飯島滋明の発言 (憲法審査会)

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○参考人(飯島滋明君) 御質問ありがとうございます。
 まず、人を選ぶ選挙と憲法九十六条で定められた憲法改正国民投票について何が違うのかと。これも授業なんかやったら一時間で終わるかどうかという題になってしまうかもしれませんけど、簡潔に三つ言わせていただきたいと思います。
 一つは、主権者として意思表示ができる機会の話、二つ目として、どうやってその国民投票あるいは選挙にかけられるのかという対象の話、三つ目として、影響が及ぶ期間あるいはその地域の話をさせていただきたいと思います。
 主権者として意思表示ができる機会の違いですけれども、選挙の場合というのは、必ず数年間に一度というのはあるんですよね。投票者がやりたくないということを言ったとしても、必ずこれ、数年間に一度、投票の機会というのはあります。万が一そこで投票できなくなったとしても、数年後に、あいつはということで、いい政治家だから入れよう、あるいは悪い政治家だから落とそうという、その機会というのはあるわけです。
 ですけれども、これ、先ほど申し上げさせていただいたかと思いますけれども、憲法改正に関しては、一回そこで投票し損ねたら、もしかしたら一生できないかもしれないと、取り返すということが果たしてできるのかどうかという、そういった点でまず一つ大きな違いというのがございます。
 ですので、憲法改正の国民投票法を作るに当たっては、もちろん公職選挙法も綿密に作らなきゃいけないというのは当然ですけれども、それ以上に、本当に抜かっている人がいないかということに関しては綿密に点検する必要があるというふうに考えています。
 二つ目ですけれども、その投票の対象の提供のされ方ということですけれども、選挙というのは必ず、例えば今年の十月までには衆議院選挙があるといったように法律に定められていますので、必ずこれも提供されます、法的に。
 ですけれども、憲法改正国民投票に関しましては、衆議院の先生方、参議院の先生方、三分の二以上が賛成して、じゃ、これを出そうといったその題だけなんですよね。国民がこの題について投票したいとかということは、今の憲法九十六条ではそうなっていません。そうであれば、対象の提示のされ方というのも違います。
 これはフランスの憲法学でプレビシットということが言われますけれども、例えばナポレオン一世、ナポレオン三世、ドイツの場合ですとヒトラーですけれども、国民投票を使って自分の地位とか権力というのを強化していったんですよね。よく政治的独裁者ほど国民投票を好むということが言われますけれども、フランスに関しましてはそういった考え方があって、プレビシット、国民投票というのは権力者に悪用される可能性があるということで非常に警戒的に見られています。
 ドイツでは、ワイマール憲法時に国民投票というのはいろいろやられていましたけれども、あるいは、ヒトラーというのは、一九三八年のオーストリア併合も国民投票で正当化しています。国際連盟脱退、一九三三年もですけれども、国民投票で正当化しています。そういった形でどんどん自分の地位を国民投票で正当化していったという歴史がありますので、実はやっぱり国民投票には警戒的な歴史があります。今ドイツの憲法、グルントゲゼッツ、基本法ですけれども、一切国民投票はやられていません。
 ですので、権力者が出したものに関して、本当にそれでいいのかというのをしっかりする、確認する機会というのが必要なんだと思います。そこは二つ目になります。
 今度、三つ目ですけれども、投票の及ぶ期間あるいは地域ですけれども、選挙の場合は、例えば参議院の場合は六年後に必ず選挙があります。国民の審判を受けるわけですけれども、繰り返しになりますけれども、これも憲法改正の場合は何年になるか分からないと。
 地域の話、今度させていただきますけれども、衆議院の小選挙区であればそこの地域だけかもしれませんけれども、憲法改正といえば沖縄の投票が実は北海道まで関わると、全国に関わるわけです。こういったように、だから、地方だからとかいう話じゃなくて全域に関わると。いろんなところでこういう違いがあるということは紹介させていただきたいと思います。
 この問題で、ちょっと済みません、長くなってしまいますけれども、繰延べ投票の告示期間の短縮のことを考えますと、やっぱり先ほど私申し上げさせていただいたかと思いますけれども、例えばどこかの地域で繰り延べましたといったときに、そこだけ繰り延べればいいのかという話が出てくると思うんですよね。少なくともですけれども、開票に関してはこれできないと思います。そこら辺もやっぱり御議論いただければというふうに思います。
 ですから、外形的事項だから単純でいいということは言えないんじゃないかということは、先ほどから申し上げさせていただいている内容になります。

発言情報

speech_id: 120414183X00420210602_025

発言者: 飯島滋明

speaker_id: 7236

日付: 2021-06-02

院: 参議院

会議名: 憲法審査会