予算委員会公聴会

2021-02-24 衆議院 全172発言

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会議録情報#0
令和三年二月二十四日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 金田 勝年君
   理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君
   理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君
   理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君
   理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君
   理事 浜地 雅一君
      秋葉 賢也君    秋本 真利君
      伊藤 達也君    石破  茂君
      今村 雅弘君    岩屋  毅君
      江藤  拓君    衛藤征士郎君
      小倉 將信君    小田原 潔君
      神山 佐市君    河村 建夫君
      北村 誠吾君    高村 正大君
      佐々木 紀君    菅原 一秀君
      田中 和徳君    武井 俊輔君
      根本  匠君    野田  毅君
      原田 義昭君    福山  守君
      古屋 圭司君    村井 英樹君
      山本 幸三君    山本 有二君
      渡辺 博道君    大西 健介君
      逢坂 誠二君    岡田 克也君
      岡本あき子君    岡本 充功君
      川内 博史君    武内 則男君
      本多 平直君    道下 大樹君
      宮川  伸君    村上 史好君
      森山 浩行君    矢上 雅義君
      伊佐 進一君    吉田 宣弘君
      藤野 保史君    宮本  徹君
      藤田 文武君    西岡 秀子君
    …………………………………
   公述人
   (第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト) 熊野 英生君
   公述人
   (世田谷区長)      保坂 展人君
   公述人
   (国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長/東京大学名誉教授)     小池 俊雄君
   公述人
   (全国労働組合総連合議長)            小畑 雅子君
   公述人
   (大正大学地域構想研究所教授)          小峰 隆夫君
   公述人
   (名古屋商科大学ビジネススクール教授)      原田  泰君
   公述人
   (東京大学名誉教授(元日本感染症学会理事長))  岩本 愛吉君
   公述人
   (日本労働組合総連合会会長代行)         逢見 直人君
   予算委員会専門員     小池 章子君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     福山  守君
  岩屋  毅君     小田原 潔君
  うえの賢一郎君    武井 俊輔君
  今井 雅人君     村上 史好君
  大西 健介君     岡本あき子君
  逢坂 誠二君     道下 大樹君
  玄葉光一郎君     武内 則男君
  後藤 祐一君     矢上 雅義君
  本多 平直君     宮川  伸君
  太田 昌孝君     伊佐 進一君
  濱村  進君     吉田 宣弘君
同日
 辞任         補欠選任
  小田原 潔君     岩屋  毅君
  武井 俊輔君     高村 正大君
  福山  守君     石破  茂君
  岡本あき子君     大西 健介君
  武内 則男君     玄葉光一郎君
  道下 大樹君     逢坂 誠二君
  宮川  伸君     本多 平直君
  村上 史好君     今井 雅人君
  矢上 雅義君     後藤 祐一君
  伊佐 進一君     太田 昌孝君
  吉田 宣弘君     濱村  進君
同日
 辞任         補欠選任
  高村 正大君     うえの賢一郎君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 令和三年度一般会計予算
 令和三年度特別会計予算
 令和三年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
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金田勝年#1
○金田委員長 これより会議を開きます。
 令和三年度一般会計予算、令和三年度特別会計予算、令和三年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。
 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。令和三年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず熊野英生公述人、次に保坂展人公述人、次に小池俊雄公述人、次に小畑雅子公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、熊野公述人にお願いいたします。
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熊野英生#2
○熊野公述人 第一生命経済研究所の熊野でございます。
 私の方から、日本経済の現状と課題についてお話をしたいと思います。
 今日御説明する資料は原稿をそのままお持ちしておりますので、後ほど詳しく御覧いただければと思いますが、大体、おおむね同じものをお話をしたいと思います。
 我が国の経済、景気は、緊急事態宣言の下で現在は非常に厳しい状況です。民間エコノミストが予測している平均的なもの、これはグラフ一に全体を掲示させていただきましたが、この一―三月はマイナス成長、マイナス五%の成長になるという見通しでございます。このマイナス自体は緊急事態宣言によるものなんですけれども、昨年の一回目の緊急事態宣言とは幾つか大きな違いがございます。
 まず、違いは、活動制限を飲食店に限定したこともありまして、経済への打撃が非常に小さくなっているという特徴があります。海外の需要、外需を除いて民間の内需だけでマイナスインパクトの大きさを比べますと、大体今回は三分の一に絞られているというのが現状です。また、海外、外需においては、前回、去年の四、五月は中国の経済が非常に悪かったので、アジア全体が貿易の足を引っ張っていたんですが、今回は中国がプラス成長に変わりまして、むしろ牽引役に変わっているという大きな違いがあります。
 ただ、全体で見まして、楽観してはいけないのは、前回も今回もそうなんですけれども、非常に深刻なダメージがサービス業に集中している。特に外食、宿泊、交通、この三つの業種については非常に厳しい、非常にひどい有様でございます。
 この後、緊急事態宣言が三月八日に明けると、恐らく経済は回復すると見ています。これは消費者が我慢していた消費活動を積極化させるということが主因なんですが、そこでは恐らく、今見えていないリスク、感染リスクが再燃するという可能性が非常に高いのではないかと思います。
 これは、去年の四、五月、緊急事態宣言が明けた五月二十六日から二か月後の八月の頭には第二波の山が到来した。今回も同じように、二か月後、三月八日から解除すると計算しますと、大体ゴールデンウィーク明けくらいには、もう一度感染の拡大のリスクが高まるのではないかと懸念しています。
 グラフ一に挙げています四―六月、マイナス成長の後の四―六月の見通しは大体五%で、落ち込んだ部分がそのままリバウンドするような形になっていますが、ここは、感染リスクの拡大、リバウンドリスクをまだ十分には織り込んではいないのではないかというふうに私は見ています。
 基本的には、経済の活発化と感染の防止というのはジレンマ、両立し得ないものだというふうに私は思っています。現時点で、感染リスクというのは、経済にブレーキを踏んでいるからこそ感染者がまだ減っているにすぎないのではないか。この図式というのは、図表の二番目に掲示させていただきましたけれども、経済を動かすとリスクが高まり、緊急事態宣言で経済を止めると感染者が減る、この循環がなかなか断ち切ることができないというのがまだ現状で、その悪い循環の中から、現状はまだ抜け出しているというふうには私は見ていません。
 今後の課題としては、やはり東京オリンピックを成功させるということが課題ではないかと思います。七月二十三日から東京オリンピックがありますが、これを成功させるためには徹底した感染制御、アンダーコントロールの下に置くということが非常に重要なのではないかというふうに私は見ています。
 数日前、大坂なおみさんが全豪オープンテニスで優勝しました。この全豪オープンテニスというのは、徹底した感染防止策の中で行われました。昨年は、六月にウィンブルドンが中止され、八月には全米テニス、そして今回の全豪オープンテニスとありましたが、全米と全豪については、感染拡大をコントロールしたということで、その行事の成功が世界中で称賛されています。
 具体的に言うと、観客数を絞り込み、ゾーニングをして、出場する選手に対しては何度もPCR検査を受けさせた。この成功は世界的に称賛されている。テニスの何倍もの選手が参加する東京オリンピックは、もっと大きな成功事例になるのではないかというふうに私は期待しております。
 次に、現在の景気情勢について詳しく見てみたいと思います。
 現状では、非常に中小企業の経営が厳しいんですが、財政政策、政府の政策によって経営破綻が水面下に封印されている状況だと思います。失業率を見ましても、最近の十二月の失業率は二・九%と非常に低いです。しかし、今後、三月八日に緊急事態宣言が明けた後、このまま強い制限を続けると、もたなくなる中小企業も夏場にかけて非常に多く出てくるのではないかというふうに懸念しています。地域によって、声を具体的に聞いてみますと、二割の飲食店やホテルが消滅するのではないかという声も聞きます。
 私自身も、年初からいろいろな全国各地の地域を回ってみましたが、飲食店やホテルでは本当に気の毒になるくらい消毒、換気を行っていました。しかし、風評にさらされているカラオケボックスや夜の飲食店は、幾ら努力をしてみてもお客が来ないという嘆きを聞きます。これは大いなる矛盾ではないかというふうに思います。
 問題の本質を考えてみますと、これは店側に問題があるのではなくて、お客さんの側にあるのではないか。つまり、危険なのは、お客さんの中に無症状の感染者が紛れ込んでいるから、彼らをあぶり出さないことにはアウト・オブ・コントロールの状態はなかなか脱せられない、これが本質ではないのかなというふうに思います。
 本来どうすればいいかということを私なりに考えますと、お客さんの中身がブラックボックスであることを変えていく。例えばカラオケに行くにしても、PCR検査を受けた人が陰性の証明を持って行くような形になると、それが解消されるのではないか。解決法としては、PCR検査を国民が自主的にもっともっと受けて、水面下に隠れている無症状の感染者を見える化するということが大切ではないかと思います。
 こうしたPCR検査をたくさんやるという事例は、ドイツや台湾、シンガポールで既に実施されておりまして、その有効性が確認されています。これらの国々では、検査で隠れた感染者を洗い出し、陽性者をスマホのアプリなどで追跡するという形で感染制御をしています。
 そして、今後の焦点としては、やはりワクチンがあると思います。ワクチンがあるからもうPCR検査は要らないかというと、そういうわけではないと私は思っています。
 ワクチンの接種がこれから進むのは、夏までに高齢者など五千七百七十万人、これは大体国民の四六%、半数近くなんですが、これが終わってから、勤労者を主体とする十六歳から五十九歳、この人たちがワクチンを接種できるタイミングになるんですが、それで考えていくと、やはり年末までワクチンの接種がかかるのではないかというふうに思います。
 集団免疫まで仮に時間がかかるということであるならば、PCR検査の実施は必須だと思います。ワクチンの接種一本足打法ではなくて、攻めのPCR検査、市中の無症状の感染者をあぶり出す作戦をしなければ、なかなか感染の封じ込めは今後もできないのではないかというふうに考えています。
 今後のワクチン接種で非常に懸念されるのは、ワクチンについての不安感からワクチンの接種をちゅうちょする人が意外に多いのではないかということが懸念されます。そこへの対応をどうするかということも政策課題です。ここにつきましても、接種を促すような見える化の戦略が私は必要なのではないかと思います。
 具体的に、例えば事例を挙げると、私たちがしているこのマスクの前に、私は既にワクチンの接種をしました、そういうふうな表示をすることをやれば、これは無理に強要することがなくても、皆がそういう活動をすれば、多くの国民が自主的に接種を受けるように行動変容が起こるのではないかと思います。
 仕掛けをつくって民間の活動を誘導することを、これは行動経済学ではナッジ、強制しない社会介入といいますけれども、そういうことを一工夫してみるのも一つの手なのではないのかなというふうに私は思っています。
 こうしたワクチンの接種については、活動を企業単位、地区単位、学校単位に行う。また、定期的なPCR検査も行って、陰性のパスポート、ワクチン接種の場合はワクチン接種済パスポートを普及させるのがよいと思います。
 今回のコロナ感染対策に関しては、政府の中央集権的なルールで規制するだけではなくて、地区ごと、地域ごとに自治体と地場企業が協力しながら地域内の感染対策のルールを徹底させる、遵守させる、そういう分権的な活動も私は必要なのではないかと思います。
 さらに、次に経済政策について見てみたいと思います。図表の方は図表の三番目です。
 今回、財政を通じた経営支援の施策はとても大きな効果を私は及ぼしていると思いますが、これがいつまでも続くわけではないと思います。
 例えば、持続化給付金と家賃支援については、その受付が二月十五日に既に終了しています。緊急事態宣言が終われば、現時点で一日六万円の協力金の給付や六十万円の一時支援金も終了します。そうなると、資金に頼り切った事業者の中には、需要が完全には戻らないので、破綻に追い込まれるような事例も多数出てくるのではないかというふうに予想します。
 緊急事態宣言の終了後は、恐らく飲食店の営業を緩やかに規制しながらやっていくようになるのではないかと思いますが、そのときには、業績が特に厳しいところに対しては追加的な支援を行うようなそういう枠組み、仕組みもあった方がいいのではないかと思います。
 また、既に、業績が厳しい外食、宿泊、交通などに対してはGoTo事業、GoToキャンペーンがあります。私は、このGoToキャンペーンは非常に去年も効果を上げたと思いますが、その反面、そのやり方についてはいろいろな問題点がありますので、適切なリフォームを行って業界支援をすることが望ましいというふうに思います。
 そのほかに、財政支援としては雇用調整助成金があります。しかし、それらもいずれなくなるので、最後に支援されるツールは何かというと、私は金融ではないか。最後には、実質無利子無担保、これはゼロゼロ融資とよく言われるんですが、ゼロゼロ融資などの公的金融支援が立て直しのための最後のツールになる、最後のとりでは金融になるのではないかというふうに思います。
 私は、遅かれ早かれ、補助金で支える政策というのはその効果を弱めていくので、景気全体を浮揚させるために内容のシフトが必要なのではないか。グラフの三番目で少し書きましたけれども、景気のダウンサイドリスクを今までは支えるような感染防止策や雇用調整助成金が主でしたけれども、今後はそれをGoTo事業や事業再構築補助金でどんどん上向きにしていく。さらには、成長戦略を加えて、人口対策も加える形で、守りの政策から攻めの方に政策を切り替えていくようなことが必要なのではないか。これまでの支える、守るという方針から、攻める、つくる、伸ばすという形への転換が必要ではないかと思います。
 中長期的な成長戦略としては、やはりデジタル化というのが有望なテーマではないかというふうに私は思っています。
 図表の四番目を御覧ください。
 デジタル化。民間企業の活動については、このコロナの下でもかなりしたたかにやっているのではないかということがいろいろ見て取れます。
 例えば電子商取引、これはECといいますが、このEC市場においては、ネットショッピングの伸びが非常に急拡大しています。図表四の左の上に、消費におけるネット取引、ネットショッピングの売上げの動向を書いていますが、去年の四月から十二月までで見ますと、大体前年比一・四、ですから、一・四倍に伸びが増えているということが見て取れます。
 このネットショッピング、EC市場につきましては、これは左の下のグラフですけれども、過去十年においてだんだんだんだん消費のデジタル化が進んできたのが、去年においてはぐっとそれが拡大したという形です。
 消費のデジタル化というと、物の消費だというふうに多くの人は見ますが、実はサービスの分野でもこうしたネット消費というのは非常に威力を出しています。
 図表四番目の右の上の図を御覧ください。
 成長市場としての公営ギャンブル。競輪、競馬、競艇、オートレース、こういう公営ギャンブルは、観客を入れてはいけない、無観客になったために、一気にネット投票、まあ電話もありなんですけれども、非接触型のネット取引にシフトしました。その結果どうだったかというと、去年の十二月段階では、競輪、競馬、競艇、いずれも前年比二割から三割の増加を見ているという形です。逆に、こういうネット化ができなかったパチンコというのはずっと低迷をしている。ですから、サービスのデジタル化というのも、非常に大きな効果を私は工夫次第では生むのではないかと思います。
 この消費のデジタル化という分野では、中国のデジタル化が非常に進んでいます。ネット経由の消費という意味では、中国では大体三五%、日本では大体消費の七%がネット経由の消費なんですが、中国は全体でいうと三五%を占めている。中国が何でコロナ禍でこれほど早く経済が立ち上がったかというと、一つの要因としては、消費がネットシフトしていたということがあると思います。
 この中国のEC市場というのは非常に大きくて、これは図表四のグラフの右の下にございますけれども、各国のEC市場の、これは消費者向けの市場の規模でいうと二百一兆円、大体、世界の三分の二のEC市場を中国が占めています。
 実は、この中国のEC市場において一番人気のある海外製品、ですから、中国から見て海外の製品をネットで買う、そのときに一番人気はどこの国だというと、これは日本なんですね。具体的に言うと何か。首位は化粧品です。次が食品、そして日用品。つまり、インバウンドで日本に来た人が、中国人が日本に来て、これはいいと思ったものを中国に帰ってからもネットで買い続けているということがあるんだと思います。
 中国でEC市場、日本から輸入する、輸入というか持ってくる日本製品の販売額は、大体、経産省の計算でいくと一・七兆円あります。これは実はすごい数字で、中国人のインバウンド、コロナ前の二〇一九年は中国人のインバウンドは一・八兆円でしたから、中国の越境ECというのはインバウンドと匹敵するぐらいの規模になっている。
 また、インバウンド消費全体で見ても、コロナ前の二〇一九年は四・八兆でしたから、越境ECというのは、ばかでかいインバウンド消費の三分の一ぐらいを占めているということです。去年、二〇二〇年のインバウンド消費というのは非常に低迷したと思いますが、恐らく、統計データが出てくると、中国との越境ECはそれを肩代わりするぐらいの規模の拡大が見込まれるのではないかというふうに予想します。
 つまり、日本の消費産業にとって、海外向けのECビジネスというのは消費の未来を開くようなデジタルの成長分野になるのではないのかなというふうに私は見ています。
 最後に、成長戦略、デジタル化よりももっと足の長い分野の成長戦略として見逃してはいけないのは、少子化対策だと思います。
 このコロナ禍では、若い夫婦が感染を不安視して妊娠や出産を控えているというデータがいろいろもう既に出ています。私の推計では、来年、二〇二一年の出生数は七十六・九万人まで減るのではないか。出生数が百万人を割ったのが二〇一六年なんですけれども、僅か五年で、七十六・九万人、七十七万人近くまで激減する。これは非常に恐ろしいことだと思います。
 更に怖いのは、若い人たちがコロナによって出会いの場を、フェース・トゥー・フェースの出会いができなくなっていることによって婚姻数が更に減ってしまうということが懸念されます。地方の疲弊は人口減少によって更に加速する。そういう意味では、非常に、結婚が少なくなって少子化が進むというようなことが懸念されます。
 この出生数が減るというインパクトというのは、日本だけではなくて海外全般でも恐れられています。例えば、アメリカでは、民間のシンクタンクが、二〇二一年の出生数は三十万人から五十万人減るのではないかというふうに見ています。台湾については、二〇二〇年の出生数は十六・七万人、韓国については二十七・六万人と、非常に少なくなっています。
 この韓国と台湾の出生数に八十年、人生八十年を掛けて計算すると、現状の人口が、韓国では五七%減る、台湾では四四%減る。日本も、七十六・九万人という二〇二一年の出生数に八十を掛けて今の人口で割ると、五〇%人口が減るという恐ろしい数字になります。そういう意味では、結婚を促進するという形で少子化に歯止めをかけるという政策にも、より力を入れるべきではないかと思います。
 最後にまとめますと、今後の経済政策については、四段ロケット、感染対策、企業の経営支援、成長戦略、人口対策、そうした四段構えの政策推進をすることが、今後布石を打つ上では肝要ではないかというふうに思います。
 私の御説明はこの辺で終わります。どうもありがとうございました。拍手
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金田勝年#3
○金田委員長 ありがとうございました。
 次に、保坂公述人にお願いいたします。
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保坂展人#4
○保坂公述人 世田谷区長の保坂展人です。
 本日は、このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。
 私からは、新型コロナウイルス対策と、直面するワクチン接種の自治体の課題についてお話しします。こちらの資料の方を使いながらお話を進めていきたいと思います。
 世田谷区内の感染状況を示したグラフなんですが、これは、全国で皆さんが御覧になっている、また、東京都において発表されている傾向とほぼ同じであります。東京の縮図と言っていいと思います。
 人口が九十二万人ということで、大変多いということもありまして、現在のところ、一度感染をされた方、八千四百五十六人と大変多くなってございます。残念ながら六十五人の人が亡くなっていらっしゃる。今、第三波は少し、おかげさまで下り坂になってきているんですが、まだ予断を許さない状況であります。これは連日ホームページで世田谷区では公表をしています。
 この波を見ていったときに、第一波が来て、これが引いていった五月の末から六月にかけて、私どもは、これは第二波、第三波に長期的に備えることが必要だろうというふうに考えました。とりわけPCR検査、今、さっきのお話にもありましたように、大変、当初は、症状があっても四日間は様子を見てということで、その間に悪化をしてしまう、こういうケースが残念ながらございました。何としても、検査、これは疑いがあれば即受けられるようにしようということに取り組んだわけです。
 現在は、四月の半ば過ぎから、医師会、地元世田谷医師会、玉川医師会の協力を得て、午前中クリニックで診察して疑いがあるなとなれば、午後に検査センターに予約が入るというような状態を維持してございます。すぐに検査ができて、そして、治療の必要があればその場でCTも撮りまして治療を開始する、こういった体制をつくってきてございます。
 一方で、大変リスクがあるというのは、高齢者の施設、医療機関、ここでクラスターが第一波のときにもう既に起きていました。ここを何とかできないかということで、後ほど御紹介します社会的検査、こちらの方の準備に入ったわけです。これが、五月、六月、どうやって未然に、とりわけ高齢者施設での防止をしていくのかということを私ども検討してまいりました。
 次のページを見ていただきたいと思います。
 これは、世田谷区内でクラスター、右側に書いてございますが、やはり、医療機関が二百十九人、社会福祉施設が二百五十三人、一番多いのは社会福祉施設で、五人以上のクラスターが起きています。
 左側、直近の一月末、社会福祉施設で職員や利用者に感染者が発生した事例が二百八十四件、六百一人。第三波は非常に激しい波でございまして、一か月前、十二月の時点では百五十一件だったのが約二倍近くに膨れ上がっているということで、社会福祉施設、とりわけ高齢者施設の中で一旦広がると、これが大変広がりが早いということ、高齢者の方ですから重症化しやすいということ、重症化すると、やはり残念ながら亡くなるというリスクがかなりある。
 私、昨年の春、ヨーロッパのニュースで、ヨーロッパ、幾つかの国で、新型コロナの死者の半分が介護施設である、こういうニュースを見ました。まさに医療機関はパンクしていたわけでございます。介護施設で具合が悪くなって、感染をしていても当然入院できないわけでございますので、そこで、医師が往診に来る、こんな体制もないということで、施設の中で、ベッドの上で次々と高齢者、入居者の方が亡くなっていく、こういう悲惨な実態が伝えられました。
 日本でこういうことが起きてはならない、起こしてはならない、そのためにどうすべきかということを考えていったのが、社会的検査でございます。
 これは、先ほどお話があったとおり、症状がある人、疑いがある人だけを検査するのではなくて、症状のあるなしにかかわらず、ないというふうにされている高齢者施設を順番に回っていこう、こういう検査を考えました。
 ただ、その一方で、世田谷区で介護施設、また介護事業所って千五百か所もあるんですね。したがって、この千五百か所を何チームかで回ろうにも、一日何か所も行ってもなかなか進まない。一周するのに相当時間がかかる。その回っている間にまた感染がどんどん出てくるということがございました。
 そこで、検討しまして、介護施設とか保育園とかいうところで感染が出たときには、その感染が出た方の周りの職員の方、入居者の方全員を、翌日からこの社会的検査チームが入って随時検査をしよう。つまり、火の手が上がったところからすぐに全員を検査する。こういう二つの仕組みをつくってきました。
 もう一つは、次のページ、こちらの図の方を見ていただきたいんですが、保健所が疲弊している、フル回転しているという話は皆さん御存じだと思います。
 世田谷区でも、大変、毎回、大きな波が来たときには、保健所職員、増員しても増員しても仕事が膨れ上がる、こういう状況でした。したがって、この社会的検査、高齢施設を守るために回っていくということを保健所にやるようにということは、やはり行政の長として指示できない。更に負荷が重くなってしまいます。そこで考えたのが、こちらの図で左側に、保健所の下に保健福祉政策部というのが世田谷区にありまして、こちらに社会的検査は所管をしてもらおうと。
 そして右側には、これは、民間のメディカル事業者に全面的に委託をしまして、高齢者施設に電話をかけてもらう。いつ行きますか、どこでやりますかという打合せから、そして検査の実行、医師、看護師が行って検査をする。そして結果をお知らせする。もし陽性が出たら、コンタクトトレース、その方自身の動向についてはこの事業者にインタビューをしていただいて、それを保健福祉政策部と保健所で共に協議して、陽性の方ですから、それ以降は一般の陽性の方と同じような扱いにするというスタイルで取り組みました。
 次のページが実績です。社会的検査の実績なんですけれども、随時検査の方、百九十二か所、四千三百九十人実施をしました。七十一人の方が陽性。これは陽性者が出たところに行くわけですから、比較的陽性率が高いですね。
 定期検査の方は、四百九十三か所やって約八千人。二十三人の方が陽性なんですが、実は、この二十三人の中には、十五人の無症状の方がまとめて発見された施設もあるんです。
 十五人、全く無症状で、高齢の方も無症状。相当感染対策をしていたのでショックだったということだったんですが、十五人、この段階で見つかったので、うちの施設、これは特別養護老人ホームですが、運営を止めなくて済んだということですね。十五人が更に放置されていた場合には、何十人というクラスターになっていたおそれがあるということで、こういうこともあるんだということがこの数字に含まれています。
 したがって、十五がこの二十三に含まれていますので、大変、定期検査は陽性率が低いんですね。
 こういうことが分かりました。これはやり始めて分かったんですが、定期検査に入るよということを通知して予定を組むことによって、高齢施設の方が本当に一生懸命、感染対策をやっていただくんですね。今までやっていたことも全部見直してバージョンアップするということで、その効果というのもかなりこれはあったなというふうに思います。
 次に、大量の検査をどうやってやっていくかということで、プール方式についてもちょっと触れたいと思います。
 実は、世田谷区で問題提起を夏にさせていただいて、厚生労働省の方にも何度かお願いをして、この社会的検査の有用性については早い段階で認めていただきました。これは国費で算定しましょう、行政検査で、いわゆる症状がない方も含めて定期的に検査することも含めて必要でしょうと。ただし、プール方式だけは除外だというのが九月の中頃だったんですね。
 そこで、東大先端研の児玉先生のプロジェクトが、炎天下、三百人を超える方たちの検体を取りまして、実際に三百人の中に陽性者はいなかったので、陽性者の検体を取り混ぜて、一本で検査した場合と四人まとめてプール方式で検査した場合と、一致率がどのぐらいかと。これは、問題なく全部一致したんですね。
 なので、精度、大丈夫ですよという研究レポートを出していただいたので、厚労省の方に十一月に、これを是非、田村大臣に検討してほしいということで申し上げ、この世田谷区でやっている検査は、実は東京都の方も検査支援をやっていまして、国の経費を使わない検査について補助するという要件だったので、これは、プール検査については、始めながら、国としても早く認めてほしいということを十二月の末に田村大臣にも申し上げて、一月二十二日にようやくこれが認められました。大量に、素早く、コストを減じて検査を実施するということは大変大事なことだというふうに思っております。
 次に、ワクチンについて触れていきたいと思います。
 こちらのチャートを御覧いただきたいというふうに思います。
 このワクチンについて、最大は、ワクチンの供給がいつからなのか見えないということは全国の自治体共通だと思います。
 四月から高齢者ということで、国の提示に従って我々は場所を確保したり職員を確保したり、そして、ワクチンを打っていただく看護師の方、それから医師の方、手配をしていきます。医師会の先生方だけでは間に合わない部分があるので、派遣をしていただくという契約も今締結をしようとしています。
 では、一体いつから契約をしたらいいんだというのが定かでない。四月、例えば百歳以上の方からとか、少ない人数でというような、これは今週示されると聞いていますが、実は、ワクチンのクーポンを送らなければいけないんですね。世田谷区の場合、二十万人です。その送るクーポンに、何月何日から始まりますよということが書けないんですね、現在。書けない状態がこれ以上続くと、実際上、四月から大きくその検査を回していくということはできないでしょうし。
 ここまで国際的な争奪戦で大変厳しいという事情は分かります。そうなると、ワクチンが、我々の想定は、要するに、世田谷区民が接種を希望すれば打てるような供給があるという前提で計画を組んだわけですけれども、そういうわけにいかないかもしれない。もしかすると不定期型、あるときは三万、そしてその次の週は二万とか、次の週、ちょっと途絶えたとか、そういうことを考えなきゃいけないかなと。
 そうすると、予約を何人までいけるのかということを、しっかりシステム的に、要するに、ワクチンがないのに予約ができちゃうということができないような仕組みを急遽今つくろうとしています。
 そして、次のページに進みたいんですが、七ページです。
 これは、ワクチン自体が、これは小原先生という東京都医学総合研究所の、自らワクチン開発をされている先生をアドバイザーに、昨年から何度か世田谷区で勉強会をやってきました。ファイザーのワクチン、mRNAワクチンは大変壊れやすいんだ、この扱いはデリケートだということを何度も聞いておりました。
 ですから、昨年来、政府は、厚生労働省は、基本、運べないんだ、運ぶにしても三か所くらいということで、我々は、集団接種会場を押さえながら、アストラゼネカのワクチンは扱いやすいので、これは個別接種でやっていこうというふうに考えてきたわけなんですね。
 一月になってもこの見解はずっと継続していました。小分けはできないですよ、一か所から三か所ぐらいには行きます、その先の何十か所というのは駄目なんですよというふうに答えているんですね、厚生労働省は。ところが、その数日後に、いわゆる練馬区モデルということで、二百か所、二百五十か所、これは先進事例じゃないかということで出されました。
 であれば、ワクチンの、凍結したワクチンを一旦解かして、二度から八度というこういった温度で運ぶという実例が世界中にあるのかということでございます。これはなかなかそういう実例はないということなので、非常にこれは困っているということであります。
 今、マイナス二十度で運べるということになったので、この点はまた条件が変わってきますが、とにかく、基本的なところが変わるんですね。変わるのはやむを得ない面があると思いますが、変わるなら変わったということを、しっかり根拠を示して、こういう科学的根拠で運べるんだと言っていただかないと、我々は困る。
 厚労省に問い合わせると、例として示したんだ、あとは、接種主体は自治体なので自治体の責任で判断してくれ、こういうお話で、これはとても怖いことであります。
 たくさんの情報が、一日三つ、四つ、五つと来るんですね、通知行政ですから。厚労省の場合は余りにも通知が多過ぎて、要するに、前に通知している内容が変わっていくんですね。変わっているということがホームページ上などで点検できないんですね。これを改めてほしいというふうに考えております。
 データベースの問題も、年末にこのVシステムの図を見て驚愕しました。誰がどのワクチンをいつ打ったのかという肝腎の記録の仕組みがないじゃないかと。これはあり得ないことですよね。これは田村大臣にも十二月に言いました。こんなことじゃ適切な管理ができませんよ、二か月後になったら情報が来るということじゃ、あり得ないでしょうと。ただ、残念ながら、いろいろやっていただいたようなんですが、年末に、国としては開発は無理だという返事を厚労省からいただいたんです。
 仕方がないので、これは自治体として独自開発をするということで、一月四日から事業者と交渉して、もうシステムはほぼ立ち上がっていますが、その後に、今度は、このシステムがないじゃないかということで、新たに河野大臣がワクチン担当になられて、こういうことが出てくる。
 だから、これまでどういう経過だったのかということを、やはり国としては全部統一して、経過を全部押さえて、全国の自治体に発信をしてほしいというふうに思うわけであります。
 その他、大変情報が錯綜する中で、自治体は総力を挙げてこのワクチン接種をしっかりやろうと考えています。そのためには、これまでの現場の声をまず聞いて、自治体に赴いて、何があるのかを知って、その上でシステムを構築する、これが一番だというふうに思います。
 最後に、私は久しぶりにここの予算委員会の部屋にやってまいりました。思い出すんですが、一九九八年、当時、大蔵省の接待問題が課題になったとき、橋本龍太郎さんが総理大臣、このときに、やはり公務員倫理法を作ろうということで、当時、与党内、当時、与党、自社さ政権ですから、議論がありまして、私もそのメンバーになって、相当突っ込んだ議論をして、そして、御覧のように倫理法ができ上がっています。この間、いろいろ不祥事が連発をして、その都度対応ではなくて、そろそろ抜本的な、具体的な措置がやはり立法府にあってほしいなということを期待申し上げるということを一言付言をして、私の意見としたいと思います。
 ありがとうございました。拍手
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金田勝年#5
○金田委員長 ありがとうございました。
 次に、小池公述人にお願いいたします。
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小池俊雄#6
○小池公述人 土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター、これは、英語で、頭文字を取ってICHARMと言いますが、センター長を務めております小池でございます。
 私は、私の専門の観点から、近年打ち続いております水災害、それに対する対応と、これに対して科学技術がどういう対応ができるのかということを御紹介し、また、こういう防災、減災と科学技術の力をもって我が国はどういうふうな国際協力を展開できるかということについてお話しさせていただきたいと思います。
 お手元に資料があると思いますので、ページをめくっていただきながらお聞きいただければと思います。
 二ページを御覧ください。これは、ここ八年間の我が国における水災害でございます。
 伊豆大島、広島で大きな土砂災害がございました。その翌年、関東の鬼怒川が決壊いたしました。このとき、昼間の決壊でありましたが、逃げ遅れで千三百人を超す方がヘリコプターで救助されました。翌年には、東北の高齢者のグループホームでそこにおられる方が亡くなるとか、北海道の経済に大きな打撃を与えた台風災害が頻発いたしました。そして、平成二十九年には、谷の様相が一変する土砂洪水氾濫で、九州北部、筑後川の支流の赤谷川が大きな被災を受けました。
 そして、まだ記憶に新しい平成三十年、令和元年に、西日本と東日本で、日本全国のアメダス、約千三百ありますが、この一割の箇所でそれぞれの年に過去最大の豪雨を記録するという事態がございました。日本全国どこにでも大きな、今までにない雨が降るようになっております。これらの災害の結果、無数の土砂災害、百四十を超える河川が破堤をする。それから、昭和五十七年の長崎豪雨以来の二百名を超す犠牲者が出ました。
 そして、昨年であります。熊本県の球磨川、ここに人吉市の雨量と水位の図を載せておりますが、いずれも過去を大幅に上回る大きな雨と洪水になっております。
 三ページ目を御覧ください。
 こういう豪雨の変化によって、洪水のパターンに変化が出てきております。
 1に書いておりますのは、バックウォーター現象ということで、本川の水位が高い状態のときに、支川の水位が高い場合に支川で破堤するということです。この図には、岡山県倉敷市真備町の大きな浸水被害がございましたが、そのときのバックウォーターによる連鎖破堤の内容が記されております。
 二番目は、土砂洪水氾濫でございます。上流で豪雨によって土石流や土砂崩壊がございますと、それが洪水流によって流されます。勾配が緩いところで土砂が堆積いたしまして、川をまず埋めます。そうすると、水は流れ場所を失いますので、周りの土地いっぱいに土砂を含んで流れるわけです。これが土砂洪水氾濫で、写真にありますように、川と道路、周りの土地の区別がつかないほどに土砂が堆積するわけでございます。
 三番目は、長時間継続して豪雨が続きますと、ダムの治水容量を超える流入量があります。そうしますと、水位がダムを超えますと、コントロールを失って非常に危険な状態になりますので、水位の上昇と競争で放流をしなければならなくなります。これが異常洪水時防災操作と言われるものでございまして、こういう事例が増えてきております。
 一方、社会にも非常に大きな変化がございます。
 4のところを御覧ください。これは日本の人口構成でございますが、高齢者一人当たりの生産年齢者数、すなわち支援が必要な人に対して支援できる人が何人いるかということでございますが、二〇〇〇年から二〇六五年にかけて激減いたします。すなわち、支援できる人が減って、支援が必要な人が増える。これは、先ほど来も申しましたが、要配慮者施設の立地の見直し等を考えていく必要があることを示しております。
 5は、この図の中に赤い線と黄色い線が段階的にございますが、これは各業種ごとの業務の停止とかあるいは停滞の日数でございます。浸水深に応じて何日業務が停止するかというマニュアルの線でございます。この事例は先ほどの鬼怒川の決壊のときの事例でございますが、それを、マニュアルを超える、三倍から四倍超える日数が復旧にかかっております。経済が安定成長から低成長に入って、私どもは、元に戻れない状態というのが続き、持続的な経済発展に大きな影響を及ぼし始めていることに気がつかなくてはなりません。これを受けて、実は、今年度でございますが、この線を倍の値に変えるというマニュアルの改定が行われるに至ったほどでございます。
 人々の意識も変わってきておりまして、六番は、コロナの感染リスクと災害リスク、どちらが怖いかということを聞いたものでございますが、コロナの方が怖い、リスクが高いと答えた人が四割で、災害リスクの倍になっております。これは、災害を経験して、しかも避難を経験した人に聞いた調査結果でございます。
 一方、7では、感染症の影響下、東京、大阪、名古屋の特に若い方々が、首都、都市から地方移住したいという関心が高まっております。とりわけ、東京二十三区の二十代の人々からは、三五%を超える方々が地方移住に関心があると答えております。
 こういうことを基に、社会資本整備審議会では、新たな河川の、治水の在り方を考えまして、昨年七月に国土交通大臣に答申されました。
 四ページを御覧ください。
 基本的な観点としては、こういう災害に対して強靱な国土をつくること、それから、右側になりますけれども、将来にわたり継続的に経済、社会を発展させることができること、これは持続可能性でございます、そして、こういうことをやるためにはあらゆる主体が協力して対策に取り組むという、包摂性ということを基本的な観点に置きまして、気候変動を踏まえた治水計画の見直しと、河川流域のあらゆる主体の関係者が協働して流域全体で行う持続的な治水対策、これを流域治水と呼びますが、これへの転換を答申いたしました。
 この流域治水、英語では、リバー・ベースン・ディザスター・レジリエンス・アンド・サステーナビリティー・バイ・オールといいまして、オールは全ての関係者が協力するという意味でございます。
 計画の見直しでは、左側の破線の中に書いておりますが、これまでは観測値を用いて計画を立てておりました。これを百分の一とか二百分の一という確率評価をして計画を立てていたところに、気候変動予測モデルの結果から、現在と将来、どれぐらい変化するか、その変化倍率を掛けるという方式を入れまして、これは昭和三十三年以来の河川計画の基本的な見直しになっております。
 令和元年の十月に提言を答申した暫定値がここに記載されておりますが、黄色で、計画降雨、二度以上のところが一・一倍。ああ、そんなものかというふうにお考えの節があるかもしれませんが、計画降雨で一・一倍というのは、洪水のピーク流量で一・二倍。百年に一回の洪水は百年に二回起こる、要するに被害は二倍になるということでございます。こういう非常に大きなインパクトがございまして、現在、この改定作業を社会資本整備審議会では進めておりまして、年度末にはこの改定を終えるところでございます。
 一方、流域治水は大きな三つの柱がございます。赤い色で1、2、3と書いておりますが、氾濫をできるだけ防ぐ、あるいは減らす方策。2に、被害対象を減少させる、要するに住まい方の工夫とか、リスクの低いところに移住するということでございます。3は、確かな避難を行って被害を軽減し、早期復旧復興を実現するということ。
 こういうことを実現するためには、一番下に書いておりますが、各省庁、国、地方、それから官、民、コミュニティーの連携を強めて、統合的で先見的な政策の立案と実行が必要になってきます。
 それから、これまでは災害というのは直接の被害を対象としておりました。しかし、被害を軽減するということは持続可能な開発につながり、それは税収の増加にもなります。こういうことに視点を移して、災害を減らすということが質の高い成長につながるという視点を持っていくことが必要であると思います。
 それから、こういう地域ぐるみ、国ぐるみの対策には、それぞれの魅力とか誇りある、こういうのはシビックプライドと言われておりますが、こういうシビックプライドを持てる社会づくりというものも併せて取り組む必要があると思っております。
 災害関連で、最後に、国難級の巨大災害への対応を触れさせていただきます。
 五ページを御覧ください。
 平成三十年九月、台風二十一号災害のときには、この写真にありますように関西空港が冠水いたしまして、非常に大きなショックを受けました。このとき、大阪湾の潮位は、過去最大である室戸第二台風のときの水位を三十センチ以上も実は高回っておりました。しかし、その図にありますように、この高潮による浸水被害、戸数はゼロでありました。このとき、防潮堤であるとか防潮水門等の投資効果によって守られた資産は十七兆円と推計されております。
 中の段にありますのは平成二十九年の土木学会会長特別委員会から出された報告でございまして、ここでは、八つの巨大災害、一番大きいのが南海トラフ地震でございますが、首都直下地震と続きます。こういうものの経済被害や資産被害、財政的被害、これは税収の落ち込みです。こういうものを試算して、事業費として社会資本投資をしますと、どれぐらいの減災率があり、税収の縮小幅を回避できるか。税収の縮小幅を回避できるというのは、逆に言うと税収が増えるということになるわけですが、そういうことを試算しており、こういう社会資本投資というものが必要なことがうたわれています。
 一番下に三つの図を描いておりますが、黒い線、左から右に時間が流れておりまして、災害が発災しますと社会の機能が低下して、それが戻ってきます。オレンジ色の三角が被害のリスクということになります。
 私どもはこの面積をできるだけ減らすことが必要なわけで、避難とか応急、復旧復興で紫のように減らすためには、市民、コミュニティー、企業、地方自治体、国、こういう全ての関係当事者が行動を変えていく必要があります。
 また、防災、減災の投資、これを開発投資とも捉えていきますと、右側の青い線で描かれていますように、社会の機能が上がって、よりリスクを減らすことができます。こういう質の高い成長に結びつけるような施策の展開が必要であると思います。
 こういうことを進めるには科学技術はどのようなことができるかということについて、次に述べたいと思います。
 六ページを御覧ください。
 平成二十八年から令和二年、今年度までの第五期科学技術基本計画におきましては、ソサエティー五・〇という考え方が出されました。これは、データや情報を仮想空間で統合、解析して、現実空間に適用することによって社会のありようを変えるというものでございまして、左側の下段に丸と大きな皿が三段ありますが、この中ほどに、データベースとしまして、医療とか地球環境、エネルギーとか、こういういろいろな情報を統合化して、上段のいろいろなシステム、サービスにつなげていくということでございます。
 このページの右側には、文部科学省の施策で、地球環境データ統合・解析プラットフォーム事業というものが来年度予算に計上されております。これは、地球環境に関わるビッグデータを蓄積して統合、解析するシステム、これは頭文字を取ってDIASと呼ばれておりますが、これを更に開発して、こういう大規模なデータによる社会の価値創出につなげていこうというものでございまして、注目すべきことは令和三年から十年間の施策ということになっております。
 実は、このDIASというものは、下の方に、青い色がつけてあるところに記載しておりますが、一九八〇年から二〇〇五年、四半世紀にわたって、小規模な科研費だとかいろいろな経費を組み合わせて大学の研究グループで進めてきたものが、二〇〇六年から二〇一〇年の第三期科学技術基本計画で国家基幹技術の一つとして認定され、その後、五年、三期にわたって開発が続けられてきたものでございます。
 この緑色のお皿の図はそのときに作ったものでありまして、ソサエティー五・〇と同じような構造をしておりますが、データを統合、解析しまして、いろいろな科学技術の分野間連携や科学と社会の連携をつくっていくものでございます。
 実は、先ほど御紹介した国土交通省の新しい治水計画、その中に一・一倍とか一・二倍という数字を出しましたが、これは、文部科学省、気象庁、環境省がスーパーコンピューターで作成いたしました地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース、d4PDFといいますが、この膨大なデータをこのDIAS上で蓄積して、更に高分解能化して、解析して出てきた数値でございます。
 こういうように、このシステムはソサエティー五・〇をもう具現化していっているものと考えられます。これは、世界でトップであることは間違いないんですが、また、世界で唯一の、こういう社会的価値を生み出している科学技術基盤でございまして、こういうものの発展というものが我が国にとっては必要だと思います。
 七ページはその応用的な例を記載しておりますが、このDIASのプログラムと、官民研究開発投資拡大プログラム、PRISMというものが内閣府によって進められております。
 その中で、全国市町村、千七百四十二の市町村に対しましてリアルタイムで災害の統合的な情報提供を行うシステムができ上がっておりまして、全ての、我々、日本で使える観測データ、これはいろいろな、カメラの情報も入っておりますが、公共で利用できるカメラの情報も踏まえて、実時間で皆さんが見られる形にしており、ハザードマップや避難所の情報も加えております。
 さらに、この枠組みの中では、中小河川の洪水予測というのは非常に難しく、また重要であるわけでありますが、それを二時間から四時間のリードタイムで予測するシステムを開発しておりまして、来年度二百か所完成を目指して進められております。
 さらに、4に書いておりますのは大分県の日田市の事例でございますが、市と地区と協力して、住民の方々が避難する、その実感をつかんでいただくためのバーチャルリアリティー、VRといいますが、こういうものを、実はこれはゴーグルでこうやるんですけれども、今、コロナの中ではそういう訓練ができませんので、こういうホームページで両方を比較して見ていただきながら進めるということもやっております。
 その上の5というのは東京の事例でございまして、二百五十メートル、一分ごとの、膨大な雨のレーダーデータがございます。これに、これも、膨大な、東京の下水道の情報を組み合わせて、リアルタイムで、下水道が満管になり、それがあふれてくるというのを算定するシステムが動いております。
 6は、昨今、電力あるいは利水ダムの事前放流というのが必要になっておりますが、それをしつつ、かつ発電量を増やすという、夢のような操作もこのシステムで研究的に開発されております。
 7は、これは南アフリカとの協力でございますが、マラリアの予測のために、現地の医療機関のデータと気象の季節予測、それとAIを用いてマラリアを予測して、消毒であるとか、あるいはその体制を事前に整える情報に使われております。
 こういうようなことが進められておりまして、防災、減災に関わる我が国のいろいろな知見それから科学技術を国際協力に利用していくことが重要と思われます。
 八ページを御覧ください。
 我が国は、平成二十七年二月に開発協力大綱を新たにいたしまして、質の高い成長というものを目指す大綱にしております。ちょうど、これは二十七年の二月でございますが、その年の三月に仙台防災枠組がまとまり、九月に持続可能な開発のための目標が定まり、十二月にパリ協定が結ばれました。
 こういうことに関連いたしまして、こういう防災と、持続可能な開発と、それを包摂的に加えながら質の高い成長を目指すということが必要なわけですが、外務省とユネスコのプロジェクトで、西アフリカ洪水予警報プロジェクトというのが平成三十年の補正予算で採択されました。ユネスコから私どもICHARMがこれを受けて実施し始めたのが令和元年の六月からでございます。現地から人を私どもの研究所に招聘いたしまして研修等を始めた、そのさなかにコロナが起きました。
 補正予算でございますので、短い期間で……
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金田勝年#7
○金田委員長 恐縮ですけれども、申合せの時間が来ておりますので、発言をおまとめいただければありがたいと思います。
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小池俊雄#8
○小池公述人 はい、分かりました。どうも失礼いたしました。
 同じようなことを、下に書いておりますが、アジアでも展開しておりまして、ここにこのシステムを用いまして、今、遠隔で開発し、遠隔で能力開発を行い、そして、それぞれの地域での災害に対する強靱性と、それから持続可能な開発の力をつけていくという活動を進めております。
 以上でございます。拍手
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金田勝年#9
○金田委員長 ありがとうございました。
 次に、小畑公述人にお願いいたします。
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小畑雅子#10
○小畑公述人 全国労働組合総連合、全労連の小畑です。
 本日は、二〇二一年度政府予算に関わって、労働者の立場、労働組合の立場からの発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 さて、二〇二一年度の予算編成に当たっては、何よりもコロナ禍から命を守る政策に予算を重点配分すること、そして、国民経済の基盤である労働者の雇用と暮らしを支える予算を増やし、制度、政策を改善することが求められていると思います。
 この間、森前東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の女性差別発言に端を発して、ジェンダーの視点から社会の在り方を見直す機運が高まっております。労働の分野を見たときにも、コロナ禍によって女性労働者、非正規労働者に最もその矛盾が集中しております。女性労働者、非正規労働者の実態を踏まえて改善に向けた実効ある施策を進めるなど、ジェンダーの視点から予算の在り方を見直すことが必要だというふうに考えております。そうした立場から幾つかの点について意見を述べさせていただきます。
 第一に、コロナ禍にあって、私たち国民の命と暮らしを守り、支える、いわゆるエッセンシャルワーカーと言われる労働者が劣悪な労働条件の下に置かれている問題です。その多くが女性労働者です。
 本日は、看護師、介護士、保育士など、医療、介護、保育、福祉の分野で働く女性労働者の賃金を資料としてお示ししておりますので、資料の二ページを御覧ください。
 看護師は、国家資格による専門職であるにもかかわらず、経験を積んでも賃金が上昇せず、現場では寝たきり賃金と言われる低い賃金水準となっています。介護に従事する労働者や保育士の賃金水準は更に低く、ホームヘルパーや施設の介護士、保育士はピーク時であっても三百万円台にとどまっています。
 それぞれ、資格を持ち、専門職として働いているにもかかわらず、非常に低い賃金水準に押し込められています。背景には、子育てや看護、介護、福祉などのケア労働に対して、家事労働的な仕事であるから賃金が低くてもよいというジェンダーバイアスのかかった考え方があるのではないかと考えております。そのことが今回のコロナ禍で明らかになりました。
 医療、介護、保育、福祉の分野で働く労働者は、新型コロナウイルス感染拡大の下で、感染の危険と隣り合わせとなる緊張感、感染拡大の収束が見通せない不安感の中で、必死で、患者や入所者、子供たちのために、長時間過重労働を強いられながら働いておりますが、それなのにこうした非常に低い賃金水準に置かれているということです。
 私どものところに寄せられた春闘アンケートから、職場の声を幾つか紹介いたします。
 奨学金や年金負担、税金、最低限の生活費で、手元に残るお金はほとんどありません。専門性の高い仕事で、病院の利益にも貢献しているはずなのに、賃金が少な過ぎると思います。若手のモチベーションは下がってしまい、この職業に悲観して、去っていく人も多数います。
 新型コロナを経験し、日本の医療の脆弱さが浮き彫りになったような気がします。もっと健康で生き続けられる社会をつくるためには、診療報酬を改善し、かかりやすい医療体制にしていく必要があると思います。命が何より大切です。
 介護職の仕事はきつい。仕事と賃金が見合わない。
 コロナウイルスにより緊急事態宣言が出ている中でも休園になることもなく、医療機関で働く保護者さんたちを必死で、ある意味命懸けで支えてきた。しかし、国からそれに対する支援金も慰労金も出ず、つくづく、保育の仕事は情熱や自分自身のやりがいのみでしかモチベーションを保てないのだと悲しくなった。コロナ禍の中、今後、働く親を支える保育は、今のまま、保障や年収が上がらないままだと、どんどん減っていくだろう。
 こうした切実な声を是非受け止めていただきたいと思っております。
 国民の命と暮らしを支えるエッセンシャルワーカーの賃金、労働条件を改善するための施策、予算を要望いたします。具体的には、医師や看護師、医療技術者、介護職、保育士などを大幅に増やすこと、そして、診療報酬や介護報酬の改善、非正規を含めた処遇改善手当、加算の改善などのための予算の確保が必要だと考えております。
 更に言えば、国民の命を守るためにも、コロナ禍で減収を余儀なくされている医療機関への減収補填は欠かせない課題です。
 この間、三次にわたる補正予算によって支援策が実施されてきたことは承知しておりますが、二〇二一年一月末時点でまだ交付は一兆二千億円止まりとなっており、支援が十分行き届いていない実態があります。早急な交付実施が求められていると思います。
 同時に、コロナ非対応の医療機関では、厳しい状況が続いております。ここに対する支援は、三次補正まで見ても、大変不十分なものでしかありません。地域医療はパッケージです。コロナ対応病院からリハビリのための患者さん、また、一般の患者さんを受け入れる体制の強化が非コロナ対応病院にも求められています。発熱外来、感染防止等支援金の増額、継続も含めて、二〇二一年度予算においても、地域住民の命を守るために、医療従事者の待遇の確保、改善につながる減収補填を強く求めたいと思います。
 第二に、コロナ禍によってますます広がる格差と貧困を根本的に解決するための国としての責任が問われていると思います。
 全労連を始めとする実行委員会は、昨年の十二月の十九日に、日比谷公園で、コロナ災害を乗り越える何でも相談会を開催いたしました。そして、十二月の二十九、三十日、一月の二日には、労働弁護団の皆さんのお呼びかけで、幅広い労働組合が協力をして、年越し支援・コロナ被害相談村を開催いたしました。相談に来られた方は、どちらの取組でも、二十代から五十代までの働き盛りの方がほぼ七割、女性が二割となりました。相談村に相談に来られた方のうち、約三割は所持金が千円未満の方でした。日比谷公園の相談会には、コロナ禍で仕事を失い、生活に困窮する切実な相談が寄せられました。幾つか紹介いたします。
 月二十万円の収入があったが、臨時で働いていたから揚げ屋を解雇された。仕事が見つからない。
 コロナで再び短期バイトがなくなり、今年の収入は、今月じゃなくて、今年の収入は三十万円。生活保護を勧められたが、仕事がしたい。
 日雇の建設業で二十年以上働いてきたが、今はコロナでほとんど求人がない。アパート代も支払えなくなった。
 こうした相談が寄せられたところです。
 また、NPO法人のしんぐるまざあず・ふぉーらむ、ここで実施したアンケートが公開されておりますけれども、それによりますと、半数近くが、勤務時間が減少したというふうに回答し、収入が減少した、収入がゼロになったと答えた人を合わせると、これは七割を超えております。
 記述欄には、自分は一日一食、子供はお休みの日は二食、自分は朝御飯はやめて、職場のウォーターサーバーのお湯を朝御飯にしている、四月から少ない貯金と国からの一時金の二十万円で生活しており、来月のお給料日まで残り八千円しかない、こうした訴えが書かれておりました。
 そもそも賃金が低く、蓄えなどないところに、勤務時間短縮、休業、学校休校措置後の復職の難しさなどが相まって、収入減や収入ゼロへと追い込まれていることが分かります。
 ふだんは貧困に暮らしているとは必ずしも思わない人たちまで含めて、アルバイトやパートがちょっと切れる、仕事が休業になることが一か月、二か月続くと、たちまち食べるものもなくなる、こういうレベルの貧困に陥るという、今までの日本の貧困や困窮のスケールと違う状況があることがコロナ禍で浮き彫りになっています。
 私は、この背景には二つの問題があると思っています。
 一つは、労働者の賃金がそもそも低過ぎるという問題です。
 コロナ禍の前から、賃金が上がらない、上がらないどころか実質賃金は下がり続けるという状態が長く続いておりました。さらに、非正規化が急速に進められてきた。正社員と同様な基幹的業務でも、低賃金、非正規雇用に行わせることができる状態が蔓延している、そのことが日本の労働市場を異常な事態に追い込んでいます。
 七ページの資料を御覧ください。
 物価動向を考慮した実質賃金の変動を指数によって見ていくと、日本の平均賃金は、一九九七年をピークにいたしまして一〇ポイントも低下をしております。二十年の長期で見ますと、どの国の実質賃金も二〇%から六〇%ほど上昇しているのがお分かりいただけると思いますが、マイナスになっているのは日本だけと言っても過言ではないような状況です。
 もう一つ、貯蓄の資料もお出ししていますが、この低賃金の下で、貯蓄ゼロの世帯は、単身世帯では四割に迫り、二人以上世帯でも二割強になっています。ふだんから余裕のないところで、仕事があればぎりぎり生活できていたが、実は一か月の収入の一部が減るだけで生活が成り立たなくなってしまう層が大きな固まりとしてできていた、そのことがお分かりいただけると思います。
 この低賃金構造の根底には、女性労働者が多くを占める非正規労働者を家計補助的で安価な労働力、雇用の調整弁としてきたことがあります。それがコロナ危機の下での矛盾と困難を広げています。普通に生活し、子育てできる賃金の保障という考え方が欠如しています。
 少し飛びますが、十二ページの資料を見てください。
 女性労働者全体の二二・五%、女性パート労働者を取り出すと四一%が最低賃金近傍で働く低賃金労働者であり、しかも、エッセンシャルワーカーに最賃近傍で働く労働者が多いことがお分かりいただけると思います。これが先ほど触れたような貧困の状況をつくり出しております。
 戻りますけれども、十ページの資料を見ていただきますと、女性労働者は、一九九七年と二〇一七年、比べてみても、どの年代であっても二百五十万円未満の層に五割から七割、赤いところですね、集中していることが分かります。女性労働者はずっと、一人の賃金では普通に暮らしていかれない賃金水準に置かれてきました。
 一方、男性労働者は、ほぼどの年代でも、一九九七年と二〇一七年を比べると二百五十万円未満の層が倍増しています。しかも、五百万円以上の割合が激減しています。つまり、女性非正規労働者の低賃金がそのまま男性非正規労働者にも適用されて全体の低賃金構造をつくり出しているということを示しているものです。
 十一ページの資料では、家計を支える層で非正規労働者が大幅に増大していることもお分かりいただけると思います。
 世帯単位で考えれば女性の働き方は家計補助的なものなのだから低賃金に置かれたままでいい、この考え方を放置してきたことが全体の低賃金構造をつくり出してきました。女性も男性も、一人一人の労働者が一人の賃金で八時間働けば普通に暮らせる構造をつくり出していかなければならないと思っております。
 全労連は、最低賃金千五百円、全国一律最低賃金制度の確立を求めています。この間、全国二十六の都道府県で最低生計費試算調査を進めてまいりましたが、全国どこでも若者一人が人間らしく暮らしていくために必要な最低の生計費は、月百五十時間労働で換算をすると、時間額千五百円から千六百円だ、全国どこでもです、ということが明らかになっています。
 二〇二〇年度の最低賃金は、全国加重平均で時間額九百二円となり、一円の引上げにとどまりました。コロナ禍だからといって労働者にしわ寄せするのはもうやめて、二〇二一年度は最低賃金の大幅引上げ、地域間格差の解消に踏み出すべきです。低賃金状態をこのまま続ければ、リーマン・ショック後の失われた二十年を繰り返すことになってしまいます。
 そして、この最低賃金の引上げを実現させるためには中小企業支援も欠かせません。コロナ禍で苦しむ中小企業への支援を強めることが、労働者の雇用の確保、賃金の底上げを可能にし、地域経済を豊かにすることにつながります。中小企業対策費を大きく増額し、使えるものに施策を充実すること、中小企業が経営を継続できるための施策を強めること、社会保険料率を応能負担による累進方式として大企業に相応の負担を求めるものとすること、消費税を五%に減税し免税点の引上げを行うこと、インボイス制度を導入しないこと、一度目の持続化給付金が必要な全ての人に行き渡るように申請、給付を続けるとともに、持続化給付金の事業規模に合わせた二度目の支給、家賃給付の二度目の支給を行うことなどが必要だと考えています。
 二つは、雇用確保の問題です。はっきり見える形での解雇、雇い止めの問題とともに、雇用を維持されているのに事実上失業状態に追い込まれている労働者が大量におり、そこへの対応が求められています。
 総務省の労働力調査によれば、二〇二〇年非正規労働者は前年比で七十五万人減少しました。その内訳は、男性二十五万人に対して女性五十万人です。野村総合研究所は、女性のパート、アルバイト労働者など、勤務シフトが大幅に減り、受け取れるはずの休業手当を受け取ることができずに実質的な失業状態にある人、これは九十万人いるというふうに試算しています。
 この間、飲食店や宿泊、観光、流通小売業などを中心に、使用者が一方的に勤務シフトを入れず、それを休業ではないとして非正規労働者に休業手当を支払っていない、こういう問題が明らかになっています。時短営業、シフト減が非正規労働者、女性労働者を直撃しています。
 企業が、休業させた労働者に休業手当を正当に支払い、雇用を維持すること、そのためにも雇用調整助成金の特例措置の継続が求められています。
 また、緊急的な措置として行われている休業支援金については、中小企業で働く非正規労働者だけではなく、大企業で働く非正規労働者にも同じように支払う制度を確立するべきです。現在示されている内容は部分的、限定的であり、中小企業の非正規労働者に適用した制度を全面的に適用することを強く求めます。
 加えて、本来企業が支払うべき休業手当をきちんと企業に支払わせる、使用者責任を果たさせるために、このシフト制契約の在り方や休業手当制度についての規制の強化、制度改善が必要だと考えます。
 コロナ禍で明らかになった格差の広がりを是正し、公正な社会に転換していくことが求められております。そのために国の果たす役割は大きいと思います。
 私たちは、以上述べてきた施策を進めていくためには、税の集め方、税の使い方を変えれば十分に可能であると考えております。
 二〇一九年には、最後のページのグラフですけれども、資本金十億円以上の大企業は、内部留保を新たに十兆円も積み増しし、その額は四百五十九兆円に膨れ上がっています。
 コロナ禍にあっても株価は三万円台になっており、二〇二〇年十月から十二月期のGDPは年率一二・七%増と、二期連続で大幅な伸びとなりました。内部留保が非常事態への備えというのであれば、今こそそのときであり、ためた内部留保を、下請中小零細企業への支援や生活できないほど下げられてしまった労働者の賃上げにこそ使うべきだと考えます。
 同時に、内部留保への課税や累進課税によって税収を増やすことは可能です。
 さらに、世界的なコロナパンデミックの中で、何よりも一人一人の命を守ることが最優先のときに、軍事費を増やす必要はありません。軍事費を削って、コロナ対策、医療、公衆衛生への抜本支援、生活困窮者への支援に回すことを求めます。
 ジェンダーの視点に立って、最低賃金の引上げも含め、今の低賃金構造を見直し、雇用の安定……
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金田勝年#11
○金田委員長 恐縮ですが、申合せの時間が参りましたので、よろしくお願いします。
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小畑雅子#12
○小畑公述人 済みません、あとちょっとで終わります。
 同一労働同一賃金を実現することを強く求めるものです。
 最後になりましたが、私、小学校の教員の出身ですので、一つだけ。
 今国会において、小学校の全学年を三十五人学級とすることを内容とする義務標準法の改正法案が提出されています。これに関わって、先日、菅首相から、予算委員会において、中学校も検討する、このように明言していただきました。
 是非、一日も早く中学校も高校も少人数学級実現に踏み出すことをお願いいたしまして、発言といたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。拍手
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金田勝年#13
○金田委員長 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
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金田勝年#14
○金田委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。
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武井俊輔#15
○武井委員 ありがとうございます。自民党の武井俊輔でございます。公述人の先生方には、大変お忙しい中お運びをいただきまして、ありがとうございます。
 時間も十五分と限られておりますので、早速質疑をさせていただきますが、主に熊野参考人の方に、様々な経済対策につきまして、それについて我々政治がどのように受け止め、そしてまた臨んでいけばいいかということについて質疑させていただきたいと思います。
 冒頭でも、現状認識の中で、一―三月のマイナス五%の経済成長、大変厳しいものがあるというお話がございまして、なかんずく、その中で特に外食、宿泊、交通の三業種についてお話をいただいたところでございます。
 今週の週末も大変衝撃的なニュースがございまして、旅行業界最大手のJTBが、二十三億余りの資本金を一億円にして中小企業になるといったような報道がございました。業界第二位のKNTホールディングス、これは近畿日本ツーリストといいますと皆様にもなじみがあるかと思いますが、ここも、七千人いる従業員を三分の一減らして店舗を半分にするといったような発表をしたわけでありまして、私も元々こういったような業界におりましたので、見ていますと、このままだと本当に消えてなくなってしまうんじゃないかといったような危機感を非常に持つわけであります。
 旅館業もそうであります。また、交通、なかんずく観光バスなどもそうであります。非常に厳しい状況が続いているわけであります。
 雇用調整助成金も累次に延長、拡充もいたしまして、今のところ、全国で緊急事態宣言が明けた翌月末までといったような形で対応もしているわけですが、しかし、先生もまさにおっしゃったとおり、どこかでは対応というのは見直していかなければいけないわけでありますが。
 しかし、そういったようなものの中で、今お話ししたような、とてももうこのままだと潰れて消えてなくなってしまうような業界というのもあるわけで、こうした、見直していくに当たって、業種、業界、こういったようなものをどのように見極めて、そしてまたそれをどう理解を得られるように対応していくか、非常に政治的には苦しいところでありますけれども、先生のそのような対応についての御所見をお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
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熊野英生#16
○熊野公述人 御質問ありがとうございます。
 まさに観光業種というのは今回とりわけ厳しい状況でして、それをどうしていくかということが非常に重要なんですが、まずはやはりGoToキャンペーンによって支えていくということが第一なんですが、ただ、このGoToキャンペーンもいろいろ問題がございまして、果たして、GoToトラベル、一万四千円の枠が本当にいいか、それが中小の事業者には恩恵があるかどうかということで、そういう仕組みも検討しないといけない。
 先生、業種のことをおっしゃいましたが、まずは、業種の中での大企業は自力でやっていけるかもしれないけれども、中小はどうしようもないというところもあるかもしれないので、まずは、GoToキャンペーンを、例えば東京都がやっているような、五千円の定額制にしながらやっていく。今は半額と、率でやっているので、利用者としてはどうしても高いところに集中してしまうので、そういうのをならすということが今必要だと思います。
 あと、御質問の中では、やはり、消えてなくなる業種をどうすればいいのかという話なんですが、政府の政策で特定の業種を救済するというのはなかなか難しいところもあるので、私は金融の仕組みでやるべきだと思います。
 現状の無利子無担保の制度がいいかどうかはよく分からないんですけれども、これ以上のやはり、金融枠をつくりながら、これはどちらかというと企業を再生するような形になるのではないかと思いますが、まずは、リスクマネーを公的金融機関経由で設けておいて、期限を決めて、その期限内にどうにか離陸していくことを計画する、そういう時間軸づくりが必要なのかなと思います。
 あともう一つ非常に重要なのは、やはり、産業として観光をどういうふうに位置づけるかということなんですが、私は、今の観光政策というのは二〇〇〇年以降の日本の経済成長戦略の中で一番成功したものであり、コロナの一過的なダメージで観光政策をやめてしまうというのは非常にもったいないと思います。むしろ、アフターコロナを見込んで政府は観光を軸にもう一回成長を描く、そういう成長展望をきちっと描くということが、政府にとっては事業者が消えてなくならずに済む。
 ですから、資金を投入することも必要なんですが、業界に希望を与えるような方針を示すということも、政府の役割としては非常に重要なのではないかというふうに思います。
 ありがとうございます。
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武井俊輔#17
○武井委員 ありがとうございます。
 まさに今、GoToキャンペーンのお話がございました。もちろん、制度の設計、そしてまた今後の在り方についてはいろいろと課題もあるわけなんですけれども、どうしても、メディア等も含めても、政局的な取り扱われ方というものを非常にしてしまいまして、それによって感染が上がるとまたすぐたたかれるみたいな繰り返しの中で冷静な議論ができなかったことというのは非常に残念だったというふうに思っておりますが、まさに今先生からお話があったようなことを十分踏まえて我々もまた臨んでまいりたいというふうに思っているところでございます。
 続きまして、オリンピックのお話を、言及をいただきました。
 これは、私たち、政府として何とかやり遂げたいということで様々な取組をしているわけでありますけれども、やはり、いろいろとアンケート、世論調査等でも、なかなか、国民の皆さんの理解というものにおいて、非常に我々も正直苦しんでいるところがあります。
 もちろん、これは、コロナの感染者数の数と非常にパラレルといいますか、やはり、それが高ければ厳しくなって、下がれば多少は理解も進むという部分ももちろんあるんですが、まさに先生、先ほど大坂なおみさんのお話もいただきまして、やはり非常にスポーツが、非常に心もみんな厳しい中で大きな希望を与えているということはまさにそのとおりでございまして、そういった意味で、オリンピックを我々がしっかりと実施をしていくということが国民に、大きく希望につながっていくんだといったようなことについて、どのような発信、施策をしていくことが国民の理解増進にプラスになるか、先生の御所見をお伺いしたいと思います。
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熊野英生#18
○熊野公述人 オリンピックに対しての御質問で、一つの御趣旨としては、アンケート調査などを取るとオリンピックに対する反対意見が国民において非常に多いということだと思います。
 実は、私、エコノミストをやる前、五年間ぐらいアンケート調査をやっていて、まさにアンケート調査の専門家なんですけれども、その見方からすると、アンケートというのは非常にくせ者で、これを読み解くリテラシーが非常に難しいというか、高くないとなかなか読みにくいということがあるんですが、事前と事後では大きく変わるということですね。
 例えば、オリンピックに関しては、今、どのぐらいオリンピックで日本の選手が活躍するかというのはみんな分からないわけです。そうすると、事前に分かっていることというのは、感染がもしかして拡大するんじゃないかという不安、不確実性の方が大きく見えるので、オリンピックはどうですかというふうに事前に聞いたら、恐らくは、慎重にした方がいいと、不確実性におびえる世論が表れると思うんですが、実際やってみたら、恐らくがらりと変わるんじゃないかと思います。
 一つの思考実験は、二〇一九年十一月のラグビーワールドカップです。ラグビーワールドカップ、私はラグビーに興味はないんですが、事前に何と言われていたかというと、日本のチームには外国出身の人もいて、あれは日本チームかどうか怪しいみたいなことを言う人がいたんですが、実際やってみると、ワンチームで、日本はすばらしい、日本というプラットフォームは何というパワーを出すんだというふうに見方が変わったんですね。
 オリンピックもきっと同じだと思います。事後的には、オリンピックは、日本人選手が活躍するのを見て日本人が奮起すると思います。
 私は多分、オリンピックが終わった後は、コロナの苦しい状況下でオリンピックがあったことは非常によかったんじゃないかと。政策というのはやはり我慢強さとか信念というのが非常に重要だと思いますが、情報発信としては、日本人の力を信じて、オリンピックはもうやるんだ、そういう不確実性に負けない、不確実性の恐怖に対して理性が打ちかつというような形で、オリンピックをやるんだという軸をぶらさない方針を事前に設定し、成功に導くということが情報発信としては非常に重要なのではないかと思います。
    〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
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武井俊輔#19
○武井委員 不確実性に理性がしっかりと打ちかっていく、やはりこれは本当に私たち、一つのこれからのキーワードにしていかなければいけないぐらいの大変大事な言葉だったなと大変ありがたく思っております。
 済みません、時間もちょっと限られておりますので進めさせていただきますが、続きまして、先ほど、ワクチン接種またPCRの関係で、パスポートを表示するといったようなお話、先生からもアイデアをいただきました。
 先日も河野大臣がテレビ番組で、そういったようなことに対してコメンテーターの方といろいろと議論もあったところなんですけれども、確かに、例えばこれからビジネス、なかんずく海外とのやり取り等ではそういったような接種の証明みたいなものを求められるということは多分出てくるんだろうなと思います。私たちも、例えばアフリカなどのビザを取ろうとすると、イエローフィーバーの証明書、黄熱病の証明書なんかは義務で持たされたりということはよくあるわけでありますけれども。
 しかし、一方で、やはりこういったようなものというのは、例えば、国民の皆さんでもアレルギーで打てないとかいろいろな理由もあったりとかでなかなか、あと、人権の問題というものも一方であるということがあります。
 ただ、やはり実際に、多分そういった声というのは、先生がおっしゃったような声というのは非常に起こっていくというふうに思うんですね。
 ですから、こういったようなことは、どうその辺りを、整合性といいますか、一方で行き過ぎないようにしながら、一方でそういった証明というものが経済を円滑化させるために必要だという声も非常によく分かるというところがあるんですが、この辺りのバランスというものを先生はどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
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熊野英生#20
○熊野公述人 ありがとうございます。
 ワクチン接種においては、少し御説明の中でも申し上げたんですけれども、ワクチンを打てるようなそういう枠組みができていたとしても、一〇〇%国民がそのワクチンを能動的に接種するかどうかのところについてはまだ不確実性があるので、そこをどうするかというときに、マスクのところに、私は接種しましたという表示を出せばいいんじゃないかと思います。
 ポイントは、恐らく、これを政府がルールで決めてしまうと強制になってしまい、そういう強制がいいかどうかというところで多分議論がスタックしてしまう。ワクチンの接種もスピーディーにやらないといけないので、どうやってワクチンをみんなが打つような枠組みをつくるかというところもスピーディーにやらないといけないと思うので、これはもう企業単位あるいは組織単位で、能動的に、私はワクチンを接種しましたという見える化を進めていく。これは、官というよりは、民の自主的な行動を政府が後押しする、促すというような形で、ルールとして強制しないで見える化をしていくというところが重要だと思います。
 恐らくこういう方法というのは海外でも導入されて進められると思うので、海外と比較しながら、日本でもそういう活動を能動的にやっていますよという情報発信をしながら、ナッジというふうに言いましたが、強制しない誘導へ導くということで、ワクチン接種に併せて、ワクチンを国民が打つような形で啓蒙活動とか、そういうナッジを、どんどんどんどん環境を整備していくということは極めて重要だ。
 まだこれは議論は余り進んでいないですけれども、多分今後はそういう議論も出てくるのではないかという点でお話をいたしました。
 ありがとうございます。
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武井俊輔#21
○武井委員 ありがとうございます。
 この辺りが、実際に様々な動きが出てくるというふうに思います。そういったようなものをどういうふうに、安心とそしてまた皆さんの強制みたいなものを両立させながら進めていけるかというのは非常に難しいところでありますが、大変重要な御示唆をいただいたというふうに思います。
 ちょっと時間もありません。もう最後の質問になるかなというふうに思うんですが、先ほど、経営の支援、金融支援のお話をいただきました。
 実は、倒産件数という意味においては決して今高くない状態があるわけでして、それは、まさに先生がおっしゃったとおり、実質的には今これだけ国がお金を回しているので潰れないといったような状況というものもあるわけですが、こういったようなもの、いずれまた状況が変わっていく、変わっていかざるを得ないというところがあるわけですけれども。
 実際に事業者の方と話をいろいろとしてもそうなんですけれども、やはり実際に、このままではやはり、何といいますか、もう与信の枠でありますとか、また事業継続の、一番大事なのはやはり意欲なんですね。
 やはり、ぱんと潰れて、例えば倒産して夜逃げをするとかそういったような状況にはないけれども、このまま続けていっていいんだろうか、社会保険もこうだし、税金もこうだしといろいろなことを思い悩む中で、そういったような思いが非常に強くなっているという中で、それでも、先ほど観光のお話もさせていただきましたが、必要とする事業というのはこの世の中にたくさんあるわけですし、今ある事業というのは必要だから世の中にあるわけでありまして、そういう意味で、国民の皆さん、事業者の皆さんが頑張ろうという思いをどういうふうにすればしっかりと持てるのか、どういうふうにすれば国がそういった思いをより支えていくことができるか、最後にそういった先生の思いをお伺いしたいと思います。
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金田勝年#22
○金田委員長 熊野公述人、時間が参りましたので、まとめてお願いいたします。
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熊野英生#23
○熊野公述人 ごく簡単に言いますと、御質問は非常に的確で、法的整理は実は減っているんですが、廃業、解散というのは前年比五%ぐらい増えて、二〇〇〇年以降で最高です。つまり、倒産、破綻するよりは、廃業する事業者をどうするか。どうすればいいかというのは、もう一言、これは、展望を持たせるということとビジネスサポートをしっかりする。
 日本は、不良債権問題が二十年前に起こって、ビジネスサポートが発生したんですけれども、なかなかまだ組織化されていない。ただ、中小企業診断士や弁護士、あるいはフィナンシャルプランナーもいろいろな公的制度に通じておりますので、そういう大きなネットワークを使いながらビジネスサポートの体制を政府がつくっていく。そのこと自体に中小企業を支えていくという政府の姿勢は大きく表れるので、望ましいのではないかというふうに思います。
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武井俊輔#24
○武井委員 終わります。
 ありがとうございました。公述人の先生方、どうもありがとうございました。
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金田勝年#25
○金田委員長 次に、浜地雅一君。
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浜地雅一#26
○浜地委員 公明党の浜地雅一と申します。
 今日は、四人の公述人の先生方、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 十五分でございますので、早速御質問をしてまいりたいと思います。
 まず、熊野公述人にお聞きをしたいと思っております。二〇二一年、二二年の今後の経済予測でございます。
 今回のコロナ感染症の景気後退を受けまして、特徴的なのは、昨年はマイナス四・八%、通常であると全産業が影響を受けるところでございますが、今回のコロナというのは、中には景気のいい業界もあれば、非常に深くこのコロナの影響を受けているところもあるということでございます。ですので、なかなか、マクロの視点で見るというところと、あと、さらに業界ごと、又は、属性でいいますと女性や非正規のような弱者と言われる方々への影響というのをやはりつぶさに見ていかなきゃいけないんじゃないかと思っております。
 特に、リーマン・ショックのときと比べますと、金融がまだ非常に、やられていないと言ったらおかしいんですけれども、非常にまだ安定している状況にある。例えば、建設業者の皆様方、仕事は減っていないということもお聞きをします。製造業の皆様方も、一部は減っておりますが、そうでもないということで、世の中で言われている以上には、私はマクロの、全体の景気というのは悪くないんじゃないかと思っておりますが、ただ、その方々も、コロナが続くと自分たちにも大きく影響が全体として来るのではないかという不安も現場でお聞きするところでございます。
 そこで、今日は、エコノミストでございますので、二〇二一年また二二年に向かってのマクロ的な経済予測と、先ほど私が言いました、どういったところが大きく傷み、それに対してどういった、我々政治も含め、経済対策等を打っていかなきゃいけないのか、その大きな方向性についてまず熊野公述人にお聞きをしたいと思います。
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熊野英生#27
○熊野公述人 ありがとうございます。
 経済予測は私の本業なので、一番いつも日常的にお話をしている話なんですが、今回は、いろいろな国際機関の予測で見ても、五%ぐらい大きく落ちた後、大体二%ぐらいのリバウンドが起こり、恐らく二〇二二年、二一年の次の二二年も同じぐらいのペースではないかというふうに見られているというのが現状です。
 ただ、問題は、成長率だけではなくて、今回のコロナ前の水準まで、どこまで、いつ戻るのか。
 これはどういうことを意味しているかというと、過去の操業度というのが供給のキャパシティーだとするならば、そのキャパシティーに達しないということなので、それだけ余剰生産能力があり、これがデフレ作用をもたらす。そういう意味では、恐らく二〇二三年ぐらいまでは今回のコロナ前に戻れないので、やはり、二%成長、二%というか二%弱ぐらいの成長で二〇二二、二三ぐらい行ってようやく戻すので、そういう意味では、デフレ圧力が非常に強まる。
 ここで非常に重要なのは、内閣府が四半期ごとに大体出している潜在成長率というのがありますが、内閣府の直近の潜在成長率は〇・七%で、つまり、実際の日本の素の成長率が非常に低下しているので、これを引き上げていかないといけない。
 そこで、御質問で、どういった政策が必要なのかということなんですが、私は、痛み止めをするような財政出動というのもある意味必要だと思うんですけれども、やはり、成長していくようなデジタル化とか、企業が地元にいろいろ設備投資をするような、国内回帰を促すような、そういう政策誘導。つまり、短期ではなくて長期の政策を促すような政策。具体的に言うと、金融のところでの支援をもう少し手厚くするということが民の力においては非常にいいのではないのかなと思います。
 どういったところがよくて、どういったところが悪いかという意味では、いいところは、製造業が今世界的な物の動きを反映して大分リカバリーを果たしているので、製造業に対してのアシストはほとんど要らないんじゃないかと思います。しかし、小売は、まずまず回復しているんですが、衣料品などは非常に悪いので、そういうところについては金融的な支援は手厚くしないといけないでしょうし、最大のネックは、やはり観光産業をどうしたらいいか。外食、観光のところについては、これはやはり、国がインバウンド、観光政策を長期にやっていくということで、ここは、金融だけでなくて補助金とか規制緩和とかそういうものをいろいろ誘導しながら長期の政策を講じていくことが、潜在成長率〇・七%を一%に、一%に上げていくには必要なんではないのかなというふうに思います。
 ですから、潜在成長率を押し上げていくような金融、財政、規制緩和、そういうのを組み合わすということが政策対応としては望ましいのではないのかなというふうに考えております。
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浜地雅一#28
○浜地委員 熊野公述人、ありがとうございました。
 しっかり我々も、コロナの影響が逐一変わってまいりますので、機動的にやはり、財政運営もできるように努力をしてまいりたいと思います。また御指導、また御指摘いただければと思っています。
 では、小池公述人にお聞きをしたいと思っています。
 今日はありがとうございます。先ほど様々な観点から、防災・減災、国土強靱化、特に強靱化というところで御指摘をいただいたところでございます。
 まさに雨の降り方が大きく変わっておりまして、私も地元は九州、比例区でございますが、先ほど御指摘のあった球磨川沿い、人吉、かなり深い被害があったところでございます。また、筑後川というのがございまして、毎年毎年災害があるところでございます。
 そこで、与党としましても、また国交省としても、今回、十五兆円規模で、骨太の方針ということで、国土強靱化の予算、加速化五か年計画というのを作らせていただきました。過去三年におきましては、緊急点検ということで、とにかくインフラが弱いところを点検し、これは約、三年間で七兆円の事業規模であったわけでございますが、それを今後は五年間で十五兆にするということでございます。
 前回、補正予算の審議をしたときに、実は、補正予算の中にこの国土強靱化の五か年加速化計画の初年度分の予算が入っていることに対して、メディア等からも批判があったところでございますが、私自身は、やはり切れ目のない、また、五月、六月、出水期に向けて、切れ目のない様々な防災をする必要があったんではないかと思っております。
 そこで、先生の御専門的な観点から、この十五兆規模の国土強靱化加速化プランということの評価についてお伺い、いただければと思います。
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小池俊雄#29
○小池公述人 どうも、御質問ありがとうございました。
 振り返ってみますと、戦後、日本は非常に激甚な水害を受けました。それで、いろいろな技術策を講じて、昭和三十五年に治山治水緊急措置法というのができて、五か年の財政を伴う重点的な整備が行われてきました。それは九次行われてまいりましたが、この資産の上に今成り立っておりますが、その九次以降、財政的な投入が非常に落ちております。
 今回、緊急三か年に加えて、五か年の加速化の予算を提案していただいたことは大変ありがたいと思います。非常に、河川の維持、それから堤防の修復等も含めて、喫緊に取り組まなければいけない問題がございます。加えて、先ほど私が申し上げましたように、防災、減災に取り組む姿勢、これが防災、減災にとどまらず地域を開発していく予算でもあるという意味合いで、流域治水という考え方を打ち出されているわけでございますので、先ほども申しましたように、都市であるとか住宅であるとか農業であるとか、地域のいろいろな産業と、あるいは枠組みと連携した施策の推進が必要であると思います。
 議員お話しになりましたように、切れ目のない、しかも、その場その場に非常に適時に合う予算の組み方をいろいろお考えいただき、大変ありがたいと思っております。
 以上です。
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