榛葉賀津也の発言 (本会議)

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○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました政府四演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問します。
 緊急事態宣言が十一都府県に拡大するなど日本中が緊迫する中、懸命に新型コロナ感染症に対応されている全ての関係者に心から感謝を申し上げます。
 また、昨年来多くの方々が感染症に苦しみ、昨日までに四千八百八十六名の方々がお亡くなりになりました。この中には、同僚の羽田雄一郎議員も含まれます。本当に悔しいです。犠牲になられた全ての方々に心からお悔やみを申し上げ、闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。
 一月十八日まで国会が開会されないという危機感の欠如、緊急事態宣言に至るまで政治決断の遅さ、遅々として進まない特措法改正など、政府・与党に苦言を呈したいことは山ほどあります。が、しかし、批判一辺倒では何の解決にもなりません。
 コロナ危機から全ての国民の命と生活を守る、現下における我々の使命はこの一点であります。そのために、我々国民民主党は、政策提案型の改革中道政党として具体的な提案をし続けてまいります。菅総理、どうか真摯に受け止めていただきたいと思います。
 新型コロナ対策で国民が最も切望しているのは、一日も早い安全なワクチンの接種と治療薬の開発、普及です。ワクチン接種において最大の鍵は、最優先される三百万人の医療従事者向け優先ワクチンの接種がスムーズに行われるか否かであります。専門知識の高い医療従事者がワクチンの安全性に懐疑的で接種を拒否するようでは、その後に続く高齢者向けの優先接種や基礎疾患者の優先接種、その後続く一般の方々の接種に深刻な遅延が予想されるからであります。
 総理、政府が目指すワクチン接種の工程表と、一般の方々にまで滞りなく接種が行われるための策を具体的にお答えください。
 ワクチン接種は、国の指示と都道府県の協力の下で各市町村が実施をします。各地で医療危機が叫ばれる中、本当に医師、看護師が確保され、接種が可能だとお考えでしょうか。併せてお答えください。
 ファイザー社やモデルナ社のメッセンジャーRNAワクチンは、マイナス七十五度前後の超低温保存が必要な上、輸送されたワクチンは最大五日しか保存ができません。しかも、最小流通単位は千百七十回接種分です。大切なワクチンを無駄にはできませんし、新型インフルエンザワクチンのときのように特定の自治体や医療機関にワクチンが偏在するようなことがあってはなりません。ワクチン接種には需給調整と流通の円滑化など、自治体までのロジスティックが極めて重要ですが、これらの対応は本当に大丈夫なのでしょうか。ワクチン担当大臣の答弁を求めます。
 地方の自治体が本当に知りたいのは、希望的観測でなく、現実に即したワクチンの現状と今後の見通しであります。都合の悪い真実でも、事実を率直に地方自治体にお伝えする、リスクコミュニケーションこそが成功の鍵だと思います。総理の認識をお伺いします。
 他方、ワクチン接種については厳しいデータもあります。日本における二〇一八年度の季節性インフルエンザワクチンの接種率は四七・九%で、アメリカの六八・七%、イギリスの七二%、韓国の八五・一%に比べ低い傾向にあります。二〇〇九年から一〇年の新型インフルエンザでは、一般の方の三〇%が接種するだろうと想定されましたが、実際の推定接種率は何と僅か五%でした。
 事実、NHKの調査でも、新型コロナワクチンを接種すると答えたのは全体の五〇%にとどまり、しないと答えたのは何と三八%にも及びました。世界で最も評価の高い医学誌、ランセットの指摘では、国民の政府への信頼度とワクチン接種の相関性が指摘されています。政府を信頼する国民の接種率は高く、信頼しない国民ほど低いというのです。総理、この現実をどう受け止めますか。
 日本国内で承認されている治療薬は重症者向けのレムデシビルだけであります。安倍前総理が承認を急いだアビガンも未承認です。治療薬に求められるのは第一に安全性ですが、国民は一日も早い普及を望んでいます。治療薬の現状と今後について、厚生労働大臣の説明を求めます。
 静岡県内で十八日、変異種の英国型コロナ患者三名が確認され、昨日、新たに一名の感染が発覚しました。渡航歴もなく、市中感染の疑いが指摘されています。国内では既に変異種が蔓延しているという前提に立った対応が必要ではないですか。英国や南ア型など変異種にも今あるワクチンは有効なのでしょうか。また、日本由来の変異種発生の可能性も十分に考えられるのではないですか。国民の不安を払拭するためにも、厚生労働大臣の御答弁を願います。
 総理は、コロナ対策の鍵を握るワクチン担当大臣に河野太郎大臣を任命しました。河野大臣は、自他共に認める令和の壊し屋です。大規模なワクチン接種に求められるのは、周到な事前調整とコンセンサスづくり、つまり根回しであります。防衛大臣当時のイージス・アショアの一件を見る限り、河野大臣の最も苦手な点とされるとお見受けをしますが、大臣任命の理由について、総理にお伺いします。
 我が党の足立信也議員は、昨年八月の段階から、医療現場の崩壊と風評被害を防ぐためには、医療施設で働くハイリスク者やエッセンシャルワーカーへのPCRの定期検査しかないと訴え続けてまいりました。今月、政府はその必要性をついに認めてくださいましたが、その具体的内容は明らかになっておりません。いつから、どの範囲の方々に、どういう頻度で定期的なPCR検査を行うのか、厚生労働大臣の明確な答弁を求めます。
 感染抑止のブレーキと経済のアクセルを同時に踏めば、国民生活という車はエンストします。我が党は、舟山康江政調会長を中心に、今は経済対策よりも感染拡大防止を最優先すべきと主張し、経済対策では国による万全の補償と罰則規定のめり張りの利いた特措法の改正案を提出しました。
 一方、政府はやっと一店舗一日六万円の協力金を打ち出しましたが、国が八割、自治体が二割を負担する仕組みです。時短営業等による感染防止は我が国全体の問題です。国が全額負担すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 また、例えば、政府の方針に協力をしたラーメン屋さんには一日六万円の補償が出ます。しかし、製麺屋さんや精肉店、八百屋さん、おしぼり屋さん、酒屋さんには補償はありません。政府は、飲食店の取引先にも中小企業最大四十万円、個人事業者最大二十万円の一時金を検討中とのことですが、持続化給付金は全てなくなり、焼け石に水との声もあります。事業者の実情に合った補償策が必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 在宅勤務やテレワークができない物づくり産業では、操業調整による自宅待機を余儀なくされ、希望退職、倒産、廃業の危機に直面している中小企業が数多くあります。
 しかし、現在の雇用調整助成金の特例措置は本年二月末で終了です。その後の雇用を維持できない中小企業は、解雇予告手当の関係上、今月末までに解雇通告をしなくてはなりません。重大な雇用不安を招かないためにも、雇用と暮らしを守る生命線として雇調金の特例措置の延長を速やかに決断し、平時に回復するまで継続すべきと強く主張します。総理の決意をお聞かせください。
 新型コロナの療養期間中、組合健保及び協会けんぽの加入者は傷病手当を受け取ることができます。しかし、その額は月給の三分の二程度であり、国民健康保険の加入者に至っては傷病手当金の制度そのものがありません。さらに、濃厚接触者の自宅待機に至っては国からの賃金保障制度は皆無です。感染拡大を防止し、勤労者が安心して治療に専念できるような保障制度の構築が必要と考えますが、総理の見解を求めます。
 医療、介護、保育、小売、物流、交通などの各業種では、感染のリスクにさらされながらも懸命に就業を行ってくださっています。にもかかわらず、献身的なその働きを踏みにじるかのような中傷や差別、偏見、カスタマーハラスメントを受けていらっしゃる方が多くいらっしゃいます。断じて許されません。改正特措法にはこれらが法的責任の伴う行為であることを明記し、国民への周知を徹底すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 病院や経済を支える電力の安定供給は国家の礎であります。現在、寒波の影響や、コロナ禍によるテレワークの急増と巣ごもりによる暖房需要の増加、国際的な化石燃料調達環境の悪化等で電力の需要と供給が綱渡りの状態にあります。
 雪などの悪天候に太陽光はもろく、老朽火力の予期せぬ停止や在庫燃料の枯渇など、大規模停電がいつ発生してもおかしくない状況にあります。電力の需給バランスを調整し、安定供給を維持するため、不眠不休で取り組む現場の使命感や矜持に頼らざるほかない現状に強い危機感を抱いています。総理の御認識をお聞かせください。
 低廉で高品質な電力の安定供給は国家の存立基盤そのものであります。ゆえに、資源小国におけるエネルギーの安全保障や電力の安定供給に対する最終責任は国が担うべきであり、不測の事態に対する責任を現場に押し付けてはならないと思います。経済産業大臣の認識をお尋ねします。
 エネルギー分野では、電力システム改革、原子力依存度の低減、再生可能エネルギーの導入拡大、石炭火力の見直しなど、様々な議論がなされています。他方、脱炭素社会の実現に関しては、現実的で客観的な検証が不可欠です。安全の確保を大前提に、ベースロード電源の安定稼働など、盤石なエネルギーの供給体制を構築した上で脱炭素社会を目指していくべきと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
 ポストコロナの産業政策も今国会の重要な課題です。菅内閣は、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向け、二〇三五年に新車販売を一〇〇%電動車にするなど、自動車産業でも野心的な目標を掲げました。しかし、自動車を始めとするCO2排出量一七%の運輸部門だけの削減では目標達成は不可能です。目標の達成には生産段階におけるCO2削減政策も重要です。
 欧米や中国との競争に打ち勝ち、電動車シフトを実現するには、蓄電池を始めとする新技術の開発や低コスト化、急速充電器や水素ステーション等インフラ整備、部品企業の業態変換など、きめ細かな支援が不可欠であります。これらの大変革には、国が中心となり欧米や中国を凌駕する税制や助成金等の支援策を講じるとともに、産業界とのより一層の緊密な連携が必要と考えますが、総理の御認識をお伺いします。
 とりわけ、世界に類のない複雑で過重な自動車関係諸税が電動車などの普及に影響を与えるのは必至であります。燃料課税や軽自動車の概念も変貌を遂げざるを得ないなど、自動車関係諸税の簡素化や抜本的な見直しが不可欠と考えますが、総理の見解を求めます。
 コロナ禍における公共交通のインフラ確保も重大な課題です。
 年末年始のJR利用状況は、対前年比で約三〇%程度に激減しています。二〇二〇年度の通期予測ではJR七社の合計で既に三兆円の減収が見込まれていますが、再度の緊急事態宣言により、更に巨額の赤字が計上される可能性があります。
 地域を、そして日本経済を根底から支える使命を担い続け、かつ、多くの雇用を生み出しているJRを始めあらゆる交通事業者への一層の経営支援を行うべきだと考えます。国土交通大臣の答弁を求めます。
 コロナ禍で、改めて気付かされたことが幾つかあります。
 人口減少と財政悪化という難題に直面し、日本が弱体化しているという現実もその一つです。コロナ禍前のインバウンド激増も、他の先進国や新興国の所得増加に対し、日本人の所得が低迷し、日本が相対的に豊かでない国になっていたことが一因であると客観的に認識すべきです。
 勤労者世帯の平均年収はこの二十年間で二十四万円減りました。かつて世界第二位であった国民一人当たりのGDPも今や二十七位です。一九八九年、平成元年、世界の企業トップ五十のうち三十二社が日本の企業、トップテンにも六社が入っていましたが、今はトヨタ自動車が唯一、二十六位に入っているのみです。かつては日本の上位独占が当たり前であった技能オリンピックも、今や入賞さえ厳しい現状です。
 我が国の科学技術力の低下が指摘される今こそ、官学民が連携して研究開発を推進し、国際競争力を高め、経済を活性化していかなければなりません。脱炭素化社会の実現に向けた水素エネルギーの活用、次世代蓄電池の開発、デジタル社会とIT国家の実現に向けたAI、ICT技術の開発分野などでは苛烈な国際競争が繰り広げられており、国として支援体制の強化が不可欠となっています。
 さらに、今日、新型コロナ対策におけるICT技術やバイオテクノロジーの活用が期待されており、これらの分野を含め、科学技術関連予算の大幅な拡充、政策を総動員した企業の研究開発から社会実装までの支援が必要であると考えますが、総理の覚悟をお伺いします。
 コロナ禍で再確認した最も重要なこと、それは、国家の基が国民一人一人にあるということです。人が技術を生み、サービスを生み、企業と産業と経済と国家を支えていくのです。
 つまり、日本の劣化は、我が国が長らくこの原点を忘れ、人への投資を怠ってきたことの証左です。二〇一九年九月のOECD発表によると、二〇一六年の各国の小学校から大学までの教育機関に対する公的支出のGDPに占める割合は、三十五か国中、三年連続で最下位でした。コロナ禍以前でも、日本の教育予算が少な過ぎました。先生の数も足りていませんし、そして、何より先生が多忙過ぎます。
 文科省は二〇一八年に初めて教職員の働き方改革に着手し、給食費の集金や登下校の見回り等、学校や教職員以外で担うべき業務を明確にしました。しかし、昨年末、給食費、七四%が学校で徴収という報道がありました。結局、何も変わっていないのです。
 コロナ禍を理由に学力の低下は絶対に許されない。感染防止に最大限の気を配りながら多様化、複雑化する任務に必死で対応することで、教育現場は逼迫しております。小中学校のみならず、幼稚園、保育園の現場でも、マスク着用により子供たちから先生方の表情が見えないなど、情操教育や心理学上、深刻な影響も危惧されています。
 コロナ禍だからこそ教育現場を政治が真剣に守り抜く、その覚悟が求められています。全ては子供たちのため、将来の日本を担う人のためです。
 教職員の働き方改革とコロナ禍における教育に対する総理の覚悟と決意をお伺いします。
 我々人類は、そして日本は、新型コロナなどに負けるわけにはいきません。国民民主党はこれからも党派を超えて新型コロナ危機に打ちかつためにあらゆる政策を駆使し、ポストコロナの経済再生、国家の基である教育と人づくりに全力を傾けることをお約束して、私の代表質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X00320210122_010

発言者: 榛葉賀津也

speaker_id: 9438

日付: 2021-01-22

院: 参議院

会議名: 本会議