吉田正幸の発言 (内閣委員会)

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○吉田参考人 三人の大学の研究者に挟まれまして、一体私は何者だろうと自分でもちょっと思ったのでございますが、保育専門誌を四半世紀出し続け、現場、行政、いろいろな方々とやり取りをしているその経験、あるいは、国、地方自治体の様々な子供関係の会議にも関わらせていただいていますので、そういう立場を踏まえてお話し申し上げたいと思います。
 本日の案件については、秋田先生の方からかなり詳細に正確なお話をいただきましたので、少し視点を変えて、この児童手当あるいは子ども・子育て支援の問題を少しマクロな視点で整理をした上で、今日の案件に対する意見を二つほど申し上げたいと思います。
 釈迦に説法でございますが、そもそもこの子ども・子育て支援新制度というのは、税と社会保障一体改革の中で誕生しまして、いわゆる全世代対応型の社会保障ということで、消費税財源から七千億円を入れる、それから、社会全体が支援するということで、企業等の事業主拠出金というところから七千百億円ぐらいが今入っている。その中から、今般の問題の児童手当、あるいは三歳未満児の保育、あるいは企業主導型保育というものに使われております。
 先ほどもお話ございましたように、そもそもこの新制度、スタートのときには、一兆円を超えるような新たな財源を追加をして、質、量共にしっかり進めるという大前提でございましたが、七千億円については消費税から入りましたが、残り三千億がいまだ実現をしていない。この三千億円で本当は、量だけでなく、より質の改善につなげるということであったわけですが、まだこれが実現をしていないということでございます。
 その意味では、OECD加盟諸国、先進国の中で、相当ここ数年、日本の子供財源は膨らんできたとは思いますが、是非とも世界に胸を張れるような一層の子供財源の拡充をしていただきたい、まずこれが大前提だということでございます。
 さはさりながら、コロナ禍の下で、歳出がかなり膨らみ、歳入も厳しくなるだろうという厳しい財政事情の中で、今般の児童手当等の改正という話になったわけでございます。したがって、本来であれば、恐らく誰一人特例給付等を廃止はしたくない、与野党の先生方問わずに、むしろ増やしたいということだと思いますが、しかし、残念ながら限られた財源の中で、これをどう有効に、あるいは効果的に使うのかというところで是非意見の調整をいただきたいと考えております。
 そのためには、児童手当ということだけで特化して議論をしたのでは恐らく答えは出ないのではないか。つまり、子ども・子育ての関係施策というのは、いわば総合的に、あるいは包括的に、あるいはパッケージのような形で成果を出すことを考えるのが私は筋だと思っておりますので、その意味で二つの視点で申し上げたいと思います。
 今日の資料は、いろいろごちゃごちゃ書いてございますが、御参考にしていただきたい。
 その中でも大きく取り上げていますが、一つは、部分最適の発想ではなく、全体最適の発想が子ども・子育て支援政策においても重要であろう。もちろん児童手当そのものも非常に重要ですけれども、そのことだけで恐らく答えは出ないのではないか、様々な多様な施策の総合化、包括化が必要だ。あるいは、言い換えれば、児童手当を始めとした、育児休業給付もそうでしょうが、現金給付と、それから幼児教育、保育あるいは子育て支援のような現物給付の組合せ、バランス、これをどう考えるかということだと思います。
 その点でいえば、今回の特例給付の廃止ということは、残念なことではございますが、一方で、二年前に行われた幼児教育、保育の無償化によって全ての世帯収入の家庭が無償化をされましたが、結果的には、保育料を考えれば比較的高所得層の方が無償化の、金額的には大きかった。それを、合わせ技ということは適当じゃないかもしれませんが、児童手当と無償化を重ねて考えると、特例給付のやむない縮減というのは、組合せで考えればあり得るのかなというふうに考えております。
 そして、今日の資料で唯一使う資料は、最後から二枚目でございますね。二つのデータを出してございます。七ページ目と八ページ目。これは、今年一月中旬ぐらいでしたか、日本保育協会の石川県支部の方で国際的なことをやりたいという依頼がありまして、先ほどの秋田先生にも大変御協力いただきましたが、オックスフォード大学のエドワード・メルウィッシュという、大変、政府、政策にも関わっている先生にオンラインでつないでいろいろな話等、やり取りをさせていただきました。その中の資料の一部ということになります。
 八ページ目の資料を御覧いただくと、もうこれは一目瞭然、もちろん日本とイギリスでは状況が違いますからイコールにはなりませんが、御覧いただいたとおり、子供のいる家庭の収入状況によって子供の発達状況がどうか。このグラフが、低い方がいいわけですね、発達遅延率ですから、これは低い方がいいということなんですが、やはり貧困層あるいは平均より以下の世帯の方が残念ながら子供の育ちにいろいろ問題を生じている。言い換えれば、所得が高い家庭ほど、やはりそこはいいんだということが如実にうかがえます。言い換えれば、児童手当等の現金給付がより効果を発揮するのは、中間以下若しくは貧困層でより効果が出ると言っていいかと思います。
 しかし一方、ここからもう一つ読み取れるのは、幼児教育、保育を受けている場合と受けていない場合で、これは、家庭の収入にかかわらず、全ての家庭において、幼児教育、保育を受けている方が子供の育ちにやはりメリットが出てきている。ということは、より高所得層は、現金給付以上に幼児教育、保育という現物給付の質で貢献できる要素はかなり高い。
 今回、千二百万円というモデル世帯の、どちらかの親の収入ということでございますが、夫婦合算すると恐らくもっと多い、千五百万、二千万の家庭もあるでしょう、その家庭が月五千円もらうということと、いや、五千円はなくなりますが、あなたのお子さんの幼児教育、保育、あるいは小中学校の教育環境が非常によくなって、あなたのお子さんの育ちにいろいろ整備されるんですよ、そっちにも回るんですよということの方が恐らく理解していただける家庭は多いのではないか。極論ですけれども、私は、実はそのように考えております。
 それからもう一つは、これも、所得にかかわらず、子育て家庭の家庭状況が子供の育ちにかなり影響する。それは、その前の七ページのところを御覧いただければお分かりのように、真ん中から左の方が主に家庭の状況ですね、世帯の収入であったり、親の学歴であったり、社会経済的地位であったり、家庭学習環境であったり、これはかなり子供の、十一歳時点ですけれども、読み書き算に大きく影響しているということ。じゃ、ここの家庭がどんな家庭でも豊かな家庭環境になるように、多様な手厚い子育て支援という現物給付を提供することが恐らく相当有効だろう。
 そしてもう一つは、右二つが質の高いプレスクール、プライマリースクールでございますが、これは十一歳時点ですから、もうプライマリースクールの教育もほぼほぼ受けている。そして、随分前にプレスクール、いわゆる幼児教育を受けている。しかし、プライマリースクールよりもプレスクール、幼児教育の影響の方が若干まだ高い、十一歳時点でも。いかに幼児教育、保育の質というものが、その年代だけじゃなく、後々にまで大きな影響を及ぼしているのか。
 こういったことを総合的に勘案をいただいて、児童手当等のような現金給付と、それから幼児教育、保育あるいは子育て支援のような現物給付と、そのバランスを、残念ながら限られた財源の中でいかにうまく組合せをして、いかに高い効果、成果を出すか、そこに政策の知恵を、是非とも、与野党を超えて、子供党という視点で結集していただきたい、そのことを切にお願いしたいと思います。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 吉田正幸

speaker_id: 15992

日付: 2021-04-08

院: 衆議院

会議名: 内閣委員会