、本当に、やはり、日本の社会保障制度に対する、社会保障給付費に対する公費負担、そして企業負担の少なさ、そこらを是正していただくことが大事です。
 また、高齢者は結構な資産を有しているとも言われます。これは、個人個人、その時々の政府の評価を受けての結果なんです。これに対して懲罰的に課税強化をレトロスペクティブに強めるということは、これは税制上あってはならないことだと思っております。
 次、五ページ。
 高齢者の生活に負担増を受け止める余裕は、もう既に、今までのデータでも明らかだと思うんですけれども、世帯主が七十五歳から七十九歳の無職の夫婦世帯、平均では、月収入二十三・三万円に対して月支出が二十五・五万円。既に二・二万円の赤字。これはどこから捻出されているかというと、貯蓄から切り崩されている。しかし、その貯蓄ゼロの高齢世帯、二割ございます。こういう厳しい中で本当に今の負担増がいいのか、本当に考えていただきたいと思っております。
 次、六ページ。
 最後になりますけれども、日本の今、社会保障費、対GDP比で見ますと二二%、約百二十兆円。しかし、フランスで見ますと三二%。一〇ポイント少ないんです。ということは、五十五兆円。その内訳は、国民負担はほとんど一緒です、フランスと。三%分少ないのは、公費負担、十六・五兆円。企業負担は七%少ない、三十八・五兆円。やはり、ここらを是正していただくことこそが喫緊の課題だと思います。
 最後に、私どもの国会請願署名とか、そしてまたクイズキャンペーン、そういうところで、患者さんからの生の声をいただいております。ちょっと紹介させていただきます。
 高齢者、当事者からです。
 これ以上医療費が増えると安心して病院に行けなくなります。生活費も考えなくてはならなくなります。
 年金は減っていく。消費税は上がる。医療と介護の負担は増える。年寄りは長生きするなと言われているようだ。
 年金だけでは、これから先、体が弱り、ますます病院通いが増えるのに、生活できなくなります。国はもっと、年金生活者の心細さを知ってほしい。
 年金収入のみで七十五歳からやっと医療費が一割になると期待していましたが、二割負担では年々減っていく年金収入に占める割合が大きくなります。まともに受診できなくなるばかりです。
 そしてまた、現役世代からも声が寄せられております。
 高齢の親がいるので医療負担が大きくなると、私の負担に不安が出てきます。
 年齢を重ねるたびに医療費の負担が重くなっていくのに、更に負担を増やすことに不安しかありません。
 給料が下がる中、高齢の親を持つ者として、医療費や介護保険利用料のアップは、大変な負担になります。いずれは私自身の受診も控えなくてはいけなくなるのでは。一割負担は維持の方向でお願いしたいです。
 そして、このコロナ禍であえて負担増を強いられることについて。
 この時期に医療費二割負担を宣言する政府の冷酷さに唖然とします。コロナの流行で国の方針が明確に見えたと思います。弱者を切り捨てる政府に対しては怒りが止まりません。
 コロナの影響で、生活が苦しくなる一方で、窓口負担がこれ以上増えると、病気になっても、診療が受けられなくなる。コロナでも診療機関へ受診しづらいのにますます受けにくくなって、年金暮らしをしている方は、飢え死にする方も増えてくるのではないでしょうか。
 国民の収入は減っているのに、医療費が高くなって、治療を受けたいけれども受けられない人々が多くなるのは反対です。まずは新型コロナ対策を早く行い、感染拡大を防ぐ。病気の人から多くの負担金をという考えは、弱い者いじめではないでしょうか。
 以上、本当に国民の切なる願い、切実な声に是非とも寄り添っていただいて、何事も慎重な審議、そしてやはり、この今の時期に患者負担増、高齢者負担増ということはやってはならない、そういう立場で意見陳述させていただきました。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。拍手
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とかしきなおみ#9
○とかしき委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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とかしきなおみ#10
○とかしき委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大串正樹君。
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大串正樹#11
○大串(正)委員 自由民主党の大串正樹でございます。
 参考人の四名の皆様、本当に御多用の中、御出席いただきましてありがとうございました。大変有用な御意見をいただけたなというふうに思っております。
 本当はそれぞれの皆様にじっくりとお伺いしたいところでありますが、時間の制約がございますのでお伺いできない方がいらっしゃるかもしれません。その節は御容赦いただきたいと思います。
 これまでにも、この委員のメンバーの中で議論をさせていただいたり、それぞれの党の中でもこの問題を非常に議論させていただいたわけでありますが、後期高齢者の窓口負担割合の見直しというところは非常に大きな政策の課題ではあろうかというふうに思います。現役世代の負担を軽減しなければいけないという問題意識は皆さん共有できているとは思いますけれども、そのやり方とか中身についてはいろいろな意見があろうかと思います。
 我々、議員をやっていますと、いろいろな方々から御意見をいただくこともあって、多分ここにいらっしゃる委員のメンバーも皆さんそうですけれども、ちょっと、新聞の見出し等を見て、高齢者全員が二割負担にされちゃうんじゃないかとか、過度に誤解をされている方がたくさんいらっしゃって、実際、この中身は、所得水準にしっかり配慮されたりとか、負担増への配慮とか、かなりきめ細かく丁寧に配慮されているというのが事実でありまして、やや複雑ではあるので、新聞の見出しだけ見てすぐに理解はしにくいのかもしれないですし、また、併せて、既存のいろいろな制度、高額療養費制度であるとか、しっかりと、経済的に厳しくても医療が受けられなくなるということがないような十分な配慮がなされている方式であろうかというふうに思いますが、この辺は、やはり広報とか、皆様方の理解をしっかりといただくというのが大変重要かと思います。
 そこで、健保連の佐野参考人にちょっとお伺いいたしますけれども、やはり、そういった関わりを持たれている立場からも、広報ということ、どういうふうに周知していくか、若干、厚労省にもいろいろ私はお願いしているんですけれども、厚労省はなかなか広報が上手ではない省庁でもございますので、健保連の方で、一体どういった周知の仕方ができるか、工夫ができるか、もし御知見があれば教えていただきたいと思います。
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佐野雅宏#12
○佐野参考人 ありがとうございます。
 今、大串先生がおっしゃったように、やはり制度の広報というのは極めて重要だと思っております。
 特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、元々、医療保険制度にはいわゆる高額療養費の上限というものがあって、特に、入院された方等については余り影響がないですとか、さらに、今回の改正においても、対象となっている方は一定以上の所得の方ということで限られております。さらに、配慮措置というものが設けられて激変緩和的なことも入っておりますので、この辺を含めて、負担が一律で二倍になるものではないということも含めた広報は大変重要だと思っております。
 私ども健保連も余り周知、広報が得意な方ではございませんので、なかなか耳の痛い部分もございますけれども、ここは、私ども保険者もそうですし、国、厚生労働省の方とも連携をして、より周知、広報に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
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大串正樹#13
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 是非、皆さんに分かりやすく、そしてしっかりと理解をしていただけるのがありがたいなというふうに思っております。
 また、これまでの議論を、また、皆様方の御意見を伺っている中で、ちょっと気になるというか、議論の中心となっているのは受診控えの問題でございまして、この制度によって本当に必要な医療を受けなくなってしまうようなことがあっては、これはあってはならないということでございます。
 実は、そうはいいましても、急を要するような受診というのは、恐らく皆さん、例えば痛みが止まらないような場合はそれは控えることは多分ないと思いますし、実際、私の地元で、コロナのクラスターが発生した病院で受診控えが風評被害もあって多少起こっているという話を伺ったときに、一番減っているのが、例えば白内障の手術であるとか、あと、大腿骨の人工骨の入替えの手術とか、必要なんだけれども急を要さないものを皆さん先送りされているというケースがあったりとか。
 ですから、長瀬効果の話とかいろいろあるんですけれども、もう少し精緻に見ると、本当に控えているのか、あるいは少し先へ送っているのか、あるいは場合によっては、いろいろな知識を身につけられてセルフメディケーションで対応している場面もあったりとか、いろいろな多様な選択肢が今は増えている時代でもありますので、そちらの方に移行しているのではないかなというふうに考えてもいいのかなというふうに思うんです。
 そういった部分で、健保連であれば、そういういろいろな受診の情報とかデータをたくさんお持ちでありますので、今後も、私も党内でデータヘルスのことを関わらせていただいているんですけれども、データヘルスの推進の立場からも、そういった積極的なデータの利活用を進めていただければありがたいなと思うんですけれども、今後のデータの利活用についての御所見があればお聞かせいただきたいと思います。
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佐野雅宏#14
○佐野参考人 ありがとうございます。
 確かに、先生おっしゃるとおり、受診控えということについての具体的な、どういうことが起こっているのかというのはなかなか把握はしにくい部分であろうかと思います。
 ただ、一方で、今先生がおっしゃったように、今後、医療の在り方を考えた場合においては、やはり当然、病気にならないような健康管理に努めて、例えば健診によって早期に病気を発見していく、こういった取組が大変重要であるというふうに考えております。
 そういう意味で、受診においても、かかりつけ医等を活用した適切な受診行動、この促進は極めて重要であるというふうに考えております。
 今、既に政府の方でも整備はされていますけれども、PHRのデータ等の利活用につきましても、やはり今後大きな力になっていくというふうに考えておりますし、私ども健保連としてもこれについては期待をしております。そういう面で、データをいかに使うかということも我々にとっても課題だと思っておりますし、また、加入者の意識変化といいますか、そういったことも含めて御支援申し上げていきたい。
 健保組合というのは、御存じのとおり、事業主や被保険者との距離の近さ、これが最大の強みでございますので、こういったことも含めて保険者機能をより一層発揮する、こういうふうにしてまいりたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
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大串正樹#15
○大串(正)委員 ありがとうございました。
 このデータの利活用の話ですけれども、自治体の方では、前葉参考人もお越しいただいているので少しお伺いしたいですけれども、こういう医療に係るデータをいろいろな形で利用できるようになれば、やはり自治体としても大きなメリットがあるのではないかな。特に、健康増進ということを標榜しなければいけない自治体でありますので、また同時に、市民のいろんな窓口、クレームもあるでしょうし、いろんな要望も寄せられる中で、そういったデータの利活用ができることによって、自治体のメリットというか、そういう要望とか、もしあればお聞かせいただきたいと思います。
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前葉泰幸#16
○前葉参考人 御指摘のように、予防していくということについて、保健、医療のデータをしっかりと活用していくというのはとても大切なことでございまして、実際に我々もそのように実施をいたしております。例えば、糖尿病を重症化を予防していくとかいうようなことについて、しっかりと医療のデータを保健、予防に生かしていくということが大切であろうかというふうに思っております。
 保健、医療、介護の一体的な実施の中で、委員おっしゃったようなデータの利用をこれからもしっかり現場で進めてまいりたいと思っております。
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大串正樹#17
○大串(正)委員 ありがとうございます。そういう時代になりつつある中で今回の改正もあるというふうに思っております。
 やはり、今回、どうしても財政の話に視点が寄りがちなんですけれども、私自身は、コロナのいろんな状況を見て、医療との関わり方が大きく変わっていく一つの過程の中で捉えた方がいいのではないかなというふうに思っておりまして、例えば、今回、コロナ禍で小児科とか耳鼻科の受診控えがすごくあって医療経営も厳しくなっているというデータもあるわけでありますけれども、そういった中身をいろいろ分析しながら、コロナの時代で一体どうやって医療をしっかりと地域の中でより機能的にしていくのかという視点がやはり必要ではないかなというふうに思っておりまして、ですから、財政の話だけではなくて、受診の在り方が変わっていく時代の中で我々はどう考えていくか。
 例えばかかりつけ医機能をしっかりと強化していくとか、あとは、健診の受診率というのを向上させて、あくまでも今回の改革は、健診をしっかり受けていただいて、自己の健康管理も含めたセットの改革でなければいけないのではないかなというふうに思っておりますが、なかなか健診の受診率が上がりにくいと思いますので、ここはちょっと健保組合の佐野参考人に、まずは健診のデータというのをどうやって蓄積しながら、そして、自分で考える機会をどうやってつくっていくかということについて、もし御所見があればお願いしたいと思います。
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佐野雅宏#18
○佐野参考人 ありがとうございます。
 私自身も、先生おっしゃるとおり、やはり医療との関わり方が大きく変わっていくというのをまさに感じております。特に、コロナ禍ということを経て各国民の皆さんの受診行動が大きく変わりつつあると思いますので、そういう点では、やはり、いわゆる上手な医療のかかり方という部分についても今後より強めていく必要があると思っています。
 そういった中で、もう一つは、健康増進若しくは疾病予防という観点を含めても健診というものが極めて重要であると思っていますので、国の方のいろんな目標に沿って、私ども、健診受診率は着実にアップはしておりますけれども、やはりまだ不十分な部分もあろうかと思いますので、ここについては、まさに、各国民の皆さんの受診行動若しくは健康に対する意識、行動変革をいかに進めていくのかという観点も含めて、更に努力をしてまいりたいというふうに思っております。
 ありがとうございました。
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大串正樹#19
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 佐野参考人が御説明いただいた次期改革への取組の最後のところに、適切な受診行動の促進という、まさに我々というか国民全員が医療に対する意識改革も必要だと思いますので、そういった意味で、冒頭お話しした広報であったり教育、そういったところも考えていかなければいけないなというふうに思っております。
 時間もあれなので、最後に前葉市長にもう一回ちょっとお伺いしたいと思います。
 健診の受診率なんですけれども、やはりどうしても国保の受診率というのはなかなか上げるのが難しい。現場で多分いろいろ御苦労されていると思いますけれども、受診率を上げるのが難しい。特に、先ほどお話しいただいた四十歳以下が非常に難しいという話も伺っておりますが、今後、具体的に、もし、取組の方法として、健診の受診率を上げるとか、あるいは、先ほど佐野委員がお話しになったような、適切な受診行動を取れるような地域としての健康教育の在り方とか、あるいは広報の仕方も冒頭ありましたけれども、そういうものも含めて取組があれば教えていただきたいと思います。
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前葉泰幸#20
○前葉参考人 健診を受けていただくように私も御案内するわけですけれども、なかなか、忙しいとか、あるいはおっくうだとかいうことで、受けていただけないケースがございます。その場合、もう一度はがきで勧奨して、さらにはコールセンターから電話をしたりということでお勧めをいたしております。
 そのような一つ一つの努力に加えて、やはり、健診を受けていただくことが疾病の予防につながっているということを啓発していくということも大切だと思いますので、ミクロの話とマクロの話、両方をこれからもしっかりと進めてまいりたいと思っています。
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大串正樹#21
○大串(正)委員 ありがとうございます。
 一般の健診もありますし、がん検診もありますので、いろいろな疾病の予防にこれから動きができていけばいいなというふうに思っておりますので、また引き続き皆様のお知恵をおかりできればと思います。
 今日は時間の関係でほかの二名の方にお伺いできなくて大変恐縮でございますが、これで質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。
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とかしきなおみ#22
○とかしき委員長 次に、中島克仁君。
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中島克仁#23
○中島委員 立憲民主党の中島克仁です。
 本日は、大変お忙しい中、四人の参考人の皆様には、厚生労働委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれの立場での御意見、陳述内容は大変興味深く拝聴させていただきました。
 限られた時間ではございますが、私からも御質問させていただきたいと思います。時間の関係で全ての参考人にお尋ねできないかもしれませんが、御容赦願いたいと思います。
 団塊の世代が後期高齢者となる二〇二五年問題、これを間近に控えて、現役世代の負担軽減を図らなければならない、こういった思いは我々も強く感じているところでありますし、制度の持続性も大事な部分であるということは十分共有されていることと思います。
 しかし、今回、政府より提出、審議されている内容がそれに本当に資するものなのか、また、現在は、新型コロナウイルス感染症の長期化、現在進行形、また今後の見通しも予断を許さない状況下において、後期高齢者の窓口負担を引き上げることがどのような影響を及ぼすのか、大変懸念があるところであります。
 まず、二木参考人にお尋ねをしたいと思いますが、政府案の後期高齢者窓口負担の引上げについて、先ほど、理念またデータに基づいて四点のポイントを挙げられました。この四点のポイントは全てつながっていることだとは思いますが、特に、一点目に挙げられた、応能負担原則は保険料や租税負担にのみ適用されるということについて、なぜそうでなければならないのか、もう少し詳しく御説明いただきたいのと、また、その原則が崩れた場合、どのようなことが懸念されるのか、お尋ねをしたいと思います。
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二木立#24
○二木参考人 お答えします。
 先ほどのお話で述べましたけれども、応能負担原則は保険料、租税で適用されるということは、何も私が個人的に言っているのではありませんで、厚生労働省も政府もつい最近まで言っていたんです。先ほど介護保険の例を出しましたね。だから、逆に、それが崩れたらどうなるかということが私はすごく心配しているのですね。
 応能負担は、お金持ちにたくさん負担してもらいましょうということですけれども、あくまでも租税とか保険料に限定する。逆に、それを崩すと、今回みたいに、今回はまだちょこっとですけれども、利用料にも負担するとなると、お金持ちが二重払いになっちゃうんですね。応能負担の一番大事な点は、租税や保険料はお金持ちがたくさん払うけれども、実際のサービスはみんな平等に受けるというのが大原則だけれども、それが崩れたら、お金持ちは、租税や保険料もたくさん払うのに、利用料もたくさん払うとなると、これは二重取りということで不満が出てきちゃうわけですね。
 そして、応能負担がなぜ大事かというと、お金持ちがたくさん払ってもらって国民全体でプールするということですけれども、その原則が崩れると、お金持ちの社会保険に対する不満、恨みが強くなって、例えば、ドイツのようにお金持ちは別にしようとか、あるいは、利用料を払うんだったら自腹で払った方がいいやということで、保険分を縮小して、あと、お金のある人で自由になる医療を増やすとか、そういうことが起こって、国民皆保険の一番の理念である国民連帯、それが崩れる。私はそれが一番困ると思いますよ。
 よろしいでしょうか。
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中島克仁#25
○中島委員 ありがとうございます。応能負担原則、これが崩れると国民連帯に影響するという話、大変現実感がある話だと思います。
 一方で、立憲民主党案では、保険料の賦課限度額を引き上げることで、後期高齢者の中で特に高所得の方に負担をお願いすることによって、公費と併せて、政府案と同程度の現役世代への負担を軽減できるとしています。
 二木参考人と住江参考人にお尋ねをしたいと思うんですが、端的に、この立憲民主党案に対する評価、お願いをしたいと思います。
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二木立#26
○二木参考人 まず最初におわびします。先ほどの十五分の陳述のときには、時間がなかったので、立憲民主党案に全然触れられなかったこと、それは大変申し訳ありませんでした。
 その上で、事前に読ませていただきましたけれども、立憲民主党案は、患者の一部負担を増やすんじゃなくて、保険料の賦課限度額を上げて高額所得者の保険料負担を少し増やすという方向は、社会保険の原理に極めて沿って、真っ当な提案だと思います。
 要するに、政府案、先ほども言いましたけれども、病気の人に集中的に負担してもらうというよりも、病気があろうがなかろうが、つまり、患者さんであろうが健康な人であろうが、負担を分かち合うということはすごく大事だと思っています。
 ただ、民主党の提案はあくまでも短期対策ですよね。これをはっきり書いていて、私はそれでいいと思うんですけれども、私自身は、将来的には、高齢者も非高齢者も含めて、先ほど言いましたけれども、金融資産の問題も含めて、応能負担の原則から保険料、租税の負担引上げが必要だと思っています。ただ、今、コロナの危機で、やることは不可能ですから、それはあくまでもコロナ危機が終息した後で。
 ですから、当面の対策としては、お金持ちの高齢者の保険料を増やすだけではちょっと足らないみたいだから、臨時的に国庫負担増で補うというのは、緊急避難的には当然だと思います。
 以上です。
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住江憲勇#27
○住江参考人 どうもありがとうございます。
 私どもとしても、今回の立憲民主党の提案について、一つ、一割堅持、そして二点目に、賦課限度額引上げ、そして三点目に、中低所得者の保険料引下げ、これは大きく評価させていただいています。よくぞ出していただいたと感謝申し上げます。
 以上です。
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中島克仁#28
○中島委員 ありがとうございます。
 ちょっと時間もないのでどんどん進んでまいりますが、政府案に対して、立憲民主党案に対しての、今、評価をいただきました。
 先ほど住江参考人も、その他の参考人の方からも、現在、新型コロナウイルス感染症の長期化によってただでさえ受診控えが生じている状況で、必要な医療が受けられなくなるのではないかということも大変懸念されているわけであります。
 新型コロナウイルス感染症の長期化の中で、窓口負担を引き上げることによる後期高齢者の方の健康被害、例えば認知症の悪化、介護度の重度化への影響、これは大変懸念されることだと思うんですが、これも二木参考人、住江参考人に一言ずつお尋ねをしたいと思います。
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二木立#29
○二木参考人 私、先ほどの陳述でも述べましたけれども、この問題は、自己負担の拡大による受診の抑制と、その受診がどの程度健康被害を与えるかというふうに、二段階に分けて考えた方がいいと思います。
 まず、受診の抑制に関しては間違いなく起きますが、その場合、特に受診が大きく下がるのは低所得者です。これは日本でもデータがあります。
 全国データで一番有名なのは、一九八四年に健康保険法抜本改革が行われまして、それまでは健康保険の本人の自己負担はなかったんですね、原則無料だった。それが一割負担が導入されたんですが、それから一年たったらどんなことが起きたか。社会的に一番弱い立場にある、今はありませんが、日雇労働者健康保険の受診率は何と二〇%も、一年たってですよ、下がったままなんですね。ですから、弱い人々に集中的に受診控えが起こるということは、これは日本のデータでも証明されています。
 それに対して、受診控えが健康悪化をするかどうかという点に関しては、日本では厳密な調査報告はありません。この点では、四月十四日、長妻議員と田村厚生労働大臣との議論で大臣がおっしゃったことは決して間違いではありません。
 だけれども、先ほど言いましたように、日本でないのはデータがないということで、存在がないということじゃないわけですね。平均値だけで見ると、病気がべらぼうに重い人とかべらぼうに貧しい人というのは少数派なんです。だから、平均値を取っちゃうとそれが見えなくなっちゃうということで、アメリカのランド研究所の例を話したんですね。
 ですから、もし日本でそういう自己負担を増やすということをやるのであれば、それに併せて、自己負担の受診率に与える影響は割と簡単に出ます。健康状態に与える影響もきちんと調査してやらないと、何か答弁を見ていたら、健康状態への影響は分かりませんと言っていますよね。分からないんじゃ困るので、その調査をしっかりやるということをやはり政府は約束すべきだと私は思います。
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