吉岡尚志の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(吉岡尚志君) それでは、発言させていただきます。
 私は、日本高齢期運動連絡会代表委員の吉岡尚志です。
 日本高齢期運動連絡会は、高齢期問題の防止と改革、解決に向けた暮らしの共同を伴う高齢者自身の社会運動として、日本高齢者大会の開催など三十年以上の活動を積み上げてきています。今、国連と連携し、日本高齢者人権宣言を作り、来年中には確定するための議論を続けています。
 私は、この法案には反対の立場で発言をいたします。
 今、高齢者、特に後期高齢者は、正直怒っています。新型コロナへの対応が遅れ、外出規制が続き、医療が逼迫している中で、政府はオリンピック開催を強行しようとし、さらに、七十五歳以上の後期高齢者医療制度の医療費窓口負担、自己負担を二割化するというふうに言われています。それについて、国民の意見を聞く耳を持たず、法案審議も不十分なまま成立を強行しようとしていることに国民は正直怒っていると、憤っていると思うのです。
 七十五歳以上の後期高齢者医療制度の自己負担の実例を見たいと思います。この資料の終わりから二枚目のところでございますが、厳しい生活を強いられている独居高齢者の実例を見たいと思います。
 独り暮らしの女性、年収は二百五万、後期高齢者医療の保険料は、二〇二〇年、一年間で三万三千円、受益者一部負担金は三万九千円です。合計で七万二千円。一部負担が二割に引き上げられれば、三万九千円増えて十一万一千円になっていきます。さらに、介護保険料は年間七万九千円、これで十九万余りになります。
 このように、自己負担が多くなると皆さん心配で生命保険の掛金も増えると。これ全国平均では三十八万円とも言われています。このような例はたくさんある。
 後期高齢者医療制度の保険料と窓口一割を払って更に一割分の増額というのは、生活に深刻な影響を及ぼします。多額の介護保険料が年金から天引きされ、もし介護保険の給付を受けているならば、更に介護の一割から三割の一部負担金が上乗せされることになります。社会保障の負担の総額を見れば、個人の社会保障への負担の総額を見れば、負担の大きさ、事の深刻さ、これが実感できると思います。
 医療機関を受診する際には現場でどれだけ支払うことになるか、これは、一般の買物と違って患者がその金額を決めることはできません。余分にお金を用意して受診しなければならない、誰もが不安なのです。二百万円の年収で暮らしている高齢者にとっては、これだけ多くの出費が既にあって、その上、幾つもの疾患を持っていれば受診を抑制しかねない、自らが制御せざるを得ないというふうなことが心配されます。これに、賃貸住宅の場合は家賃が加算されることになります。
 次に、七十五歳以上の高齢者緊急アンケートについて御報告します。これは、このとじ込んである資料の二枚目以降です。
 先日、七十五歳以上高齢者緊急アンケートに取り組みました。高齢者の生活実態、七十五歳以上の自己負担二割化への生の声を集めて見える化するということで、三千二百人から集まりました。年収が二百万円になったら自己負担額が一割から二割になる方は二千四百二十六人、そのうち三割の方が、通院回数を減らす、受診科の数を減らす、薬の飲み方を自分で調整するなど、何らかの方法を、受診方法の変更を考えざるを得ないというふうに言っております。
 回答に見る特徴ですが、本人や配偶者に持病を持つ人、年金収入が少ない人、持家でなく家賃を支払っている人などでは切実な声があります。現役のときは忙しくて病気があってもなかなか医者通いはできない、退職して高齢になってやっと通うことができるよ、こういう人が多くいます。
 多くの高齢者は、国民として、納税者として、税金と健康保険料も介護保険料も律儀に払ってきております。通院回数を減らす、受診科を減らすだけでなく、全てを実行する人も多いというふうに思います。受診控えが起こることは明らかです。
 次に、主な意見についてはこちらの方にるる述べてありますので、時間の関係で省略させていただきます。四枚目、お寄せいただいた声。いずれにしても、非常に厳しい生活実態、それと高い医療費についての厳しい声が沸き上がっています。何とかしてくれというふうな声に満ち満ちているというふうに思います。
 最後に、今回の政策に対する意見を述べたいと思います。
 後期高齢者の医療制度の一割負担を二割に引き上げる政策は、審議を中止し、撤回すべきであるというふうに考えます。その理由は、一部負担金を一割から二割に引き上げることにより高齢者には受診控えが起こり、健康悪化、病状悪化の原因となり、高齢者の負担を増やすとともに、国民医療費や国の保健医療への支出を増やすことにつながります。一部負担を減らして、又はなくす、こういったこととともに、早期発見、早期治療、保健予防政策を進める、努める、これが大事だと考えます。
 早期発見、予防の重要性については、政府は後期高齢者医療制度の立法の趣旨においても、あるいは地域保健法の立法においてもそのことを強調しております。老人医療無料制度を有料化したときの老人保健制度においても、国は保健予防の重視に取り組むことを前提に定額の自己負担をやるというふうに言っておりましたが、その後、後期高齢者医療制度などを含めて国民の負担増にのみその具体化は努力されており、保健予防の政策と努力は極めて不十分であるというふうに考えます。老人保健制度の翌年には健康保険制度の、健康保険本人の十割給付の一割負担、自己負担も強行されたということもありました。
 いずれにしても、どんな健康づくりや保健予防に取り組み、どんな成果があったのか、課題は解決されてきたのか明確にすることは、政治と行政の責任であると思われます。立法府としてどう関わり、責任を果たしてこられたのでしょうか。
 先進国では、保険料の上に外来で大きな窓口負担を課すというふうなことはほとんどありません。これは、日本及び若干の国。窓口一部負担を増やすことが受診抑制をし、健康水準を引き下げるというふうなことが分かっているからだろうと思います。二百万円の暮らしでこれらの生活に耐えろというふうな、なのでしょうか。
 家族論が御専門の中央大学の山田教授は、将来、生涯未婚率が二五%にも及び、孤独死は年間二十万人にもなりかねないと予測しています。社会が不安定化しています。少ない収入、年金で暮らす物言わぬ国民、高齢者をむち打つような政治、政策は中止してください。
 当面、審議を止めること、国民とともに協議をすること、とりわけ高齢者の実情を把握し、意見を聞くことを強く求めます。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 吉岡尚志

speaker_id: 16540

日付: 2021-05-31

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会