篠原豪の発言 (本会議)
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○篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。
会派を代表し、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について質問いたします。(拍手)
まず、国民にとって最大の関心事である新型コロナワクチンの接種について、総務省新型コロナワクチン接種地方支援本部長である武田総務大臣にお伺いいたします。
昨日の予算委員会で、菅総理は、六十五歳以上の高齢者のワクチンの接種の終了見込み時期について、約千七百市町村のうち約千市町村から七月末までに接種終了との回答を得ました、その旨の答弁をされました。では、その約千市町村の六十五歳以上の人口は全国六十五歳以上人口三千六百万人の何%に当たりますか。お伺いいたします。
また、七月末までに、希望する六十五歳以上の高齢者全員に計二回のワクチン接種をするという目標を達成させる責任を担う大臣は、武田総務大臣なのか、田村厚労大臣なのか、河野ワクチン担当大臣なのか、それともひとえに菅総理大臣なのか、明確に御答弁ください。
さて、本題に入ります。
近年のグローバル化した世界において、伝統的な安全保障に加え、経済安全保障の重要性が指摘されています。昨秋に結成された我々立憲民主党は、野党第一党として、次期総選挙において政権交代後の政策を担うため、外交・安全保障・主権調査会を立ち上げ、経済安全保障を含む幅広い政策について積極的な党内議論を行っています。
その意味で、重要施設周辺や国境離島などにおける土地の利用についても、国会において十分議論をし、安全保障上の懸念を払拭する法律案を得ることは、極めて重要だと考えています。
ただし、本法案は、平常時の土地取引行為や私権設定に大きな影響を及ぼすため、法の目的や手段の合理性、政府による十分な説明と国民の理解が不可欠であると考えます。こうした立場から、政府案の問題点を指摘してまいります。
第一の問題は、本法律案の目的や手段が立法事実に基づいて合理的なものになっているのかという点です。
二〇二〇年の十二月二十四日、国土利用の実態把握等に関する有識者会議が発表した提言には、法制定に至る経緯を次のように述べています。
国境離島や防衛施設周辺等における土地の所有・利用を巡っては、かねてから、安全保障上の懸念が示されてきた。経済合理性を見出し難い、外国資本による広大な土地の取得が発生する中、地域住民を始め、国民の間に不安や懸念が広がっている。例えば、長崎県対馬市では海上自衛隊対馬防備隊の周辺土地が、また、北海道千歳市では航空自衛隊千歳基地の周辺土地が、それぞれ外国資本に取得され、地域住民の不安や懸念を背景に、市議会において、様々な議論が行われている。
と述べています。
そして、その後に、
安全保障は、国民の安全・安心及び自由な経済活動の基盤である。実際に問題が発生してからの対応では手遅れになる。
としており、現段階では安全保障上の問題の発生は確認をされていないことも示唆しています。
そこで、確認ですが、二〇一〇年の外国人土地法に関連した政府答弁書で、外国人等による自衛隊施設の周辺の買収が部隊等の運営に支障を及ぼしているとは認識していないと述べられています。しかし、今回、この法律案を出したということは、二〇一〇年以降、安全保障上重要な施設の周辺や国境離島などで、安全保障上のリスクとなるような土地取引が行われたと認識しているかどうか、お答えください。
仮に、実際に問題が発生してからの対応では手遅れになるとの問題意識だけで立案されたのであれば、土地買収への地域住民の不安や懸念を立法事実として提言に述べているわけですから、阻害行為の調査に入る要件として、地元自治体からの要請を加えるべきではないでしょうか。この点についてもお伺いいたします。
また、提言で言及されている長崎県対馬や北海道千歳市の事例ですが、政府は、これらを経済合理性を見出し難い外国資本による広大な土地の取得に該当するとお考えでしょうか。経済合理性の欠如が、具体的にどのように我が国の安全保障上のリスクとなり得るのでしょうか。この点についてもお伺いいたします。
その上で、経済合理性欠如の事例に相当しないのであれば、この提言で取り上げた意味がどこにあるのかについても確認をさせていただきます。
次に、第二の問題です。
第二の問題は、土地の利用の規制対象が、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為と規定されている点です。
我が国には、既に、幾つかの、地域を指定して土地の利用規制を行っている法律が存在します。例えば、古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法で規制対象とされる行為は、一、建築物その他の工作物の新築、改築又は増築、二、宅地の造成、土地の開墾その他の土地の形質の変更、三、木竹の伐採、四、土石の類の採取、五、建築物その他の工作物の色彩の変更、六、屋外広告物の表示又は掲出とされています。つまり、各行為は外形的に規定されているので、どのような行為が具体的に規制対象に該当するのか、規制する側とされる側で見解が異なる余地はありません。
ところが、今回の法案では、規制対象となるべき行為を、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為と述べているだけです。その意味は、安全保障上のリスクとなる行為ですので、規制する側がそのように判断しても、指摘された側がそうした判断に同意しない可能性は大いにあると思います。こうした事態が起こった場合、どのように対処されるつもりなのか、お伺いをさせていただきます。
こうした問題が起こるのは、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為とした規定に十分な予見可能性がないからではないかと考えています。これでは、我が国が法治国家であるときちんと主張できるのかどうか。政府は法的予見性の重要性についてどのように考えているのでしょうか。お考えを伺います。
法的予見性を確保するには、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為の内容を法律に具体的に書き込む以外にはないのでしょうか。
そこで、現時点で重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為として想定される具体的な行為としては、一つに、施設の運営に支障を来す構築物の設置、二つ目に、電波妨害、施設への侵入の準備行為、三つ目に、低潮線近傍土地等への形質の変更が挙げられています。ですので、せめてこれだけでも法律に明示をし、それ以外は政令に委ねる旨を規定するよう要求したいと考えますが、政府として受け入れていただける考えがあるかどうか、お伺いをいたします。
さらに、国会の関与なく、行政府の専断で指定が行われる事例は、重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為だけにとどまりません。注視区域、特別注視区域を指定する場合にも、距離範囲を一キロ以内で、政府の裁量で判断することになっています。
判断基準を、理由も含めて法律の中で明確にすべきではないかと考えます。なぜ国会の関与を排除するのか、その理由もお伺いいたします。
国会の関与を排除した結果は明らかです。
本法律案では、特定重要施設として、司令部機能や警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地や基地等を想定していますが、三月二十九日付の産経新聞社説「主張」には次のように報じられています。
問題は、司令部機能を持つ自衛隊施設などの周辺や無人の国境離島を特別注視区域に指定して一定面積以上の売買に事前の届出を義務づける規定が、大幅に骨抜きされた点にある。法案取りまとめの過程で政府・自民党が公明党に譲歩をし、特別注視区域の対象から市街地を排除できるようにしてしまった。自民、公明両党は、同法施行時には、東京・市谷の防衛省を含む市街地や、海上保安庁の施設、原発などの重要インフラを特別注視区域に指定しないことを確認したとのことです。
同様の言及は四月三日の朝日新聞にも社説でありますが、政府はこうした報道で指摘された事実関係についてどのように弁明をされるのか、お伺いいたします。
次に、第三の問題についてです。本法律案では、政府が安全保障上重要な土地や建物の所有、利用状況を正確に把握するため、土地等の利用状況の調査が定められていることです。
まず、個人情報の取扱方法について法律案に何の規定も設けていないことは、根本的な欠陥だと考えます。政府はこの指摘にどう応えるか、お伺いいたします。
調査の最大の懸念は、国の様々な機関が持っている情報を一元管理することです。
申請や届出などによる国への個人情報の提供は、各々別個の目的を持った法律に基づいて行われています。つまり、そうして提供された個人情報は、法律に明示された目的のために使われるのであって、他に流用することは、本人の同意がない限り許されません。本人の同意なく住民基本台帳や固定資産課税台帳を見られるのは、犯罪捜査などの目的がある場合に限られます。
ところが、今回の情報収集の目的は安全保障上のリスク対象であるか否かの判断材料にすることにあり、場合によって懲役刑に付される可能性もあるわけです。これは、明らかに目的外使用に当たるのではないでしょうか。政府の見解を求めます。
さらに、問題は、調査が際限なく広がるおそれがあることです。
なぜなら、不動産登記簿や固定資産税の課税台帳など、国が管理する様々な一般情報、あるいは国籍や外形的な利用実態が分かっても、公開情報をベースとしている限り、特定の土地や建物の利用実態が我が国の安全保障に問題となるような不適切な利用行為に該当すると断定できるとは到底考えられないからです。
法案は、第七条、その他政令で定める情報の収集、さらには、第八条、土地等利用状況調査のためなお必要があると認められるときは、当該土地利用に関し報告又は資料の提出を求めることができるとしていますが、これらの手続に国会のチェックは及ばず、政府のさじ加減一つでいかようにもなります。
そこで、調査が個人の経歴や思想、信条、家族、友人関係にまで及ぶことを想定しているのか。また、想定している場合には、政府の濫用を防止する明確な歯止めがどこにあるのかをお伺いいたします。
また、本法律案の所管は内閣府となっていますが、内閣府は沖縄総合事務局以外の地方支分部局を持たないので、内閣府の職員のみで調査を行うことは到底できません。となれば、基地周辺の調査は、事実上、自衛隊員が行うものと思われます。
他方、これまでの歴史的経緯から、基地周辺には反対運動を行っている方々や施設等があり、特に、沖縄ではそうした住民運動も盛んです。
こうした人々の個人情報を自衛隊が収集することは、地元の民意を封殺することにつながり、極めて問題が大きいというふうに考えます。こうした事態に政府はどのように対応していこうと考えていらっしゃるのかもお伺いいたします。これは、小此木大臣、岸防衛大臣、お二方にお伺いします。
なお、農地や水源地等について、それを管理する法律はあるにせよ、安全保障上のリスクになる可能性はゼロではなく、それへの対処は従前の法律では不可能と考えます。政府はこうした点をどのように考慮したのかも御説明願います。
安全保障、特に経済安全保障は、国民のふだんの行為を問題とし、それを規制しようとするものであります。
その意味で、立法は極めて慎重かつ丁寧に行う必要がありますので、党派に関係なく、以上の問題点を真摯に受け止めていただき、よりよい法律となりますようしっかりと議論をしていただきますことを強くお願いさせていただき、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小此木八郎君登壇〕