前葉泰幸の発言 (厚生労働委員会)
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○前葉参考人 三重県津市長の前葉泰幸でございます。全国市長会の相談役を務めさせていただいております。
厚生労働委員会の先生方には、コロナ対策に全力でお取り組みくださっていることを感謝をし、また敬意を表するものでございます。
私ども市長たちは、最前線で、住民の期待に応えられるよう、日々力を尽くしております。昨年の今頃を考えてみますと、住民みんなが困って戸惑っていた、そういうところと比較いたしますと、今は、助けを必要とする方々、そしてその局面、あるいはその内容が多岐にわたっており、よりきめ細かな対策を自治体独自の創意工夫により講じていくということが肝要である、このように感じております。国からは、確実な財政措置と、それから、迅速に情報をお届けくださるようお願いをする次第でございます。
さて、本日、私は内閣提出第二一号に賛成する立場から意見を申し述べます。
全世代型社会保障に関する議論につきましては、令和元年の骨太の方針、これにおいて、医療等の分野について、給付と負担の在り方を含め社会保障の総合的かつ重点的に取組を進めるべき政策を取りまとめる、こうされたことを受けまして、同年九月の内閣総理大臣を議長とする全世代型社会保障検討会議の設置、そして令和二年十二月にはその方針が取りまとめられました。
私も委員を仰せつかっております社会保障審議会医療保険部会におきまして、この検討会議と並行して、医療保険制度の改革を主に、個別具体の制度の在り方について議論を重ねてまいりました。
議論の整理を十二月に部会として取りまとめましたが、政府において方針を出された、この方針の内容と私どもの医療保険部会の議論は、共に、両方を踏まえていただいたというふうに思っております。
この改正案では、これらの議論の成果を具体化するために重要なお取組を進めていただくものというふうに思っておりまして、この実現に向けた政策が、丁寧かつ着実に実施されることが求められるものでございます。
本改正案におきまして、後期高齢者医療制度及び国民健康保険制度に係る改正事項を中心に、意見を申し述べます。
まず、窓口負担の見直しでございますが、我が国の国民医療費は増加の一途をたどっております。令和元年度の概算医療費の総計は四十三・六兆円でございましたが、このうち七十五歳以上の後期高齢者医療費は十七兆と、全体の四割近くを占めておるわけでございます。
よく言われますように、二〇二五年の、団塊の世代、全て後期高齢者になるということで、更なる医療費の増嵩が見込まれており、現役世代の負担の増加は確実な状況でございます。
この改正案は、課税所得二十八万円以上、年収二百万円以上の方に二割の窓口負担をお願いするものでございますが、この改正がなされた場合、二〇二五年度における後期高齢者支援金は八百四十億円の減少というふうに推計されております。これによりまして、国民健康保険や被用者保険における現役世代の保険料の負担の減少がもたらされ、持続可能で安定的な社会保障制度の維持のためにも一定の役割を果たすものというふうに思っております。
この二割負担の該当者は約三百七十万人とされております。配慮規定が設けられておりまして、長期頻回受診患者の急激な負担増は一定期間、防がれるとされております。負担の引上げに際しましては、国における丁寧な周知、広報により、対象となる方々の十分な御理解を得られた上で実施されることをお願いをしたいと存じます。
さて、次に、国民健康保険の中で、子供に係る国民健康保険料の均等割額の減額措置の導入を盛り込んでいただいております。国保の保険料の算定における均等割は、世帯に属する被保険者の数に応じて賦課される応益割の賦課方式でございますが、被保険者を世帯単位とする、国保ならではのものでございます。世帯の人数に応じまして保険料が増額されるということで、特にお子さんの多い多子世帯においては経済的な御負担となっているという現状がございます。少子化対策を政府として進めておられる中で、その対応が求められてきているところでございます。
平成二十七年の国保法の改正の審議の際に、参議院の厚生労働委員会の附帯決議において、子供に係る均等割保険料の軽減措置について、地方創生の観点や地方からの提案も踏まえ、現行制度の趣旨や国保財政に与える影響等を考慮しながら、引き続き議論するとされており、また、昨年三月の少子化社会対策大綱においても、子供の数に応じた国民健康保険料の負担軽減を行う地方公共団体への支援の着実な実施が記述されておるところでございます。
以降、国保基盤強化協議会等において、国、全国知事会、全国市長会、全国町村会の間で協議を重ねていた事項でございます。全国市長会としては、減額措置の導入は従来から要望していたものであり、その実現を歓迎するものでございます。
なお、その際、都道府県四分の一、市町村四分の一となっております地方側の負担につきましては、交付税措置が確実に講じられるよう、お願いを申し上げます。
厚生労働省におかれましては、今後の対象範囲の拡大について、引き続き地方側との協議の場で議論していただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
次に、保健事業における健診情報等の活用促進について申し上げます。
国保法第八十二条において、市町村は、健康教育、健康相談及び健康診査並びに健康管理及び疾病の予防に係る被保険者の自助努力についての支援その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うよう努めなければならないとされております。
私ども保険者は、被保険者の皆様の健康づくりや生活習慣病重症化予防などといった様々な保健事業を行っておりますが、これらの保健事業の実施に当たっては、被保険者の皆様の健康状態を確実に把握することが重要となってまいります。
高齢者の医療の確保に関する法律では、特定健康診査等に関する記録の提供として、第二十七条第二項で、保険者は、事業者等に対し、当該加入者に係る健康診断に関する記録の写しを提供するよう求めることができるとされており、この健康情報をもって各種保健事業を行うことが望ましいものであると認識をいたしております。
そこで、国保の被保険者の構成を見ますと、自営業の方及び無職の方が大部分を占めておりますが、被用者の方も三割強を占めております。こうした方々につきまして、事業者が行う定期健康診査を受診していただいておりますため、国保保険者といたしましては、この事業主からの健診情報を国保の保健事業へ活用できると考えておりますが、特にこれまで四十歳未満の被保険者の方の健康状態の把握に難点がございました。
四十歳以上の方々につきましては、事業主健診の結果を特定健診の結果として活用できるので、データの提供の法的仕組みがございましたが、特定健康診査の対象となっていない四十歳未満の方については、保険者へ提供される法的仕組みがございませんでした。このため、四十歳未満の方の健康状態の正確な実態把握が困難である、このような実情がございました。
本改正案は、この課題の解決に資するものであります。四十歳未満の事業主健診情報につきましても、事業主への提供の要求が可能となるほか、その情報を保険者に集約することによって、より効率的な保健事業の実施が可能となると考えております。保険者がよりよい保健事業を実施することで、被保険者の健康が保たれ、医療費の抑制にも資するものと考えております。
では、最後に、国民健康保険制度の取組の強化について申し上げます。
本改正案では、都道府県の国保運営方針について、保険料の水準の平準化や財政均衡に関して、記載事項に位置づけることとされております。
国保の保険料は、その自治体の医療体制や、加入者の所得状況、収納率など、地域によって様々な差異がありますことから、都道府県が示す標準保険料率を基に、各市町村が実情に応じた保険料を設定しております。しかしながら、このことは、患者にとって、同一の医療サービスを受けるのに、自治体によって保険料が異なる、こういう事象をもたらしている、このような事実がございます。
国は、給付金等算定ガイドラインにおいて、将来的に同一都道府県内の保険料水準の統一を目指すこととしております。実際に、私の地元三重県におきましては、その保険料の統一に向けて、現在、暫定的な措置が講じられているところでございまして、全国でそのような取組の進展が見られつつあるところでございます。
全国市長会といたしましては、従前より医療保険制度の一本化を要望しているところであり、その第一歩としては、保険料水準に差異が生じているこの現状について、一定の時間はかかるとは思いますが、徐々にならしていく必要があると考えておるところでございます。
一方、平準化を進めるに当たっては、算定方式の統一、あるいは事務の標準化など多くの課題があります。その中で、特に一般会計からの法定外繰入れの解消が課題に挙げられております。これは、国保の赤字を補填するために一般会計から国保会計に繰り入れるものでございます。理由は、国保の被保険者は、比較的所得が低い加入者が多い、高齢者が多く、医療費が被用者保険に比べて高額であるなど、国保が抱える構造的な課題がございます。
法定外繰入れは、二〇一四年度は、千百十二の市町村で三千四百六十八億実施をしておりましたが、二〇一八年度には、三百五十四に市町村数は減り、額も一千二百五十八億と約三分の一まで減少しており、私ども保険者といたしましては、着実にその成果が表れているところでございます。
ただ、これは、一般会計から繰り入れますと、市町村民の税金でもって国保会計をカバーするということになりますので、引き続き適切ではないという認識をいたしております。
そこで、今回この法律案で規定される、都道府県の国保運営方針への保険料水準等に関する記載ということでございますが、都道府県によっては既にその記載がされているところもございます。
三重県の国保運営方針では、保険料水準の統一に向けた考え方として、被保険者の負担の公平性から、保険料の統一を目指すとはっきりと明記されておりまして、将来的な統一に向けた本格的な議論を進めるための準備として、保険料の算定方式を含めた統一の定義や前提条件等の考え方や課題を整理していく、このように定められているところでございます。また、赤字の削減、解消の取組については、赤字が発生した市町は、五年以内を目標に赤字削減、解消計画を策定し、その取組状況や改善結果を連携会議で報告するものとされております。
他の都道府県の国保運営方針におきましても、保険料水準の統一に向けた、それぞれの地域の実情に応じた対策について記述がなされております。
私ども保険者といたしましては、保険料水準の統一の実現に向けて様々な課題を解決していく必要があると認識をいたしておりますが、引き続き、国からの御支援、そして国との協議の中で、取組の継続的な進捗を図ってまいりたい、このように考えております。
以上、意見を申し上げましたが、本改正案につきましては、少子高齢化の進む我が国において、社会保障制度を持続可能なものとしていくために不可欠なものであると考えており、私ども自治体といたしましても、国民皆保険制度の最後のとりでである国民健康保険制度を担う者として、引き続き、その安定的な運営に努めてまいる所存でございます。
また、本改正案が施行された後も、我が国の少子高齢化は進展してまいります。国において、今後も継続的な検証と見直しをお願いをしたいと存じます。
以上で意見の発表を終わります。ありがとうございました。(拍手)