日吉雄太の発言 (本会議)

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○日吉雄太君 立憲民主党・無所属の日吉雄太です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
 まず、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、現在、治療、療養中の皆様にお見舞いを申し上げ、また、医療従事者の皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 また、本日は、世界中から批判の声が上がる東京オリパラ組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言に対して、有志で、白い服装、胸に白いポケットチーフ、白いバラを身に着け、女性参政権のシンボルである白をまとい、抗議の意味を込めて、本会議に臨んでおります。参議院からも、同調する議員が傍聴席の方におられます。
 さて、菅総理、菅内閣が発足して五か月余りが経過しました。安倍内閣から菅内閣に引き継がれた説明責任無視の姿勢は、一極集中の政治権力による与党としてのおごりでもあり、国民と寄り添う政治の実現とはかけ離れた国民無視の政治です。その根本にあるのが、桜を見る会をめぐる安倍前首相の虚偽答弁問題だと言えます。
 総理は、総務省幹部に対して国家公務員倫理法抵触が疑われる接待を重ねていたとされる長男に事実関係の詳細を確認したかと問われ、私が内容に立ち入るべきではないとして、明言を避けました。
 菅総理の態度は、要するに、長男とはとっくに縁を切っているので、何をやっているか知らないと言わんばかりの、赤の他人事のような言いようです。この姿勢こそが、国民の信頼を損ねる行為ではありませんか。
 疑惑発覚後一週間以上たつにもかかわらず、国会質疑において総務省は調査中を盾に答弁を避けていますが、これほどシンプルな事案を調査するのに何日もかかりません。
 菅総理、内閣を総理する大臣として、総務省に対して内部調査の期限を切ってください。このことは、総理の身内に疑念と不信の目を向ける国民に対する最低限の誠意と考えます。
 国会議員による緊急事態宣言下の深夜の飲食、国会審議中の居眠りなど、緊張感のかけらもない行動が頻発しています。政治家に覚悟はあるのか。コロナを何が何でも収束させ、生活を立て直す覚悟はあるのか。国民の皆様は、強い憤りを持って、私たち野党も含め国会議員全員の言動を注視しています。
 総理は、緊急事態宣言の再発令を決めた会見で、一か月後には必ず事態を改善させると明言しました。しかし、宣言は延長され、一か月で収束できなかった責任は全て私が背負うとの発言に至りました。全力でやります、でも、できませんでしたでは済まされない話です。
 菅総理、総理がどれくらいの覚悟を持ってコロナ対策に取り組んでいるのか、国民の皆様に向かって具体的に説明してください。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、個人、企業、団体を問わず、大きな打撃を与えています。また、貧富の格差を始め、日本社会が抱える様々な問題点を顕在化させてもいます。
 そして、コロナ禍において、私たちの価値観の大転換が起こり、生き方、暮らし方、仕事の仕方など、様々な変革が生じています。
 これまでの人口増加による経済成長を前提とした社会から、当面の間は人口減少を織り込んだ成熟社会へとシフトしていく必要があるでしょう。
 また、競争一辺倒の格差社会から、個人を尊重し互いに支え合う共生社会へと深化していくべきです。
 そのためのキーワードが、豊かさです。新たな豊かな社会をつくっていかなければなりません。それは、物質的な満足感ばかりでなく、精神的な満足感に重きを置く社会です。例えば、仕事やメールや携帯電話に追われる、二十四時間稼働する社会を脱却し、時間にゆとりのある生活を送ることができる社会です。
 こうした状況にあって、税制が果たすべき役割は大きく、タイムリーかつ適切に改正を行うことは極めて重要です。
 今般の税制改正では、コロナ禍により打撃を受けた家計の下支えと、ポストコロナに向けた経済構造の転換支援が大きな柱として掲げられています。その方向性には賛同しますが、個別の改正事項を見ると、喫緊の課題への対応は不十分であり、社会のゆがみを抜本的に解消する道筋も全く示されていません。
 まず初めに、私としては、抜本的な改革の一例として、海外からの日本で働く方を含め、原則として全ての人に確定申告を義務づけることを提案します。理由は以下の四つです。
 第一に、全ての人が税に向き合うことは、民主主義が成熟するためには極めて重要だからです。
 源泉徴収制度と年末調整制度は、手っ取り早く税を徴収することにたけていますが、個々人の納税意識を希薄化させます。税と向き合うことは、その支出と向き合うことであり、それはまさに政治と向き合うことにほかなりません。
 第二に、税の公平性を確保する必要があるからです。
 コロナをきっかけに、働き方の多様化が加速しています。給与所得者が大勢を占めていた時代は終わり、個人事業主、兼業者が増え、人材の流動化が進んでいます。給与所得者にも税務メリットを付与し、シンプルで公平な税制にする必要があります。
 第三に、個人が尊重される社会に対応する必要があるからです。
 夫婦が共に働く社会において、扶養制度の改革を含め、当たり前に個々に確定申告をする社会が迫っています。
 第四に、生活困窮者の実情を把握するためです。
 国は、納税者の所得状況は把握していますが、納税に至らない人の所得状況は十分に分かりません。これではスムーズな社会保障も行えません。もし、把握できていれば、特別定額給付金の支給ももっとタイムリーかつ適切に行えたはずです。
 以上を踏まえ、全ての人に確定申告を義務化することについて、総理の見解を伺います。
 次に、各論について伺います。
 税制で家計を下支えするということであれば、全ての人に課される消費税を減税することが一つの選択肢です。本来であれば真っ先に検討すべき事項だと考えますが、今回の改正には盛り込まれていません。
 生活に困窮する方を支援し、消費の促進を通して事業者を支えるために、経済が回復するまでの当面の間、消費税を廃止するつもりはありませんか。総理の見解を伺います。
 個人所得課税について伺います。
 住宅ローン控除特例の延長が掲げられていますが、コロナ禍により住宅取得が停滞している状況に鑑み、住宅ローンの控除期間を当面の間延長することについては理解します。
 しかし、住宅市場は供給過多の状況にあります。それにもかかわらず、新築住宅の増加を促進する税制に固執することに、合理性があるとは思えません。そもそも、この恩恵を受けられるのはローンを組める中高所得者層であり、コロナ禍で苦しむ低所得者層には恩恵のない税制です。
 住宅ローン控除の見直し、家賃補助制度の創設等、住宅政策全体の抜本的な転換を行うべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 法人課税について伺います。
 デジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルの投資促進税制について、デジタル化及び脱炭素化を促進するという方向性には賛同できますが、そもそも、投資する余力のある大企業にしか恩恵のない制度です。一方で、MアンドAによる中小企業の再編を促す税制を新設するとされています。これでは、大企業を優遇し、コロナ禍による経営難にあえぐ中小企業を淘汰するような改正ではありませんか。
 新型コロナウイルスにより打撃を受けた中小企業が事業を継続し、雇用を維持できるように後押しをするのが、今、税制に求められていることだと思いますが、総理の見解を伺います。
 資産課税について伺います。
 教育資金等の一括贈与に係る非課税措置の延長及び見直しが掲げられています。
 しかし、そもそも、この非課税措置自体、財産の少ない層には恩恵がありません。
 再分配機能の強化とそれによる格差の是正という観点から、相続税、贈与税の在り方については抜本的に見直すべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 納税猶予特例について伺います。
 新型コロナウイルスの影響により、いまだに苦しい状況にある人が多くいるにもかかわらず、政府は、当初の予定どおり、本年二月一日をもってこの特例制度を打ち切りました。
 最新の統計によれば、五十一万件という決して少なくない利用があります。特例の打切りは、社会的弱者の切捨てにほかなりません。
 総理、この場で、一刻も早く、納税猶予特例の再開そして減免を含め、検討していただけませんか。厚生年金保険料等の猶予特例の延長、減免にも関わる問題です。真摯な回答を求めます。
 消費課税について伺います。
 航空機燃料税の引下げにより、約三百億円の減収を見込んでいますが、この改正の趣旨を伺います。
 また、コロナ禍における航空産業への支援は当然ですが、それに比べても、個人所得課税の減税と中小企業への減税が見劣りすることは否めません。もっと個人と中小企業にも手厚い支援をする必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
 今般の税制改正は、コロナ禍により打撃を受けた個人、企業、団体への支援という点でも、日本社会の問題点を解決する中長期的な税制上の道筋を示すという点でも、極めて不十分なものです。
 大企業、高所得者を優遇し、中小企業、中低所得者層には十分な支援がない、いわば貧富の格差助長税制です。
 加えて、積年の課題の解決が先送りされています。
 金融所得課税の総合課税化はまたも見送られました。一億円を超えると所得が増えるほど所得税負担率が低下するという仕組みは異常です。
 また、個人所得課税における人的控除を、高所得者ほど税負担軽減が大きい所得控除から税額控除あるいは給付つき税額控除へと転換するといった改革も見送られています。
 コロナ禍により貧富の格差の問題がより深刻化している状況にあって、今こそ、所得再分配機能を回復させる、こうした税制全体の抜本的改革が必要だと思いますが、その考えはありますか。総理の見解を伺います。
 令和三年度予算案では、一般会計の歳出総額が百七兆円規模に達する一方で、税収見込額は昨年度予算を六兆円余り下回り、五十七兆円とされています。確かに、コロナ対策のための財政出動等により歳出が増大する一方で、コロナ禍により税収が減少するわけですから、やむを得ないと思います。
 政府は、財政の健全化に向けて、プライマリーバランスの黒字化とGDPに対する債務残高比率引下げを同時に達成することを目指していますが、コロナ禍における今年度の国債の新規発行額は百十二兆円に上り、国債発行残高も一千兆円の大台が目前に迫ってきました。
 今年度においても国債発行を行うことが財政上可能であるとの判断があったわけですが、どうして可能と判断できたのでしょうか。総理、その根拠を御説明ください。
 また、債務残高比率の引下げは、必ずしも国債残高の減少を目的としてはいません。GDPが大きければ、国債残高が増えることも容認します。エクイティーファイナンスができず、外部からの資金調達を国債に依存せざるを得ない政府にとって、国の経済規模拡大のための投資を行うには、国債の発行は不可欠です。税収の範囲内での支出では、おのずと限界があります。一方で、経済規模が縮小する場合、国債の必要性も総合的には小さくなります。
 総理は国債残高の適正規模をどのように考えているのでしょうか。また、どのくらいの残高までなら発行できますか。総理の見解を伺います。
 コロナ禍において、政府は補償に対して後ろ向きの姿勢を示しています。もしも財政規律がボトルネックになっているのであれば、コロナを克服するまでの当面の間、財政規律を凍結する考えはありますか。事実上凍結しているように思われますが、総理の見解を伺います。
 また、コロナを克服した暁にはどのように税制の財源調達機能を回復させますか。実需が減少している市場を踏まえ、実質的な財政均衡を図るためにはいかなる対策を取りますか。総理の見解を伺います。
 税制の所得再分配機能と財源調達機能の低下は、高所得者、大企業優遇の税制を展開してきた政府・与党の怠慢であり、失策です。
 私たち立憲民主党は、これまでにも金融所得課税の総合課税化や給付つき税額控除の導入等、具体的な対案を示しています。後は政府・与党の皆さんが重い腰を上げれば改革は進みます。改革を止めているのは野党ではなく、あなた方です。
 政府・与党の皆さんの真摯な対応を求め、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣菅義偉君登壇〕

発言情報

speech_id: 120405254X00720210209_014

発言者: 日吉雄太

speaker_id: 3228

日付: 2021-02-09

院: 衆議院

会議名: 本会議