国際経済・外交に関する調査会
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会
会議録情報#0
令和三年二月十日(水曜日)
午後一時開会
─────────────
委員氏名
会 長 鶴保 庸介君
理 事 今井絵理子君
理 事 柘植 芳文君
理 事 丸川 珠代君
理 事 川田 龍平君
理 事 三浦 信祐君
理 事 柳ヶ瀬裕文君
理 事 上田 清司君
理 事 伊藤 岳君
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
金子原二郎君
中西 祐介君
二之湯 智君
山田 修路君
吉川ゆうみ君
小沼 巧君
木戸口英司君
熊谷 裕人君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
里見 隆治君
高橋 光男君
伊波 洋一君
─────────────
委員の異動
一月十八日
辞任 補欠選任
木戸口英司君 ながえ孝子君
二月八日
辞任 補欠選任
伊波 洋一君 高良 鉄美君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
今井絵理子君
柘植 芳文君
丸川 珠代君
川田 龍平君
三浦 信祐君
柳ヶ瀬裕文君
上田 清司君
伊藤 岳君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
金子原二郎君
中西 祐介君
二之湯 智君
山田 修路君
吉川ゆうみ君
小沼 巧君
熊谷 裕人君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
里見 隆治君
高橋 光男君
高良 鉄美君
ながえ孝子君
事務局側
第一特別調査室
長 清野 和彦君
参考人
早稲田大学国際
教養学部学部長
・教授 池島 大策君
国立極地研究所
副所長 榎本 浩之君
株式会社商船三
井LNG船部長 濱崎 和也君
─────────────
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利
活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる
諸課題及び取組の在り方(極域をめぐる諸課題
への取組)について)
─────────────
この発言だけを見る →午後一時開会
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委員氏名
会 長 鶴保 庸介君
理 事 今井絵理子君
理 事 柘植 芳文君
理 事 丸川 珠代君
理 事 川田 龍平君
理 事 三浦 信祐君
理 事 柳ヶ瀬裕文君
理 事 上田 清司君
理 事 伊藤 岳君
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
金子原二郎君
中西 祐介君
二之湯 智君
山田 修路君
吉川ゆうみ君
小沼 巧君
木戸口英司君
熊谷 裕人君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
里見 隆治君
高橋 光男君
伊波 洋一君
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委員の異動
一月十八日
辞任 補欠選任
木戸口英司君 ながえ孝子君
二月八日
辞任 補欠選任
伊波 洋一君 高良 鉄美君
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出席者は左のとおり。
会 長 鶴保 庸介君
理 事
今井絵理子君
柘植 芳文君
丸川 珠代君
川田 龍平君
三浦 信祐君
柳ヶ瀬裕文君
上田 清司君
伊藤 岳君
委 員
朝日健太郎君
猪口 邦子君
小野田紀美君
金子原二郎君
中西 祐介君
二之湯 智君
山田 修路君
吉川ゆうみ君
小沼 巧君
熊谷 裕人君
田島麻衣子君
横沢 高徳君
里見 隆治君
高橋 光男君
高良 鉄美君
ながえ孝子君
事務局側
第一特別調査室
長 清野 和彦君
参考人
早稲田大学国際
教養学部学部長
・教授 池島 大策君
国立極地研究所
副所長 榎本 浩之君
株式会社商船三
井LNG船部長 濱崎 和也君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際経済・外交に関する調査
(「海を通じて世界とともに生きる日本」のう
ち、海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利
活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる
諸課題及び取組の在り方(極域をめぐる諸課題
への取組)について)
─────────────
鶴
鶴保庸介#1
○会長(鶴保庸介君) ただいまから国際経済・外交に関する調査会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る八日までに、木戸口英司君及び伊波洋一君が委員を辞任され、その補欠としてながえ孝子君及び高良鉄美君が選任されました。
─────────────
この発言だけを見る →委員の異動について御報告いたします。
去る八日までに、木戸口英司君及び伊波洋一君が委員を辞任され、その補欠としてながえ孝子君及び高良鉄美君が選任されました。
─────────────
鶴
鶴保庸介#2
○会長(鶴保庸介君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鶴
鶴保庸介#3
○会長(鶴保庸介君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鶴
鶴
鶴保庸介#5
○会長(鶴保庸介君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →国際経済・外交に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鶴
鶴
鶴保庸介#7
○会長(鶴保庸介君) 国際経済・外交に関する調査を議題といたします。
本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方」に関し、「極域をめぐる諸課題への取組」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、早稲田大学国際教養学部学部長・教授池島大策君、国立極地研究所副所長榎本浩之君及び株式会社商船三井LNG船部長濱崎和也君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、池島参考人、榎本参考人、濱崎参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず池島参考人からお願いをいたします。池島参考人。
この発言だけを見る →本日は、「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、「海洋資源・エネルギーの確保など海洋の利活用及び開発の在り方並びに海洋環境をめぐる諸課題及び取組の在り方」に関し、「極域をめぐる諸課題への取組」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
御出席いただいております参考人は、早稲田大学国際教養学部学部長・教授池島大策君、国立極地研究所副所長榎本浩之君及び株式会社商船三井LNG船部長濱崎和也君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げたいと思います。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、池島参考人、榎本参考人、濱崎参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきをいただきたいと思います。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず池島参考人からお願いをいたします。池島参考人。
池
池島大策#8
○参考人(池島大策君) 早稲田大学の池島でございます。よろしくお願いします。
本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、早速意見陳述に入ります。(資料映写)
まず、テーマとしましては、極域をめぐる国際的秩序の現状と課題ということでお話をさせていただきますが、その前に、アウトラインとしまして、南極、北極の順で、それぞれ四対六ぐらいの割合で、北極を中心にその国際的秩序をお話しさせていただきます。それぞれにつき、我が国のいわゆる政策、特に北極の方については北極政策における課題と提言のようなものをお話しさせていただければと思います。詳細や補足は、質疑の中で行う機会があればそちらの方でさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、まず初めに、ここにあります極域の地理的特性ということで、二枚の地図をそれぞれ挙げさせていただきました。どの地図も何らかの意味合いをそれぞれ含んでおりますが、南極と北極、同じ極域と言われるところでも、要するに地理的な大きな違いは、北極が氷に覆われた海、海洋、海域であるというのに対して、南極は氷に覆われた陸の塊、陸塊、陸であると、この違いが大きい。そして、これに対するその歴史的由来とかその国際的な秩序の在り方、これが当然変わってくるというところをお話しさせていただくつもりであります。それにつき、それぞれに南極政策、北極政策、日本のものを、それぞれ課題と提言という形でまとめさせていただきます。
では最初に、南極の方から入らせていただきます。
この地図をまず御覧ください。
ここにございますものは何を示しているかと。大陸であるということ以外に、南極をめぐってはその領土獲得の動きというのが戦前からございました。そういう国々が争ってきたと、そこで対立が生まれたという現状があって、その秩序をやっぱりつくらなければいけないということから、南極条約というものが一九五九年できたわけであります。この南極条約を中心とした秩序体制があるというのが南極における大きなポイントでございます。
これは、ここにございますように、日本も一九五九年当初から入っている国際的な条約。元々は十二の署名国、最初から入っていた国があるんですが、その七か国、これらの国々は、自国の領土であるという領土主権の主張、クレームですね、そういうものを展開してきた国としているわけですが、それ以外に、それを認めない国というのもあり、また潜在的に自国のクレームを保持していると言われる国々もあると。こういった十二の国々がそれぞれの思惑を秘めて、お互いの立場を認めつつ南極条約というものを作り、これまで育んできたわけであります。
その基本原則は、ここにある四つであります。平和的利用、科学活動の自由と国際協力、一つ飛ばしますが、非軍事化といった流れの中で、この三番目の領土請求権の凍結、これが一番大きなものとして実は隠れています。つまり、七か国は自分の国の請求権を凍結しておく、主張しないということをもって、平和的に使うということを約束し合ったわけです。
実際には、協議国と呼ばれる一定の実質的な科学的研究活動を実施している国々が特別な地位を与えられて運営をしてきております。そうでない協議国も二十五、すなわち、二十九の協議国と二十五の非協議国が勧告その他のいろんな措置を採択して運営をしてきている。
先ほど述べた基本的な原則を守る、それを実際に担保するために査察の制度というのを置き、お互いに履行の確保を図っていると。しかも、二〇〇一年になっては、これは大体四十年ぐらいですかね、たってから事務局を設置して、いわゆる組織化ということが進んでいるという点で特徴的です。南極条約体制と呼ばれるような形に大分組織化が進んできました。様々なここに挙げてある条約、それをお互いに採択、そして作るということによりまして南極を運営していくという努力がこれまでなされてきたわけです。
大きな特徴は、最初は生物資源、そういったものを中心に守ろうという動きだったのが、一時的に鉱物資源の思惑が国々に出てきたと、しかし、それはまずいという動きがやっぱり八〇年代、そして九〇年代初頭までに出てきたために、今では環境保護、この動きが非常に強くなり、南極においても環境保護ということが中心になってまいりました。
では、日本はどのように対応してきたかということが次のお話です。
日本は、原署名国として最初からこの南極条約体制を、参加して積極的に活動してきた国の一つです。その中には、観測のための基地を設置して科学的な調査活動を行ったり、関連法規、そういうものを国内的に準備して、輸送協力に当たっては、「宗谷」、「ふじ」、「しらせ」、二代目の「しらせ」といった形で観測船を持ち、独自の調査をしてきております。また、環境保護についても、国内法を担保してきちんと対応してきていると。
このような非常に組織立った計画的、かつ非常に国としてきちんとした政策の下に行われてきたのが南極であります。組織化、そして国際化が南極条約体制でも進んでいるということが特徴であります。
では、次に北極の方ですが、これはどうでしょうか。
こちらの方は、この図ちょっと分かりにくいんですが、何を言っているかというと、真ん中の辺に青い、実は薄い青い部分が小さく一か所、二か所あります。それ以外は何か色が付いていたり、また斜線が入っている。これはどういうことか。これは、沿岸国というものがあって、北極海は氷に覆われているが、その沿岸国があり、その国の権限が何らかの形で及ぶ、そして、海域の部分は、公海、公の海の部分は非常に限られているという現実であります。
これをまず頭に入れた上で、では、北極の国際的秩序を見てまいります。
まず、今述べた地理的特性については、氷結海、氷の、凍った海ということなんですが、それをめぐる八つの利害関係国があるという現実です。ここは五つの沿岸国、カナダ、グリーンランドが代表されるデンマークですね、デンマーク領であるグリーンランド、ノルウェー、ロシア、そして米国、アメリカですが、アメリカはアラスカが北極海に臨んでいると。これに対して、三つの非沿岸諸国としてフィンランド、アイスランド、スウェーデンは、このいわゆる北極圏の中に入る非常に利害関係を有する国ということで、この北極圏内、北極海をめぐっては非常に活発な活動をこれまでもしてきたということです。
では、この地域において、これはある種北極の部分のローカルな話のところになってしまうんですが、主な法的な枠組みとしては、ここにありますような国際海洋法、海に関しては海洋法を適用すると。すなわち、一九八二年の国連海洋法条約、UNCLOS、そして慣習法といったものを、凍った海なんですが、凍っている、陸地に近いとも言われていますが、一応適用するんだという考え方ですね。
逆に言うと、実は北極条約なるものは存在しない。南極と違って、南極は南極条約、そしてそれが発展した南極条約体制があるが、北極には北極を一元的に管理運営するような北極条約というものはまだないということなんですね。一九九六年に、実は北極評議会、AC、アークティックカウンシルですが、これが設立されました。これは、設立されたんですが、その意味はまた後でちょっと述べさせていただきますが、普通の国際組織とか国際機関というようなものとはちょっと違うというところが大きなところであります。ただし、いろんな条約、ここに述べてある少なくとも四つの事項については、このACが非常に主導的な役割を果たして、何らかの規律する合意をこれまでも結んできているということです。
一番最後のところに出ております各沿岸国の国内法令、これも一つ大きな法的枠組みの中に考えられております。なぜかというと、やはり、その沿岸国五つある、これらの国が、自国のその沿岸を氷が解けたときに外国船舶が通航するということが実際に行われてくるようになったというのもある。そうすると、そのためにやはり環境保護とか航路に関する規制というものを行うようになって、とりわけロシアやカナダということ、それぞれの国については、ロシアはいわゆる北極海航路、ノーザンシールートですね、NSR、カナダについてはノースウエストパッセージという北西航路、これらを規制するような動き、この国内法令がその船舶、外国船舶の通航に非常に大きな影響を及ぼすような状況が出てきているということです。
では、なぜそういった動きがあるか。一番の大きな点は、そのやはり領土、海域画定をめぐってという動きなんですが、幸いなことに、大きな問題は今のところ、直接的な紛争ということはありません。あるとすれば、資源開発、鉱物資源、特に液化天然ガスとか、それから石油といったもの、開発はむしろ協力的に行おうと、そして航路の開発もそれぞれの国が協力して行うということになっているんですが、要するに、関係二国間で、隣の国同士で話合いで解決するというような話とか、国連という場を使って、例えばロシア、ノルウェー、デンマーク、カナダは大陸棚の延長といったものを国連海洋法条約、UNCLOSに基づいて申請するという形で解決を図ってきているというふうなのが現状です。
また、このAC、アークティックカウンシル、北極評議会は、言わばハイレベル政府間のフォーラム、話合いの場です。いわゆる国際組織とはちょっとまた性格が違います。全会一致で話合いを進め、そして隔年で持ち回りで進めるという形になっています。しかも、当事者となるものは、八つの加盟国、先ほど申し上げた八つの国以外に、いわゆる常時参加者と呼ばれる先住民族構成団体というようなものが六つほど認められています。これは国とはまた別の団体というふうな形です。それ以外に、多彩なオブザーバーというものもこの北極評議会に参加できる一定の地位を最近得ています。中でも、元々ヨーロッパの国々が大きかったんですが、イギリス、フランスその他ですね、アジア、アジア諸国の中でも、ここにあります中国、インド、日本、韓国、そしてシンガポールといったものが北極の航路だとか資源開発その他を考えてオブザーバーの地位を得ると。
ただ、このAC、北極評議会は、元々持続可能な開発と環境保護ということにだけ絞ってみんなで話合いをしましょうというのが目的だったんですね。逆に、軍事や安全保障は除きましょうということが当初から話合いがされてきました。そのように、了解の上にこのACが設立されてきたということです。
では、我が国の対応はどのような形だったか。それは、ここにありますような主要な科学調査、観測事業というものを実施し、この十年ぐらいにおいては、GRENEと呼ばれるものやArCS、そしてArCSⅡといったものを、五年置きぐらいに観測事業を、政府その他の基金から出て科学的な活動を行ってきております、今、ArCSⅡというのが始まっておりますが。それ以外にも、北極評議会でのステータス、オブザーバーのステータスを得るために外交努力を続けてきました。
しかも、二〇一五年には我が国の北極政策というものが発表されて、公表され、その中で我が国の立場が明らかになり、そして、それを何年か置きに、海洋基本計画又は総合海洋政策本部の意見書等を採択して北極政策を練り直すということが行われてきたわけです。
じゃ、その政策の中身は何か。これ三つ、三本柱ありまして、持続的利用、研究開発、国際協力、こういうことで日本は政策を遂行していくということです。これの細かいところは一々取り上げませんが、このように日本も、この十年以内ですね、ようやく本格的に北極政策を遂行するようになってきたというところであります。
南極の方が大分先に行っておりまして、北極はもちろん科学的な活動として調査や観測というのもなかなかの歴史はあるんですが、北極の、比べるとこれからという点があると思います。
では、終わりにというところで、課題と展望を述べさせていただきたいと思います。南極と北極につき、それぞれ国際的な側面と我が国の側面というところでお話をさせていただきます。
南極につきましては、このATS、アンタークティック・トリーティー・システムの略ですが、南極条約体制、これの課題としては、その持続可能性、この体制がいつまでも続いて、南極大陸が平和裏に自由な科学調査、国際協力が進められる場として維持できるか、それが大きな課題です。
今のところ、喫緊の課題は環境保護と観光の規制です。やはり環境保護の動きというのは、ここ数十年、大分大きなものになりました。それについて、厳しい環境保護対策、これが要求される。ただし、それは平和的な利用というものがあってのことなので、査察という制度によって検証を重ねているという努力が数十年来ずうっと行われてきているのが南極条約体制です。
我が国としましては、やはり観測事業を持続的に行い、科学活動、調査活動における国際協力を進めることによって国際的にも学術的な貢献を強めていく、こういうことが今後とも期待されているというところです。
これに対して、北極の方ですね、これのまず国際的な側面を申し上げますと、ここにありますように、AC、アークティックカウンシル、すなわち北極評議会、これが更に組織化されていくのかどうかということが大きな今後の論点になる。
それはどういうことかというと、先ほども申し上げましたように、北極条約体制というものができるのかできないのか。少なくとも、沿岸諸国は、五つありますが、これらは、必要ない、国連海洋法条約を始めとした海洋法だけで規律していける、秩序をつくっていけるという中で、実は、次の点ですね、環境保護と資源開発、このバランスをどう取っていくかによって国々の思惑がいろいろと変わってくるということです。
しかも、ステークホルダーの多様化と書きましたが、この北極には、やっぱり国々だけじゃなくて、オブザーバーとか、それから先ほど言った常時参加者といった国ではないような原住民族の組織体というものも入ってきます。しかも、最近は、米中ロの三か国、このトライアングルがどのような形で、要するに三角形、三か国のパワーバランス、これがどのように取られるかというのが北極にも影響を及ぼす、これについては非常に注目が高まっております。
最後に、では、国内的な課題というところを申し上げさせていただきます。
まず、今日の一番の大きい私が申し上げたいところは、やはり北極評議会での存在感、そういったものを向上させるためには、やっぱり国民的な理解、支持、これをちゃんと得られるか、北極政策を行うに当たって日本がそのような国民的理解、後押しを受けて政策を遂行できるかということだと思います。
二つ目、すなわち、民間が主体となって、例えば航路の開発、航路の利用ということに関わっていけるか。国が旗を振る、そして国がそういうことに関与するのはいいんですが、実際に使うのは商船会社だったり、また保険会社。そして、外交官だけでなく民間人の大使を起用するなど、民間も関わってやはりそういう外交活動を、国として政策を行っているんだというところがないとなかなか難しいんではないか。やはり国民としては距離がある、北極までに距離があるなということを感じるかもしれません。
もちろん科学者が非常に貢献しているのはあって、一番最後に、ArCSⅢというのが今後あるのかどうか。すなわち、南極のように五年置きにこういうものが、観測事業が、組織化が進んでいくのかどうかということがまた問われることになります。
そのちょっと具体的な話としては、やはりお金の掛かる話です、観測船ですね。北極で砕氷能力の高い北極船、そういうものを建造する必要があるのかどうか。そのためには、国民の理解を得て、タックスペイヤーである国民がそういうものが必要だということが果たして得られる、そういう理解を得られるかを考えていただければと思います。
以上、私の方から意見陳述させていただきました。本日はどうもありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、早速意見陳述に入ります。(資料映写)
まず、テーマとしましては、極域をめぐる国際的秩序の現状と課題ということでお話をさせていただきますが、その前に、アウトラインとしまして、南極、北極の順で、それぞれ四対六ぐらいの割合で、北極を中心にその国際的秩序をお話しさせていただきます。それぞれにつき、我が国のいわゆる政策、特に北極の方については北極政策における課題と提言のようなものをお話しさせていただければと思います。詳細や補足は、質疑の中で行う機会があればそちらの方でさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、まず初めに、ここにあります極域の地理的特性ということで、二枚の地図をそれぞれ挙げさせていただきました。どの地図も何らかの意味合いをそれぞれ含んでおりますが、南極と北極、同じ極域と言われるところでも、要するに地理的な大きな違いは、北極が氷に覆われた海、海洋、海域であるというのに対して、南極は氷に覆われた陸の塊、陸塊、陸であると、この違いが大きい。そして、これに対するその歴史的由来とかその国際的な秩序の在り方、これが当然変わってくるというところをお話しさせていただくつもりであります。それにつき、それぞれに南極政策、北極政策、日本のものを、それぞれ課題と提言という形でまとめさせていただきます。
では最初に、南極の方から入らせていただきます。
この地図をまず御覧ください。
ここにございますものは何を示しているかと。大陸であるということ以外に、南極をめぐってはその領土獲得の動きというのが戦前からございました。そういう国々が争ってきたと、そこで対立が生まれたという現状があって、その秩序をやっぱりつくらなければいけないということから、南極条約というものが一九五九年できたわけであります。この南極条約を中心とした秩序体制があるというのが南極における大きなポイントでございます。
これは、ここにございますように、日本も一九五九年当初から入っている国際的な条約。元々は十二の署名国、最初から入っていた国があるんですが、その七か国、これらの国々は、自国の領土であるという領土主権の主張、クレームですね、そういうものを展開してきた国としているわけですが、それ以外に、それを認めない国というのもあり、また潜在的に自国のクレームを保持していると言われる国々もあると。こういった十二の国々がそれぞれの思惑を秘めて、お互いの立場を認めつつ南極条約というものを作り、これまで育んできたわけであります。
その基本原則は、ここにある四つであります。平和的利用、科学活動の自由と国際協力、一つ飛ばしますが、非軍事化といった流れの中で、この三番目の領土請求権の凍結、これが一番大きなものとして実は隠れています。つまり、七か国は自分の国の請求権を凍結しておく、主張しないということをもって、平和的に使うということを約束し合ったわけです。
実際には、協議国と呼ばれる一定の実質的な科学的研究活動を実施している国々が特別な地位を与えられて運営をしてきております。そうでない協議国も二十五、すなわち、二十九の協議国と二十五の非協議国が勧告その他のいろんな措置を採択して運営をしてきている。
先ほど述べた基本的な原則を守る、それを実際に担保するために査察の制度というのを置き、お互いに履行の確保を図っていると。しかも、二〇〇一年になっては、これは大体四十年ぐらいですかね、たってから事務局を設置して、いわゆる組織化ということが進んでいるという点で特徴的です。南極条約体制と呼ばれるような形に大分組織化が進んできました。様々なここに挙げてある条約、それをお互いに採択、そして作るということによりまして南極を運営していくという努力がこれまでなされてきたわけです。
大きな特徴は、最初は生物資源、そういったものを中心に守ろうという動きだったのが、一時的に鉱物資源の思惑が国々に出てきたと、しかし、それはまずいという動きがやっぱり八〇年代、そして九〇年代初頭までに出てきたために、今では環境保護、この動きが非常に強くなり、南極においても環境保護ということが中心になってまいりました。
では、日本はどのように対応してきたかということが次のお話です。
日本は、原署名国として最初からこの南極条約体制を、参加して積極的に活動してきた国の一つです。その中には、観測のための基地を設置して科学的な調査活動を行ったり、関連法規、そういうものを国内的に準備して、輸送協力に当たっては、「宗谷」、「ふじ」、「しらせ」、二代目の「しらせ」といった形で観測船を持ち、独自の調査をしてきております。また、環境保護についても、国内法を担保してきちんと対応してきていると。
このような非常に組織立った計画的、かつ非常に国としてきちんとした政策の下に行われてきたのが南極であります。組織化、そして国際化が南極条約体制でも進んでいるということが特徴であります。
では、次に北極の方ですが、これはどうでしょうか。
こちらの方は、この図ちょっと分かりにくいんですが、何を言っているかというと、真ん中の辺に青い、実は薄い青い部分が小さく一か所、二か所あります。それ以外は何か色が付いていたり、また斜線が入っている。これはどういうことか。これは、沿岸国というものがあって、北極海は氷に覆われているが、その沿岸国があり、その国の権限が何らかの形で及ぶ、そして、海域の部分は、公海、公の海の部分は非常に限られているという現実であります。
これをまず頭に入れた上で、では、北極の国際的秩序を見てまいります。
まず、今述べた地理的特性については、氷結海、氷の、凍った海ということなんですが、それをめぐる八つの利害関係国があるという現実です。ここは五つの沿岸国、カナダ、グリーンランドが代表されるデンマークですね、デンマーク領であるグリーンランド、ノルウェー、ロシア、そして米国、アメリカですが、アメリカはアラスカが北極海に臨んでいると。これに対して、三つの非沿岸諸国としてフィンランド、アイスランド、スウェーデンは、このいわゆる北極圏の中に入る非常に利害関係を有する国ということで、この北極圏内、北極海をめぐっては非常に活発な活動をこれまでもしてきたということです。
では、この地域において、これはある種北極の部分のローカルな話のところになってしまうんですが、主な法的な枠組みとしては、ここにありますような国際海洋法、海に関しては海洋法を適用すると。すなわち、一九八二年の国連海洋法条約、UNCLOS、そして慣習法といったものを、凍った海なんですが、凍っている、陸地に近いとも言われていますが、一応適用するんだという考え方ですね。
逆に言うと、実は北極条約なるものは存在しない。南極と違って、南極は南極条約、そしてそれが発展した南極条約体制があるが、北極には北極を一元的に管理運営するような北極条約というものはまだないということなんですね。一九九六年に、実は北極評議会、AC、アークティックカウンシルですが、これが設立されました。これは、設立されたんですが、その意味はまた後でちょっと述べさせていただきますが、普通の国際組織とか国際機関というようなものとはちょっと違うというところが大きなところであります。ただし、いろんな条約、ここに述べてある少なくとも四つの事項については、このACが非常に主導的な役割を果たして、何らかの規律する合意をこれまでも結んできているということです。
一番最後のところに出ております各沿岸国の国内法令、これも一つ大きな法的枠組みの中に考えられております。なぜかというと、やはり、その沿岸国五つある、これらの国が、自国のその沿岸を氷が解けたときに外国船舶が通航するということが実際に行われてくるようになったというのもある。そうすると、そのためにやはり環境保護とか航路に関する規制というものを行うようになって、とりわけロシアやカナダということ、それぞれの国については、ロシアはいわゆる北極海航路、ノーザンシールートですね、NSR、カナダについてはノースウエストパッセージという北西航路、これらを規制するような動き、この国内法令がその船舶、外国船舶の通航に非常に大きな影響を及ぼすような状況が出てきているということです。
では、なぜそういった動きがあるか。一番の大きな点は、そのやはり領土、海域画定をめぐってという動きなんですが、幸いなことに、大きな問題は今のところ、直接的な紛争ということはありません。あるとすれば、資源開発、鉱物資源、特に液化天然ガスとか、それから石油といったもの、開発はむしろ協力的に行おうと、そして航路の開発もそれぞれの国が協力して行うということになっているんですが、要するに、関係二国間で、隣の国同士で話合いで解決するというような話とか、国連という場を使って、例えばロシア、ノルウェー、デンマーク、カナダは大陸棚の延長といったものを国連海洋法条約、UNCLOSに基づいて申請するという形で解決を図ってきているというふうなのが現状です。
また、このAC、アークティックカウンシル、北極評議会は、言わばハイレベル政府間のフォーラム、話合いの場です。いわゆる国際組織とはちょっとまた性格が違います。全会一致で話合いを進め、そして隔年で持ち回りで進めるという形になっています。しかも、当事者となるものは、八つの加盟国、先ほど申し上げた八つの国以外に、いわゆる常時参加者と呼ばれる先住民族構成団体というようなものが六つほど認められています。これは国とはまた別の団体というふうな形です。それ以外に、多彩なオブザーバーというものもこの北極評議会に参加できる一定の地位を最近得ています。中でも、元々ヨーロッパの国々が大きかったんですが、イギリス、フランスその他ですね、アジア、アジア諸国の中でも、ここにあります中国、インド、日本、韓国、そしてシンガポールといったものが北極の航路だとか資源開発その他を考えてオブザーバーの地位を得ると。
ただ、このAC、北極評議会は、元々持続可能な開発と環境保護ということにだけ絞ってみんなで話合いをしましょうというのが目的だったんですね。逆に、軍事や安全保障は除きましょうということが当初から話合いがされてきました。そのように、了解の上にこのACが設立されてきたということです。
では、我が国の対応はどのような形だったか。それは、ここにありますような主要な科学調査、観測事業というものを実施し、この十年ぐらいにおいては、GRENEと呼ばれるものやArCS、そしてArCSⅡといったものを、五年置きぐらいに観測事業を、政府その他の基金から出て科学的な活動を行ってきております、今、ArCSⅡというのが始まっておりますが。それ以外にも、北極評議会でのステータス、オブザーバーのステータスを得るために外交努力を続けてきました。
しかも、二〇一五年には我が国の北極政策というものが発表されて、公表され、その中で我が国の立場が明らかになり、そして、それを何年か置きに、海洋基本計画又は総合海洋政策本部の意見書等を採択して北極政策を練り直すということが行われてきたわけです。
じゃ、その政策の中身は何か。これ三つ、三本柱ありまして、持続的利用、研究開発、国際協力、こういうことで日本は政策を遂行していくということです。これの細かいところは一々取り上げませんが、このように日本も、この十年以内ですね、ようやく本格的に北極政策を遂行するようになってきたというところであります。
南極の方が大分先に行っておりまして、北極はもちろん科学的な活動として調査や観測というのもなかなかの歴史はあるんですが、北極の、比べるとこれからという点があると思います。
では、終わりにというところで、課題と展望を述べさせていただきたいと思います。南極と北極につき、それぞれ国際的な側面と我が国の側面というところでお話をさせていただきます。
南極につきましては、このATS、アンタークティック・トリーティー・システムの略ですが、南極条約体制、これの課題としては、その持続可能性、この体制がいつまでも続いて、南極大陸が平和裏に自由な科学調査、国際協力が進められる場として維持できるか、それが大きな課題です。
今のところ、喫緊の課題は環境保護と観光の規制です。やはり環境保護の動きというのは、ここ数十年、大分大きなものになりました。それについて、厳しい環境保護対策、これが要求される。ただし、それは平和的な利用というものがあってのことなので、査察という制度によって検証を重ねているという努力が数十年来ずうっと行われてきているのが南極条約体制です。
我が国としましては、やはり観測事業を持続的に行い、科学活動、調査活動における国際協力を進めることによって国際的にも学術的な貢献を強めていく、こういうことが今後とも期待されているというところです。
これに対して、北極の方ですね、これのまず国際的な側面を申し上げますと、ここにありますように、AC、アークティックカウンシル、すなわち北極評議会、これが更に組織化されていくのかどうかということが大きな今後の論点になる。
それはどういうことかというと、先ほども申し上げましたように、北極条約体制というものができるのかできないのか。少なくとも、沿岸諸国は、五つありますが、これらは、必要ない、国連海洋法条約を始めとした海洋法だけで規律していける、秩序をつくっていけるという中で、実は、次の点ですね、環境保護と資源開発、このバランスをどう取っていくかによって国々の思惑がいろいろと変わってくるということです。
しかも、ステークホルダーの多様化と書きましたが、この北極には、やっぱり国々だけじゃなくて、オブザーバーとか、それから先ほど言った常時参加者といった国ではないような原住民族の組織体というものも入ってきます。しかも、最近は、米中ロの三か国、このトライアングルがどのような形で、要するに三角形、三か国のパワーバランス、これがどのように取られるかというのが北極にも影響を及ぼす、これについては非常に注目が高まっております。
最後に、では、国内的な課題というところを申し上げさせていただきます。
まず、今日の一番の大きい私が申し上げたいところは、やはり北極評議会での存在感、そういったものを向上させるためには、やっぱり国民的な理解、支持、これをちゃんと得られるか、北極政策を行うに当たって日本がそのような国民的理解、後押しを受けて政策を遂行できるかということだと思います。
二つ目、すなわち、民間が主体となって、例えば航路の開発、航路の利用ということに関わっていけるか。国が旗を振る、そして国がそういうことに関与するのはいいんですが、実際に使うのは商船会社だったり、また保険会社。そして、外交官だけでなく民間人の大使を起用するなど、民間も関わってやはりそういう外交活動を、国として政策を行っているんだというところがないとなかなか難しいんではないか。やはり国民としては距離がある、北極までに距離があるなということを感じるかもしれません。
もちろん科学者が非常に貢献しているのはあって、一番最後に、ArCSⅢというのが今後あるのかどうか。すなわち、南極のように五年置きにこういうものが、観測事業が、組織化が進んでいくのかどうかということがまた問われることになります。
そのちょっと具体的な話としては、やはりお金の掛かる話です、観測船ですね。北極で砕氷能力の高い北極船、そういうものを建造する必要があるのかどうか。そのためには、国民の理解を得て、タックスペイヤーである国民がそういうものが必要だということが果たして得られる、そういう理解を得られるかを考えていただければと思います。
以上、私の方から意見陳述させていただきました。本日はどうもありがとうございました。
鶴
榎
榎本浩之#10
○参考人(榎本浩之君) 国立極地研究所の榎本浩之と申します。
今日は、こういう機会を与えていただきまして、大変光栄に考えております。ありがとうございます。
北極、南極をめぐる、極域をめぐる諸課題の取組というところで、今、池島参考人の方からは政策をめぐるお話がありましたけれども、科学、自然科学、社会科学、そういったところ、科学からめぐる北極への関わりというところを中心に、南極も関係するところあるんですが、北極を主にお話しさせていただきたいと考えております。(資料映写)
まず、北極が最近どうしてこういう大きな話題になってきたかというところでは、背景には気候変動というものがあります。これが大きな背景になっております。
国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCというものがありますけれども、それが二〇一九年に最新の特別報告書というものを出しました。特別報告書というのは、定期的な報告書ではなくて、緊急の話題に対して、急にまとめて、必要が出たものを出します。
COP21で一・五度Cか二度Cかということになりましたけれども、その話題を受けて、では、どういったことが現在起きているのか、はるか遠くの場所である極地、南極、北極、あるいは非常に広大で幾らでもキャパシティーがありそうな海、そういったものが限界に達してきている、どういったことが起きてきているか、そういったものをまとめるということでこの報告書は作られました。
下の方にありますのはそこで報告された幾つかの内容ですけれども、海水の熱膨張、あと氷床、氷河、南極とかグリーンランドですね、そういったものが解けていて海水位が上がってきている。解けているのは極地なんですけれども、その影響を受けるのは中緯度あるいは島嶼国、そういった遠隔地にやってくるというところがあります。
これがとどまるところを知らずにこのまま行きますと、現在の私たちではなくて、将来の、次世代の、あるいは家族、そういったところの、未来のところにも影響してくるというところで、時間を超えて、あるいは空間を超えて影響が及んでいるというのが気候変動だというところが、そういった警鐘が鳴らされました。
その影響がどこで一番顕在化しているかというところでこのグラフをお持ちしたんですけれども、グラフの下の方にオレンジ色の線がありまして、これが地球全体の、例えば一・五度Cとか二度Cとか言っている気温の上昇カーブです。上に緑色で全然違う性質のようなものが描かれていますけれども、これは北極、北緯六十度以北の温度をまとめたものでして、全球、地球全体の平均に比べて二倍から三倍の速さで温度上昇が起きているということがあります。地球全体の影響を北極が受けているんですけれども、その影響を受けた北極がまた地球全体に影響を返してくるというところが大変危惧されているところです。
見える形でその温暖化の影響が出てきましたのが、あるいは中緯度に影響が返ってくるということが危惧されていますのがこの北極海の海氷減少でして、左側が一九八〇年代の平均的な九月。九月というのは一番氷が小さくなる時期なんですね。当時は、夏になって一番小さくなってもこの程度は氷が残っていました。それが、二〇一二年、右側ですけれども、ほぼ半分ぐらいに減ってしまったと。左側の方にシベリア、ロシアがありまして、右下にアラスカ、あるいはカナダありますけれども、そちらの沿岸が氷がない状態になったと。これがとどまるところを知らないで今進行してきているというところがあります。
この環境変化、温暖化を止めないといけないというところが一つの大きな課題ですけれども、何が原因で、何が分かっていて、これからどういう調査が必要かというところの科学的なことが求められています。また、こういった地域には人が住んでいまして、あと資源開発といったところも話題になっていますので、どういったところをそこをバランスを取っていくかというところも大変関心が高まっているところであります。
これも温暖化の、北極圏における温暖化の影響の幾つかの例ですけれども、氷河が、陸上にある氷がどんどん解けてきている。積雪もそうなんですけれども、氷河というものがどんどん後退してきていると。
右側の上の図は、海に面している氷、氷河が大変多いんですね、こういったところがどんどん崩れて、海に氷山という形でこれを出してきます。それが解けます。そういったことで、はるか遠くで起きているものなんですが、これが地球全体に影響を及ぼし始めている。見えないところから影響がやってきているということが言えます。
左下も、黒くなった氷床の表面、日射を吸収しまして大変解ける。水流がたくさんできています。
右下にグリーンランドが四つ並べていますけれども、赤で塗ってあるのが、二〇一二年のある時期に全域が解け始めてしまったと。全部消えてなくなるまではいかないんですが、ふだんは解けない内陸の方までも融解域が広がった。これが、氷が最小になった二〇一二年と同じ年にこういったものが起きました。北極に目が向いている間にグリーンランドがこういうことが起きていた。そういった連鎖、各地でいろんなことが起きるということがあります。
さて、ここまでは北極の話題だったんですが、こういった高緯度の影響が中緯度に影響をしてくるというのがあります。
これは既に解析が進んでいます二〇一八年の例ですけれども、二〇一八年、今年も話題になっていますが、新潟、富山など大変な雪の状況ですが、北極での氷の減少、そこの暖まり方、それが北半球の偏西風というものの流れを変えてしまって、寒気の吹き出し、そういったものに影響するということが最近分かってきました。はるか遠くから影響が日本列島までやってくるというところです。この左側にありますのが二〇一八年の例ですけれども、最低気温を更新、あるいは大雪ということを起こしています。
右側の方、ちょっと分かりにくい図ですけれども、大西洋から北極に向かって流れ込んだ暖かい空気が北極の周りに、北極自体は暖まるんですけれども、寒気が右上のシベリアの方に出ていってしまう。それで、それが日本列島に吹き出してくるということで、大西洋、北極海、シベリア、日本という大きな連鎖が起きているということが言えます。こういった目で見ないと、問題の解決、そういったものができないという時代になってきました。
さて、氷が減ることによって、ここがまた経済活動のチャンスと、気候変動としてはリスクなんですけれども、経済活動としてはチャンスというふうなことでも注目されています。よりエネルギー効率のいい輸送手段を使えば温暖化と対峙しないで両方ともが成立するような案も作られるかもしれないというところで、いい、スマートな環境保全と産業利用というところは今大変関心が高くなっているところです。日数や運航コストの大幅縮減につながるというところがあります。
科学者はここで何をやっているかといいますと、安全航行のための航行支援システム、これは、気象データ、あるいは海の情報、海氷予測、そういったものがバックになってくるので、もう船は通り始めていますから、それを安全に通っていただくための予報情報を整えているというところをやっています。
さて、少し北極海、北極全体の様子をここで簡単に御紹介します。
右側にありますのは北極点を中心とした地図です。先ほどの池島先生の方からは色分けされた国ごとの範囲のことが示されたんですけれども、こちらは緯度的に見てみました。大変複雑な形をしていますけれども、北半球は、していますが、真ん中に北極海があります。黄色でラインが二本ほど書いていますけれども、六十度、七十度というところに黄色のラインを書きました。北緯八十度のところは赤丸にしています。この三つのゾーン分けによって、六十度と七十度の間に陸地が、北極海を巡る陸域がありまして、ここに環境変化が起きる、先住民の社会がここにある、あと資源開発もこのゾーンでということが言えます。
次の七十度から八十度のゾーンは、海氷が先ほどお見せしましたように急速に減っているところ。ここの海がどう利用されるか、あるいはどう守られるかというところが大変な話題になっているところです。国際ルール作りもここで、このゾーンは大変急がれているところだと思います。
最後の北緯八十度以北は、赤く書いていますけれども、ここも公海であるということで、どの国の船も入っていいのかというところでは、新しいルール作りというものが急がれています。漁業利用の凍結、無制限な漁業利用の凍結などもここで議論されているところです。
御覧になっていただいているこの丸の中の世界、北極の世界が、南北を越えて、緯度を越えて、はるか南の方まで、気象、そこの食料、そういったものにも影響してきているというところがIPCCレポートですとか、あと北極評議会のレポートなどでも報告されてきているところです。これが背景というところで。
さて、ここからは、国際的な取組、日本の取組というところで残りの時間を御紹介したいと思います。
先ほど御紹介ありました北極評議会、AC、一九九六年に設立というところなんですが、下に国旗を並べていますが、メンバー国、左側にあります八か国、右側にオブザーバー国ということで日本がこちらに入っています。環境保全、持続的な開発というところは、もう御説明があったところです。そして、下の方には、北極評議会の構造というところで、トップの方に閣僚会合、次に高級実務者会合、SAOというふうに言いますけれども、その下に分野別作業部会、ワーキンググループというのがあります。
実は、科学者は、日本の研究者とかもそうなんですが、ここに専門家として入ってきます。それで、上の会合で判断するためのいろいろな基礎資料、エビデンスをここで作っている。で、それを出せる、日本はそういった国であるということで、ここに招待されまして、一番下の作業部会では日本は活発に働いています。その情報が上に上がっていって、さてどういう対策にするかというところが一番トップのところで決められるというところがあります。
科学が根元のところにありまして、その上に外交ですとか国際ルール、そういったものがあると。で、トップで決まって、これは大変ということになりますと、また、新しいテーマが決まりますと、一番下の作業部会、ワーキンググループに下りてきまして、しっかり調べてもらいたい、どういうふうになっているか調査が必要だと。北極はデータが大変少ないところなので、ここに来る依頼は大変多い、大きなものがあります。そこに応えていくということで、この北極評議会のシステムの中で日本の活動域、大切な情報を実は扱っている、そういったところをつくっているというところの活動ということが言えます。
科学のお話をしましたので、もう一つ、国際北極科学委員会、IASCというふうに言いますが、これが北極の国際的な科学者の一番大きな組織です。これは実は一九九〇年に設立されました。先ほどお話ししました北極評議会よりも六年早くつくられました。科学者の方がまず何かやろうということで、これ動きを始めたんです。なぜ九〇年かというのは、後でまたお話ししますけれども、北極海、冷戦の終了から、科学的な場としての活動が可能になった時代、そういったところです。まず科学が入っていって情報をつくろうというところがありまして、IASCから、北極科学委員会からACへ科学的な情報の提供ということが国際的に行われています。
日本の活動ですけれども、日本はこのIASCに、設立当初、設立九〇年で、その翌年の九一年からメンバーに入りました。ここでは、北極国である、非北極国であるという違いはありません。全ての北極の科学をやる国が共通に並んで体制をつくります。現在も、このIASCの議長、副議長の中に日本も入っていまして、実は私がその副議長をやっているんですけれども、ロシア、米国、フィンランド、ここまでは北極圏の国ですね、あと英国、日本というところで、このマネジメントの体制の中に入っていけてます。
さて、もう一つの北極に関する科学の動きですけれども、北極評議会八か国、あと日本はオブザーバー国というところと、あとIASCという科学者の委員会、これは二十三か国ありました。さらに、これは今年の五月八、九と日本で開催されるんですけれども、北極科学大臣会合、第三回北極科学大臣会合というものがあります。
これも右下にありますけれども、二十八か国ということで、これも北極圏の国と限らない、とにかく北極に関わる科学活動をしている国がここに関わります。日本とアイスランドが共同主催ということで大変大きなイベントが日本で開かれる予定で、今準備が進んでいるところです。
これは、二十八か国や、世界のWMOとかそういった機関が参加するということはどういったことを意味していますかといいますと、北極がその現場にある八か国の世界ではなくなった、グローバルに考えていく必要がある、協力体制が必要であるということが大変認識されたというところです。それが持続的な北極をつくっていくと。
いろいろな判断の下にその知識が使われるということで、左側に今回の北極科学大臣会合、ASMと略していますけれども、それの中心的なテーマ、持続的な北極のための知識、そこからどういったものが生み出されるかという科学の役割をここでは掲げておりますが、観測、それを理解すること、将来を予想すること。あと、それに対してどういう対処ができるか、対応。社会を強くしていくには何が必要か、市民への説明も必要ですし、教育、そういったものも必要になってきます。それを、一、二、三、四と書いていますけれども、これをシームレスにつないで一つのスタイルをつくっていこうというのが今回のASM3の準備になっていまして、各国の文科大臣、科学担当大臣がここに参加されるということで準備が進んでいるところです。
先ほど北極海の地図を見ていただきました。北極の構造とそこの緯度別に見たいろいろな課題というものを見ていただきましたけれども、今度は時間的に別の切り口でまとめてみたものがこれです。南極観測は六十年以上の歴史があるんですけれども、北極が研究が活発化したのはこの三十年というふうに見ることができます。東西冷戦の終了というところが大きなきっかけであるんですけれども、一番上に気候環境の状況、温暖化、氷の減少やグリーンランド融解というのがあります。
次の欄のところに、国際と書きまして、一九八七年、ゴルバチョフ、ムルマンスク演説というものがありました。これで、北極海を、軍事的緊張を緩和しようという言葉と、あと科学協力の提案というものもそこで行われました。新しい時代が実はベルリンの壁よりもちょっと前の八七年にスタートしました。
これを受けて、数年後、九六年には北極評議会が設立しました。日本がオブザーバーになるという流れもありましたけれども、社会経済の中では、早速、九〇年代の初めにもう北極航路は使えるかどうかということを調査、行われています。これは、日本、ロシア、ノルウェーの共同調査チームが参加していました。残念ながら、当時はまだまだ氷が多い時代でして、すぐには使えないということになりましたけれども、もう調査が始まったと。
次のカラムのところには、政府方針ということで、二〇一五年以降急速に固められた日本の北極政策、海洋基本計画、あと参与会議での意見書、そういったものがあります。非常に加速してきたというものがあります。
一番下の欄は、それに対して科学活動は何をしてきたかというところで、一九九〇年に国際北極科学委員会が設立、日本は九一年に加盟と、下にアンダーラインがあるものが三つあります。横に並んでいますけれども、これが二〇一一年以降の日本の北極プロジェクト、自然科学から社会科学、政策ということで、参加者を増やしながら成長してきた、これ右上がりの大きなうねりがあります。ここで日本の研究グループから世界に発信するようなパワーを強くしていくということが目指されたんですけれども、その下のところにはコンソーシアムや北極研究船というものも書かせていただきました。
北極政策は先ほどもう御紹介ありましたのでここでは簡単に済ましますけれども、研究開発、国際協力、持続的利用ということがその提言の中に入っています。
次に移りまして、さて、日本の科学者は何をしているかというところで、二〇一一年以降の三つのプロジェクトをここにまとめました。だんだん守備範囲を広げながらメンバーを増やし、あと社会的なつながりを探しながら新しい課題に挑戦していっているという姿があります。
一番上は二〇一一年からで、これは気候変動を中心にしました。そこから人間社会にどういう影響がするかというところでは、真ん中のレーン。最後のところでは、影響評価ですとか人間社会への影響をもっと強く調べる、あと法政策ですとか社会実装というふうなところで、社会へのサービスというものもここで増やすというプロジェクトが去年から始まったというところがあります。
ここに北極をめぐる地図がありまして、周りに建物の絵があります。南極には昭和基地という日本の基地がありますけれども、北極は全て陸上はどこかの国の領土なので、そこの国との国際協力という場の実現として、こういった基地での日本人の活動というものがつくられています。幸いながら、幸いどの国からも歓迎されておりまして、日本人が参加することによって科学が進むといったところで、ここはいい関係をつくっていて、それを壊すことなく日本人が歓迎される北極の世界というものを是非持続したいというふうに考えています。
国の政策ですとか、トップダウンの決定と別の動きも最近出ていまして、これはコンソーシアムといいまして、日本の研究者約五百人が集まって設立した、活動しているものです。北極の研究者、多様でして、自然科学だけではなくて、政策、人文、あと芸術関係、いろいろなところの分野が関わります。それを情報を共有できる場所をつくる、ここから、では何が問題かという提言を作っていって将来の北極の科学へのアプローチを生み出す、提案していくというベースをここでつくることができました。最近では、北極域研究船の建造に関する要望書と、これがあればこういった科学ができる、貢献ができるということをまとめたりしています。
ここに示しましたのは、二〇二一年に建造着手、あとまだ就航するのは五年以上、五年先ですけれども、こういった更に日本の研究力を強化する、あるいは国際的なプラットフォームとして機能する研究船という構想が始まっています。右側の下の地図にありますけれども、北極海はデータの空白域で、どこかが頑張ってここに入っていってデータを取らないといけないという、そういう協力体制が望まれているところです。
最後に、私のお話ししました内容を簡単にまとめましたけれども、是非、御質問いただければ更に詳細な御説明できますので、よろしくお願いします。
以上で終わらせていただきます。
この発言だけを見る →今日は、こういう機会を与えていただきまして、大変光栄に考えております。ありがとうございます。
北極、南極をめぐる、極域をめぐる諸課題の取組というところで、今、池島参考人の方からは政策をめぐるお話がありましたけれども、科学、自然科学、社会科学、そういったところ、科学からめぐる北極への関わりというところを中心に、南極も関係するところあるんですが、北極を主にお話しさせていただきたいと考えております。(資料映写)
まず、北極が最近どうしてこういう大きな話題になってきたかというところでは、背景には気候変動というものがあります。これが大きな背景になっております。
国連気候変動に関する政府間パネル、IPCCというものがありますけれども、それが二〇一九年に最新の特別報告書というものを出しました。特別報告書というのは、定期的な報告書ではなくて、緊急の話題に対して、急にまとめて、必要が出たものを出します。
COP21で一・五度Cか二度Cかということになりましたけれども、その話題を受けて、では、どういったことが現在起きているのか、はるか遠くの場所である極地、南極、北極、あるいは非常に広大で幾らでもキャパシティーがありそうな海、そういったものが限界に達してきている、どういったことが起きてきているか、そういったものをまとめるということでこの報告書は作られました。
下の方にありますのはそこで報告された幾つかの内容ですけれども、海水の熱膨張、あと氷床、氷河、南極とかグリーンランドですね、そういったものが解けていて海水位が上がってきている。解けているのは極地なんですけれども、その影響を受けるのは中緯度あるいは島嶼国、そういった遠隔地にやってくるというところがあります。
これがとどまるところを知らずにこのまま行きますと、現在の私たちではなくて、将来の、次世代の、あるいは家族、そういったところの、未来のところにも影響してくるというところで、時間を超えて、あるいは空間を超えて影響が及んでいるというのが気候変動だというところが、そういった警鐘が鳴らされました。
その影響がどこで一番顕在化しているかというところでこのグラフをお持ちしたんですけれども、グラフの下の方にオレンジ色の線がありまして、これが地球全体の、例えば一・五度Cとか二度Cとか言っている気温の上昇カーブです。上に緑色で全然違う性質のようなものが描かれていますけれども、これは北極、北緯六十度以北の温度をまとめたものでして、全球、地球全体の平均に比べて二倍から三倍の速さで温度上昇が起きているということがあります。地球全体の影響を北極が受けているんですけれども、その影響を受けた北極がまた地球全体に影響を返してくるというところが大変危惧されているところです。
見える形でその温暖化の影響が出てきましたのが、あるいは中緯度に影響が返ってくるということが危惧されていますのがこの北極海の海氷減少でして、左側が一九八〇年代の平均的な九月。九月というのは一番氷が小さくなる時期なんですね。当時は、夏になって一番小さくなってもこの程度は氷が残っていました。それが、二〇一二年、右側ですけれども、ほぼ半分ぐらいに減ってしまったと。左側の方にシベリア、ロシアがありまして、右下にアラスカ、あるいはカナダありますけれども、そちらの沿岸が氷がない状態になったと。これがとどまるところを知らないで今進行してきているというところがあります。
この環境変化、温暖化を止めないといけないというところが一つの大きな課題ですけれども、何が原因で、何が分かっていて、これからどういう調査が必要かというところの科学的なことが求められています。また、こういった地域には人が住んでいまして、あと資源開発といったところも話題になっていますので、どういったところをそこをバランスを取っていくかというところも大変関心が高まっているところであります。
これも温暖化の、北極圏における温暖化の影響の幾つかの例ですけれども、氷河が、陸上にある氷がどんどん解けてきている。積雪もそうなんですけれども、氷河というものがどんどん後退してきていると。
右側の上の図は、海に面している氷、氷河が大変多いんですね、こういったところがどんどん崩れて、海に氷山という形でこれを出してきます。それが解けます。そういったことで、はるか遠くで起きているものなんですが、これが地球全体に影響を及ぼし始めている。見えないところから影響がやってきているということが言えます。
左下も、黒くなった氷床の表面、日射を吸収しまして大変解ける。水流がたくさんできています。
右下にグリーンランドが四つ並べていますけれども、赤で塗ってあるのが、二〇一二年のある時期に全域が解け始めてしまったと。全部消えてなくなるまではいかないんですが、ふだんは解けない内陸の方までも融解域が広がった。これが、氷が最小になった二〇一二年と同じ年にこういったものが起きました。北極に目が向いている間にグリーンランドがこういうことが起きていた。そういった連鎖、各地でいろんなことが起きるということがあります。
さて、ここまでは北極の話題だったんですが、こういった高緯度の影響が中緯度に影響をしてくるというのがあります。
これは既に解析が進んでいます二〇一八年の例ですけれども、二〇一八年、今年も話題になっていますが、新潟、富山など大変な雪の状況ですが、北極での氷の減少、そこの暖まり方、それが北半球の偏西風というものの流れを変えてしまって、寒気の吹き出し、そういったものに影響するということが最近分かってきました。はるか遠くから影響が日本列島までやってくるというところです。この左側にありますのが二〇一八年の例ですけれども、最低気温を更新、あるいは大雪ということを起こしています。
右側の方、ちょっと分かりにくい図ですけれども、大西洋から北極に向かって流れ込んだ暖かい空気が北極の周りに、北極自体は暖まるんですけれども、寒気が右上のシベリアの方に出ていってしまう。それで、それが日本列島に吹き出してくるということで、大西洋、北極海、シベリア、日本という大きな連鎖が起きているということが言えます。こういった目で見ないと、問題の解決、そういったものができないという時代になってきました。
さて、氷が減ることによって、ここがまた経済活動のチャンスと、気候変動としてはリスクなんですけれども、経済活動としてはチャンスというふうなことでも注目されています。よりエネルギー効率のいい輸送手段を使えば温暖化と対峙しないで両方ともが成立するような案も作られるかもしれないというところで、いい、スマートな環境保全と産業利用というところは今大変関心が高くなっているところです。日数や運航コストの大幅縮減につながるというところがあります。
科学者はここで何をやっているかといいますと、安全航行のための航行支援システム、これは、気象データ、あるいは海の情報、海氷予測、そういったものがバックになってくるので、もう船は通り始めていますから、それを安全に通っていただくための予報情報を整えているというところをやっています。
さて、少し北極海、北極全体の様子をここで簡単に御紹介します。
右側にありますのは北極点を中心とした地図です。先ほどの池島先生の方からは色分けされた国ごとの範囲のことが示されたんですけれども、こちらは緯度的に見てみました。大変複雑な形をしていますけれども、北半球は、していますが、真ん中に北極海があります。黄色でラインが二本ほど書いていますけれども、六十度、七十度というところに黄色のラインを書きました。北緯八十度のところは赤丸にしています。この三つのゾーン分けによって、六十度と七十度の間に陸地が、北極海を巡る陸域がありまして、ここに環境変化が起きる、先住民の社会がここにある、あと資源開発もこのゾーンでということが言えます。
次の七十度から八十度のゾーンは、海氷が先ほどお見せしましたように急速に減っているところ。ここの海がどう利用されるか、あるいはどう守られるかというところが大変な話題になっているところです。国際ルール作りもここで、このゾーンは大変急がれているところだと思います。
最後の北緯八十度以北は、赤く書いていますけれども、ここも公海であるということで、どの国の船も入っていいのかというところでは、新しいルール作りというものが急がれています。漁業利用の凍結、無制限な漁業利用の凍結などもここで議論されているところです。
御覧になっていただいているこの丸の中の世界、北極の世界が、南北を越えて、緯度を越えて、はるか南の方まで、気象、そこの食料、そういったものにも影響してきているというところがIPCCレポートですとか、あと北極評議会のレポートなどでも報告されてきているところです。これが背景というところで。
さて、ここからは、国際的な取組、日本の取組というところで残りの時間を御紹介したいと思います。
先ほど御紹介ありました北極評議会、AC、一九九六年に設立というところなんですが、下に国旗を並べていますが、メンバー国、左側にあります八か国、右側にオブザーバー国ということで日本がこちらに入っています。環境保全、持続的な開発というところは、もう御説明があったところです。そして、下の方には、北極評議会の構造というところで、トップの方に閣僚会合、次に高級実務者会合、SAOというふうに言いますけれども、その下に分野別作業部会、ワーキンググループというのがあります。
実は、科学者は、日本の研究者とかもそうなんですが、ここに専門家として入ってきます。それで、上の会合で判断するためのいろいろな基礎資料、エビデンスをここで作っている。で、それを出せる、日本はそういった国であるということで、ここに招待されまして、一番下の作業部会では日本は活発に働いています。その情報が上に上がっていって、さてどういう対策にするかというところが一番トップのところで決められるというところがあります。
科学が根元のところにありまして、その上に外交ですとか国際ルール、そういったものがあると。で、トップで決まって、これは大変ということになりますと、また、新しいテーマが決まりますと、一番下の作業部会、ワーキンググループに下りてきまして、しっかり調べてもらいたい、どういうふうになっているか調査が必要だと。北極はデータが大変少ないところなので、ここに来る依頼は大変多い、大きなものがあります。そこに応えていくということで、この北極評議会のシステムの中で日本の活動域、大切な情報を実は扱っている、そういったところをつくっているというところの活動ということが言えます。
科学のお話をしましたので、もう一つ、国際北極科学委員会、IASCというふうに言いますが、これが北極の国際的な科学者の一番大きな組織です。これは実は一九九〇年に設立されました。先ほどお話ししました北極評議会よりも六年早くつくられました。科学者の方がまず何かやろうということで、これ動きを始めたんです。なぜ九〇年かというのは、後でまたお話ししますけれども、北極海、冷戦の終了から、科学的な場としての活動が可能になった時代、そういったところです。まず科学が入っていって情報をつくろうというところがありまして、IASCから、北極科学委員会からACへ科学的な情報の提供ということが国際的に行われています。
日本の活動ですけれども、日本はこのIASCに、設立当初、設立九〇年で、その翌年の九一年からメンバーに入りました。ここでは、北極国である、非北極国であるという違いはありません。全ての北極の科学をやる国が共通に並んで体制をつくります。現在も、このIASCの議長、副議長の中に日本も入っていまして、実は私がその副議長をやっているんですけれども、ロシア、米国、フィンランド、ここまでは北極圏の国ですね、あと英国、日本というところで、このマネジメントの体制の中に入っていけてます。
さて、もう一つの北極に関する科学の動きですけれども、北極評議会八か国、あと日本はオブザーバー国というところと、あとIASCという科学者の委員会、これは二十三か国ありました。さらに、これは今年の五月八、九と日本で開催されるんですけれども、北極科学大臣会合、第三回北極科学大臣会合というものがあります。
これも右下にありますけれども、二十八か国ということで、これも北極圏の国と限らない、とにかく北極に関わる科学活動をしている国がここに関わります。日本とアイスランドが共同主催ということで大変大きなイベントが日本で開かれる予定で、今準備が進んでいるところです。
これは、二十八か国や、世界のWMOとかそういった機関が参加するということはどういったことを意味していますかといいますと、北極がその現場にある八か国の世界ではなくなった、グローバルに考えていく必要がある、協力体制が必要であるということが大変認識されたというところです。それが持続的な北極をつくっていくと。
いろいろな判断の下にその知識が使われるということで、左側に今回の北極科学大臣会合、ASMと略していますけれども、それの中心的なテーマ、持続的な北極のための知識、そこからどういったものが生み出されるかという科学の役割をここでは掲げておりますが、観測、それを理解すること、将来を予想すること。あと、それに対してどういう対処ができるか、対応。社会を強くしていくには何が必要か、市民への説明も必要ですし、教育、そういったものも必要になってきます。それを、一、二、三、四と書いていますけれども、これをシームレスにつないで一つのスタイルをつくっていこうというのが今回のASM3の準備になっていまして、各国の文科大臣、科学担当大臣がここに参加されるということで準備が進んでいるところです。
先ほど北極海の地図を見ていただきました。北極の構造とそこの緯度別に見たいろいろな課題というものを見ていただきましたけれども、今度は時間的に別の切り口でまとめてみたものがこれです。南極観測は六十年以上の歴史があるんですけれども、北極が研究が活発化したのはこの三十年というふうに見ることができます。東西冷戦の終了というところが大きなきっかけであるんですけれども、一番上に気候環境の状況、温暖化、氷の減少やグリーンランド融解というのがあります。
次の欄のところに、国際と書きまして、一九八七年、ゴルバチョフ、ムルマンスク演説というものがありました。これで、北極海を、軍事的緊張を緩和しようという言葉と、あと科学協力の提案というものもそこで行われました。新しい時代が実はベルリンの壁よりもちょっと前の八七年にスタートしました。
これを受けて、数年後、九六年には北極評議会が設立しました。日本がオブザーバーになるという流れもありましたけれども、社会経済の中では、早速、九〇年代の初めにもう北極航路は使えるかどうかということを調査、行われています。これは、日本、ロシア、ノルウェーの共同調査チームが参加していました。残念ながら、当時はまだまだ氷が多い時代でして、すぐには使えないということになりましたけれども、もう調査が始まったと。
次のカラムのところには、政府方針ということで、二〇一五年以降急速に固められた日本の北極政策、海洋基本計画、あと参与会議での意見書、そういったものがあります。非常に加速してきたというものがあります。
一番下の欄は、それに対して科学活動は何をしてきたかというところで、一九九〇年に国際北極科学委員会が設立、日本は九一年に加盟と、下にアンダーラインがあるものが三つあります。横に並んでいますけれども、これが二〇一一年以降の日本の北極プロジェクト、自然科学から社会科学、政策ということで、参加者を増やしながら成長してきた、これ右上がりの大きなうねりがあります。ここで日本の研究グループから世界に発信するようなパワーを強くしていくということが目指されたんですけれども、その下のところにはコンソーシアムや北極研究船というものも書かせていただきました。
北極政策は先ほどもう御紹介ありましたのでここでは簡単に済ましますけれども、研究開発、国際協力、持続的利用ということがその提言の中に入っています。
次に移りまして、さて、日本の科学者は何をしているかというところで、二〇一一年以降の三つのプロジェクトをここにまとめました。だんだん守備範囲を広げながらメンバーを増やし、あと社会的なつながりを探しながら新しい課題に挑戦していっているという姿があります。
一番上は二〇一一年からで、これは気候変動を中心にしました。そこから人間社会にどういう影響がするかというところでは、真ん中のレーン。最後のところでは、影響評価ですとか人間社会への影響をもっと強く調べる、あと法政策ですとか社会実装というふうなところで、社会へのサービスというものもここで増やすというプロジェクトが去年から始まったというところがあります。
ここに北極をめぐる地図がありまして、周りに建物の絵があります。南極には昭和基地という日本の基地がありますけれども、北極は全て陸上はどこかの国の領土なので、そこの国との国際協力という場の実現として、こういった基地での日本人の活動というものがつくられています。幸いながら、幸いどの国からも歓迎されておりまして、日本人が参加することによって科学が進むといったところで、ここはいい関係をつくっていて、それを壊すことなく日本人が歓迎される北極の世界というものを是非持続したいというふうに考えています。
国の政策ですとか、トップダウンの決定と別の動きも最近出ていまして、これはコンソーシアムといいまして、日本の研究者約五百人が集まって設立した、活動しているものです。北極の研究者、多様でして、自然科学だけではなくて、政策、人文、あと芸術関係、いろいろなところの分野が関わります。それを情報を共有できる場所をつくる、ここから、では何が問題かという提言を作っていって将来の北極の科学へのアプローチを生み出す、提案していくというベースをここでつくることができました。最近では、北極域研究船の建造に関する要望書と、これがあればこういった科学ができる、貢献ができるということをまとめたりしています。
ここに示しましたのは、二〇二一年に建造着手、あとまだ就航するのは五年以上、五年先ですけれども、こういった更に日本の研究力を強化する、あるいは国際的なプラットフォームとして機能する研究船という構想が始まっています。右側の下の地図にありますけれども、北極海はデータの空白域で、どこかが頑張ってここに入っていってデータを取らないといけないという、そういう協力体制が望まれているところです。
最後に、私のお話ししました内容を簡単にまとめましたけれども、是非、御質問いただければ更に詳細な御説明できますので、よろしくお願いします。
以上で終わらせていただきます。
鶴
濱
濱崎和也#12
○参考人(濱崎和也君) 商船三井の濱崎と申します。
本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
弊社の北極海航路関連事業の取組を御紹介させていただくとともに、北極海航路の展望について申し述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、弊社の概要について御説明させていただきます。(資料映写)
弊社は、一八八四年の設立以来、百三十年以上の長きにわたって事業を継続しております。現在では八百隻を超える船隊の規模を保有、運航しております。この規模は世界有数の規模でございまして、とりわけLNG船に関しては世界シェア一位となっております。
それでは、本題の北極海航路の概要について御説明申し上げます。
ここにありますように、北極海にはロシア側とカナダ側の二つの航路がございます。北東航路と呼ばれるロシア側の方では先行して利用が進んでおります。こちらが一般的に北極海航路と呼ばれているものでございます。カナダ側は北西航路と言われていますけど、氷海も厳しくて航路も入り組んでおるため、商業利用は進んでおりません。
この五ページの図を御覧いただくとイメージいただけると思うんですけど、北極海では、近年、温暖化の影響によって、特に夏、氷が急速に減っております。夏においては、ここで言うと右側ですね、北極海航路上、海氷が存在しない状態、これを完全開通と呼んでおりますけど、昨年はその完全開通状態が八月の初めから十月末まで三か月間続きました。
これが北極海航路を運航するための諸条件でございます。北極海は、海洋汚染防止のため、IMO、国際海事機関が定めたポーラーコードと呼んでいますけど、それを遵守した船舶のみが航行可能でございます。具体的には、アイスクラスと呼ばれる砕氷ですね、氷を砕く、耐氷、氷に耐えるですけど、仕様など、船舶のハード面の要件を規定しております。それに加えて、特別な乗務員の訓練履歴なども求められます。北極海航路は、沿岸国であるロシア当局が管理しておりまして、ポーラーコードを遵守していることの証明書の提出をもって船が運航できるということになっております。
先ほどもちょっと話ございましたけど、国連海洋法条約において、このような北極海のような氷に覆われた水域におきましては、沿岸国が領海内及び排他的経済水域というところを管轄するということが認められております。北極海航路に関しては、ロシア当局がそれに沿って管理をしていると言えます。弊社の運航船もロシア当局の許可を得た上で航行しております。これまでのところ、ロシアの当局からはスムーズかつ協力的な許可をいただいております。
北極海航路を通るに当たっては、パナマ運河とかスエズ運河とは違って、通航料というようなものは取られません。ただし、氷がある場合、ロシアの原子力砕氷船のエスコートが必要になりますので、そのエスコート料が別途徴収されるということになります。
なお、後で御紹介させていただきますけど、当社の保有する砕氷LNG船は、氷の厚さが二・一メーターまで割れるというところで、基本的には自律運航可能ということで、原子力砕氷船のエスコートなしの運航が可能となっております。
次に、北極海航路を利用することのメリットを述べさせていただきます。
北極海には豊富な天然資源が存在いたします。それで、北極海航路の利用によってそこへのアクセスが可能になります。日本のようなエネルギー資源に乏しい国にとって、北極海航路というのはエネルギー安全保障の観点から重要だと考えております。
例えば中東で地政学リスクが起こったとき、代替調達先として北極海の、北極圏のエネルギー資源というのは代替手段となり得ます。それで、北極海、北極海航路においてはソマリアのような海賊がいないというところで、そういうところも安全保障上のメリットの一つとして挙げられます。
ここの右、グラフがございますけど、日本の二〇二〇年のLNG輸入は七千四百万トンぐらいでございますけど、そのうち六百万トンをロシアからの輸入となっております。これは主にサハリンからの輸入なんですけど、サハリンの天然ガスというのは徐々に埋蔵量枯渇しておりまして、一方、北極圏からのガス埋蔵量は膨大というところでございます。
また、北極海航路利用のメリットなんですけど、欧州と東アジアをつなぐ航路として、スエズ運河回り、南回りと比べて約三割距離が短いというのも特徴の一つです。そういうことで、距離が短いというところで、輸送コストの観点で経済的になります。また、航路距離が短いということは、必要な燃料消費を抑えられるということなので、CO2の削減にもつながります。
続きまして、弊社の北極海航路関連事業の取組について御紹介させていただきます。
これはヤマルLNGプロジェクトなんですけど、これはロシアの大手ガス会社であるノヴァテックが運営している世界初の砕氷LNG船を使った大型プロジェクトでございます。
これは、ここのロシアの中間の方にありますけど、ヤマル半島ですね、そこで生産されたLNGを、夏は東回り、ベーリング海峡経由で直接アジアまで運びます。冬は、北極海航路、東側の氷が厚くなりますので、砕氷LNG船単独では航行できないというところで、西に向けて運航されます。それで、欧州ですね、ヨーロッパで普通の在来型のLNG船に積み替えられて輸送されます。弊社はこの砕氷LNG船三隻に参画しております。
また、輸送の効率性を上げるため、欧州まで行かずにノルウェーで普通の船に積み替える、これを我々の業界の用語でシップ・ツー・シップと言っておりますけど、そういう荷役で揚げ荷をしたりしております。
言葉で説明していてもイメージしづらいかと思いますので、ここで弊社LNG船の実際の映像を御覧ください。
ノルウェーで揚げて、積み地に戻る映像でございます。これが先ほど申し上げたシップ・ツー・シップというもので、船から船に荷役を揚げているというところでございます。
それで、荷役を揚げ終えて、LNGを揚げて、航海を始めます。ノルウェー沖ですね、氷がありません。徐々に船は進んでまいります。徐々に氷が現れるというところでございます。だんだん厚くなっていますね、氷が。積み地のサベッタに向かって今航海しているというところでございます。夜になると、強力なサーチライトで氷を、氷の状況を確認しながら進んでいきます。数十センチという氷ですね、先ほどは。ここが積み地のサベッタでございます、タグボート先導されていますけど。で、積み荷役を行うと。で、積んで、船が出帆するというのが我々が行っている砕氷LNG船を使った輸送サービスでございます。
それで、先ほどはヤマルのプロジェクトを御説明させていただいたんですけど、第二のプロジェクトとして、ヤマル半島の対岸にございますギダン半島というところで今新しいプロジェクトが建設中でございます。これはアークティックLNG2プロジェクトと申すもので、本邦では三井物産殿、あとJOGMEC殿が上流に入っておりますので御存じの方もいらっしゃるかもしれませんけど、二〇二三年からスタートするというプロジェクトでございます。このプロジェクトは、生産するLNGの八割をアジア向けに輸出するということを検討しております。それで、ヤマルと異なるのは、これは、北極海航路を東回り、これは原子力砕氷船のエスコートをもって通年に近い形で運航させようというような構想で立ち上がったプロジェクトでございます。
それで、ここにカムチャツカ、ムルマンスクとありますけど、そこに浮体式のLNG積替え基地を設置して、そこから砕氷LNG船でそこまで運んで、そこで普通のLNG船に積み替えるというところで進んでおるプロジェクトでございます。弊社は、このプロジェクトに砕氷船三隻参画ということが決まっております。また、この積替え基地のプロジェクトに関しても参画すべく、今ロシア側と話をしているところでございます。
先ほど北極海航路の航行には特別な訓練が必要だと申し上げたんですけど、ここでこの点について補足申し上げます。
弊社が運航している砕氷LNG船、最大二・一メートルの氷を割れるというところで航行できる仕様となっているんですけど、厚い氷ですね、薄い氷は前進して割るんですけど、厚い氷になると後進する、後ろで割るという設計になっております。これは、船の後ろ側の方が重いというところで砕氷能力が高いというところで、こういう特殊な仕様の操船となっております。
このような船の運航には特別な訓練が必要でございます。そこで、氷海航行を行うための経験が必要というところで、弊社の乗組員が、サンクトペテルブルクにあるナビゲーションシステムですね、そこでシミュレーターで訓練をした上で、また、これもロシアの協力を得まして、原子力砕氷船に乗せていただいて訓練して運航に備えたという経緯がございます。現在は、今、弊社の船、三隻動いておりますので、そこで訓練をすると。自社船での訓練が可能になっております。
また、弊社は、ロシア政府が主催する北極海航路評議会のメンバーとして、今まで三回評議会行われておりますけど、そこで北極海航路における安全運航担保又は北極海航路の発展に向けた取組などをテーマにディスカッションをしております。
弊社の今後の取組なんですけど、まず、こういうふうなLNG輸送で実績を上げてきたわけですけど、今後は、ほかの貨物に関しても、我々、自動車を運んだり、ドライバルク、石炭とか鉄鉱石を運んだりしておりますけど、そういうほかの貨物についても夏の氷がない期間に北極海航路を利用しようかなというふうに考えております。また、資源輸送、LNGは既に始まっているんですけど、将来的には水素やアンモニアという脱炭素燃料の輸送にも取り組んでいきたいと考えております。
また、先ほどもちょっとお話が出ましたけど、JAMSTECさんですね、海洋研究開発機構さんが推進しておられる北極海研究船プロジェクトの準備段階へ、北極海経験がある海運会社として参加させていただいております。
最後に、北極海航路の今後の展望について申し上げます。
ロシア経済は、天然ガス、石油の海外輸出の依存度が高いということでございますが、欧州への、ヨーロッパへの輸出は頭打ちでございます。そういう状況の中で、アジアへの輸出強化ということがロシアが重点的に取り組んでいるところでございます。そういう状況の中で、ロシアが天然ガスをLNGという形で輸出、また、将来的にはCO2を排出しない水素、アンモニアという形で海上輸送によってアジアに輸出しようということを計画しております。
このように、北極海航路の開発はロシアが国を挙げて進めておりまして、今、ロシアの国家予算でエスコート用の砕氷船を整備、増強が進められております。今後の北極海の氷が減少して、原子力砕氷船も整備されれば、冬期を含めた通年あるいは通年に近い北極海航路の輸送ができるんじゃないかというふうに見込まれております。ロシアはそれを二〇二四年にやりたいと言っておりますが、弊社といたしましても、それはある程度現実的だろうなというふうに考えております。
最後になりましたけど、北極海航路の更なる発展のために幾つかコメントさせていただきたいと思います。
まず、アイスクラスの船の拡充でございます。北極海航路の更なる発展のためには、北極海航路を航行できるアイスクラスと呼ばれる砕氷船、耐氷型の商船船隊の整備が必要です。現在も、氷がない時期については、それ、アイスクラスを持っていない普通の船通れるんですけど、アイスクラスを持つことで北極海航路を通る期間が長くなるというようなことが可能になります。
二番目といたしましては、北極海航路のインフラ整備が必要になります。北極海航路が発展すると、地理的に日本は玄関口に位置しておりますので、大きな可能性が出てまいります。例えば北極海航路、航路上、燃料を入れるところがありません。そういう意味で、玄関口である日本で燃料補給を行うことは非常に合理的。燃料といいましても、今後、環境に優しいLNGとか、あるいは、将来的に水素、アンモニアを日本で補給するというような可能性は広がるんじゃないかなと考えております。また、今、北極海航路上に海難救助拠点が四か所あるんですけど、それの更なる拡充が求められます。
また、最後のところですね、北極海航路においては、海氷の厚さの予測とか航海に必要な技術の発展、そういうようなところを更に研究しなければなりません。そういうような意味で、今進められている北極海の研究船の活躍も大いに期待しております。
これで終わりになりますけど、北極海航路を通じて我々更に貢献していきたいと思っていますので、引き続きの御支援をお願いいたしたく、結びの言葉とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。
弊社の北極海航路関連事業の取組を御紹介させていただくとともに、北極海航路の展望について申し述べさせていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、弊社の概要について御説明させていただきます。(資料映写)
弊社は、一八八四年の設立以来、百三十年以上の長きにわたって事業を継続しております。現在では八百隻を超える船隊の規模を保有、運航しております。この規模は世界有数の規模でございまして、とりわけLNG船に関しては世界シェア一位となっております。
それでは、本題の北極海航路の概要について御説明申し上げます。
ここにありますように、北極海にはロシア側とカナダ側の二つの航路がございます。北東航路と呼ばれるロシア側の方では先行して利用が進んでおります。こちらが一般的に北極海航路と呼ばれているものでございます。カナダ側は北西航路と言われていますけど、氷海も厳しくて航路も入り組んでおるため、商業利用は進んでおりません。
この五ページの図を御覧いただくとイメージいただけると思うんですけど、北極海では、近年、温暖化の影響によって、特に夏、氷が急速に減っております。夏においては、ここで言うと右側ですね、北極海航路上、海氷が存在しない状態、これを完全開通と呼んでおりますけど、昨年はその完全開通状態が八月の初めから十月末まで三か月間続きました。
これが北極海航路を運航するための諸条件でございます。北極海は、海洋汚染防止のため、IMO、国際海事機関が定めたポーラーコードと呼んでいますけど、それを遵守した船舶のみが航行可能でございます。具体的には、アイスクラスと呼ばれる砕氷ですね、氷を砕く、耐氷、氷に耐えるですけど、仕様など、船舶のハード面の要件を規定しております。それに加えて、特別な乗務員の訓練履歴なども求められます。北極海航路は、沿岸国であるロシア当局が管理しておりまして、ポーラーコードを遵守していることの証明書の提出をもって船が運航できるということになっております。
先ほどもちょっと話ございましたけど、国連海洋法条約において、このような北極海のような氷に覆われた水域におきましては、沿岸国が領海内及び排他的経済水域というところを管轄するということが認められております。北極海航路に関しては、ロシア当局がそれに沿って管理をしていると言えます。弊社の運航船もロシア当局の許可を得た上で航行しております。これまでのところ、ロシアの当局からはスムーズかつ協力的な許可をいただいております。
北極海航路を通るに当たっては、パナマ運河とかスエズ運河とは違って、通航料というようなものは取られません。ただし、氷がある場合、ロシアの原子力砕氷船のエスコートが必要になりますので、そのエスコート料が別途徴収されるということになります。
なお、後で御紹介させていただきますけど、当社の保有する砕氷LNG船は、氷の厚さが二・一メーターまで割れるというところで、基本的には自律運航可能ということで、原子力砕氷船のエスコートなしの運航が可能となっております。
次に、北極海航路を利用することのメリットを述べさせていただきます。
北極海には豊富な天然資源が存在いたします。それで、北極海航路の利用によってそこへのアクセスが可能になります。日本のようなエネルギー資源に乏しい国にとって、北極海航路というのはエネルギー安全保障の観点から重要だと考えております。
例えば中東で地政学リスクが起こったとき、代替調達先として北極海の、北極圏のエネルギー資源というのは代替手段となり得ます。それで、北極海、北極海航路においてはソマリアのような海賊がいないというところで、そういうところも安全保障上のメリットの一つとして挙げられます。
ここの右、グラフがございますけど、日本の二〇二〇年のLNG輸入は七千四百万トンぐらいでございますけど、そのうち六百万トンをロシアからの輸入となっております。これは主にサハリンからの輸入なんですけど、サハリンの天然ガスというのは徐々に埋蔵量枯渇しておりまして、一方、北極圏からのガス埋蔵量は膨大というところでございます。
また、北極海航路利用のメリットなんですけど、欧州と東アジアをつなぐ航路として、スエズ運河回り、南回りと比べて約三割距離が短いというのも特徴の一つです。そういうことで、距離が短いというところで、輸送コストの観点で経済的になります。また、航路距離が短いということは、必要な燃料消費を抑えられるということなので、CO2の削減にもつながります。
続きまして、弊社の北極海航路関連事業の取組について御紹介させていただきます。
これはヤマルLNGプロジェクトなんですけど、これはロシアの大手ガス会社であるノヴァテックが運営している世界初の砕氷LNG船を使った大型プロジェクトでございます。
これは、ここのロシアの中間の方にありますけど、ヤマル半島ですね、そこで生産されたLNGを、夏は東回り、ベーリング海峡経由で直接アジアまで運びます。冬は、北極海航路、東側の氷が厚くなりますので、砕氷LNG船単独では航行できないというところで、西に向けて運航されます。それで、欧州ですね、ヨーロッパで普通の在来型のLNG船に積み替えられて輸送されます。弊社はこの砕氷LNG船三隻に参画しております。
また、輸送の効率性を上げるため、欧州まで行かずにノルウェーで普通の船に積み替える、これを我々の業界の用語でシップ・ツー・シップと言っておりますけど、そういう荷役で揚げ荷をしたりしております。
言葉で説明していてもイメージしづらいかと思いますので、ここで弊社LNG船の実際の映像を御覧ください。
ノルウェーで揚げて、積み地に戻る映像でございます。これが先ほど申し上げたシップ・ツー・シップというもので、船から船に荷役を揚げているというところでございます。
それで、荷役を揚げ終えて、LNGを揚げて、航海を始めます。ノルウェー沖ですね、氷がありません。徐々に船は進んでまいります。徐々に氷が現れるというところでございます。だんだん厚くなっていますね、氷が。積み地のサベッタに向かって今航海しているというところでございます。夜になると、強力なサーチライトで氷を、氷の状況を確認しながら進んでいきます。数十センチという氷ですね、先ほどは。ここが積み地のサベッタでございます、タグボート先導されていますけど。で、積み荷役を行うと。で、積んで、船が出帆するというのが我々が行っている砕氷LNG船を使った輸送サービスでございます。
それで、先ほどはヤマルのプロジェクトを御説明させていただいたんですけど、第二のプロジェクトとして、ヤマル半島の対岸にございますギダン半島というところで今新しいプロジェクトが建設中でございます。これはアークティックLNG2プロジェクトと申すもので、本邦では三井物産殿、あとJOGMEC殿が上流に入っておりますので御存じの方もいらっしゃるかもしれませんけど、二〇二三年からスタートするというプロジェクトでございます。このプロジェクトは、生産するLNGの八割をアジア向けに輸出するということを検討しております。それで、ヤマルと異なるのは、これは、北極海航路を東回り、これは原子力砕氷船のエスコートをもって通年に近い形で運航させようというような構想で立ち上がったプロジェクトでございます。
それで、ここにカムチャツカ、ムルマンスクとありますけど、そこに浮体式のLNG積替え基地を設置して、そこから砕氷LNG船でそこまで運んで、そこで普通のLNG船に積み替えるというところで進んでおるプロジェクトでございます。弊社は、このプロジェクトに砕氷船三隻参画ということが決まっております。また、この積替え基地のプロジェクトに関しても参画すべく、今ロシア側と話をしているところでございます。
先ほど北極海航路の航行には特別な訓練が必要だと申し上げたんですけど、ここでこの点について補足申し上げます。
弊社が運航している砕氷LNG船、最大二・一メートルの氷を割れるというところで航行できる仕様となっているんですけど、厚い氷ですね、薄い氷は前進して割るんですけど、厚い氷になると後進する、後ろで割るという設計になっております。これは、船の後ろ側の方が重いというところで砕氷能力が高いというところで、こういう特殊な仕様の操船となっております。
このような船の運航には特別な訓練が必要でございます。そこで、氷海航行を行うための経験が必要というところで、弊社の乗組員が、サンクトペテルブルクにあるナビゲーションシステムですね、そこでシミュレーターで訓練をした上で、また、これもロシアの協力を得まして、原子力砕氷船に乗せていただいて訓練して運航に備えたという経緯がございます。現在は、今、弊社の船、三隻動いておりますので、そこで訓練をすると。自社船での訓練が可能になっております。
また、弊社は、ロシア政府が主催する北極海航路評議会のメンバーとして、今まで三回評議会行われておりますけど、そこで北極海航路における安全運航担保又は北極海航路の発展に向けた取組などをテーマにディスカッションをしております。
弊社の今後の取組なんですけど、まず、こういうふうなLNG輸送で実績を上げてきたわけですけど、今後は、ほかの貨物に関しても、我々、自動車を運んだり、ドライバルク、石炭とか鉄鉱石を運んだりしておりますけど、そういうほかの貨物についても夏の氷がない期間に北極海航路を利用しようかなというふうに考えております。また、資源輸送、LNGは既に始まっているんですけど、将来的には水素やアンモニアという脱炭素燃料の輸送にも取り組んでいきたいと考えております。
また、先ほどもちょっとお話が出ましたけど、JAMSTECさんですね、海洋研究開発機構さんが推進しておられる北極海研究船プロジェクトの準備段階へ、北極海経験がある海運会社として参加させていただいております。
最後に、北極海航路の今後の展望について申し上げます。
ロシア経済は、天然ガス、石油の海外輸出の依存度が高いということでございますが、欧州への、ヨーロッパへの輸出は頭打ちでございます。そういう状況の中で、アジアへの輸出強化ということがロシアが重点的に取り組んでいるところでございます。そういう状況の中で、ロシアが天然ガスをLNGという形で輸出、また、将来的にはCO2を排出しない水素、アンモニアという形で海上輸送によってアジアに輸出しようということを計画しております。
このように、北極海航路の開発はロシアが国を挙げて進めておりまして、今、ロシアの国家予算でエスコート用の砕氷船を整備、増強が進められております。今後の北極海の氷が減少して、原子力砕氷船も整備されれば、冬期を含めた通年あるいは通年に近い北極海航路の輸送ができるんじゃないかというふうに見込まれております。ロシアはそれを二〇二四年にやりたいと言っておりますが、弊社といたしましても、それはある程度現実的だろうなというふうに考えております。
最後になりましたけど、北極海航路の更なる発展のために幾つかコメントさせていただきたいと思います。
まず、アイスクラスの船の拡充でございます。北極海航路の更なる発展のためには、北極海航路を航行できるアイスクラスと呼ばれる砕氷船、耐氷型の商船船隊の整備が必要です。現在も、氷がない時期については、それ、アイスクラスを持っていない普通の船通れるんですけど、アイスクラスを持つことで北極海航路を通る期間が長くなるというようなことが可能になります。
二番目といたしましては、北極海航路のインフラ整備が必要になります。北極海航路が発展すると、地理的に日本は玄関口に位置しておりますので、大きな可能性が出てまいります。例えば北極海航路、航路上、燃料を入れるところがありません。そういう意味で、玄関口である日本で燃料補給を行うことは非常に合理的。燃料といいましても、今後、環境に優しいLNGとか、あるいは、将来的に水素、アンモニアを日本で補給するというような可能性は広がるんじゃないかなと考えております。また、今、北極海航路上に海難救助拠点が四か所あるんですけど、それの更なる拡充が求められます。
また、最後のところですね、北極海航路においては、海氷の厚さの予測とか航海に必要な技術の発展、そういうようなところを更に研究しなければなりません。そういうような意味で、今進められている北極海の研究船の活躍も大いに期待しております。
これで終わりになりますけど、北極海航路を通じて我々更に貢献していきたいと思っていますので、引き続きの御支援をお願いいたしたく、結びの言葉とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
鶴
鶴保庸介#13
○会長(鶴保庸介君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
山田修路君。
この発言だけを見る →以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いたいと思います。
まず、大会派順に各会派一名ずつ指名し、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いをいたします。
質疑のある方は順次御発言願います。
山田修路君。
山
山田修路#14
○山田修路君 ありがとうございます。では、座ったままでお伺いします。
自由民主党の山田修路です。
三人の先生方には、大変貴重なお話をお聞きできて、ありがとうございました。御礼を申し上げたいと思います。
時間も短いので、基本的にはお三方に共通の視点からお伺いをしたいと思います。
それは、今、北極、特に北極海あるいは北極圏で、沿岸国が五か国あるいは北極評議会八か国ということで、日本はオブザーバーということなんですけれども、やはりそんな中で、先ほど池島先生からもトライアングルの話、中国やロシア、アメリカの話ありましたが、日本もやはりしっかりとそういう中で主要なプレーヤーとして活動していくことが日本の国益にもなりますし、それから国際的な研究の発展にも非常に重要だと思うんですけれども、そういう観点から、日本が主要なプレーヤーになるためにどういうことが重要なのかという点について、お三方にお伺いをしたいと思います。
それぞれちょっとお話ししますと、池島先生には、先ほどのプレゼンの中で、北極評議会が組織化されていくのかどうか、緩い組織なんだけれどもというお話がありましたけれども、日本は今のところオブザーバーということなので、そこが組織化されていくということが日本にとっていいことであるのか、あるいは、日本として何か別の、日本がもっと活動できるような在り方というのがあるのか、その辺の日本のプレゼンスと北極評議会の関係というんでしょうかね、今後ということについて、ちょっと、特にお伺いしたいと思います。
それから、榎本先生には、特に今研究の話を随分していただいてよく分かりましたけれども、特に先生の属しておられる国立極地研究所でも、観測衛星「しずく」を使ったり、あるいは、海洋研究開発機構の、これは「みらい」ですかね、船を使ったり、それから、今また五か年で新しい砕氷船、研究船を造るということですけれども、科学大臣会合とか様々な形で日本は貢献しているということですけれども、特にこれから一層日本が研究分野で活動できる場、あるいは分野というんでしょうか、こんなところに力を入れていって、日本のそのプレゼンスが発揮できるというようなことについてお考えがあればお願いしたいと思います。
それから、最後に、濱崎さんですけれども、最後のプレゼンの中で航路の重要性、それから更なる発展のためにこういうことが必要だという御提言もいただいたんですけれども、特に国として、日本としてこういうことを、日本国として支援をしてほしいというか、こういうことをやってほしいという話がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →自由民主党の山田修路です。
三人の先生方には、大変貴重なお話をお聞きできて、ありがとうございました。御礼を申し上げたいと思います。
時間も短いので、基本的にはお三方に共通の視点からお伺いをしたいと思います。
それは、今、北極、特に北極海あるいは北極圏で、沿岸国が五か国あるいは北極評議会八か国ということで、日本はオブザーバーということなんですけれども、やはりそんな中で、先ほど池島先生からもトライアングルの話、中国やロシア、アメリカの話ありましたが、日本もやはりしっかりとそういう中で主要なプレーヤーとして活動していくことが日本の国益にもなりますし、それから国際的な研究の発展にも非常に重要だと思うんですけれども、そういう観点から、日本が主要なプレーヤーになるためにどういうことが重要なのかという点について、お三方にお伺いをしたいと思います。
それぞれちょっとお話ししますと、池島先生には、先ほどのプレゼンの中で、北極評議会が組織化されていくのかどうか、緩い組織なんだけれどもというお話がありましたけれども、日本は今のところオブザーバーということなので、そこが組織化されていくということが日本にとっていいことであるのか、あるいは、日本として何か別の、日本がもっと活動できるような在り方というのがあるのか、その辺の日本のプレゼンスと北極評議会の関係というんでしょうかね、今後ということについて、ちょっと、特にお伺いしたいと思います。
それから、榎本先生には、特に今研究の話を随分していただいてよく分かりましたけれども、特に先生の属しておられる国立極地研究所でも、観測衛星「しずく」を使ったり、あるいは、海洋研究開発機構の、これは「みらい」ですかね、船を使ったり、それから、今また五か年で新しい砕氷船、研究船を造るということですけれども、科学大臣会合とか様々な形で日本は貢献しているということですけれども、特にこれから一層日本が研究分野で活動できる場、あるいは分野というんでしょうか、こんなところに力を入れていって、日本のそのプレゼンスが発揮できるというようなことについてお考えがあればお願いしたいと思います。
それから、最後に、濱崎さんですけれども、最後のプレゼンの中で航路の重要性、それから更なる発展のためにこういうことが必要だという御提言もいただいたんですけれども、特に国として、日本としてこういうことを、日本国として支援をしてほしいというか、こういうことをやってほしいという話がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
ありがとうございます。
鶴
池
池島大策#16
○参考人(池島大策君) 山田先生、どうも御質問いただきまして、ありがとうございます。
池島ですが、私にいただいた質問だけに限定してお話し申し上げますと、結局は日本がどの程度北極評議会の中でプレーヤーとして意味がある貢献をすることができるか、そのことについては、逆に日本がどれだけ北極の在り方、開発、環境、そういうものにコミットしようとする意思と能力があるかということに結局は行き着くのではないかと考えております。
それはどういうことかというふうに申し上げますと、元々この北極評議会というある種枠組みといいましょうか、フォーラムというのは、沿岸国、地理的に最も近接して利害関係のある国々が、先ほど申し上げたように、現地の元々いる少数民族とか現地住民というものを交えてその話合いの枠組みをつくるという形で始まったものです。すなわち、その地域に根差した非常にローカルなある種の緩い結び付きなんですね。
それがまず、先ほど言った組織化という形で、南極とはまた異なる道をたどりながらも組織化するのかしないのかということになってきた。それはどういうことかというと、そこの北極の航路の開発を含め、また資源開発を含め、関心を持つ国々、国際社会の関心が高まったという背景です。そうすると、日本だけではなくて、オブザーバー、これ認められたのも、同時に、先ほど申し上げたように、アジアの国々が認められるという中にあって日本はオブザーバーのうちの一つでしかないというところがあるんです。そうすると、日本が突出しようとすればそれを牽制しようとするのが元々いるメンバー、そして、同時に認められたアジアの国々という中で、非常に複雑な関係を見ることになると。
その中で、日本が十分な資金力がある又は技術力がある、それから学術的な何らかの能力があるということであれば、これはもう非常に有望な関係を築く、それを盾に、現地に地理的に近接、まあどこまで近接と言えるのか分かりません、するか分かりませんが、そういう形での貢献は期待できるし、日本もその能力はあるのかもしれない。ただ、そこが日本の今の国家予算その他含めて、又はそんないろんな学術的研究やその他能力ということが非常に問われる状況です。
結局は、行く行くは、日本のそういう人員をつくり出す教育から始まり、そしてその学術的ないろんなサポートと、そういうことになるし、国際協力を含めた、外に向かっての国内的なこのバックアップ、そして、抽象的な形になりますが、国民的な世論を含む支え、そういう支持というものをどれだけ守り立てていけるかと、これに懸かっているのではないかというふうに思っている次第です。
以上です。ありがとうございます。
この発言だけを見る →池島ですが、私にいただいた質問だけに限定してお話し申し上げますと、結局は日本がどの程度北極評議会の中でプレーヤーとして意味がある貢献をすることができるか、そのことについては、逆に日本がどれだけ北極の在り方、開発、環境、そういうものにコミットしようとする意思と能力があるかということに結局は行き着くのではないかと考えております。
それはどういうことかというふうに申し上げますと、元々この北極評議会というある種枠組みといいましょうか、フォーラムというのは、沿岸国、地理的に最も近接して利害関係のある国々が、先ほど申し上げたように、現地の元々いる少数民族とか現地住民というものを交えてその話合いの枠組みをつくるという形で始まったものです。すなわち、その地域に根差した非常にローカルなある種の緩い結び付きなんですね。
それがまず、先ほど言った組織化という形で、南極とはまた異なる道をたどりながらも組織化するのかしないのかということになってきた。それはどういうことかというと、そこの北極の航路の開発を含め、また資源開発を含め、関心を持つ国々、国際社会の関心が高まったという背景です。そうすると、日本だけではなくて、オブザーバー、これ認められたのも、同時に、先ほど申し上げたように、アジアの国々が認められるという中にあって日本はオブザーバーのうちの一つでしかないというところがあるんです。そうすると、日本が突出しようとすればそれを牽制しようとするのが元々いるメンバー、そして、同時に認められたアジアの国々という中で、非常に複雑な関係を見ることになると。
その中で、日本が十分な資金力がある又は技術力がある、それから学術的な何らかの能力があるということであれば、これはもう非常に有望な関係を築く、それを盾に、現地に地理的に近接、まあどこまで近接と言えるのか分かりません、するか分かりませんが、そういう形での貢献は期待できるし、日本もその能力はあるのかもしれない。ただ、そこが日本の今の国家予算その他含めて、又はそんないろんな学術的研究やその他能力ということが非常に問われる状況です。
結局は、行く行くは、日本のそういう人員をつくり出す教育から始まり、そしてその学術的ないろんなサポートと、そういうことになるし、国際協力を含めた、外に向かっての国内的なこのバックアップ、そして、抽象的な形になりますが、国民的な世論を含む支え、そういう支持というものをどれだけ守り立てていけるかと、これに懸かっているのではないかというふうに思っている次第です。
以上です。ありがとうございます。
榎
榎本浩之#17
○参考人(榎本浩之君) 御質問いただいた件に関しては、科学という、私、科学分野ですので、極地研究の特徴を踏まえながら御説明したいと思います。
日本の科学技術、北極の中でどういう役割を果たせるか、ACですとかいろいろな、各国が競って、中国、ロシア、米国、いろんなプロジェクト、EUとかありますけど、その中で日本の特に特徴、特質をちょっと御説明したいと思います。
「しずく」衛星ですとか、海洋研究開発機構の「みらい」といった進んだ研究船あります。あと、いろいろな計測設備も日本は持っているんですけれども、それから出てくるデータをどう提供しているかというところに日本の特質があります。
「しずく」衛星のデータは世界に公開されています。「みらい」の観測は、実は、今年、今年度は感染症の影響で各国が北極観測を諦めました。その中で、今年から始まる予定だった観測計画、どこかの国が行って活動していることが期待されたんですけれども、日本とあと僅かな国だけ徹底的にその準備をしまして、安全航海を期して日本は参加してきて、今年の欠測を防ぐということをやっています。
そういった地道な努力、それが北極の大事なデータを支えているというのがあります。そういったデータの公開性というものがありまして、そこが日本の信頼を生み出しているところなんですけれども、例えばブラックカーボンという汚染物質がありますけれども、実は、アメリカとか海外で既にたくさんの研究が行われていましたけれども、皆さんの意見が分かれていました。どれが正解か分からない。そのときに、日本の優れた測器が登場しまして、それぞれを比べるという作業をしました。自分の測器が違っていると言われると大体皆さん気分を害するんですけれども、そうではなくて、日本の測器に合わせて全体を統合して北極全体のマップを描こうという機運がそこで生まれました。その調整役として日本の観測機器が働いたというところがあります。
あと、北極評議会は八か国、沿岸国は五か国、日本はそれからは遠いんですけれども、遠いと不利かというと、そうではない面があります。北極の当事国は、自分の国の中でひょっとすると有利な情報を出すかもしれない、それを科学的に高い精度を持つ信頼できる国民がやってきて出した結果というのは、実はそこの当事国よりも中立性が高くて、科学的にも正確であるということで、それを参照するということが生まれています。
ということで、第三者として北極に入ってきて、大切なアセスメントを出しているというふうなところの活動に入っていっているというところで、日本の参加が期待されているというところがありました。
今のところは自然科学の話なんですけれども、人文社会、人類学、先住民の暮らしはどうだったか、あと、今彼らは何で悩んでいて、日本はどこに貢献できるかというところは行ってすぐに分かるものではないんですけれども、実は日本の人類学者、かなり、十年、二十年の時間を掛けて現地に入り込んでデータを集めている方がいます。そういった人たちは現地の社会にも溶け込んでというか、信頼を受けていまして、日本人の研究者とのやり取りということは既にかなり蓄積があります。
今回の新しいArCSⅡプロジェクトなどにもその専門家が入っていまして、現地が本当に望んでいるもの、技術とかお金とかデータだけではない、本当に理解してもらいたいというところに接近するような活動を日本はできているというところが特徴としてあります。
次世代に続けるには、そういった活動を現地に閉じないで日本に持って帰ってこないといけないので、やはり教育とかアウトリーチは大変重要なところだと考えています。
以上です。
この発言だけを見る →日本の科学技術、北極の中でどういう役割を果たせるか、ACですとかいろいろな、各国が競って、中国、ロシア、米国、いろんなプロジェクト、EUとかありますけど、その中で日本の特に特徴、特質をちょっと御説明したいと思います。
「しずく」衛星ですとか、海洋研究開発機構の「みらい」といった進んだ研究船あります。あと、いろいろな計測設備も日本は持っているんですけれども、それから出てくるデータをどう提供しているかというところに日本の特質があります。
「しずく」衛星のデータは世界に公開されています。「みらい」の観測は、実は、今年、今年度は感染症の影響で各国が北極観測を諦めました。その中で、今年から始まる予定だった観測計画、どこかの国が行って活動していることが期待されたんですけれども、日本とあと僅かな国だけ徹底的にその準備をしまして、安全航海を期して日本は参加してきて、今年の欠測を防ぐということをやっています。
そういった地道な努力、それが北極の大事なデータを支えているというのがあります。そういったデータの公開性というものがありまして、そこが日本の信頼を生み出しているところなんですけれども、例えばブラックカーボンという汚染物質がありますけれども、実は、アメリカとか海外で既にたくさんの研究が行われていましたけれども、皆さんの意見が分かれていました。どれが正解か分からない。そのときに、日本の優れた測器が登場しまして、それぞれを比べるという作業をしました。自分の測器が違っていると言われると大体皆さん気分を害するんですけれども、そうではなくて、日本の測器に合わせて全体を統合して北極全体のマップを描こうという機運がそこで生まれました。その調整役として日本の観測機器が働いたというところがあります。
あと、北極評議会は八か国、沿岸国は五か国、日本はそれからは遠いんですけれども、遠いと不利かというと、そうではない面があります。北極の当事国は、自分の国の中でひょっとすると有利な情報を出すかもしれない、それを科学的に高い精度を持つ信頼できる国民がやってきて出した結果というのは、実はそこの当事国よりも中立性が高くて、科学的にも正確であるということで、それを参照するということが生まれています。
ということで、第三者として北極に入ってきて、大切なアセスメントを出しているというふうなところの活動に入っていっているというところで、日本の参加が期待されているというところがありました。
今のところは自然科学の話なんですけれども、人文社会、人類学、先住民の暮らしはどうだったか、あと、今彼らは何で悩んでいて、日本はどこに貢献できるかというところは行ってすぐに分かるものではないんですけれども、実は日本の人類学者、かなり、十年、二十年の時間を掛けて現地に入り込んでデータを集めている方がいます。そういった人たちは現地の社会にも溶け込んでというか、信頼を受けていまして、日本人の研究者とのやり取りということは既にかなり蓄積があります。
今回の新しいArCSⅡプロジェクトなどにもその専門家が入っていまして、現地が本当に望んでいるもの、技術とかお金とかデータだけではない、本当に理解してもらいたいというところに接近するような活動を日本はできているというところが特徴としてあります。
次世代に続けるには、そういった活動を現地に閉じないで日本に持って帰ってこないといけないので、やはり教育とかアウトリーチは大変重要なところだと考えています。
以上です。
濱
濱崎和也#18
○参考人(濱崎和也君) 北極海航路の発展のために御支援していただきたいことなんですけど、やはり北極海航路、先ほど動画見ていただいたと思うんですけど、航路としては非常に過酷な環境でございます。それで、我々のLNG船もハード的には最新のものを使っておりまして、また我々も、北極海航路のリスクとか、そういうソフト面というか、できることを洗い出して、リスクをできるだけミニマイズして安全運航に努めているところでございます。
にもかかわらず、やはりちょっとまだ未知のところが多くございまして、例えば、氷がどうできるのかとか、氷が張っている状況をあらかじめ予測して、それが衛星データとして分かればより安全運航できるようになるとか、いろんなところがあるわけでございます。
そういう意味で、日本の強みである科学技術の力で、そういうような北極海の氷の張り方とか、そういう安全運航に役立つ技術を開発していただければ、今後の船の運航に関しては非常に役立つんじゃないかなと思います。
我々、やはり北極海航路、事業展開に当たってはやっぱりロシア側の協力は不可欠でございまして、我々のそういう科学技術の力でロシアに対するプレゼンスも上げて、そういうことで日本の力を示していくことが大切かなと思っております。
この発言だけを見る →にもかかわらず、やはりちょっとまだ未知のところが多くございまして、例えば、氷がどうできるのかとか、氷が張っている状況をあらかじめ予測して、それが衛星データとして分かればより安全運航できるようになるとか、いろんなところがあるわけでございます。
そういう意味で、日本の強みである科学技術の力で、そういうような北極海の氷の張り方とか、そういう安全運航に役立つ技術を開発していただければ、今後の船の運航に関しては非常に役立つんじゃないかなと思います。
我々、やはり北極海航路、事業展開に当たってはやっぱりロシア側の協力は不可欠でございまして、我々のそういう科学技術の力でロシアに対するプレゼンスも上げて、そういうことで日本の力を示していくことが大切かなと思っております。
山
鶴
田
田島麻衣子#21
○田島麻衣子君 ありがとうございます。立憲民主党参議院の田島麻衣子です。
今日は、参考人の方々、本当にためになるお話をどうもありがとうございました。
まず、私は、池島大策参考人にお聞きしたいと思います。
内容は日本の北極活用に関する影響力とリーダーシップについてなんですが、私は、参議院議員として仕事をさせていただく前に国連で仕事をしておりまして、事務方として、SDGs、例えば持続可能な開発目標の策定プロセスを見ていたんですが、やっぱり日本がもっと世界に影響力を与えるアジェンダの策定に影響力を行使するべきだとすごく強く思うようになりました。
北極活用は、本当に非常に世界の国々に関連する大きな重要な課題だと思います。二〇一三年に北極評議会のオブザーバー参加を日本が果たしてから八年の月日がたとうとしていますけれども、これまで日本はどのようにこの北極評議会でオブザーバー国として活動してきたのか、また、先生、この読売新聞の中で評議会に関わることもできなかった国の意見も取り入れるべきだということをおっしゃっていますが、そうした取組をどのように日本は行ってきたのか、どのようにルール作りに反映させてきたのかということを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →今日は、参考人の方々、本当にためになるお話をどうもありがとうございました。
まず、私は、池島大策参考人にお聞きしたいと思います。
内容は日本の北極活用に関する影響力とリーダーシップについてなんですが、私は、参議院議員として仕事をさせていただく前に国連で仕事をしておりまして、事務方として、SDGs、例えば持続可能な開発目標の策定プロセスを見ていたんですが、やっぱり日本がもっと世界に影響力を与えるアジェンダの策定に影響力を行使するべきだとすごく強く思うようになりました。
北極活用は、本当に非常に世界の国々に関連する大きな重要な課題だと思います。二〇一三年に北極評議会のオブザーバー参加を日本が果たしてから八年の月日がたとうとしていますけれども、これまで日本はどのようにこの北極評議会でオブザーバー国として活動してきたのか、また、先生、この読売新聞の中で評議会に関わることもできなかった国の意見も取り入れるべきだということをおっしゃっていますが、そうした取組をどのように日本は行ってきたのか、どのようにルール作りに反映させてきたのかということを伺いたいと思います。
池
池島大策#22
○参考人(池島大策君) ありがとうございます。田島先生、どうも御質問ありがとうございました。
これは、北極評議会のいわゆる国際化という側面をどう考えるかという問題に関わると思います。
先ほどから私も申し上げましたように、北極評議会のその成り立ちとか、それから北極という地域の在り方を考えるときに、やはり国連というある種非常に一般的な世界における基盤を持つような組織、国際組織とは異なり、ある種非常に地域に根差したものであって、そして、その法人格、まあ難しい話になりますけれども、そういったものが必ずしも確定できていない北極評議会の中で、地域と関係ないとは言わないけれども、オブザーバーのような形で人員を広げていくこの組織というか北極評議会はどこへ結局行くことになるのかということなんですね。
それはどういうことかというと、元々いた国々の関係者、研究者と意見を交換して話を聞くと、みんながみんなこういう在り方を好ましいとは思っていないかもしれないという現実があるんですね。それはどういうことか。なぜかというと、彼らは、自分たちの裏庭とは言わないけれども、自分たち、土着の住んでいる場所であって、そこを幾ら国際社会が国際化したとかいろんな形で近くなったとはいえ、そこに国際社会のいろんな形での影響が入ってくることに対して非常に慎重なといいましょうか、ある種抵抗感というか、そういうものもある国々や、先住民族、原住民族というのがいるんですね。
ですから、その状況を考えに入れながら、やはり環境保護とかそれから経済開発の問題に対しても、先ほどから申し上げているように、バランスを取ってやっていかなければいけない。そこに日本が入ったときに、どこの立場を日本が一番うまく利益代表できるかというところなんですね。それが、結局、評議会に入れなかった、まだオブザーバーとして入りたいけれども待っている、ウエイティングリストに載っている国々の意見を日本は酌み取れる、吸い取って自分がある種媒介者として北極評議会に世界的な利益、公共益といいましょうか、公益、そういうものをうまく吸い込んで落とし込んでやれるような、そういう媒介者としての役割を担えるような度量というか、そういうものがあるかどうかというのが問われているんだと思うんですね。
具体的に何かというと、それは、一応、多分科学的なことで、榎本参考人の方から先ほどの発表の中で非常に大きな貢献をされているというのがありますけれども、そういう過程で、それは日本の外交も試されていますし、我々日本人として、我々日本がこれだけ貢献するという意気込みを見せるのもいいんですが、果たしてどれだけそのニーズというものを我々が酌み取っていけるかという、期待されている活動に対して働きができるかということを示すことが大事なのかな。そうすると、おのずと環境の分野、科学の分野というところに限られてくるという点は否めない。やっぱりオブザーバーとしての立場というものをある種わきまえざるを得ない地域的な、何というんでしょう、フォーラムなんですね。ですから、そこを考えながら非常に微妙な取組を日本としては余儀なくされるという感じを私はしております。
恐縮です。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →これは、北極評議会のいわゆる国際化という側面をどう考えるかという問題に関わると思います。
先ほどから私も申し上げましたように、北極評議会のその成り立ちとか、それから北極という地域の在り方を考えるときに、やはり国連というある種非常に一般的な世界における基盤を持つような組織、国際組織とは異なり、ある種非常に地域に根差したものであって、そして、その法人格、まあ難しい話になりますけれども、そういったものが必ずしも確定できていない北極評議会の中で、地域と関係ないとは言わないけれども、オブザーバーのような形で人員を広げていくこの組織というか北極評議会はどこへ結局行くことになるのかということなんですね。
それはどういうことかというと、元々いた国々の関係者、研究者と意見を交換して話を聞くと、みんながみんなこういう在り方を好ましいとは思っていないかもしれないという現実があるんですね。それはどういうことか。なぜかというと、彼らは、自分たちの裏庭とは言わないけれども、自分たち、土着の住んでいる場所であって、そこを幾ら国際社会が国際化したとかいろんな形で近くなったとはいえ、そこに国際社会のいろんな形での影響が入ってくることに対して非常に慎重なといいましょうか、ある種抵抗感というか、そういうものもある国々や、先住民族、原住民族というのがいるんですね。
ですから、その状況を考えに入れながら、やはり環境保護とかそれから経済開発の問題に対しても、先ほどから申し上げているように、バランスを取ってやっていかなければいけない。そこに日本が入ったときに、どこの立場を日本が一番うまく利益代表できるかというところなんですね。それが、結局、評議会に入れなかった、まだオブザーバーとして入りたいけれども待っている、ウエイティングリストに載っている国々の意見を日本は酌み取れる、吸い取って自分がある種媒介者として北極評議会に世界的な利益、公共益といいましょうか、公益、そういうものをうまく吸い込んで落とし込んでやれるような、そういう媒介者としての役割を担えるような度量というか、そういうものがあるかどうかというのが問われているんだと思うんですね。
具体的に何かというと、それは、一応、多分科学的なことで、榎本参考人の方から先ほどの発表の中で非常に大きな貢献をされているというのがありますけれども、そういう過程で、それは日本の外交も試されていますし、我々日本人として、我々日本がこれだけ貢献するという意気込みを見せるのもいいんですが、果たしてどれだけそのニーズというものを我々が酌み取っていけるかという、期待されている活動に対して働きができるかということを示すことが大事なのかな。そうすると、おのずと環境の分野、科学の分野というところに限られてくるという点は否めない。やっぱりオブザーバーとしての立場というものをある種わきまえざるを得ない地域的な、何というんでしょう、フォーラムなんですね。ですから、そこを考えながら非常に微妙な取組を日本としては余儀なくされるという感じを私はしております。
恐縮です。どうもありがとうございました。
田
田島麻衣子#23
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
次は、榎本浩之参考人に質問させていただきたいと思います。
人材育成も急務ということをまとめの一番最後のところでおっしゃっていましたが、日本の頭脳の海外への流出ということが指摘されて久しくあると思うんです。この気候変動や海洋観測の分野における日本の専門的な研究環境は、今どのようなものなのか。
参考人の先生はスイスで博士課程を修了されているというふうに伺いましたが、海外との比較も含めて、例えば博士課程のクオリティーですとか、専門家として研究を続けるために日本で用意されているキャリアパスなどについて、国家予算も含めながら教えていただけると幸いです。
この発言だけを見る →次は、榎本浩之参考人に質問させていただきたいと思います。
人材育成も急務ということをまとめの一番最後のところでおっしゃっていましたが、日本の頭脳の海外への流出ということが指摘されて久しくあると思うんです。この気候変動や海洋観測の分野における日本の専門的な研究環境は、今どのようなものなのか。
参考人の先生はスイスで博士課程を修了されているというふうに伺いましたが、海外との比較も含めて、例えば博士課程のクオリティーですとか、専門家として研究を続けるために日本で用意されているキャリアパスなどについて、国家予算も含めながら教えていただけると幸いです。
榎
榎本浩之#24
○参考人(榎本浩之君) 御質問ありがとうございました。
まとめの一番最後のところに人材育成ということを書かせていただいたんですけれども、実は北極の研究活動、ハードとかソフトとか、あと現場観測のできるような基地とか、いろいろありますけれども、最後に動かすのは、大事なのは、そこにどういう人がいるかと、そういったところです。
人材育成は大変重要なところでして、今日、最近の北極のプロジェクト、GRENE、ArCS、ArCSⅡというふうにありましたけれども、それぞれの中で若手を海外に派遣するというプログラムを入れています。それで、海外に行ってきた若手には、どういう経験したかを日本で伝えてもらうということもやっています。
まだまだ大学の教員から後押し、背中を押して、自信を持って行かせることが必要なんですけれども、そういった活動が蓄積していきますと、今海外へ行った学生が五年後、例えば研究船が動く頃、あるいは十年後の新しい北極の取組の中で、自然科学だけではなくて社会科学、法律、全部含めたところで、世界の主要な会合でリーダーシップを取るようなところに行ってもらえないかというところを期待して、プロジェクトでは応援しています。
そこで、大きな課題なんですけれども、これ、大学、研究者から押し出そうとすると、大学院に来てもらわないといけないと。大学院を志望する学生、あるいは学部で自然科学、あるいはそういった方がどの段階で、小中高どの段階でそういう示唆を受けたか、誰から受けたか、そういったところが重要なところがあります。
その点は例えば南極から学ぶところがありまして、南極には教員を派遣していまして、教員が南極に行って授業をして、国内の子供たちがそれを聞いて、将来、きっかけを持ってもらう。北極の方もそういった放送をやって、もう少し日常の中で北極の様子を見て、自分もそれに参加しようというところを持ってもらいたいというところは世代を超えてつくろうということで、今日は三つのプロジェクトの中だけお話ししましたけれども、大学あるいは大学間の協力を受けてそういった教育プログラムというところも、いろいろ模索しながらですけれども、作っていっているところです。
以上です。
この発言だけを見る →まとめの一番最後のところに人材育成ということを書かせていただいたんですけれども、実は北極の研究活動、ハードとかソフトとか、あと現場観測のできるような基地とか、いろいろありますけれども、最後に動かすのは、大事なのは、そこにどういう人がいるかと、そういったところです。
人材育成は大変重要なところでして、今日、最近の北極のプロジェクト、GRENE、ArCS、ArCSⅡというふうにありましたけれども、それぞれの中で若手を海外に派遣するというプログラムを入れています。それで、海外に行ってきた若手には、どういう経験したかを日本で伝えてもらうということもやっています。
まだまだ大学の教員から後押し、背中を押して、自信を持って行かせることが必要なんですけれども、そういった活動が蓄積していきますと、今海外へ行った学生が五年後、例えば研究船が動く頃、あるいは十年後の新しい北極の取組の中で、自然科学だけではなくて社会科学、法律、全部含めたところで、世界の主要な会合でリーダーシップを取るようなところに行ってもらえないかというところを期待して、プロジェクトでは応援しています。
そこで、大きな課題なんですけれども、これ、大学、研究者から押し出そうとすると、大学院に来てもらわないといけないと。大学院を志望する学生、あるいは学部で自然科学、あるいはそういった方がどの段階で、小中高どの段階でそういう示唆を受けたか、誰から受けたか、そういったところが重要なところがあります。
その点は例えば南極から学ぶところがありまして、南極には教員を派遣していまして、教員が南極に行って授業をして、国内の子供たちがそれを聞いて、将来、きっかけを持ってもらう。北極の方もそういった放送をやって、もう少し日常の中で北極の様子を見て、自分もそれに参加しようというところを持ってもらいたいというところは世代を超えてつくろうということで、今日は三つのプロジェクトの中だけお話ししましたけれども、大学あるいは大学間の協力を受けてそういった教育プログラムというところも、いろいろ模索しながらですけれども、作っていっているところです。
以上です。
田
田島麻衣子#25
○田島麻衣子君 ありがとうございます。
最後に、濱崎参考人にお聞きします。
ロシアからのLNG輸入の今後についてなんですが、北極海航路輸送が強化されるに当たって、今、二〇二〇年で世界第四位の輸入量と今学びましたが、今後どこの辺りまで伸びていくのか、また、ロシアには地政学的なリスクも指摘されていますので、その辺り、どのように評価されているのかということをお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →最後に、濱崎参考人にお聞きします。
ロシアからのLNG輸入の今後についてなんですが、北極海航路輸送が強化されるに当たって、今、二〇二〇年で世界第四位の輸入量と今学びましたが、今後どこの辺りまで伸びていくのか、また、ロシアには地政学的なリスクも指摘されていますので、その辺り、どのように評価されているのかということをお聞きしたいと思います。
濱
濱崎和也#26
○参考人(濱崎和也君) 御質問ありがとうございます。
ロシアは、天然ガスを含め、北極圏に多くのガスの埋蔵量がございまして、これから、今、先ほど申し上げたヤマルのLNGというのが立ち上がって、一千七百万トンぐらいですかね。今、アークティックLNG2というのを造っておりまして、それが大体二千万トン。合わせると、三千七百万トンぐらいまで行くということになっております。それで、このアークティック2をまず稼働させるというのが二〇二三年度か二四年になるんですけど、その後、次のプロジェクトも予定されておりますので、ロシア側が予定しているのは、八千万トンぐらいまで北極圏から出したいというところで考えております。そうすると、今、カタール、オーストラリアというところがLNGの輸出国で、これから北米が出てこようというところの第四の柱みたいな出荷地になるんじゃないかなというふうに考えます。
その中で、ロシアの地政学リスク確かにあるんですけど、我々は、日本の国としましては、LNGの調達先を多様化するというのが非常に国益にかなうかなと思っていまして、LNGは石油とは異なっていろんな国で生産できるというところで、オーストラリア、米国、中東、いろいろございますけど、その中でロシアというのを押さえておくというのは非常に国益として重要なのかなと考えておりまして、我々、そのお手伝いができればなと考えております。実際、ロシアの制裁とか、ちょっといろいろ事業展開に関してチャレンジングなところはあるんですけど、それを何とか会社としてリスクをミニマイズというかミティゲートしながら進めていきたいなと考えておる所存でございます。
この発言だけを見る →ロシアは、天然ガスを含め、北極圏に多くのガスの埋蔵量がございまして、これから、今、先ほど申し上げたヤマルのLNGというのが立ち上がって、一千七百万トンぐらいですかね。今、アークティックLNG2というのを造っておりまして、それが大体二千万トン。合わせると、三千七百万トンぐらいまで行くということになっております。それで、このアークティック2をまず稼働させるというのが二〇二三年度か二四年になるんですけど、その後、次のプロジェクトも予定されておりますので、ロシア側が予定しているのは、八千万トンぐらいまで北極圏から出したいというところで考えております。そうすると、今、カタール、オーストラリアというところがLNGの輸出国で、これから北米が出てこようというところの第四の柱みたいな出荷地になるんじゃないかなというふうに考えます。
その中で、ロシアの地政学リスク確かにあるんですけど、我々は、日本の国としましては、LNGの調達先を多様化するというのが非常に国益にかなうかなと思っていまして、LNGは石油とは異なっていろんな国で生産できるというところで、オーストラリア、米国、中東、いろいろございますけど、その中でロシアというのを押さえておくというのは非常に国益として重要なのかなと考えておりまして、我々、そのお手伝いができればなと考えております。実際、ロシアの制裁とか、ちょっといろいろ事業展開に関してチャレンジングなところはあるんですけど、それを何とか会社としてリスクをミニマイズというかミティゲートしながら進めていきたいなと考えておる所存でございます。
田
鶴
三
三浦信祐#29
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。
参考人の先生方には大変重要な御示唆をいただきまして、本当にありがとうございます。
まず最初に、池島参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
終わりにというところで、南極、北極、それぞれの課題と展望についてお話をいただきました。その中で、北極での国内的課題というところの御指摘をいただいていると理解をしております。
日本国民にとってみれば、南極といえば「南極物語」があったり、どちらかといったら、毎年必ず「しらせ」が行くという話もあったり、いろんな情報が入ってまいります。
一方で、北極の場合ですと、海を活用するというイメージよりは、どちらかというと、昔のアンカレジを通ってそのまま空路でヨーロッパに行くルートであるという一端にしかイメージを持っていないと、そういう背景もございます。今では大圏航路を使って、北極というところは余りイメージをしないという中での外交交流の位置付けにはなっている中で、このAC等での存在感の向上への国民的理解への高まりが必要であろうというふうに御指摘をいただきましたけれども、この入口、また、突破をするに当たっては、より具体的なことをしないと国民のメリットを感じにくい内容だと思います。
もう少しここを深掘りして教えていただけると大変光栄でございます。
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まず最初に、池島参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
終わりにというところで、南極、北極、それぞれの課題と展望についてお話をいただきました。その中で、北極での国内的課題というところの御指摘をいただいていると理解をしております。
日本国民にとってみれば、南極といえば「南極物語」があったり、どちらかといったら、毎年必ず「しらせ」が行くという話もあったり、いろんな情報が入ってまいります。
一方で、北極の場合ですと、海を活用するというイメージよりは、どちらかというと、昔のアンカレジを通ってそのまま空路でヨーロッパに行くルートであるという一端にしかイメージを持っていないと、そういう背景もございます。今では大圏航路を使って、北極というところは余りイメージをしないという中での外交交流の位置付けにはなっている中で、このAC等での存在感の向上への国民的理解への高まりが必要であろうというふうに御指摘をいただきましたけれども、この入口、また、突破をするに当たっては、より具体的なことをしないと国民のメリットを感じにくい内容だと思います。
もう少しここを深掘りして教えていただけると大変光栄でございます。