小西雅子の発言 (環境委員会)

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○参考人(小西雅子君) よろしくお願いいたします。皆様、おはようございます。
 本日は、WWFに、まさに今、日本がこの脱炭素化に向けて今までにないほど取組が進んでいる中で、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。せっかくですので、本日は大量の資料を持ってまいりました。後でまた御質問などありましたらと思って持ってきております。
 では、早速ですが、一ページおめくりいただいて、まず、なぜ今、日本は、四六%の削減ということを総理がおっしゃっていますが、それが必要なのかといったところから、そもそもから少しお話しさせていただきます。
 人間活動により、今、一度上昇しております。早ければ二〇三〇年からもう一・五度の上昇に達すると言われております。
 その次のページで見ていきますと、二〇一五年にパリ協定採択されたんですが、実はその後、二〇一八年に出されたIPCCの特別報告書で、一・五度に抑えるならば随分影響が軽減されることが分かりました。例えば、その六ページを御覧いただきますと、日本でも熱中症の被害患者非常に増えていますが、この熱波に見舞われる世界人口は一・五度なら現状の一四%増加、二度になると更に十七億人増加すると言われています。こういった影響が分かったことによりまして、次おめくりいただいて、世界の先進的な温暖化対策の国々、そしてグローバル企業で温暖化対策を進めていると自負するところはこの一・五度を目指すことがトレンドになりました。
 さらに、この特別報告書で分かったことが、二〇七〇年頃にゼロにするならば、そうしたら二度は達成できる。それを二十年早めて、二〇五〇年にゼロにするならば一・五度、この温度に抑えることができるということが分かりました。そのためには、二〇三〇年頃に世界全体で二〇一〇年比で四五%削減が必要であるとここで明らかになりました。
 このときに重要なのが、この一・五度を達成する四つの代表的な今後の世界の排出シナリオを御覧いただきますと、このP1という一番左側が、まさに二〇三〇年頃に四五%削減して、その後、ずっと二〇五〇までそのまま真っすぐ下げていくというシナリオなんですけれども、それがもし遅れて、当然二〇三〇年までは今できる範囲の努力でとどめて、そしてその後頑張ればいいといったような考え方でいきますと、この黄色の範囲というのが、今まさに水谷先生が御説明になりましたバイオエナジーアンドCCS、BECCSと言われるような、木が育つときにCO2吸収させてそれを回収して地中に埋め戻すCCSを使う、言わば今実用化されていない技術、そういったものにこれほど多様に頼らなければ達成できないということが示されました。ということは、一・五度真剣に目指すならば、二〇三〇年に四五%以上の削減は必然ということになります。
 では、じゃ、なぜ国連も含めてこの四五%以上の削減が必要なんだとこれほど昨年から今年にかけて言っているかといいますと、今パリ協定に提出されている各国の削減目標というのは、全体として足してもこの二度目標はおろか、まあもちろん一・五度はおろか二度にも達成できない目標レベルとなっています。ですので、パリ協定、それぞれの国が最大限にできるものを持ち寄るという制度ですので、それぞれの国が引き上げるということがすごく重要になります。
 それで、もうまさに年末のCOP26に向けて各国が一斉に引き上げているんですけれども、五ページ御覧いただきますと、まさに各国の目標、今ドイツが五五%から六五%に引き上げるというニュースも飛び込んでまいりました。その中で、まさに日本は四六%、そして五〇%の高みを目指すと総理が決断されたわけでございます。
 なぜ五〇%の高みを目指す必要があるかというと、これは世界全体で四五%削減ですので、今、飢餓、貧困に苦しむ途上国、CO2十分に出していません。そういった途上国にも余地を与えて、それで世界全体で四五なので、日本、先進国ですのでもっと本当はやる必要があるからということになります。
 続いておめくりいただいて、今回の地球温暖化対策推進法の改正案、やはり三つポイントがあると思っております。
 まずは、この二〇五〇年カーボンニュートラル、温室効果ガスのゼロ、これをまさに法に位置付けることがすごく重要ということになります。これまさに、政権交代とか外部要因によってぶれない指針として日本が進んでいく、そしてまた、特に産業界や地方公共団体に今後こういうふうな道を日本は進むんだよという予見可能性を与えるという意味において、今回の改正案は非常に重要だと思っております。
 そして二つ目が、やはり再エネのポテンシャルというのは地域に最もありますので、地域に再エネの利用促進、今回、実施目標が新設されております。これはもう本当に必然だと思っております。また、どうしても今、再エネ、これ地域でトラブルが起きる例も目立ってきておりますので、ゾーニング、この促進地域をつくるということも非常に重要でございます。今回これが入っております。
 ただし、非常に実は、自然豊かな中核都市未満というのに再エネ資源が豊富なんですけれども、この区域施策編の策定においてこの中核市未満の市町村は努力義務となっております。
 もちろん前はなかったものが、こういうふうに市町村に向けて、こういう計画、そして実施目標、促進地域つくりましょうね、努めるようにしましょうという条項が入ったこと自体はそれは大変評価できるんですけれども、この市町村に対して、やはりこの再エネ目標、そして促進地域もセットで設定してもらえるように、本来はこれ、いかに奨励していくかということが非常に重要になってきます。本当は私たちとしてはこれ義務化されるぐらいのことが望ましいとは思っているんですけれども、もちろんその各市町村、いろいろな御事情とかレベルがありますのでそれはなかなか難しいにしても、なるべくやっていただくような措置を講じるということがすごく重要だと思っております。
 そして三つ目のポイント、これはもう必然ですね。企業の温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度において、電子化して、かつ、この事業所ごとの排出情報というのも、これまでは一々開示請求制度が必要だったんですが、それをもうそのまま遅滞なく公開するようになるという、この改正は本当に必然だと思っております。まさに今、TCFDなどで企業の積極的な情報開示が求められておりますので、日本の産業界が世界の機関投資家から選ばれるためにも、この改正は本当に必然だと思っております。
 ということで、今回の温対法の推進法、基本的には我々も、その方向性に、このまま本当に評価に値すると思っているんですが、実は温対法改正に足りないことがこれ顕在化しているかなと思っております。
 やはり、この温対法というのは基本的に環境省の足下でできることを書いた法律ですので、日本はエネ起源CO2が大体九割を占めます。ですので、日本の温暖化対策といえばやはりエネルギー政策ということになりますので、エネルギー政策を含めた政府全体での気候変動対策の推進ということが必要ではないかと思っております。もう一つ、やはり重要な長期戦略、これを本当は法に位置付けること、フォローアップを定期的に行っていくということが重要だと思っております。また、今、日本で議論が長くされてまだ導入が正式には入っていないカーボンプライシングなどの経済措置なども、これ、もう本当にゼロを二〇五〇年目指していくためにはあらゆる施策を導入しなければならないので、これを入ったような法律が本当は必要じゃないかと思っております。
 次おめくりいただいて、ということで、日本の気候変動対策全体をカバーする基本法が必要ではないかと思っております。そもそも温対法というのは京都議定書時代に策定されているものですので、言わば、小さくなったお洋服を子供は大きく育っているのに何かこう無理に伸ばして着ているような、そんな状態になっているのではないかと思っております。
 ですので、ここに書かせていただいたような内容で、例えばこの五年サイクルに削減計画を合わせていくこと、今適応法ございますが、緩和と適応のその関係性を包含した基本法が必要ではないかと思っております。もちろん長期戦略の策定、エネルギー政策を含む政府全体での気候変動対策の推進などありますが、中でも重要なのは、このカーボンバジェットの設定とそれに沿った中長期の削減目標、計画を設定していく体制になることではないかと思っております。
 カーボンバジェットというのは、皆様御存じのように、炭素予算。気温上昇、CO2の累積排出量とほぼ比例して上がってまいりますので、一・五度に抑えるためには上限がございます。これをカーボンバジェットと呼んでいるんですが、これまでに二千二百ギガトンぐらい出されていると言われていますので、もう間もなく使い切ってしまうということになります。
 このカーボンバジェット、次、十七ページ御覧いただきますと、既にイギリスが採用しておりまして、今日この図を持ってまいりましたが、五年ごとのカーボンバジェットに沿って目標を立てていくといった形をイギリスは採用しております。二〇三〇年少なくとも六八%削減というのを言っておりまして、つい最近、二〇三五年時点に温室効果ガスの削減目標七八%というのを、このカーボンバジェットに沿った考え方でイギリスは削減目標として持っております。
 ということで、今まさに二〇二一年、日本は重要な転換のチャンス、今私たち迎えているわけですけれども、本来はこの四六%削減、これを実現するエネルギーミックスの見直しが必要になってまいります。ただ、今はこれが有機的に連動する形になっていないという状況が、今の日本のこの気候変動の基本法が必要な一番大きなところかなと思っております。
 今エネミックスがまさにG7の前に決定されるのではといったような状況にあるんですけれども、そのエネミックスについてWWFから提言させていただきたいことを次の十九ページに書いております。
 やはりこれ、一番重要なのは、二〇三〇年に向けての温暖化対策というのは、あと九年しかないので、今ある技術、今あるインフラを最大限活用してできることをやっていくということになります。とすると、二〇三〇年、これ我々の計算、研究者と一緒に研究委託して出しているものなんですが、我々の計算では、今のエネミックスの大体二倍の省エネルギーが可能。省エネルギーというのが一番最も費用効果的な温暖化対策ですので、それを最大限今の技術の延長線上で深掘りして、それから再生可能エネルギー約五〇%に増やしていく。で、石炭、私たちも何回も計算してみたんですけれども、これなかなか石炭火力が残っているとこの四六%という数字が出てきにくいんですね。ですので、石炭火力は全廃止していくといったことをやると、この、大体、温室効果ガスで四五%、エネ起源CO2で四九%削減が可能と示されました。
 これ、御関心あればこのエネシナリオ御覧いただければと思うんですが、そもそもは二〇五〇年に一〇〇%自然エネルギーどうやって賄うかということで、一番、使うエネルギーを減らしていって、自然エネルギーに変えていって、電力は比較的脱炭素化ができるんですけれども、難しい熱・燃料需要は電気の余剰電力で作ったグリーン水素で賄っていくといったことで、CO2がゼロになるといったシナリオを描いております。
 次のページが二〇三〇年の電源構成で、一次エネルギーとそれから電力の割合で書いております。
 もう一つおめくりいただいて、もう一つ、日本の長期戦略、今私たちが考えている課題について、それだけ最後にお話しさせていただきます。
 これ、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略というのが昨年の十二月に出されていますけれども、これで既に、参考値、あくまでも参考値ということではありますが、二〇五〇年に日本で再エネ五、六〇%が限界とか、非常に革新的技術がこれ重視されているグリーン成長戦略になっているように見えます。
 その例として、十四のこの成長分野が挙げられていますけれども、世界のメガトレンドから見ていきますと、二十五ページ御覧いただきますと、例えば、この石炭火力がアンモニア混焼していくことによって、まだ二〇四〇年にも石炭火力が残って、そのうちアンモニア混焼から専焼に向けるといったような内容になっております。石炭火力をこのアンモニアで減らしていくということが、世界のトレンドから見て果たしてそれが最も費用効率的なやり方なのかといった点においては、本当は非常に大きな議論が必要だと思っております。
 どうしても日本の産業界は、この脱炭素化においては先進的に進んできたというわけではありませんので、今、トランジションということがすごく取り沙汰されておりまして、まだその準備ができていない企業が脱炭素化に向かうためのトランジションにファイナンスをどうやって呼び込むかといったことがすごく中心の話題になっております。例えば自動車なども、電動車という定義になっておりますが、世界のトレンドとしてはEV、電気自動車化なんですけれども、日本の中にはハイブリッドが入っておりまして、これを今後どうしていくかといった議論が、まだ出口戦略が見えていないといった形を懸念しております。
 最後に、やはり今、二〇三〇年にできることということと、それから、例えば水素ですとか、いろいろな電気自動車、水素、FCVとか、洋上風力発電とか、水素還元製鉄とか、今はできなくても将来的にできてくるものの技術開発を今は進めるということの二つを実は分けて考えることがすごく重要だと思っております。
 ということで、今まさにグリーンリカバリーで、コロナ禍で非常に経済が傷んでいる中で、私たちは大きな転換期を国民が受け入れやすい状況にもなっていると思いますので、是非そういった形で温暖化対策、今後お考えいただいたら有り難いなと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 小西雅子

speaker_id: 2586

日付: 2021-05-18

院: 参議院

会議名: 環境委員会