井上信治の発言 (本会議)
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○国務大臣(井上信治君) 岸議員にお答えいたします。
まず、ワクチンに関連する詐欺に関する消費者庁の対応についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルスワクチンの接種が本格化する中、ワクチン接種の予約代行をすると市職員を名のった人が訪ねてきたなど、ワクチン接種に便乗した詐欺だと疑われる消費生活相談が寄せられております。
消費者庁では、具体的手口などについて注意喚起を行うとともに、国民生活センターに新型コロナワクチン詐欺消費者ホットラインを開設して、相談体制を強化する等の対応を進めています。
引き続き、相談件数や内容等を分析し、関係省庁とも連携しつつ、注意喚起等必要な対策を取ってまいります。
次に、特定継続的役務提供以外の取引類型について、契約書面等の電子化を導入する必要性及び政策決定過程の妥当性についてお尋ねがありました。
特定商取引法が書面交付義務を事業者に課している趣旨は、消費者保護の観点から、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、これは特定継続的役務提供とほかの取引類型とで法律上異なるものではありません。紙での書面交付に加え、契約書面等の電子化を可能とする規定は、各取引類型に横断的に置くことが法理論的に整合的です。
また、特定継続的役務提供以外の取引類型においても、契約書面の紛失を回避したい、電磁的方法による管理を希望するというニーズがあると考えます。
こうしたことを踏まえ、今回の改正法案では、書面交付義務が設けられている全ての取引類型において、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付を可能とする制度改正を行うこととしたものです。
また、昨年末から、消費生活相談員や消費者団体の代表、有識者や事業者の代表等が委員となっている消費者委員会において本件について議論を行っていただき、消費者庁も議論に参加してきたところです。今般の改正法案は、こうした議論も踏まえたものであり、政策決定過程は妥当であったと考えております。
次に、二〇一一年当時と異なる政策判断をした理由と現在の政府全体におけるデジタル化に関する議論との関係についてお尋ねがありました。
今から十年前、二〇一一年当時と現在とでは、我が国の国民生活におけるデジタル化の状況は大きく変化しています。例えば、我が国の世帯ごとのスマートフォンの保有率は、二〇一一年の二九・三%から二〇一九年には八三・四%に上昇しています。また、我が国の電子商取引の市場規模も、二〇一一年の約八・五兆円から二〇一九年には約十九・四兆円と約二・三倍に拡大しています。
このように、十年前と比較すると、国民の日常生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、そうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることが必要不可欠となっています。
また、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっています。
こうした状況下において、消費者の利便性の向上と消費者保護の両立を図る観点から検討を行い、今回、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とすることや、クーリングオフを電磁的方法により行使することを可能とする制度改正を行うこととしたものです。
これは、政府全体で進めているデジタル社会の形成を通じて国民の利便性の向上などに寄与するという政策にも沿ったものであると考えております。
次に、契約書面の電磁的交付導入によって、第三者による消費者被害の発見が困難になるのではないかとのお尋ねがありました。
契約書面が電磁的方法により提供されることで契約書面の散逸や廃棄の可能性は低くなり、高齢者から同意を取れば家族やヘルパー等がスマートフォンのメールフォルダを確認することができることから、見守り機能がより実効的となる側面もあると考えています。
なお、御指摘の論点も含め、懸念の声が寄せられていることは承知しています。法改正の後、政省令などを検討する過程において、御指摘の点も含め、消費者保護の観点から万全を期すこととし、法律の施行までの間に消費者団体等から意見を聞いて、具体的な詰めを行ってまいります。
次に、成年年齢引下げによる若者の被害防止対策についてお尋ねがありました。
来年四月に迫った成年年齢引下げへの対応は、今年度の最重要課題の一つです。これまで、主として若年者に発生している被害事例を念頭に消費者契約法の改正などの制度整備を行ったほか、厳正な法執行、消費者教育の充実、消費生活相談窓口の充実、周知などに取り組んできました。
成年年齢引下げまで残り一年となり、若年者に向けたあらゆる施策を講じる必要があります。若年者向け消費者教育については、三月に関係省庁と連携し成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーンを決定したところであり、一層の取組の強化を図ります。
また、若年者を含む消費者の脆弱性に付け込む悪質商法に迅速かつ厳正に対処するため、制度の見直しを絶えず行うほか、厳正な法執行など、更なる施策に引き続きしっかり取り組んでまいります。
次に、契約書面等の電磁的交付導入による若年層の被害増加の懸念についてお尋ねがありました。
契約書面等の交付義務は消費者にとって重要な制度であり、議員御指摘の若年層も含め、消費者利益の保護にも万全を期しつつ、社会や経済のデジタル化を踏まえた対応を取ることが極めて重要です。
こうした観点から、今回の法改正により、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、契約書面等について電磁的方法による提供を可能とするものです。
具体的な制度、規制の詳細については、悪質事業者に悪用をされることが決してないよう、若年者も含め、消費者利益の保護という観点から、引き続き消費者団体など現場の声も丁寧に聞きながら、政省令等で詳細な制度の在り方を慎重に検討してまいります。
次に、契約書面等の電磁的交付を行う際の購入者等の承諾の意味及びその保障についてお尋ねがありました。
承諾を実質的なものとすることは極めて重要です。このため、消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず承諾を得たなどとする悪質事業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、少なくとも口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾をしたことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示す、このようなことを規定することが適切であると考えております。
具体的には、承諾の取り方として、現時点では、例えば、ウエブページ上でチェックを入れるだけで承諾とすることは認めない、契約の相手方がデジタル機器に不慣れな一定の年齢以上の方の場合には、家族など契約者以外の第三者のメールアドレスにも送付させることなどを考えております。
消費者保護の観点から万全を期すよう、政省令等を作成する過程において、消費生活相談の関係者等の意見を聴取した上で十分に検討を行い、具体的な規定等の在り方を詰めてまいります。
次に、契約書面等の電磁的交付に係る契約の存否を争う際の立証責任及び改ざん防止措置についてお尋ねがありました。
事業者が契約を前提として代金を請求をする場合、その契約の存否については事業者側に立証責任があります。
また、電磁的方法による提供の具体的な方法については、後日の紛争を防止し、消費者利益を保護する観点から、電子メールでPDFファイルを添付する方法等に限定し、電子メールにURLを貼り付けてそこからダウンロードするような方法は、改ざん防止の観点からも認めないことが適切であると考えております。
次に、施行期日までの間における政省令等の検討の進め方についてお尋ねがありました。
法案成立後、施行期日までの間に、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方などについて、消費者保護に万全を期すため、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも議論していただきます。その中で、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方などからも丁寧に意見を伺いながら、政省令等の具体的な内容について検討を進める方針です。
次に、施行期日までに政省令や通達等の内容について合意が得られなかった場合に、契約書面の電子化を再考すべきではないかとのお尋ねがありました。
今回の改正法案においては、紙での交付を原則としつつ、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とし、その詳細は政省令等で定めることとしています。
その際、消費者団体などの御意見も十分に踏まえながら、決して消費者に不利益になることがないよう、政省令等の策定過程において詳細な制度設計を慎重に行う方針であり、施行期日までに御理解を十分にいただきながら、円滑に施行できるよう対応してまいります。
次に、送り付け商法自体を禁止しなかった理由と代金を支払った場合の救済方法についてお尋ねがありました。
売買契約が存在しないのに商品を一方的に送付し、売買契約の申込みをする行為は正常な事業活動ではなく、一方的に送り付けた商品について、代金を支払わなければならないと誤認させて代金を請求するような行為は、禁止するまでもなく、一種の詐欺行為です。
また、送り付けを受けた消費者は、何ら売買契約を締結していないことから、代金の支払義務は一切負っておらず、相手にすべきではありません。仮に誤って代金を支払った場合、当該代金の返還を請求する権利があるため、いち早く最寄りの消費生活センターに御相談いただきたいと思います。
次に、販売を伴う預託等取引を全面禁止とせずに原則禁止とした理由についてお尋ねがありました。
今般の改正法案においては、過去に販売預託による大規模な消費者被害が発生したことも踏まえ、販売預託を原則として禁止しています。
他方、憲法上の営業の自由との関係も踏まえ、消費者の財産上の利益が不当に侵害されるおそれがないと認められる場合に限り、あらかじめ内閣総理大臣の確認を受けた上で、例外的に行うことができるとしています。
もっとも、確認についてはあくまでも例外的なものであり、契約の勧誘等の段階及び締結等の両方の段階でそれぞれ確認を行うなど、悪質な事業者による消費者被害を確実に防止するものとしております。
次に、地方消費者行政との連携や体制強化、消費生活相談員の専門性の向上についてお尋ねがありました。
消費者行政における消費生活相談の充実や法執行の強化のためには、国による地方消費者行政との連携や支援が重要です。
消費者庁としては、これまでも、地方消費者行政強化交付金による支援等を通じ、地域において質の高い相談、救済を受けられる体制の構築や執行力の強化に向けた取組を行ってきました。
また、消費生活相談員は、地域の現場において消費者からの相談等に直接対応するなど、地方消費者行政の最前線で重要な役割を担っています。
消費者庁としては、いわゆる雇い止めの解消や処遇の改善に向け、地方公共団体に粘り強く働きかけを行うとともに、相談員の養成事業の強化、専門性の向上に向けた研修の充実など、重層的な対策により、相談員の方々が十分に力を発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。(拍手)
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