逸見真の発言 (国際経済・外交に関する調査会)
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○参考人(逸見真君) 御質問ありがとうございます。
私自身は、幸か不幸か、大きな事故とか大きな嵐に遭ったという経験はないんですね。
逆にこれ、ちょっと不思議な話で申し訳ないんですけれども、例えば台風に当たる、よく、人は、乗るたびに当たるという、そういうジンクスもあったり、それとか、あと、あの人が乗ると必ず船故障するとか、そんな話がまことしやかに海運界では話されることがあるんですが、ただ、これにつきましては、いろいろ考えてみれば当たり前というか、要するに、日本近海を夏場航海する船に常に乗り続ける人間は台風に当たる確率非常に高いわけですね。それから、やっぱり古い船に乗る船員さんはどうしても故障がちな船に当たっちゃうということもありますから、要するに、人に付くんじゃなくて、たまたまその人が乗った船とかその人が乗った時期、環境、そういうふうなものである意味整理できるんじゃないかなというふうに考えます。
突き詰めて言いますと、運がいい、運が悪いという話になるんですけれども、確かに、百人、二百人、いろいろいる中で、この人はちょっと運が悪いかなという話はまれに感じることはありますが、そんなことを考えていたら船員という仕事には就けないわけですから、そこら辺のところは余り私は信じておりません。
私自身の話といたしましては、サードオフィサー、三等航海士のときにマラッカ海峡でぶつかる寸前まで行ったことはあります。ペルシャ湾からVLCC、満船のタンカーで、原油を満載したタンカーで走ってきて、ちょうど私、船長と一緒に夜八時頃ワッチ立ったんですけれども、ちょうど右に曲がるところのポジションだったんですね。私、右から船来ないと言って、船長がそのまま右にかじ切ったんですけど、切ったらすぐ真後ろにコンテナ船がいたんですね、真っすぐ走ってくるんです。それでちょっとびっくりしまして、レーダー見たら映っていなかったんですけど、ちょうど、細かい話で申し訳ないんですが、煙突があって、その煙突の陰になってコンテナ船が映らなかったんですね。曲げ出して、その陰が取れた瞬間に映ったんですね。びっくりして、船来ますと言って、船長もすぐかじ戻してやったんですけど、もう二十メーターも足入った満船の三十万トンというVLCC、巨大タンカーは、もうかじをちょっと切っただけではもう全然動かないんですね。それで、わあ、このまま行ったらもう横腹激突されて、もうマラッカ海峡油まみれで、私はもう一生日本に帰れないなという感じもあったんですけれども、運よく、コンテナの方が足が速いですからね、二十ノット以上出ますので、本船というか、私の乗っていた船のへさきをかっとかわしてくれて、逃げてくれて、助かったという思い出が。
時々夢にも見ますけど、そんなようなお話でよろしいでしょうか。ありがとうございます。