保坂展人の発言 (予算委員会公聴会)

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○保坂公述人 世田谷区長の保坂展人です。
 本日は、このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私からは、新型コロナウイルス対策と、直面するワクチン接種の自治体の課題についてお話しします。こちらの資料の方を使いながらお話を進めていきたいと思います。
 世田谷区内の感染状況を示したグラフなんですが、これは、全国で皆さんが御覧になっている、また、東京都において発表されている傾向とほぼ同じであります。東京の縮図と言っていいと思います。
 人口が九十二万人ということで、大変多いということもありまして、現在のところ、一度感染をされた方、八千四百五十六人と大変多くなってございます。残念ながら六十五人の人が亡くなっていらっしゃる。今、第三波は少し、おかげさまで下り坂になってきているんですが、まだ予断を許さない状況であります。これは連日ホームページで世田谷区では公表をしています。
 この波を見ていったときに、第一波が来て、これが引いていった五月の末から六月にかけて、私どもは、これは第二波、第三波に長期的に備えることが必要だろうというふうに考えました。とりわけPCR検査、今、さっきのお話にもありましたように、大変、当初は、症状があっても四日間は様子を見てということで、その間に悪化をしてしまう、こういうケースが残念ながらございました。何としても、検査、これは疑いがあれば即受けられるようにしようということに取り組んだわけです。
 現在は、四月の半ば過ぎから、医師会、地元世田谷医師会、玉川医師会の協力を得て、午前中クリニックで診察して疑いがあるなとなれば、午後に検査センターに予約が入るというような状態を維持してございます。すぐに検査ができて、そして、治療の必要があればその場でCTも撮りまして治療を開始する、こういった体制をつくってきてございます。
 一方で、大変リスクがあるというのは、高齢者の施設、医療機関、ここでクラスターが第一波のときにもう既に起きていました。ここを何とかできないかということで、後ほど御紹介します社会的検査、こちらの方の準備に入ったわけです。これが、五月、六月、どうやって未然に、とりわけ高齢者施設での防止をしていくのかということを私ども検討してまいりました。
 次のページを見ていただきたいと思います。
 これは、世田谷区内でクラスター、右側に書いてございますが、やはり、医療機関が二百十九人、社会福祉施設が二百五十三人、一番多いのは社会福祉施設で、五人以上のクラスターが起きています。
 左側、直近の一月末、社会福祉施設で職員や利用者に感染者が発生した事例が二百八十四件、六百一人。第三波は非常に激しい波でございまして、一か月前、十二月の時点では百五十一件だったのが約二倍近くに膨れ上がっているということで、社会福祉施設、とりわけ高齢者施設の中で一旦広がると、これが大変広がりが早いということ、高齢者の方ですから重症化しやすいということ、重症化すると、やはり残念ながら亡くなるというリスクがかなりある。
 私、昨年の春、ヨーロッパのニュースで、ヨーロッパ、幾つかの国で、新型コロナの死者の半分が介護施設である、こういうニュースを見ました。まさに医療機関はパンクしていたわけでございます。介護施設で具合が悪くなって、感染をしていても当然入院できないわけでございますので、そこで、医師が往診に来る、こんな体制もないということで、施設の中で、ベッドの上で次々と高齢者、入居者の方が亡くなっていく、こういう悲惨な実態が伝えられました。
 日本でこういうことが起きてはならない、起こしてはならない、そのためにどうすべきかということを考えていったのが、社会的検査でございます。
 これは、先ほどお話があったとおり、症状がある人、疑いがある人だけを検査するのではなくて、症状のあるなしにかかわらず、ないというふうにされている高齢者施設を順番に回っていこう、こういう検査を考えました。
 ただ、その一方で、世田谷区で介護施設、また介護事業所って千五百か所もあるんですね。したがって、この千五百か所を何チームかで回ろうにも、一日何か所も行ってもなかなか進まない。一周するのに相当時間がかかる。その回っている間にまた感染がどんどん出てくるということがございました。
 そこで、検討しまして、介護施設とか保育園とかいうところで感染が出たときには、その感染が出た方の周りの職員の方、入居者の方全員を、翌日からこの社会的検査チームが入って随時検査をしよう。つまり、火の手が上がったところからすぐに全員を検査する。こういう二つの仕組みをつくってきました。
 もう一つは、次のページ、こちらの図の方を見ていただきたいんですが、保健所が疲弊している、フル回転しているという話は皆さん御存じだと思います。
 世田谷区でも、大変、毎回、大きな波が来たときには、保健所職員、増員しても増員しても仕事が膨れ上がる、こういう状況でした。したがって、この社会的検査、高齢施設を守るために回っていくということを保健所にやるようにということは、やはり行政の長として指示できない。更に負荷が重くなってしまいます。そこで考えたのが、こちらの図で左側に、保健所の下に保健福祉政策部というのが世田谷区にありまして、こちらに社会的検査は所管をしてもらおうと。
 そして右側には、これは、民間のメディカル事業者に全面的に委託をしまして、高齢者施設に電話をかけてもらう。いつ行きますか、どこでやりますかという打合せから、そして検査の実行、医師、看護師が行って検査をする。そして結果をお知らせする。もし陽性が出たら、コンタクトトレース、その方自身の動向についてはこの事業者にインタビューをしていただいて、それを保健福祉政策部と保健所で共に協議して、陽性の方ですから、それ以降は一般の陽性の方と同じような扱いにするというスタイルで取り組みました。
 次のページが実績です。社会的検査の実績なんですけれども、随時検査の方、百九十二か所、四千三百九十人実施をしました。七十一人の方が陽性。これは陽性者が出たところに行くわけですから、比較的陽性率が高いですね。
 定期検査の方は、四百九十三か所やって約八千人。二十三人の方が陽性なんですが、実は、この二十三人の中には、十五人の無症状の方がまとめて発見された施設もあるんです。
 十五人、全く無症状で、高齢の方も無症状。相当感染対策をしていたのでショックだったということだったんですが、十五人、この段階で見つかったので、うちの施設、これは特別養護老人ホームですが、運営を止めなくて済んだということですね。十五人が更に放置されていた場合には、何十人というクラスターになっていたおそれがあるということで、こういうこともあるんだということがこの数字に含まれています。
 したがって、十五がこの二十三に含まれていますので、大変、定期検査は陽性率が低いんですね。
 こういうことが分かりました。これはやり始めて分かったんですが、定期検査に入るよということを通知して予定を組むことによって、高齢施設の方が本当に一生懸命、感染対策をやっていただくんですね。今までやっていたことも全部見直してバージョンアップするということで、その効果というのもかなりこれはあったなというふうに思います。
 次に、大量の検査をどうやってやっていくかということで、プール方式についてもちょっと触れたいと思います。
 実は、世田谷区で問題提起を夏にさせていただいて、厚生労働省の方にも何度かお願いをして、この社会的検査の有用性については早い段階で認めていただきました。これは国費で算定しましょう、行政検査で、いわゆる症状がない方も含めて定期的に検査することも含めて必要でしょうと。ただし、プール方式だけは除外だというのが九月の中頃だったんですね。
 そこで、東大先端研の児玉先生のプロジェクトが、炎天下、三百人を超える方たちの検体を取りまして、実際に三百人の中に陽性者はいなかったので、陽性者の検体を取り混ぜて、一本で検査した場合と四人まとめてプール方式で検査した場合と、一致率がどのぐらいかと。これは、問題なく全部一致したんですね。
 なので、精度、大丈夫ですよという研究レポートを出していただいたので、厚労省の方に十一月に、これを是非、田村大臣に検討してほしいということで申し上げ、この世田谷区でやっている検査は、実は東京都の方も検査支援をやっていまして、国の経費を使わない検査について補助するという要件だったので、これは、プール検査については、始めながら、国としても早く認めてほしいということを十二月の末に田村大臣にも申し上げて、一月二十二日にようやくこれが認められました。大量に、素早く、コストを減じて検査を実施するということは大変大事なことだというふうに思っております。
 次に、ワクチンについて触れていきたいと思います。
 こちらのチャートを御覧いただきたいというふうに思います。
 このワクチンについて、最大は、ワクチンの供給がいつからなのか見えないということは全国の自治体共通だと思います。
 四月から高齢者ということで、国の提示に従って我々は場所を確保したり職員を確保したり、そして、ワクチンを打っていただく看護師の方、それから医師の方、手配をしていきます。医師会の先生方だけでは間に合わない部分があるので、派遣をしていただくという契約も今締結をしようとしています。
 では、一体いつから契約をしたらいいんだというのが定かでない。四月、例えば百歳以上の方からとか、少ない人数でというような、これは今週示されると聞いていますが、実は、ワクチンのクーポンを送らなければいけないんですね。世田谷区の場合、二十万人です。その送るクーポンに、何月何日から始まりますよということが書けないんですね、現在。書けない状態がこれ以上続くと、実際上、四月から大きくその検査を回していくということはできないでしょうし。
 ここまで国際的な争奪戦で大変厳しいという事情は分かります。そうなると、ワクチンが、我々の想定は、要するに、世田谷区民が接種を希望すれば打てるような供給があるという前提で計画を組んだわけですけれども、そういうわけにいかないかもしれない。もしかすると不定期型、あるときは三万、そしてその次の週は二万とか、次の週、ちょっと途絶えたとか、そういうことを考えなきゃいけないかなと。
 そうすると、予約を何人までいけるのかということを、しっかりシステム的に、要するに、ワクチンがないのに予約ができちゃうということができないような仕組みを急遽今つくろうとしています。
 そして、次のページに進みたいんですが、七ページです。
 これは、ワクチン自体が、これは小原先生という東京都医学総合研究所の、自らワクチン開発をされている先生をアドバイザーに、昨年から何度か世田谷区で勉強会をやってきました。ファイザーのワクチン、mRNAワクチンは大変壊れやすいんだ、この扱いはデリケートだということを何度も聞いておりました。
 ですから、昨年来、政府は、厚生労働省は、基本、運べないんだ、運ぶにしても三か所くらいということで、我々は、集団接種会場を押さえながら、アストラゼネカのワクチンは扱いやすいので、これは個別接種でやっていこうというふうに考えてきたわけなんですね。
 一月になってもこの見解はずっと継続していました。小分けはできないですよ、一か所から三か所ぐらいには行きます、その先の何十か所というのは駄目なんですよというふうに答えているんですね、厚生労働省は。ところが、その数日後に、いわゆる練馬区モデルということで、二百か所、二百五十か所、これは先進事例じゃないかということで出されました。
 であれば、ワクチンの、凍結したワクチンを一旦解かして、二度から八度というこういった温度で運ぶという実例が世界中にあるのかということでございます。これはなかなかそういう実例はないということなので、非常にこれは困っているということであります。
 今、マイナス二十度で運べるということになったので、この点はまた条件が変わってきますが、とにかく、基本的なところが変わるんですね。変わるのはやむを得ない面があると思いますが、変わるなら変わったということを、しっかり根拠を示して、こういう科学的根拠で運べるんだと言っていただかないと、我々は困る。
 厚労省に問い合わせると、例として示したんだ、あとは、接種主体は自治体なので自治体の責任で判断してくれ、こういうお話で、これはとても怖いことであります。
 たくさんの情報が、一日三つ、四つ、五つと来るんですね、通知行政ですから。厚労省の場合は余りにも通知が多過ぎて、要するに、前に通知している内容が変わっていくんですね。変わっているということがホームページ上などで点検できないんですね。これを改めてほしいというふうに考えております。
 データベースの問題も、年末にこのVシステムの図を見て驚愕しました。誰がどのワクチンをいつ打ったのかという肝腎の記録の仕組みがないじゃないかと。これはあり得ないことですよね。これは田村大臣にも十二月に言いました。こんなことじゃ適切な管理ができませんよ、二か月後になったら情報が来るということじゃ、あり得ないでしょうと。ただ、残念ながら、いろいろやっていただいたようなんですが、年末に、国としては開発は無理だという返事を厚労省からいただいたんです。
 仕方がないので、これは自治体として独自開発をするということで、一月四日から事業者と交渉して、もうシステムはほぼ立ち上がっていますが、その後に、今度は、このシステムがないじゃないかということで、新たに河野大臣がワクチン担当になられて、こういうことが出てくる。
 だから、これまでどういう経過だったのかということを、やはり国としては全部統一して、経過を全部押さえて、全国の自治体に発信をしてほしいというふうに思うわけであります。
 その他、大変情報が錯綜する中で、自治体は総力を挙げてこのワクチン接種をしっかりやろうと考えています。そのためには、これまでの現場の声をまず聞いて、自治体に赴いて、何があるのかを知って、その上でシステムを構築する、これが一番だというふうに思います。
 最後に、私は久しぶりにここの予算委員会の部屋にやってまいりました。思い出すんですが、一九九八年、当時、大蔵省の接待問題が課題になったとき、橋本龍太郎さんが総理大臣、このときに、やはり公務員倫理法を作ろうということで、当時、与党内、当時、与党、自社さ政権ですから、議論がありまして、私もそのメンバーになって、相当突っ込んだ議論をして、そして、御覧のように倫理法ができ上がっています。この間、いろいろ不祥事が連発をして、その都度対応ではなくて、そろそろ抜本的な、具体的な措置がやはり立法府にあってほしいなということを期待申し上げるということを一言付言をして、私の意見としたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 120405262X00120210224_004

発言者: 保坂展人

speaker_id: 29779

日付: 2021-02-24

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会