坂元茂樹の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(坂元茂樹君) 御質問ありがとうございました。
まず、日本政府が深刻な懸念を表明するにとどまっていて、国際法違反とは言っていないということについて御質問ございましたけれども、この点は、国際法の世界では、国家機関は立法機関、執行機関、司法機関から成っているのは御案内のとおりなんですけれども、このような国家機関が国際法違反の行為を行えば国際違法行為となります。
立法機関の行為が国際法に違反する場合というのは一体どういう場合かというと、立法機関が国際法に違反する国内立法を行った場合、今、海警法ではそういうような主張を那覇市議会が行っている。もう一つは、国際法上義務付けられた立法を行うのを怠った場合という、この二つがあるわけですね。
問題は、それによって何ら自国民の利益を害されない他の国が、当該国際法違反の国内立法を行った国の国際責任を追及することができるかというと、それは通常はできないということで、外務省辺りは、そこで実際に具体的な事件が発生したら中国に対して国際法違反だといって国際責任を追及するという姿勢で、今のような懸念の表明にとどまっているんだろうというふうに理解しています。
ただ、私自身は少し別のことを考えています。どういうことかといいますと、今回の中国の海警法の曖昧な中国の管轄水域という表現によって、尖閣諸島周辺の日本の領海等で、日本の海保が懸命に漁民を守ろうとしても、中国海警の取締りを恐れて、沖縄の漁民が従来その海域で漁業を行っていたのに、その海域に出漁すれば中国海警による拿捕の危険性があり、そのため出漁を見合わせざるを得ないという、こういう状況に至った場合には、具体的に拿捕されるという事件が発生をしていなくても出漁を見合わすという、そのことによって当該漁民は損害が発生をしているわけでありますから、その損害と国際法違反の国内法、中国海警法との間に因果関係が証明されるならば、国際法違反の国内法が施行されたことでこうした事態が生じているんだとして中国の責任を追及するというのも可能性としてないわけではないということなんですね。
それから、冒頭に申し上げましたけれども、中国は、接続水域に海洋法条約に違反する安全に対する管轄権を行使することを許す領海法を制定をすると、その執行を担保する海警法が制定された。そうすると、外国の船舶が中国の接続水域の航行を回避するということになりますと、同水域における他の国の船舶の航行の自由は既に侵害されているということになる。ですから、具体的な損害が発生していなければならないと強調し過ぎることは日本の立場として果たして適切かという問題意識は私の中にはあるということでございます。
ただ、それからもう一つ、中国と国際法の向き合い方なんですけれども、我が国の憲法は、九十八条二項で、条約及び確立された国際法、これは慣習国際法を指しますけれども、これを誠実に遵守することを必要とするという規定を置いています。しかし、中国憲法には、国際法あるいは条約との関係を規定した条文はございません。
ですから、中国は、国際法についてはケース・バイ・ケースで対応しているということでありまして、WTOのような場合には、積極的に国内裁判所でこれを援用したりしております。これは、中国の最高人民法院の裁判官と一度お話ししたときに、そのような条文がないのにどうやって国際法の適用されているんですかというと、答えはケース・バイ・ケースというものでした。これが中国の国際法に対する姿勢ということであります。
私からは以上です。