鈴木秀洋の発言 (行政監視委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(鈴木秀洋君) 皆さん、こんにちは。日本大学、鈴木秀洋です。
 本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。資料に基づいて御説明させていただきます。
 まず、レジュメ一枚目を御覧ください。第一、本日の私、参考人意見としての立ち位置についてです。
 一つ目、中点がありますが、基礎自治体の立場からというふうにあります。私自身は、東京二十三区の文京区の文書、法務担当が出発点です。しばらく二十三区全体の訴訟、法律相談専門部、法務部にも籍を移していたときがありますので、一部広域自治体的視点も含みますが、基本的には基礎自治体の立場から見てきた景色が土台となります。
 二つ目が、行政組織の現場、マネジメントの立場からとあります。自治体の職員としての相談担当や管理職としてのマネジメント、庁内調整を行ってきた立場からの景色です。
 三つ目になります。現在の行政法、地方自治法の研究者、法学者としての立場からの発言となります。
 四つ目、最後になりますが、括弧内に子供、福祉、保健、災害等を記述しておりますが、私の職歴と関係した分野が現在の研究分野となっております。厚労省、内閣府、文科省科研の関係で全国の自治体調査を研究で訪れ、また電話、メール等を通じて行政担当者と意見を交わす中での研究の成果の一部を本日お話しさせていただければというふうに思います。
 レジュメの第二、市区町村、都道府県の現場の具体例からの分析、六点でございます。
 一つ目の指摘としまして、緊急事態宣言等による影響、関係機関の閉鎖等により起きたことになります。一言でまとめると、命に関わるような危険情報のキャッチができなくなった、潜在化、重篤化と言えます。
 次のページ、二枚目、おめくりください。
 児童福祉行政に関わる関係図という形で載せさせていただいております。十分御案内かと思いますので、簡単に説明だけさせていただきます。
 児童虐待等が起きたとき、この図の一番下、オレンジ色になってございますが、都道府県の仕事という枠の中にありますが、児童相談所が注目されます。なぜ一時保護をされなかったのか、警察との連携は不十分ではなかったのかと、そういった点がフォーカスされます。
 しかし、この図を見ていただければお分かりのように、実は市区町村の関与する部分というのは大きく、一番上の水色、紫の部分になりますが、子育て世代包括支援センター、いわゆる母子保健部門になりますが、この関わりが重要になります。さらに、緑色、真ん中の部分になりますが、市区町村子ども家庭総合支援拠点、これは市区町村の部署になりますが、平成二十八年、児童福祉法等改正で新設されました。この点が、右側のさらに紫のサークル、ネットワーク図がございますが、要保護児童対策地域協議会、皆さんよくお聞きになっていると思いますが、この要対協と言われる地域の様々なネットワーク資源、これを活用して、在宅支援、それのソーシャルワークを担う司令塔になっていくんだと、それで、その司令塔が子供の命を守るという形の制度設計になっております。この活用すべき地域の関係機関が、学校等の一斉休業又は緊急事態宣言等によって閉じてしまったということになります。
 これによりどのような影響が出たのかという分析でございます。レジュメの二ページ目の(1)、図の下の部分を御覧ください。
 一言で言うと、児童虐待相談対応件数の増加の鈍化と言えます。データという形で細かくそこに載せておりますが、厚労省のデータだと令和二年一月から八月の調べとありますが、簡単に説明させていただきますと、前年比二一%増という年間比較がございますが、明らかに緊急事態宣言後の相談対応件数、ここを見てみますと激減しております。例えば、四月八%増、五月二%減、六月一〇%増、七月六%減、八月二%減と、関係機関が閉じたことによる影響が大きいということが分かるかと思います。
 こうした状況下で、レジュメですと(2)になりますが、国の対応方針の発出がされます。子供の安全確認を行おうという国の姿勢、これは非常に有効だというふうに考えます。
 ただ、マイナスの部分もあったのではないかというところで指摘をさせていただきます。国は財政補助もしております。ただ、自治体現場としましては、追加的な財政的かつ人的支援措置が十分でなければ、この安全確認を徹底してやるというのは現存勢力の中で非常に困難だという声が上がっています。次の課題例にも挙げておりますが、報告を求めているところで形式的な安全確認になりがちになります。何かというと、安全確認というと、単に生きているかどうかというところの確認だけではなくて、子供たちの心の安全、安心、そのようなものもどうだったのかというところの確認が必要になってきます。
 ただ、具体的には、実際じゃどうやって安全確認をするかということになりますと、教員が保護者に電話を掛けたりして、お子さん大丈夫ですか、いますかというような形で終わらせないと、常にいるわけではないので、時間の調整とかもございますので、それをずっと繰り返していくというのはなかなか困難なことでありますので、保護者に確認をして、じゃ、いるんなら大丈夫ねというような形の、形式の安全確認が実際は行われていたという例が私の調査の中では分かっております。
 こうした中で、私自身、年度末から年度当初、五十七自治体程度、聞き取り調査というのも行っております。レジュメ二ページ、一番下の三行になりますが、上述に関連する主な五課題の抽出ということで五つほど挙げさせていただいております。
 一つ目になりますが、保育所、幼稚園、小中学校等の子供に関わる機関の休所、休校の課題、学校等の一斉休業等。レジュメをおめくりください。三ページになります。課題例、その間の子供と家族のストレスの増大、二つ目として教員側の教育計画、手法、授業をどうしたらいいか、給食はどうしたら、イベントは、又は日常学校生活の注意事項はという形での変更の模索、三つ目として休業明けの子供たちの様子の異変の報告、このようなものも挙がっています。休業明けでぼうっとしていたりとか、ずっと注意事項ばかりを聞いて、なかなか不安定になったというような声も上がっています。
 イ、保育園で事実上自粛の働きかけの項目です。これは課題例というところにございますが、地域による受入れ判断基準の相違とあります。これはどういうことかといいますと、エッセンシャル業務に限って預かるというような基準を設定する自治体とそうではない自治体、又は自粛期間もまちまちということになります。こういう設定は、働く親からしては非常に困ったというような声が上げられていました。もう少し統一的な基準や事前の協議でなされないかという声が多数上げられたところでございます。
 次に、イ、保健師等による自宅訪問、乳幼児全戸訪問事業の中止です。この事業というのは、こんにちは赤ちゃん訪問という形で広く聞かれているものだと思います。そこにも書かせていただきましたが、乳児家庭の孤立化を防ぐ重要な事業です。これについて、通知、省略しますが、ここに載せさせていただいた通知ではどのようなことが書いてあるかというと、中止をしなさいという形では国は通知は出していないですね。注意しながら行うようにとあるんですが、実際は相当数の自治体が中止をしております。
 また、三つ目のウ、要保護児童対策地域協議会、先ほどの図のサークルのところ、これも開催延期というのがされました。国の通知は、またここについても要対協を中心に安全確認を行うことを求めています。しかし、延期中止を求めて直接いるわけではないんですが、中止になっていると。これについて、米印で書いてありますが、両方とも国の方針が明確でなく、連日のさらにテレビ報道、新聞、自粛、自粛というような報道が担当者に与えた影響というのは大きいという調査分析をしております。
 四つ目のエ、四番目、保育所、介護施設等の職員保護の問題と住民サービスとの相克です。感染対策が十分でない中で、身体接触が不可避の職務について優先的感染対策が行われていなかった。初期のところは、そうですね、マスクが十分ではないとか感染のアルコールがないと、そのような状況の中で、そこで対応していた職員からすると、不十分な中での保育、介護職員の離職が増という形は各職場からヒアリングで聞いたところです。
 五つ目、オ、職員の、自宅リモートワークによる職員の登庁制限による職務遂行の停滞と、特に外部の関係機関、部署があるところは影響が受けております。今後は、受けないようなリモート職場、環境の整備というのが必要なんでしょうが、課題に挙げさせていただいたように、児童相談所側としては問題ないですよとヒアリング結果があるんですが、市区町村側から聞いてみると、児童相談所のローテーション勤務によって一時保護の求めの停滞があったというような報告もあるところです。
 続いて、二つ目の指摘です。特別定額給付金支給事務、今現在ですとワクチンの接種事務も同じことが当てはまると考えます、それが起きたこと。
 一言で言うと、緊急、膨大な業務量の増加と他業務の実質サービスの低下になります。課題例に挙げましたが、通常のサービス提供をしながら新しい担当組織、職場を設けなければならない、これは大変な業務量の負担になります。迅速な①人、②金、③物、場所の調達、④情報発信、⑤法整備の必要、このようなものというのが、かなりの経費、労力と経費が必要になってくると。
 簡単に、市区町村に補助がなされるので、できるであろうというところについては、給付が遅いと自治体を糾弾するようなコメント、又は順位付けをしてホームページにアップするというようなこともありました。これは、住民視点からはそのとおりなのかもしれませんが、責任を市区町村のみに押し付けている国、都道府県の態度に非常に怒りを覚えるというのが、私が調査した百の市区町村担当者に聞いて一〇〇%同じ意見です。こうした上での事務負担の押し付けと言えるような事務執行のさせ方、非常に問題だというふうに考えております。
 レジュメ四ページお開きください。
 三点目の指摘、感染対策で出された、時間が、済みません、申し訳ない。ごめんなさい、時間がなくなって。
 三つ目の指摘、感染対策で出される国や都道府県の方針や通知確認の困難さというところで、この点については、二方向から来る、国からも来ますよ、都道府県からも来ますよということで、住民発信を行うのは相当の労力、それを整理して国の報告と都道府県の報告の両者を併せて考えていくというのが非常に労力を得るところだというところになります。
 課題のところになりますが、都道府県はもう少しバックアップの役割を果たすべきではないかというふうに書かせていただいています。子ども家庭総合支援拠点の例というのもありますが、県としてのバックアップ例がいい自治体というので挙げさせていただいております。そのほか、課題の、方針変更、新しい発出がなされると、やる気もあり意欲もある先行自治体というのを阻害する場合があります。先行の優遇措置、インセンティブ措置というのができないかというところの提言をさせていただいております。
 (2)国の方針決定と通知文、これについてはちょっと厳しい言い方でレジュメに書いてありますが、抽象度、変更がした、重ねた部分の難解さ、事務の膨大さというところがございます。その次のところにありますが、(3)通知を出しっ放しにしない通知の詳細フォローと効果測定の促進を望むというふうに書かせていただいています。
 四点目の指摘になります。各省庁が示すデザインというのが総合行政を担う市区町村にゆがみを生じさせていることがあるというところで、この指摘にとどめさせていただきます。
 次のレジュメのところでございますが、コロナの中での災害対応ということで、五ページのところに飛ばさせていただきます。
 コロナの中での災害対応というところですと、避難所の不足というのもございます。現在、市区町村としては増やす努力はしておりますが、限界があります。私が問題提起させていただくのは、一点、そこに書いてありますが、(2)のところですね、避難行動の段階では指針が示されています。避難所に行った後については、要配慮者の連動、避難所の制度設計、福祉避難所をどうするかというところがあります。ここが二つ分かれていて、自治体のところですと、避難をさせるところは防災セクション、避難した後については福祉セクションという形のところでの対応になっています。このところが現場でのずれを生じさせています。
 福祉避難所についてのところになりますが、主に今まで福祉避難所が機能した例は、私の調査の限りではございません。どういったところかというと、一般の避難所での申出をしてスクリーニングを掛けて移送をしてと、そこが全てボトルネックにつながってくるというところがあります。この点、大きいのは、ガイドライン、国の指針が変わらないとその点についての対応が難しいと、自治体の声がございます。
 六番目は省略させていただきます。
 最後、時間の関係で、六ページのところを見ていただいて、じゃ、どういう形の視点が必要なのか、簡単に項目だけ説明させていただきます。
 住民視点の徹底というところ、二番目、住民に一番近い最前線の市区町村に権限、財源をというところになっています。ただ、私自身、自治法の研究者、行政法の研究者ですが、何でもかんでも常に自治体が権限を持てばいいということではなく、やっぱりその点についての調整は必要だというふうに考えております。
 七ページ目、レジュメ、国と都道府県の役割の再構成、これが必要だというふうに考えております。
 七ページ四番目、今必要な市区町村の役割、努力ということで、市区町村側にも当然、BCPの策定又はパラダイムシフトによる住民サービスの向上、このようなものが必要だと思います。

発言情報

speech_id: 120414281X00220210419_005

発言者: 鈴木秀洋

speaker_id: 29144

日付: 2021-04-19

院: 参議院

会議名: 行政監視委員会