杉尾秀哉の発言 (本会議)
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○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。
ただいま議題となりましたデジタル改革関連五法案について、会派を代表して質問します。
まず、菅政権が発足して半年余りがたちました。今年度予算が成立し、後半国会の政権最大の目玉がこのデジタル改革関連法案です。
総理、あなたは、この通常国会冒頭の施政方針演説で、国民の命と健康を守り抜くと宣言し、しっかりと国民に説明して理解を得ると大見えを切りました。しかし、残念ながら、あなたや閣僚がこの宣言を守ったとは到底思えません。
新型コロナに感染し、PCR検査さえも受けられず天国に逝ってしまわれた羽田雄一郎さん、同様に、必要な医療を受けられず亡くなった人たちが一体どれだけいることか。何が命を守り抜くですか。
そして、総理の長男も関係した総務省の接待問題や、相次ぐ政治と金の問題と与党議員の不祥事の数々、さらには、国会で延々と続くごまかしや、虚偽としか思えない答弁と記憶にない発言、まさに目を覆う政治の劣化の元凶は、菅総理、あなたにあります。
政府のこの一年間のコロナ対策は迷走に次ぐ迷走を続けました。そして、緊急事態宣言から僅か三週間ともたずしてのまん延防止等重点措置の適用、もはや国民は誰も総理の説明を信用しておりません。
今年二月、緊急事態宣言を延長した際、総理は、責任は全て私が負うと豪語しました。にもかかわらず、翌三月に解除を決めたときには、感染再拡大の場合を責任を問われても何も答えず、さらに、予算委員会で蓮舫議員に解除しても大丈夫かと聞かれて、大丈夫だと明言しています。ところが現状は御覧のとおり。また、ここに来て変異株が首都圏でも急増し、今の大阪は明日の東京という声さえ聞こえてきます。
菅総理、こうした危機的状況でも、感染は第四波ではないと言い張るのですか。解除しても大丈夫と国民を安心させながら、窮地に陥るとまん延防止等重点措置でごまかす。感染再拡大は政府の無策が原因か、それとも国民の自覚の欠如によるものか、お答えください。
そもそも、あなたには責任を取る覚悟も感染拡大に対処する能力も欠如しています。内閣総辞職するのが国民の命と健康を守る最善の方策と思いますが、反論できますでしょうか。
ところで、菅総理は、既得権益の打破を掲げる改革派をアピールしてきました。
あなたは、いまだ任命拒否の理由を全く説明しない学術会議問題でも、学術会議は閉鎖的で既得権益のようになっている、このように説明しています。ところが、菅総理、あなたこそ既得権益にどっぷりつかっている張本人じゃないですか。
その象徴が、菅総理の直轄領とも言われる総務省の一連の不祥事です。総理の長男も関係した総務省接待問題では第三者委員会による検証が進められていると承知していますが、いつ頃までに調査結果が出されるのでしょうか。
また、NTTによる高額接待で事実上更迭された谷脇元総務審議官は、まさにトカゲの尻尾切り、谷脇氏が菅総理肝煎り政策の携帯料金引下げの先兵だったことは、もはや公知の事実です。
そのNTTが、去年秋、突如ドコモの完全子会社化と携帯料金の大幅値下げを発表しました。NTTが大株主である政府の了承なしにドコモの完全子会社化を決められるはずがなく、一連の動きは完全な出来レースとの見方が有力です。
そもそも、ドコモの完全子会社化は、NTT民営化とその後の分割、再編成が目指した規制緩和や既得権益の打破と完全に矛盾するものではありませんか。また、菅総理が言う既得権益の打破は口先だけではないですか。
総理、あなたは、官房長官時代、鉄壁のガースーと呼ばれ、本人もこの言葉をお気に入りのようです。しかし、今述べましたコロナ対策しかり、総務省問題しかり。結局は、記者会見で何を聞かれても、メディアの質問を切って捨てていただけです。
さて、前置きが長くなりましたが、菅総理の政治スローガンである既得権益の打破という言葉のいかがわしさや、説明責任に対する著しい欠如の姿勢は、目玉政策であるデジタル改革についても全く変わりありません。デジタル敗戦という言葉で国民の危機感をあおり、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化などという曖昧模糊とした言葉でバラ色の夢を振りまきながら、その一方で、多くの国民が抱く懸念や疑問にはまともに答えない。
以下、具体的に問題点を列挙しますので、できる限り丁寧に御答弁ください。
まず、新法や束ね法案など計六十三法案を一括審議した衆議院内閣委員会での審議時間は二十七時間余りにとどまりました。国民生活に密着し、これだけ論点が広範囲にわたる法案審議としては異例の短さです。
また、本法案をめぐっては、国会提出後に要綱などに四十五か所もの誤りが発覚し、さらに、誤りを示した正誤表にも二か所の誤りが見付かるという前代未聞の事態が起きました。
そもそも、九月のデジタル庁発足ありきで成果を急ぎ過ぎた政権の姿勢がこれらの問題の背景にあるのではないでしょうか。また、こうした拙速な審議で果たして国民の理解を得られるのでしょうか。霞が関の常識を超えるスピードで取り組むと、担当職員に常識外の時間外労働や過重な負担を強いた平井大臣と菅総理にそれぞれの認識を伺います。
また、平井大臣がよく口にするデジタル敗戦という言葉も、まるで人ごとのように聞こえます。
確かに、行政など社会のデジタル化の推進は歴代政権の大きなテーマでした。ちょうど二十年前の二〇〇一年に策定されたe―Japan戦略では、五年以内に世界最先端のIT国家になるという大胆な目標が掲げられています。
ところが、現実は全く逆で、ランキングは低下する一方。菅総理が官房長官として内閣の中枢に君臨し続けた安倍政権時代でも、世界最先端デジタル国家創造宣言なる大仰なスローガンをぶち上げてはみたものの、これもはかばかしい成果は上げられませんでした。
そこで、菅総理に伺います。
デジタル敗戦とは、具体的にどういう意味なのか。仮にこの表現が正しいとして、二十年間で主に政権を担当してきた自公政権のデジタル化の取組がなぜことごとく失敗してきたのか、原因と責任を明らかにしてください。
また、国連の電子政府ランキングで、二〇二〇年、お隣の韓国は二位だったのに、日本は十四位に沈みました。これだけ韓国に水を空けられてしまった理由を御説明ください。
さらに、このところ官民で相次ぐシステムトラブル。例えば、接触確認アプリCOCOAの不具合が長期間放置されていた問題や、この春から運用が開始されるはずだったマイナンバーカードと保険証の一体化の延期など、今や日本はデジタル劣等国と言われるほど惨たんたる状況です。こうした現状をどう分析し、改善するのか。
とりわけ、マイナンバーカード普及促進のための保険証としての利用が、開始直前に延期になったのは深刻です。十月の本格運用開始は本当に可能なのかも含めてお答えください。
こうした真摯な議論なしに、菅政権のデジタル改革が成功するとは到底思えない。巨費を投じながら、結局は無駄金だったということになりかねません。
ちなみに、マイナンバー制度の関連国費が、過去九年間で八千八百億円に上ることが衆議院の審議で明らかになりました。にもかかわらず、いまだマイナンバーカードの所有率は三割未満。その一方で、少し前の調査ですが、過半数を超える人が取得の予定なしと答えています。
その大きな原因の一つに、セキュリティーの問題があります。今述べましたように、マイナンバーカードの保険証利用や、近い将来の運転免許証との一体化が計画される中で、カード普及に前のめりな政府の姿勢ばかりが目立ち、ありとあらゆる情報がひも付けされ、芋づる式に個人情報が抜き取られるのではないかとの不安は全く消えておりません。
そこで、デジタル庁の発足と今回の一連の法整備でセキュリティー対策が抜本的にどう変わるのか。また、情報の一元化が進む中で予想されるシステムの脆弱性をついた不正アクセスをどう防ぐのか。さらには、内閣総理大臣を長とするデジタル庁が集約した個人情報が内閣情報調査室を通じて官邸に吸い取られるのではないかとの懸念に総理はどう答えるのでしょうか。
この個人情報の問題については、衆議院で我が党が個人の権利利益を十分に保護することを内容とする修正案を提案しましたが、受け入れられませんでした。
そもそも、政府案は国や企業によるデータの利活用推進に偏っていて、個人情報保護を始めとする個人の権利利益の保護の観点が欠如しているとの指摘が根強くあります。その証拠に、今回の基本法の基本理念には、個人情報保護の文言が書かれていません。これは大問題です。データの利活用に偏った法律となっていることについて、総理の見解を伺います。
憲法十三条に基づくプライバシー権には、個人が自分の情報を主体的にコントロールする権利、いわゆる自己情報コントロール権が含まれると、このように解されます。ところが、衆議院での質疑では法律上明記するのは不適切だという答弁もあり、この権利を明記した我が党の修正案は、やはり否決されてしまいました。
そこで、平井大臣に伺います。
EUの一般データ保護規則、いわゆるGDPRでは、忘れられる権利を含めた自己情報コントロール権が規定されています。また、衆議院の附帯決議においても、今後必要な措置を講ずる旨の内容が盛り込まれました。こうした状況を踏まえて、今後、この問題に政府としてどう対処する方針でしょうか。
また、個人情報をめぐっては、これまで民間や行政機関などで三つに分かれていた個人情報保護法が今回の一連の法改正により統一され、個人情報保護委員会が行政機関などに対しても監視、監督を担うこととなります。
そこで、データの利活用に関して、個人情報の目的外利用や第三者への提供について、その要件とされる相当な理由や特別な理由を厳格化することと、行政機関などが行った判断が適切か否か個人情報保護委員会が監視できるようにすべきこと、また、個人情報保護委員会に行政機関に対する命令権や立入検査の権限を付与し、独立性や実効性を持たせるとともに、大幅な所掌範囲の拡大に伴い、必要な定員、予算、それに組織など、体制強化の具体策を早急に示すべきであるとのこれらの見解について、平井大臣の御所見をお聞かせください。
さらに、今回、個人情報保護法が統一されることにより、これまで地方公共団体が行ってきた独自の保護措置に対して制約が課されることや、個人情報の保護水準が低下を招く可能性に加え、地方自治権が侵害されるのではないかとの指摘があります。そこで、これらの懸念に対する平井大臣の明確な答弁を求めます。
今回の一連の法改正をめぐりましては、さらに、新たに設置されるデジタル庁の所掌事務に関して、菅総理が総裁選の過程で発言していたような政府のデジタル関係部署の一元化にふさわしいものとなっているかや、デジタル庁で採用される民間のIT人材に関する秘密保持義務の徹底の方法、さらには、誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化という耳当たりのいい宣伝文句の裏で、高齢者、障害がある人、外国人、それに離島や地方の居住者など、様々なハンディキャップを抱えた人たちに対するいわゆるデジタルデバイド対策が全く見えません。それぞれ、菅総理と平井大臣に答弁を求めます。
私がこれまで質問してきました問題点は、膨大な法案の中のほんの一部です。だから、参議院でも審議時間の十分な確保が必要なんです。
そして、菅政権が進めるデジタル化が成功するか否かは、突き詰めると、政府の透明性、信頼性など、民主主義の根幹に関わります。ちなみに、アメリカ・ギャラップ社の調査によれば、国民の政府への信頼度で、日本はOECD加盟国の平均以下でした。
そこで、最後に菅総理に伺いますが、このように政府への信頼度が低いままでデジタル化は成功するのか。また、信頼度が低い理由と、この信頼度を上げるためには今の政治に何が必要とお考えでしょうか。
まさに、信なくば立たず。私たち立憲民主党は、個人情報保護とセキュリティーが十分に確保され、行政による国民の監視や統制の手段ではなく、国民の利便性向上に真に資するデジタル化を目指していくことを強調しまして、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕