榎本浩之の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(榎本浩之君) 御質問いただいた件に関しては、科学という、私、科学分野ですので、極地研究の特徴を踏まえながら御説明したいと思います。
日本の科学技術、北極の中でどういう役割を果たせるか、ACですとかいろいろな、各国が競って、中国、ロシア、米国、いろんなプロジェクト、EUとかありますけど、その中で日本の特に特徴、特質をちょっと御説明したいと思います。
「しずく」衛星ですとか、海洋研究開発機構の「みらい」といった進んだ研究船あります。あと、いろいろな計測設備も日本は持っているんですけれども、それから出てくるデータをどう提供しているかというところに日本の特質があります。
「しずく」衛星のデータは世界に公開されています。「みらい」の観測は、実は、今年、今年度は感染症の影響で各国が北極観測を諦めました。その中で、今年から始まる予定だった観測計画、どこかの国が行って活動していることが期待されたんですけれども、日本とあと僅かな国だけ徹底的にその準備をしまして、安全航海を期して日本は参加してきて、今年の欠測を防ぐということをやっています。
そういった地道な努力、それが北極の大事なデータを支えているというのがあります。そういったデータの公開性というものがありまして、そこが日本の信頼を生み出しているところなんですけれども、例えばブラックカーボンという汚染物質がありますけれども、実は、アメリカとか海外で既にたくさんの研究が行われていましたけれども、皆さんの意見が分かれていました。どれが正解か分からない。そのときに、日本の優れた測器が登場しまして、それぞれを比べるという作業をしました。自分の測器が違っていると言われると大体皆さん気分を害するんですけれども、そうではなくて、日本の測器に合わせて全体を統合して北極全体のマップを描こうという機運がそこで生まれました。その調整役として日本の観測機器が働いたというところがあります。
あと、北極評議会は八か国、沿岸国は五か国、日本はそれからは遠いんですけれども、遠いと不利かというと、そうではない面があります。北極の当事国は、自分の国の中でひょっとすると有利な情報を出すかもしれない、それを科学的に高い精度を持つ信頼できる国民がやってきて出した結果というのは、実はそこの当事国よりも中立性が高くて、科学的にも正確であるということで、それを参照するということが生まれています。
ということで、第三者として北極に入ってきて、大切なアセスメントを出しているというふうなところの活動に入っていっているというところで、日本の参加が期待されているというところがありました。
今のところは自然科学の話なんですけれども、人文社会、人類学、先住民の暮らしはどうだったか、あと、今彼らは何で悩んでいて、日本はどこに貢献できるかというところは行ってすぐに分かるものではないんですけれども、実は日本の人類学者、かなり、十年、二十年の時間を掛けて現地に入り込んでデータを集めている方がいます。そういった人たちは現地の社会にも溶け込んでというか、信頼を受けていまして、日本人の研究者とのやり取りということは既にかなり蓄積があります。
今回の新しいArCSⅡプロジェクトなどにもその専門家が入っていまして、現地が本当に望んでいるもの、技術とかお金とかデータだけではない、本当に理解してもらいたいというところに接近するような活動を日本はできているというところが特徴としてあります。
次世代に続けるには、そういった活動を現地に閉じないで日本に持って帰ってこないといけないので、やはり教育とかアウトリーチは大変重要なところだと考えています。
以上です。