山田俊男の発言 (決算委員会)
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○山田俊男君 山田俊男です。
本日は、質疑の機会をいただき、委員各位に本当に感謝申し上げる次第であります。
去る三月十九日、規制改革推進会議農林水産ワーキング・グループが開催され、農水省等を呼び、生乳流通改革のフォローアップ、ヒアリングが開催されたと承知しております。
私は、規制改革推進会議の在り方について我慢ができないことがあるので、今回の質疑に手を挙げさせていただいた次第であります。それは、規制改革推進会議に席をお持ちの委員各位はどういう基準で選ばれておいでなのか、各界の識者が選ばれて参加されているものと思います。これまでの委員各位の会議での御発言を議事録等で拝見しますと、それぞれ皆さん一家言をお持ちの方々であり、自らの主張や論理に大きな自信をお持ちの方々であると承知している次第であります。
まず初めに、皆さんに御覧いただきたい資料をお手元に差し上げます。どうぞちょっとお配りいただけますかね。この資料です。もうお持ちですかね。
ここにありますが、平成二十九年一月十八日に政府広報として各県の地方紙に掲載された新聞の七段広告であります。私は、朝起きてこの広告を見て、大変びっくりした次第であります。日本の農業をもっと強く、そしてさらに、もうかる農業ということが、言葉がこうして並んでいるわけであります。私は、当時この広告を目にして、非常に、それこそ髪が逆立つほど腹立たしい思いをした次第であります。要は、競争しろと主張しているわけでありまして、脅迫しているんじゃないかと受け止めたからであります。
そして、下段には酪農家の自由な販売を支援としてあり、自由な販売がもたらす混乱を心配したからです。一体、酪農の牛乳の、生乳の自由な販売というのは一体どんなことなんだというわけであります。新しい制度の下で本当に生じている問題も、この後、続いているというふうに思います。要は、これらの宣伝もあって、結果として制度改正は行われ、関係者は既に新たなスタートを切っているわけであります。この新聞広告に文字が躍るように、農業をもっと強く、もうかる農業ということに果たして現在なっているのかどうか、新しい制度の下で生じている問題もあると聞いております。
御案内のとおり、酪農は一日も休まず、生乳を搾乳した生産者は、搾った生乳を農協へ委託販売で出荷します。農協は県段階を通じてブロックごとに指定団体を組織し、指定団体が乳業メーカーと価格交渉を行う役割を担い、雪の日も風の日も衛生面に気を付けながらミルクローリーで生乳を集荷し、乳業メーカーの工場へ持ち込む役割を担っています。
特に重要なのは需給調整です。牛は本来寒冷地の生き物ですので、夏場に乳量が減り、冬場に多く乳を出します。一方、牛乳の消費はその反対で、変動します。学校の夏休み等でも変動します。このため、このままでは腐りやすい生乳の一定量を飲用乳とは別に、乳業メーカーに保存性の高い脱脂粉乳、バター、チーズ等の乳製品に加工してもらうよう仕向けることで需給調整を行っております。そして、加工原料に回すことによる値下げ分について、指定団体は、加工原料乳生産者補給金という制度的な支援も受けながら生産者全体でプールすることで、みんなで引き受けているわけであります。
このように、指定団体は、酪農家から乳業工場までの原料としての生乳の流通を通じて、牛乳、乳製品の安定供給に大きな役割を担っております。特に、需給調整は、消費者への安定供給と酪農の安定的な維持発展に向けて、乳業メーカーも含め、業界全体でビジョンを共有して取り組んでいるわけであります。こうした強い信頼関係と結び付きは、消費者への牛乳、乳製品の供給において、最も大切な安全、安心の確保という点でも非常に重要です。
当然ですが、生乳は傷みやすい、だから極めて細心の注意と信頼で管理し、届けることがなされています。それだから、当然、酪農家と指定団体、乳業メーカーの関係は結び付きが強く、あちこちに売る、あちこちから買う、ということではありません。きちっとした結び付きと日頃からの信頼が、いい牛乳と乳製品作りにつながっているのであります。だから、単に余ったから引き取れ、足りないから出せないというものではないのであります。もちろん、その信頼の下で酪農家と乳業者は牛乳を生産し、指定団体と連携して、バターやチーズ等乳製品を加工する取組で調整を図っているわけであります。まさにこの結び付きの信頼こそが最も大事な機能であり、その取組が消費者にいい牛乳と乳製品を届ける礎になっているわけであります。
こうした生産者、指定団体、乳業メーカーの信頼関係と結び付きは、規制改革に端を発する平成二十九年の制度改正により、今は年間販売計画と販売委託契約という形で具体化されています。このときの制度改正の趣旨は、生産者が出荷先を自由に選べる環境の下、経営マインドを持って創意工夫をしつつ所得を増大させていくということであり、このため、指定団体に全量委託販売する酪農家に限定することなく、加工原料乳の全ての生産者に補給金を交付し、需給に応じた乳製品の安定供給の確保を図ることとされました。
その一方で、運用ルールの新たな整備に当たり、年間販売計画が飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保できるものとすること並びに部分委託の場当たり的な利用を認めないルールとすることとされたわけであります。
かつて規制改革推進会議が、指定団体について市場原理を導入する、生産農家と指定団体との役割分担を見直すとの観点で、安定した生産、流通、販売の在り方に注文を付けてきました。もっと競争しろ、他の加工業者にも開放しろ、それが規制改革だということだったのかもしれません。しかし、いずれにしろ、そうした主張は何とか実現され、制度的に新規参入者にも門戸が開かれ、必要なルールが整備され、新たなスタートが切られています。
昨年以降、コロナ禍の下、学校休校、学乳需要の喪失による需給緩和の危機など数々の異常事態を迎えるわけですが、指定団体は、生産者、乳業メーカーと一滴の生乳廃棄も出さないという強い決意を共有し、数多くの関係者の一丸となった尽力で消費者への安定供給を何とか維持しました。
さて、ここで農水省にお伺いしますが、既に新たな制度は発足し、事業者の新規参入に門戸が開かれ、そうした事業者も含めて需給調整が進められることとなりました。その上で、指定団体の取組には一定の評価もあると思いますが、この制度改正やその後の状況について農水省は現状どのような評価に立っているのか、御答弁ください。