井上信治の発言 (本会議)
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○国務大臣(井上信治君) 柳ヶ瀬議員にお答えいたします。
まず、販売預託商法を全面的に禁止せず、例外的に販売預託商法をできる余地を残した理由についてお尋ねがありました。
今回の改正法案においては、過去に販売預託による大規模な消費者被害が発生したことも踏まえ、販売預託を原則として禁止しています。
他方で、憲法上の営業の自由との関係も踏まえ、消費者の財産上の利益が不当に侵害されるおそれがない場合と認められる場合に限り、あらかじめ内閣総理大臣の確認を受けた上で、例外的に行うことができるとしています。
もっとも、確認についてはあくまでも例外的なものであり、悪質な事業者による消費者被害を防止する観点から適切に運用してまいります。
次に、販売預託を行う既存事業者への対応についてお尋ねがありました。
販売預託に該当する事業を行っている事業者は限られており、販売預託を原則として禁止することによる一般的な事業活動に対する影響は限定的なものになると考えています。
今回の法案は、悪質な事業者を排除した上で、内閣総理大臣の確認を受けた場合には、例外的に販売預託を行うことを可能とする制度としています。改正法の施行後においても販売預託を行うことを希望する事業者については、確認の制度に関する周知を行うなど、適切に対応してまいります。
次に、現行の特定商取引法に基づく行政処分の執行状況とその実効性への評価についてお尋ねがありました。
令和二年度の消費者庁など国による特定商取引法の行政処分の件数は八十九件となっています。
消費者庁としては、現行法下においても、悪質商法の排除に向けて迅速かつ適正に対処していますが、法執行の実効性を図る観点からは、調査能力の向上を含めて制度の見直しも図っていく必要があります。
法案では、特定商取引法について、個人に対する業務禁止命令の対象について、事業者への業務停止命令の前六十日以内において役員等であった者から業務停止命令の前一年以内において役員等であった者に拡大するなど、行政処分等を強化する内容を盛り込んでいます。
消費者庁としては、現行法や改正法案も駆使し、法執行の実効性を更に高めてまいります。
次に、改正法案に基づく行政処分の強化の実効性の担保と消費者被害の防止についてお尋ねがありました。
本法案では、議員御指摘のとおり、業務禁止命令の対象となる役員等が命令前から既に命令の対象となる業務と同一の業務を特定関係法人において行っている場合等においてもその業務等を停止できるよう、行政処分の対象範囲を拡大する内容を盛り込んでいます。
消費者庁としては、先ほども答弁した内容も含め、改正法による行政処分等の強化策を最大限活用するとともに、職員の調査能力を強化し、特定商取引法に違反する行為に対して、引き続き迅速かつ厳正に対処することで消費者被害の防止に努めてまいります。
次に、通信販売において消費者を誤認させる表示等の判断基準の明確化、違反表示の監視体制の整備についてお尋ねがありました。
改正法十二条の六第二項の、誤認させるような表示とは、例えば、定期購入契約において、最初に引き渡す商品等の分量やその販売価格を強調して表示し、その他の定期購入に関する条件を分かりにくいように小さな文字で表示する場合や、殊更離れた場所に分離して記載する場合などが該当するものと考えています。
どのような表示が誤認させるような表示に該当するかについての詳細は、法の施行までに通達で明らかにし、消費者及び事業者の双方にとって透明性の高い分かりやすい制度としてまいります。
法律違反となる表示については、現在も通信販売の専属の担当を設けて調査、監視を常時行っていますが、引き続き厳正に法執行を行い得る体制を整備する方針です。
次に、送り付け商法の禁止や行政処分に関する規定を設けなかった理由についてお尋ねがありました。
売買契約が存在しないのに商品を一方的に送付し、売買契約の申込みをする行為は正常な事業活動ではなく、一方的に送り付けた商品について代金を支払わなければならないと誤認させて代金を請求するような行為は、一種の詐欺行為です。
その上で、送り付け商法については、特定商取引法で規制を設けている各取引類型とは異なり、そもそも正当性のない行為であり、行政処分を受けて業務改善等が見込めるような性質の業態ではなく、行政処分の対象とすることはなじまないものです。
次に、契約書面等の電子化における消費者の利便性の向上と保護のバランスについてお尋ねがありました。
今回の制度改正は、社会や経済のデジタル化を更なる消費者の保護につなげることを図りつつ、電子メールなどにより必要な情報を受け取りたい消費者のニーズに応えるためのものです。
消費者委員会からも、デジタル技術を活用することにより、消費者の利便性の更なる向上を図るとともに、消費者の保護につなげることが重要である旨の建議をいただいています。
消費者庁としては、今後、消費者団体等の御指摘も踏まえ、具体的な制度設計を進める中で、消費者の利便性の向上及び消費者利益の保護の両者の充実を図ります。
次に、電子交付を認めるに当たり、訪問販売など他の類型にも認めた理由についてお尋ねがありました。
特定商取引法が書面交付義務を事業者に課している趣旨は、消費者保護の観点から、契約内容を明確化し、後日紛争が生じることを防止するためであり、これは特定継続的役務提供とほかの取引類型とで法律上異なるものではありません。紙での書面交付に加え、契約書面等の電子化を可能とする規定は、各取引類型に横断的に置くことが法理論的に整合的です。
また、特定継続的役務提供以外の取引類型においても、契約書面の紛失を回避したい、電磁的方法による管理を希望するというニーズがあると考えます。
こうしたことを踏まえ、今回の改正法案では、書面交付義務が設けられている全ての取引類型において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による交付を可能とする制度改正を行うこととしたものです。
次に、取引の特徴や消費者被害の実情を踏まえた制度設計を検討する必要性についてお尋ねがありました。
契約書面の電子化に係る制度設計に当たっては、御指摘のとおり、特定商取引法における取引の特徴やそれぞれの消費者被害の実情も踏まえた上で、政省令等を整備し、消費者保護にも万全を期した実効的な制度とすることが重要です。
このため、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも御議論いただき、消費生活相談の実情に詳しい相談員の方などから丁寧に意見を伺い、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方を検討してまいります。
次に、消費者から承諾を得る際の具体的な手段についてお尋ねがありました。
契約書面等の電子化に対するトラブルを回避するため、承諾を実質的なものとすること、すなわち消費者が本当に納得して承諾をしていることを確保することは極めて重要です。このため、高齢者などデジタル機器に必ずしも慣れていない方々が不利益を被らないよう、政省令等で消費者保護の観点から万全な制度設計を行います。
消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず承諾を得たなどとする悪質業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、少なくとも口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾したことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示すことなどを規定することが適切であると考えています。
具体的には、承諾の取り方として、現時点では、例えば、ウエブページ上でチェックを入れるだけで承諾とすることは認めない、契約の相手方がデジタル機器に不慣れな一定の年齢以上の方の場合には家族など契約者以外の第三者のメールアドレスにも送付させることなどを考えております。
次に、これからの消費者教育についてお尋ねがありました。
社会のデジタル化や高齢化の進行、新型コロナウイルス感染症への対応、また令和四年四月からの成年年齢の引下げなど、経済社会環境が大きく変化する中で、消費者教育を通して消費者被害を抑止することは重要な政策課題です。また、食品ロスの削減や循環型経済社会の構築等、持続可能な社会の形成に向けて自立した賢い消費者として積極的に貢献していくことも必要となっています。
こうした状況を踏まえ、若年層、高齢者等のライフステージに応じたきめ細かい消費者教育に一層力を入れて取り組んでまいります。(拍手)
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