藤井昌也の発言 (文教科学委員会)

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○参考人(藤井昌也君) 名古屋市教育委員会教育次長の藤井昌也と申します。
 私からは、名古屋市の教育施策及び学校現場から見る少人数学級という観点で意見等をさせていただきます。資料を用意しておりますが、このA4の横の資料を追っていっていただければ私がしゃべっていることでのストーリーになっていきますので、よろしくお願いします。
 では、早速本題に入ります。
 本市としては、引き続き、国の動向を注視するとともに、必要な人員や教室数等について調べてまいります。これは、本市の九月定例会で少人数学級の拡大について教育長が議場で述べた答弁でございます。名古屋市だけでなく、どの自治体においても国の方針が早く決まるといいなと思っていたものの、国段階で確定していない時点ではこれが精いっぱいの答弁だったと思っています。
 名古屋市会はその約十日後に、全国統一的な制度として少人数学級を推進するよう強く要望するという意見書を全会一致で採択をしました。その約三か月後、小学校、令和七年度までに全学年三十五人学級にという長年の念願がかなう朗報が飛び込んでまいりました。
 名古屋の学校現場からもいろいろ歓迎する声、期待する声等が上がっています。
 小学校の校長です。課題があり学校で大人が手を差し伸べる必要がある子供も多くいる中、悩みのある子のサインを見逃すリスクも減らせる。学習効率が上がることはもとより、子供一人一人を温かく見守ることができ、楽しい学校づくりにつながる。
 中学校の校長です。中学校では、三十五人学級になると、本務教員の数が増え、子供たちと関わる時間が増える。空間的なゆとりが心理的なゆとりにつながる。ICTを活用した授業や個別最適化された学びも進めやすい。様々な利点があると思う。期待をしたいといったような声が上がっています。
 実は、名古屋では、平成二十九年度、より効果的な少人数学級の在り方についての研究を行ってまいりました。結果を述べますと、生活面では、三十人規模学級の児童の方が学級に居心地の良さや落ち着きを感じやすい傾向がうかがわれた。学習面では、学級の人数と学力との関係には明確な相関は見られなかった。三十人規模学級から四十人規模学級に急激に変化した小学校三年生においては、私語が多く落ち着かない状況も見られたということでした。
 研究の概要と具体的な調査方法などについては、今度は、縦の資料がありますので、またこれを御覧いただければと思っております。
 さて、名古屋市の現状を申し上げますと、現時点で小学校一、二年生は三十人学級を実施しています。中学校では一年生において三十五人学級を実施しております。今回、名古屋市としては、既に小一、小二で国の上限を下回る学級定員で行っていることがあり、三年生からの学級定員四十人との差を少しでも少なくするため、令和三年度は一年前倒しで三年生において三十五人学級を実施することとしました。国の実施年より一年ずつ早めて進めていく考えです。
 市町村の実情は、学級が増えることで、必要な教員数の増加だけでなく、様々必要な施設設備、備品の購入などの影響があります。それがまずやらなくてはいけない当面の課題です。
 細かな話にはなりますが、どんな対応が必要であるのか、四点のカテゴリーに分けて話をします。
 まず一つ目は、教員増とそれに伴う対応です。
 今回、名古屋は先行して行うに当たって、六十七学級がプラスとなる試算をしています。既に採用は終わってしまっているので、増えた学級を担任する教員は常勤講師となります。国からの加配を目いっぱい使うのではなく、市独自で約五十人を負担をします。市単費で人件費約四億一千万円費やします。
 これだけではありません。教員の指導用タブレット、校務用のパソコン、旅費の配当も追加となります。また、学級が増えることで、学級数に応じて配分している学校予算、それから本市では三年生の外国語活動に年三十時間の外国語活動アシスタントを市独自で配置しておりますのでその増学級分、それから学校薬剤師の学級割分の追加と、いろいろ必要となってきます。
 二つ目として、次に教室不足への対応です。
 令和三年度分は何とか余裕教室や特別教室を転用し今年度予算で対応、既に改修も終了しています。問題は来年度分です。来年四月から供用開始となるように、令和三年度の予算で対応が必要です。現時点の試算では、仮設校舎三十教室分を約一億二千万円の予算を確保しております。
 三つ目として、管理費面、学級増への対応です。
 大変細かいことになりますが、学級が増えると、先生のための机や椅子に加え、教卓子、授業で使う大型提示装置に子供たちのタブレットの保管庫、無線LANの工事、給食用の食缶や配膳台、子供が着る白衣に至るまで新しく必要となってきます。
 そして最後に、管理費面、教員増への対応として、新規採用者のための健康診断の費用や職員室内の机、椅子、ロッカーに加え、指導者用教科書など、今申し上げたものを全部合わせると、名古屋では総額六億一千万円ほどの新たな予算が必要となります。これは市町村での負担となるわけです。これだけの諸費用が掛かるということを是非御認識いただき、国からの予算措置の検討も是非していただければと強く要望したいと思います。
 最後に、名古屋市が抱える問題や行っている教育施策から、二つの視点で少人数学級の必要性及び要望をさせていただきます。
 一つ目は、本市教育振興基本計画に画一的な一斉授業からの転換を進める授業改善を掲げて、全ての児童生徒に対し、一人一人の進度や能力、関心に応じた個別最適化された学びを提供するための授業改善を推進しております。
 子供たち自身で問いを持ち、主体的に探求をし、ICT機器も活用しながら、また学年を超えた異学年の子供との交流もしながら、お互いに対話や教え合い、議論をしながら、多様な考え方に触れ、批判的な思考力やコミュニケーション能力なども身に付ける、そんな取組を市全体を挙げて進めているところです。
 大きな事業としてナゴヤ・スクール・イノベーション事業を立ち上げ、小学校でのモデル実践校を指定し、プロジェクト型学習を進めるために、個別化、協同化による学びを進めています。また、選抜された教員による海外研修、市内全教員対象希望者制の学習会も実施をしています。
 それらに加え、今年度からは、マッチングプロジェクトと名付け、幼稚園、小学校、中学校、高等学校において、本年度の予算は一プロジェクト二千万円、来年度は四千万円を配当し、学校の困り事を解決をする、教職員のもやもやを少しでも解消し楽にする、学校外の力、民間企業や研究機関、大学などのノウハウ、プログラム、スキルなどを借りることで名古屋市の目指す個別最適化された学びの先進事例に取り組み、二年後の事業終了後にはそのノウハウや取組方法などを名古屋プランとしてまとめ、市内全校園への還元を図っていきたいと考えているところです。
 小学校でのモデル実践校の校長はこう話しています。子供主体のプロジェクト学習において、子供一人一人の自己選択や自己決定を大切にした授業を行おうとすると、個々の多様な学びをサポートするのに四十人ではとても手が回りません。個別最適化された授業改善を進めるには、学級規模の縮小は不可欠と感じています。
 さきに中教審がまとめた「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」にも、個別最適の学び、協働的な学びが大きな柱として掲げられ、二〇二〇年代を通じて実現すべき姿として挙げられています。学校現場で本当にそれを実現させるためにも、少人数学級を何人規模が理想的なのかも十分に議論をしていただいて、それから、前倒しも含め、より迅速、早急に行っていただけたらと思っております。
 二つ目は、河村市長名で出されているナゴヤ子ども応援大綱に書かれている、子供を一人も死なせないという視点から話をします。
 報道で御存じのこととは思いますが、先頃、女子中学生が自ら尊い命を絶つという事案が発生しました。本市は、専門性を備えた職員のチーム、子ども応援委員会を十一の拠点中学校に配置し、他の中学校には一校に常勤のスクールカウンセラーを配置をしております。また、ハイパーQUといった標準化された心理テストを小学四年生から中学校三年生まで全員年二回実施をし、心の状態や学級集団における居心地や学習意欲などを調べ、一人一人のケアに当たっております。加えて、年三回以上、専門家監修のパンフレットで、自殺予防教育として児童生徒に、困難やストレスへの対処法やつらいときや苦しいときには助けを求めてもよいということを学ぶ教育を実施をしているところです。しかしながら、悲しくて残念な事案はなくなっていないのが現状です。
 私が教育委員会に九年間在籍して強く心に感じていることは、常日頃、常日頃の声掛けなどの取組がとても重要だということです。さきに紹介した本市の研究でも、生活面で人数が少ない方が学級に居心地の良さや落ち着きを感じやすい傾向がありました。学級の人数が少なくなれば、より細やかに、そして丁寧に子供に接することができる時間や心のゆとりも生まれてくると思います。常日頃の取組を現実的に可能にするためにも、常態化した環境整備が必要です。その一つが少人数学級の実現であると強く感じています。
 最後にですが、先日の教育新聞で、衆議院文教科学委員会で三十五人学級の効果検証の議論が行われたと読みました。効果を判断するものとして、数値的なエビデンスの考え方が声高に叫ばれています。数値でのエビデンスは何とか目に見える形で少しでも知ろうとか分析しようとする努力であり、必要ないとは申しませんが、それのみを追求して、それのみで判断してしまうことは非常に危険であると感じています。大臣もおっしゃってみえたように、テストの点数を上げるだけではない、様々な観点から総合的に分析をして判断をしていくべきと思います。
 私たち教育関係者は、人の心を育み、目には見えないところでの成長に携わっています。全ての子供たちの幸せを追い求めるため、一人一人の子供を決して誰も取り残さない、その子なりの、その子に合った充実した学校生活をプロデュースするという考えの下、少人数学級の推進を再度強くお願いをして、私の意見陳述とします。

発言情報

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発言者: 藤井昌也

speaker_id: 12494

日付: 2021-03-25

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会