渡辺喜美の発言 (財政金融委員会)
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○渡辺喜美君 とにかく日本は十年に一回ぐらい危機に見舞われてきましたので、過去の失敗の事例、これはもう山のように蓄積されているんですね。とにかく、西田委員もおっしゃっておられたけれども、金融政策せっかく吹かしているのに財政で引締めしちゃったりとか、逆のこともあったりして、それが日本の失われた二十年、三十年の歴史をつくってしまったということであります。
国際金融のトリレンマというのがありまして、自由な資本移動、自由な金融政策、固定相場制、この三つというのは二つまでしか成立しないんだという有名な定理であります。今、日本銀行も四月からようやく、遅ればせながらというんでしょうか、中央銀行デジタル通貨、CBDCの取組というのを始められたと。日本銀行からいただいた資料を見ると全くごもっとものことがたくさん書いてあるんですけど、大体イメージ的には百万円まででしょうかねとか、まあその中央銀行システムすらなくなっちゃう仕組み方もあるんですけれども、中央銀行とか今の銀行システムは温存してやりましょうとか、いかにもモデラートな、方向性とまではいかなくても、そういうところが示唆されているわけであります。
元大蔵官僚の野口悠紀雄教授によりますと、オーストリアの経済学者、フリードリッヒ・フォン・ハイエクは中央銀行は要らないというお立場だったんでしょうかね。中央銀行の歴史って野口教授によるとそれほど古いものじゃなくて、スウェーデンのリスクバンクが十七世紀ですから。アメリカのFRBに至っては二十世紀になってからできた。日本銀行は松方正義さんなども出資して十九世紀の終わり頃できたというわけでして、このデジタル通貨というのはまさに根本的な問いを我々に突き付けていると言っても過言ではないんですね。
一方、デジタル共産主義と言われる中国ではいち早く実験に乗り出して、まだ実験の段階だけれども、報道によると、北京オリンピックの頃までにはもう実用化したいんだと。これ、仕組み方によれば、中国人民銀行が全部トレースできちゃうわけですね。いや、これ、すげえことになったな、そこまで監視されるのかよと。香港の活動家の中には、地下鉄乗るのにデジタル通貨なんか使ったらもう全部トレースされちゃう、全部捕捉されちゃうから、わざわざ現金で乗っているなんという話もありますけれどもね。
日本人は現金が大好きだと。なぜこんなに現金が多いんだというと、それは、私に言わせればデフレだからなんですよ。デフレのときには、もうそれは現金の方がいいわけですよ。価値がどんどん、たんすの中に入れておけば価値がどんどん上がってくれるわけですからね。
ですから、この現金に代わる匿名性というのは多分デジタル通貨ではできないでしょうし、いや、逆にデジタル通貨にした方が、百万円、デジタル通貨で早く使わないとマイナス金利が付いちゃいますよとかいう設計にすると使われるんじゃないかなんということを言う人もいるんですが、そういう懲罰的なことをやって本当にいいんですかとか思うんですね。
じゃ、先ほどのそのデジタル人民元の話に戻りますけど、じゃ、このデジタル人民元がいずれドル覇権に代わるすごいことになるのかというと、どうも私にはそう思えないんですよ。それが先ほど申し上げた国際金融のトリレンマというやつで、自由な資本移動もない、為替ターゲットの金融政策、一万田総裁じゃないけれども、相変わらず窓口規制なんてやっている、そういう国の通貨が貿易決済の手段として世界中に行き渡って、それで覇権的な立場を構築できるのかといったら、それはちょっとクエスチョンマークだなと思うんですが、いかがでしょうか。