縄田和満の発言 (資源エネルギーに関する調査会)

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○参考人(縄田和満君) 東京大学の縄田です。今日は、このような会にお呼びいただきまして、誠にありがとうございます。
 今日特にお話しするのは、レアメタルを中心とした鉱物資源の安定供給に関する件です。実は私、この鉱物資源、レアメタルを中心とした資源の安定供給に関してもう三十年ほど取り組んでおりまして、その一部を御披露できればと思います。(資料映写)
 これ、私自身が委員を務めております経済産業省の総合資源エネルギー調査会資源・燃料部会の報告を中心に、まず現状について簡単に御報告したいと思います。
 新たに資源エネルギー政策というのが設定されまして、実際にこれを行うJOGMEC等の改正が行われて現在に至っているということです。
 特に、私が対象としておりますレアメタルに関しては、レアメタルの、後ほど述べますように、レアメタルの更なる需要拡大が予想されると。特に、これも後ほど述べますが、中国による寡占が進んでいると。実際にあった事件といたしまして、レアメタルの輸出禁止というのが実際に起こっているということで、概要はそうなっていると。
 レアメタルといいましても、レアメタルは特に地域偏在性が強いものが存在します。今、二次電池等で非常に重要となっているコバルトについて見ますと、全世界で十数万トンしか使われていないんですが、そのうち半数がコンゴ。必ずしも、政情も不安定であり、さらにいろんな意味で人権問題等が騒がれている、非常にコンゴという国に依存しているというのが現状です。
 もう一つ、ここにありますように、レアアースの製錬等を見ますと、圧倒的に中国が大きいということです。
 レアメタル、以後はレアアース等も含むものとしますが、は実に多種多様にわたると、二十数種類に国の定義でもわたるということになっております。一番大きいニッケルで二百数十万トン、少ないものにとっては全世界で数十トンしか使われていないというようなものもあります。しかも、それを使わないと製品ができない、まさに産業のビタミンとなっております。製品としては、ここにありますように、多種多様なものがレアメタルがなければ物が作れないと。
 次が鉱物資源の値段ですが、後でも述べますが、鉱物資源というのは非常に値動きが激しい。これ、最近のあれなんですが、当然コロナ危機で大きく落ち込んで、また中国の、特に中国が需要が復活してきたので上がっていると。何か物があるとすぐに二倍、三倍、物によっては十倍になることもあるといったことになっています。
 かつ、ベースメタルですと、LME、ロンドン・メタル・エクスチェンジ等ちゃんとした市場があるんですが、レアメタルになると、どうやって値段が決まっているか余りにも明らかでないと、メタルズブリテンとかメタルズウイークみたいなところの聞き取りによって決まっているというような実態があります。つまり市場が、まだないというか成熟していないというか、どっちかは分かりませんが、そういう事情があると。で、価格も非常に上下すると。平らなところはないんじゃなくて、メタルズブリテンとかそういうところがそうなっているので、市場があれば本質的には物すごく上下しているということになります。
 これまでの影響で、特に一番下の金属、私の専門としている金属鉱物資源について見ると、ベースメタル、後で述べますように、ベースメタルにおいても大きな障害が予想されると。レアメタルにおいては、現状では比較的需要が緩んでおります。ただし、何が起こるか分からないというのが現状です。
 次に、カーボンニュートラルに向けた資源エネルギー政策の方針という、十二月に行われた総合エネルギー調査会の資源・燃料部会のものから引用したものですが、これも見たように、資源埋蔵量、要するにリチウム、ニッケル、コバルト等が必要になるんだけど、非常に偏りがある。これは資源国の偏りじゃなくて、製錬も中国に偏っているという現状があります。一国の政策、さらには、今コンゴの例が出ましたが、コンゴ等で何か内乱、内紛みたいなのがあると、世界中の供給に大きな影響が出るということです。
 次が、各国における問題ですが、特にアメリカと中国の関係というのが現在問題になっておりますが、将来的にはそれがかなり影響していく可能性があるというのだけ指摘しておきたいと思います。中国、今、一斉に規制を緩めたので造り過ぎになっちゃって、また国家管理に戻そうとしているということがあります。
 当然のことながら、リサイクルの取組も必要であると、今後ですね。ただし、これも技術問題と関係するんですが、リサイクルというのは実は鉱石を取り出すのと技術的には一緒なので、製錬所がないと日本でリサイクルができないということになります。そのために、例えばレアメタルを含む製品をよその国に持っていって製錬してもらうというんだと、安全保障上、何というか、安定供給上ほとんど役に立たないというようなことになってきます。
 次は、IEAの報告書からですが、今後、レアメタルが大きく伸びるであろうということが予想されます。
 これ、電気自動車の伸びなんですが、二〇一七年においては百万台以上の電気自動車の新車が発売されたと、そのうち過半数は中国、半数以上はもう中国であるということになっています。路上で使用されている電気自動車は三百万台を超えて、二〇一六年よりも五〇%増加したということになっていますが。
 これが電池の価格なんですが、いろんな各種資料から取ったんでちょっとばらつきがありますが、一応、何というか、電池の価格というのは低下傾向にあるということがあります。
 ただし、これ、二〇一七年当時のシナリオです。将来どの程度増えるかと、ハイブリッド等のどれだけ増えるかというのを調べたんですが、御存じのように、カーボンフリー、カーボンニュートラルというのをしていましたし、日本に、我が国においても、菅総理の発言のとおり、もうEVに替える、EVとかプラグインハイブリッドに替えていくんだということを世界各国が始めましたので、恐らく伸びがこんなものでは利かないということが予想されます。
 つまり、カーボンニュートラルを実現するためには、レアメタル及び必要な金属類を確保しないとそもそも造ることができないと、これが世界中で起こるということが予想されます。これアウトルックのシナリオですが、こんなものではない、これの最も極端な例とされているのよりも更に多くなるということが予想されるということです。
 じゃ、具体的にどの程度必要かというのは、これはベースメタルとはレアメタルは異なって、ベースメタルなんですが、私が日本メタル経済研究所から受託しました研究で、銅の需要ですね、代表的なベースメタルである銅の需要について予測したものです。
 これで見て分かるとおり、ハイブリッド、これ内燃機関の普通の自動車では、もちろん大きさによって異なりますが、平均的に二十三キログラム、ハイブリッドでは四十、プラグインハイブリッドでは六十、電気自動車では八十八キロ必要になるということになります。今、御存じのとおり、主に売られているのは普通のガソリン自動車ですので、それがEV等に変わると、銅を見ても四倍になると。それと、銅のようなベースメタルで比較的自由に取引されている製品でも、要するに順調にというか、二〇〇八年の一千八百十一万トンから二千三百四十六万トンに十年間で増えたと。
 これからが私の行った予想になるんですが、二〇三〇年には、今まで、これまでのとおり自動車等のものが変わらないと仮定しましても、各国の経済成長により一〇%ぐらいは増えていくと。問題は、電気自動車等を輸入するとどのぐらい増えるかと。これは、この当時、二年前に行った研究なんで、今とは比較にならないほどEVの導入というのが、一桁違うと思っていただければいいんですが、それによって銅のようなものでも五%程度増えてしまうということが予想されます。
 更に申し上げますと、コバルトのような十数万トンしかないもの、全世界で十数万トンしかないものが、言わばEVが、何といいますか、世界中で使われるようになると全く足りない、よほどの新技術が出てこない限り、桁が違うぐらい足りなくなってしまうというようなことがあります。
 次が、私の論文で、二〇一〇年に出た論文なんですが、中国の動向について分析したんですが、ちょっと注目していただきたいのは、投稿日が二〇〇八年、つまり、実際に、言わんとしていることは簡単です。現在のままでは中国がレアメタルの供給をポリティカル化、政治のカードとして切ってくるというのを論理的に説明して、その経済的影響を調べた研究です。これが二〇〇八年の秋頃書いた論文なんですが、御存じのとおり、中国国内、もう当時、その当時は中国国内での依存度がもう一〇〇%に近い程度になっていました。
 じゃ、レアメタルという、この場合レアアースですが、それほどレアかというと、金属的にはそれほどレアではないと。では、何で中国が独占するに至ったかというと、中国がレアアースをうんと安くして、ほかの鉱山がどんどん潰れていっちゃったわけですね。その結果、中国が独占することになってしまったという常識が、歴史があります。今からつくり直してもまたこれが起こっちゃう可能性があるということがあります。
 もう一つは、中国以外で探鉱を行うというのも必要なんですが、さらに製錬技術を中国が押さえていると変わらない、そういうことに、そこがネックになってしまうということがあります。
 それに関連しまして、WTO訴訟に関しても研究を行っております。今までWTOは主に輸入規制を主としていたんですが、中国の行動に関して世界各国からWTO訴訟、違反ではないかと、輸出に関する規定、輸出に関する制限に関しての議論があって、実際訴訟になって上級委員会まで行って、これは日本、訴えた方が勝ったということなんです。さらに、日本が関わった訴訟では、レアアースに関する輸出規制で日本が初めてWTOで中国を訴えた訴訟なんですが、これも日本、訴えが、つまり中国の規制は違法とされたということです。
 じゃ、レアメタル等を中心とした資源の安定確保に関する指針としましては、まず上流権益の確保があります。当然にそれとペアになるのが資源国との友好関係、互いにウイン・ウインじゃないといけませんよと。もう一つが、資源輸出に関するWTOなどによる国際的な枠組みの導入。それと技術開発ですね。レアメタルというのは副産物として回収されることが多く、その経済的な回収のための技術を確立していかなくちゃいけない。これは、裏を返せばリサイクルということになります。さらに、価格決定メカニズムを含めた市場環境の整備。最後に備蓄ということになるんじゃないかと思います。
 国際的な枠組みに関してちょっと簡単に言いますと、今までガットの条項で言うと、ガットの二十条、特に(g)条の天然資源に関する保全が問題となっていたんですが、現在の昨今の状況からしますと、ガット二十一条の安全保障例外を資源国が、特に過去の例では中国になりますが、持ち出してくるおそれがあると。平和維持のために軍備に使われる可能性があると。
 今、民生部品と軍事の境というのがほとんどなくなっちゃっていますので、これを持ち出された場合どうするかというのは、もう事前に対策を取っておくべき、日本がそれなりに国際的に発言力を持つためであるということがあります。
 それに関して、当然のことながら、日本の唯一の資源、唯一かつ最大の資源である人材、研究、人材育成が必要になる。特に私のように大学にいる人間としては人材育成が重要になるということです。今まで人材というとどうしても技術部門が多かったんですが、こういった国際交渉で枠組みをつくると、そういうことに関して積極的に参加できる、我が国のあれをつくる人間が必要であるということです。
 これで最後になりますが、時間ですので、レアメタルの備蓄に関しては、総合資源エネルギー調査会の方で、私も委員の一人となりますが、見直しを行うということになっておりますので。
 以上、時間ですので、報告を終わらせていただきます。

発言情報

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発言者: 縄田和満

speaker_id: 5461

日付: 2021-02-10

院: 参議院

会議名: 資源エネルギーに関する調査会