佐野雅宏の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(佐野雅宏君) では、座ったままで失礼いたします。ただいま御紹介をいただきました健康保険組合連合会の副会長の佐野でございます。
本日、このような意見陳述の機会を与えていただきまして、委員長始め委員の皆様に深く感謝を申し上げます。
さて、今回の政府提出法案につきましては、一定以上の所得のある後期高齢者について自己負担二割を導入すると、こういう大きな改正が含まれておりまして、高齢者と現役世代の負担と給付のアンバランスの是正、また、現役世代の負担軽減という観点から評価できるものであるというふうに考えております。
本日は、二割負担の導入の必要性につきまして、保険者の立場から、現役世代の負担の状況等を御紹介しながら意見を述べさせていただきます。
それでは、お手元にあります横長の資料に従って説明いたします。
表紙をめくっていただきまして、一ページを御覧ください。
グラフとか表を御覧いただくと分かりますけれども、二〇二二年から二〇二五年にかけて、後期高齢者の急増に加えて、支え手である現役世代の減少がより顕著になってまいります。現行制度のままでは、現役世代の負担は限界を超え、国民皆保険制度の維持も危うくなる、こういう危機感から、私どもはこれを二〇二二年危機と申し上げて、高齢者医療制度の早期見直しを要望してまいりました。
次の二ページを御覧ください。
このグラフは、健保組合の被保険者一人当たりの後期支援金などの推移でございます。一番上の赤い線の後期支援金、これは今後とも更に大きくなると見込んでおります。一方で、下の方にございますが、いわゆる賃金、これはここ数年間横ばいでございます。コロナ禍もありまして、今後も賃金の大幅な伸びは期待できない、こういうふうに考えております。
今回、二割負担の導入が行われなければ、これまでを超える負担増が現役世代に掛かることになります。こうした流れも踏まえまして、私どもは、制度の見直しは時間との闘いでもあるというふうに申し上げてまいりました。
次に、三ページを御覧ください。
このグラフは、現在の制度が導入された二〇〇九年度から二〇一八年度にかけて、医療費と保険料、自己負担の変化額について年齢別に表したものでございます。これを御覧いただきますと、右側の方にあります高齢者世代は医療費の伸びと比較して負担は余り増えておりませんけれども、逆に、左の方にあります現役世代、こちらは逆に医療費に比べて保険料の負担増が大きくなっております。いわゆる高齢者への現役世代の仕送りが大きく増えていると言われておりますけれども、まさにその構図が表れております。
次に、四ページを御覧ください。
これは、年代別の高額療養費制度の所得区分とそれぞれの負担割合でございます。
同じ一般所得区分、この網が掛かった部分ですけれども、であっても、後期高齢者は一割、七十歳以上の前期高齢者の方は二割、七十歳未満は三割負担というふうになっております。
年齢だけで負担割合を考えるのではなく、負担能力のある方にはそれに応じた負担をしていただくことが、まさに全世代で支える全世代型の社会保障と言えます。支え手である現役世代の納得性にもつながるというふうに考えております。
次の五ページを御覧ください。
これは、厚生労働省の資料を基に私どもの方で試算をいたしました、現行制度の場合の二〇二二年度からの四年間の現役世代の負担増になります。
この総額というのが三・二兆円になります。これに対しまして、今回の政府案による二割導入の導入、これによる負担抑制の効果額は四年間で三千百億円、負担増の総額の約一〇%にとどまっております。
十分とは言えないものではございますけれども、これ以上見直しの先送りは許されず、二〇二二年度の二割導入、二割負担の導入は不可欠と考えます。しかも、可能な限り早い時期に実施をしていただきたいというふうに考えております。
次に、六ページを御覧ください。
これは、健保組合の財政状況とコロナ禍の影響について御説明をいたします。
二〇二一年度の健保組合財政の見通しは、コロナ禍により、より厳しいものになっております。
加入者への医療給付費、この動向が不透明な中で、高齢者医療への拠出金、これは約千三百億円増加する見込みです。一方で、賃金水準の低下により保険料収入は二千二百億円程度減少し、更なる財政悪化が懸念されます。全体として経常収支の赤字総額が拡大をし、赤字組合数も全体の八割にまで増加をする見込みでございます。
左下の円グラフでございますけれども、健保組合にとって法定給付費、これと拠出金の合計がまさに義務的経費ということになりますけれども、この義務的経費に占める拠出金の割合は四七%と依然として約半分を占めており、五〇%となる組合数も、その右側のグラフでございますけれども、全組合の四分の一に当たる三百四十九組合に上っております。また、右下の表でございますけれども、二〇二二年度にコロナによる保険料の特例納付猶予、これを実施した健保組合は百二十九組合で、猶予の残高は三百六十五億円になっております。
次に、七ページでございますけれども、これは業態ごとの賃金の動向について二〇二〇年度と比較したグラフになります。
やはり、コロナ影響を大きく受けていると言われる特定の業態で賃金低下の傾向が大きく出ております。こちらについては後ほど御覧いただければと思います。
次に、八ページを御覧ください。
国民皆保険制度の維持、また現役世代の負担軽減のために、改めて申し上げますけれども、二〇二二年度からの後期高齢者二割負担の導入については確実に実施をしていただきたいというふうに考えております。
これまで、現役世代は保険料を増やして高齢者を支えてきたというのが実情でございます。現役世代の負担は既に限界に達しており、二〇二二年危機の到来に加え、更にコロナに追い打ちを掛けられている、こういう状況において、是非皆様に御理解をいただきたいと思います。
今回の二割負担案というのは一定所得のある方を対象にしたものでございまして、高額療養費制度、また、負担増の対象となる方々には配慮措置も用意をされております。こういったことも踏まえて、全世代型の社会保障を進めるために二割負担の導入を確実に実施をして、また、更なる対象範囲の拡大についても早期に検討を開始していただきたいと、こういうふうに考えております。
先ほども申し上げましたけれども、施行時期につきましても可能な限り早期に設定をしていただきますようお願い申し上げます。その上で、今回政府案の附則にもございますとおり、次期改革に向けて、給付と負担の見直しを含め、速やかな検討の開始をお願いしたいと思います。
本日は時間の関係もございますので詳細の説明は割愛をいたしますけれども、特に今回見直しが先送りになりました後期高齢者の現役並み所得基準の見直し、また、その見直しが現役世代の負担増にならないようにするための現役並み所得者への公費投入、こちらについては早急に検討開始をお願いしたいと思います。
また、今回の改革に当たっては、財政が厳しい健保組合への拠出金負担に対する財政支援、また、保険者機能を発揮するための推進策の拡充も是非お願いをしたいと考えております。
九ページを御覧ください。
こちらは、昨年の十一月に田村厚労大臣宛てに、私ども健保連のほか、協会けんぽ、経団連、日商、連合、いわゆる被用者保険五団体が連名で提出をした意見書の内容でございます。
詳細の説明はいたしませんけれども、この九ページの一番下の方でございます、アンダーラインのところを御覧ください。七十五歳以上の後期高齢者の窓口負担についても、低所得者に配慮しつつ早急に原則二割とする方向で見直すべきであるというのが五団体共通の意見でございます。
最後に、繰り返しになりますけれども、制度の見直しは時間との闘いだというふうに考えております。政府案の成立、早期実施を心から願っております。また、健保組合は、保険者機能を発揮し、国民の安心と健康の基盤である皆保険制度を保険者の先頭に立って支えてまいりましたけれども、健保組合財政は厳しさを増しております。財政面も含めました支援を心からお願いを申し上げます。
先生方には引き続き御指導、御支援賜りますようお願い申し上げまして、結びといたします。
御清聴どうもありがとうございました。