真山勇一の発言 (本会議)
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○真山勇一君 立憲民主・社民の真山勇一です。
少年法等の改正案につきまして、会派を代表して質問いたします。
その前に、まず日米首脳会談の成果について、菅総理にお伺いさせてください。端的に、そして明確にお答えをお願いします。
日米関係は非常に大切です。各国の首脳に先駆けての対談で、総理とバイデン大統領との間にジョー、ヨシと呼び合う関係が構築できたと報道されています。しかし、共同声明などの内容を見てみると、少し、いや、かなり不安になる部分があります。
今回の首脳会談では、台湾の安全やウイグルの人権問題が話し合われたと聞きます。菅総理、日本は台湾の安全にどうコミットメントをし、どのような手段でこれを達成しようとしているのですか。軍事的オプションはそこに含まれますか。あるとしたらどんな形ですか。
ウイグルには具体的にどのような人権問題が存在すると考え、どのような手段でその解決を求めますか。
尖閣周辺の海域で中国公船の活動が活発化しています。この地域で有事が発生した際、アメリカは必ず日米安全保障条約を適用しますか。また、アメリカに助けてもらうために、菅総理はアメリカに対して何らかの約束をしましたか。お答えください。
野心的で独善的な膨張政策に対して毅然として対抗することは、対外政策として必要です。しかし、一方、相手との緊張を高めるだけではなく、対話の努力をすることも大事な外交でしょう。バイデン政権は、日米首脳会談で中国の行動を厳しく問題視しつつも、同時に、ケリー特使を上海に派遣し、気候変動政策などで協力を呼びかけました。菅総理、日本は今後、どのようなチャンネルで、どのようなことを目指して中国との関係悪化を防ぐつもりですか。
首脳会談では、新型コロナや東京オリンピック・パラリンピックのことも話し合われたと伺っています。
菅総理は、アメリカの製薬会社と電話会談をして、ワクチンを確保したとおっしゃっています。アメリカへ出かけてなぜ電話ということも言われていますけれども、ともあれ、日本国民全体に行き渡るだけのワクチンはいつ届くのですか。医療従事者への接種、高齢者、高リスク者への接種が完了するのはいつですか。そして、一般国民への接種が開始されるのはいつからで、集団免疫を獲得するのはいつになるのでしょうか。
ワクチンの接種が遅れている我が国の現状です。お示しいただいたとおりの日程でワクチンの接種が進まなかった場合、菅総理は政治的にどのような責任を取るのか、失敗した場合、内閣総辞職の覚悟があるのかどうか、端的にお答えください。
三月二十一日に全国的に緊急事態宣言を解除した後、第四波が急拡大しており、ついに三度目の緊急事態宣言の発動に追い込まれることになりました。これについても総理はどう責任を取るおつもりか、お答えください。
東京オリンピック・パラリンピックについても、不安は大きくなっています。
今回の首脳会談で、アメリカは選手団を必ず派遣すると約束はありましたか。バイデン大統領を開会式などに招待しなかったのでしょうか。日本の感染状況が問題ないのであれば、各国の選手団とともに諸外国の要人も自信を持って招待してはどうかと思いますけれども、そういうおつもりはないのか、伺います。
万一、感染が収まらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されているような状況だったとして、本当にオリンピックを開催するのですか。オリンピックには大量の医療ボランティアも必要ですが、国内の医療体制は逼迫しています。
世界各地で新たな変異株が報告されており、外国選手団などを経由して新たな感染が国内に蔓延した場合、また、逆に外国のお客様に国内のウイルスを蔓延させた場合、オリンピック・パラリンピックは成功と言えますか。そうなったとき、菅総理の責任は総辞職に値するのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。私もオリンピック・パラリンピックを楽しみにしてきただけに、このような質問をするのは非常に残念ですが、これは人の命の問題ですので、あえて質問させていただきました。
それでは、法案について質問します。
総理に、本改正案が提出された理由についてお尋ねします。
そもそも、なぜ今、本法案が提出されたのか、その理由がさっぱり分かりません。今回の改正案の柱は、十八歳、十九歳を特定少年として区別することです。少年でもない、成人でもないという曖昧な存在をつくるわけですが、その理由は一体何なのか理解に苦しみます。若者の更生という観点からは大きな後退です。刑事罰の若年化が狙いなら、その理由が説明されておらず、必要性も認められません。菅総理、そもそもなぜこの法案を提出したのでしょうか。
改正の理由として、成年年齢の引下げ等の社会情勢の変化と少年による犯罪の実情ということが挙げられています。具体的にこれが何を意味するのか、御説明ください。
成年年齢の引下げと少年法の改正とに一体どんな関係があるんでしょうか。最新の知見によると、人間は二十五歳頃まで発育途上にあり、教育及び更生の効果が高いと言われています。法律上の成年年齢が十八歳に引き下げられても、健全な発育を考えて、お酒やたばこは二十歳まで禁止されています。若さゆえに犯罪を犯したとはいえ、更生できる若者は更生すべきです。
政府は、今回の改正で少年犯罪への対応を大転換するわけですが、現行の制度に致命的な失敗や欠点があるのでしょうか。菅総理、具体的にお示しください。
少年による犯罪の実情といいますが、若年人口の減少によって、少年犯罪の全体数は減り続けています。そして、凶悪犯罪の数は、人口が減少する以上の速度で減っています。凶悪な犯罪が一つ起きるとメディアで大きく報道されるため、確かに目立ちますが、実態は減少傾向にあるのです。むしろ、従来からの更生保護行政や再犯防止制度の成果もあって、状況は大いに改善してきているというのが実情ではないでしょうか。
少年犯罪の数、特に凶悪犯罪の件数は増えているのか減っているのか、上川法務大臣、具体的な数値でお示しください。
私は、十数年間、保護司をしてきましたが、今回の少年法改正には強い違和感を持っています。
上川大臣は、先日の京都コングレスにおいて、日本の保護司制度をローマ字のHOGOSHI、HOGOSHIとして世界に広め、世界保護司デーを設けると宣言されました。それなのに、今このような少年法の改正を必要とするほど保護司による更生保護の取組は効果がなかったのでしょうか。大臣、明快な言葉でお答えください。
次に、改正案の具体的な内容についてお尋ねします。
まず、特定少年の検察への逆送致についてです。
十八歳、十九歳を特定少年とし、原則として短期一年以上の刑に当たる事件は一律に検察へ逆送の対象になります。これは、現行の条件である故意による被害者死亡の場合から大幅に拡大されるもので、極めて広い範囲の犯罪が含まれることになります。
現行の少年法は、対象者の立ち直りを考慮し、家庭裁判所がきめ細かい処分を行うことを考えていますが、再犯防止の観点からも逆効果となるのではという指摘があります。なぜ一律の逆送致が必要なのか、理由をお示しください。
この基準が適用された場合、逆送致させる特定少年の数はどの程度増えるのか、家庭裁判所の調査数、少年鑑別所の全体の鑑別数はどの程度増加するのか、そして、それに対応する十分な人員が確保されているのか、お答えください。
また、改正後の第六十二条第二項ただし書には、短期一年以上の罪であっても逆送致にしない例外事案もあるという規定があります。どんな例外があり得るのか、恣意的に判断されたり社会的圧力によって判断がゆがめられることのないよう、はっきりとした基準をお示しください。
次に、特定少年に対する保護処分についてお尋ねします。
本改正案では、特定少年に対する保護処分は、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内とされました。現行の少年法は、個々の少年の健全な育成を重視して、犯情の軽重を問わず保護を要するとしているんですが、これが大きく変わります。今回の改正では、育成や更生の効果が十分に出る前に保護処分が終了することは起きないのでしょうか。
また、施設収容をしない六か月の保護観察処分が新設されますが、このような短期間の処分でも十分な場合とはどのような事案か、その理由とともに具体的にお示しください。
さらに、施設収容可能な二年の保護観察処分が新設されます。これはどのような場合でしょうか。二年という期間にする理由は何ですか。法務大臣、具体的にお答えください。
次に、推知報道禁止の解除規定について質問します。
本改正案では、特定少年が公判を請求された時点で実名の報道が認められます。これは一体、何を目的とした改正でしょうか。法務大臣は、実名報道が少年犯罪への抑止効果があると考えていらっしゃるでしょうか。
一方、刑事裁判所の事実審理の結果によっては、家庭裁判所への移送もあり得るとされています。しかし、この時点で既に広く推知報道がなされているのですから、少年法の理念とは矛盾することにならないでしょうか。審理の結果、無罪になる可能性は否定できません。社会復帰を支援する家族の生活にも著しい困難をもたらし、帰住先を失うことで対象者の更生を妨げるおそれも指摘されています。こうした推知報道による回復不能の事態に対する救済措置、回復措置などを考えておられるのでしょうか、伺います。
また、事件報道の中では被害者の名前が報道されるのだから、加害者の方も、特定少年であってもその名前を報道されるべきという意見があると聞きます。しかし、本来ならば、加害者側の実名報道を推進するのではなくて、被害者側の名前の報道についても、本人と御家族の心情や生活の立て直しに配慮して抑制するべきではないでしょうか。上川法務大臣、そうした検討をなさるおつもりはありませんか、伺います。
さらに、特定少年から虞犯を除外する理由についてもお尋ねします。
十八歳、十九歳という区別などなく、少年は全て要保護性に基づく処分が必要だというのがこれまでの少年法の趣旨でした。司法の現場に携わる人々からは、虞犯とする家庭裁判所の司法手続は選択肢として極めて有効であり、セーフティーネットの役割を果たしているという指摘もあります。今回の改正は、特定少年の要保護性、虞犯によるセーフティーネットは不要ということなのでしょうか。
特に、女子少年には、より切実な問題があります。虞犯の女子少年には、虐待の被害者やそれに関連した種々の深刻な外傷性の精神疾患を有する者が少なからずいます。特定少年から虞犯を除外することは、精神医学的な観点からも非常に重大な問題があるとの指摘があります。それでも十八歳、十九歳を虞犯から除外する理由は何でしょうか。お答えください。
また、特定少年には、不定期刑も適用されなくなります。少年は成長発達の途上にあり、教育による更生や改善が期待されるからこそ、幅のある刑期で柔軟な対応を可能にしているのが現在の少年法です。特定少年も、本人の個別事情に応じた処遇により、教育、更生の可能性が高まるはずですが、これを否定する確固とした知見などはあるのでしょうか。
不定期刑の適用が除外された場合、有期刑の上限は三十年になります。十八歳、十九歳の特定少年がこのように長期間の刑に服した場合、社会復帰を著しく困難にしかねませんが、法務大臣はそうした事態を容認するのでしょうか。
さらに、特定少年については、社会復帰をした後、仕事を探す際、資格制限排除の特例が適用されなくなります。これによって罪を犯した特定少年の将来は、選択肢、狭められてしまいます。
資格制限に関する少年法の規定は、資格制限からできるだけ早く少年を解放して、本人の更生を助けるという趣旨でした。法務大臣、もはやそうした配慮は不要とお考えなのでしょうか。お答えください。
今回の少年法の改正には、更生保護の根幹、被害者、加害者双方の人権に関わる極めて重要な課題が表れています。それはつまり、菅政権が国民の命や人生をどう考えているかが問われていることだと思います。菅総理大臣、上川法務大臣の誠実な答弁をお願いして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕