井上信治の発言 (本会議)
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○国務大臣(井上信治君) 伊藤議員にお答えいたします。
まず、消費者庁関係法案の成立数と全会一致の本数についてお尋ねがありました。
二〇〇九年の消費者庁設置以降、今国会までに成立した消費者庁が主管省庁の閣法十三本と議員立法の三本、合計十六本のうち、衆議院及び参議院本会議で全会一致により可決された法律は十二本です。
次に、契約書面の電子化が改正事項に入った経緯についてお尋ねがありました。
国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることは必要不可欠となっています。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっています。また、紙よりもデジタル技術を活用して必要な情報を保存、閲覧し、やり取りする方がより便利であると感じる国民も増えているのではないかと考えられます。
こうした状況も踏まえ、消費者庁において検討を行い、消費者の利便性の向上や消費者利益の擁護を図る観点から、特定商取引法等において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
次に、書面の第三者の視認による消費者被害の発見の効果についてお尋ねがありました。
契約書面が電磁的方法により提供されることで契約書面の散逸や廃棄の可能性は低くなり、高齢者から同意を取れば家族やヘルパー等がスマートフォンのメールフォルダを確認することができることから、見守り機能がより実効的となる側面もあると考えています。
なお、御指摘の論点も含め、不安の声が寄せられていることは承知しています。法改正の後、政省令などを検討する過程において、御指摘の点も含め、消費者保護の観点から万全を期すこととし、法律の施行までの間に消費者団体等から意見を聞いて、具体的な詰めを行ってまいります。
次に、過去十年の消費者被害の発生件数と、契約書面の電子化を導入するとの結論に至った理由についてお尋ねがありました。
十年前の二〇一一年度の消費生活相談の件数は、例えば、訪問販売に関するものが約九万五千件、連鎖販売取引に関するものが約一万件ありました。これに対して、二〇二〇年度の件数は、訪問販売が約七万五千件で漸減傾向にあり、連鎖販売取引に関するものは約一万件でほぼ横ばいです。また、訪問販売の消費生活相談の件数は六十歳以上を中心に各年代において、連鎖販売取引の消費生活相談は二十歳代を中心に各年代において寄せられております。
事件の端緒については、消費者等からの申出や職権探知、公益通報など様々ですが、その傾向については今後の調査に支障が生じることからお答えを差し控えますが、このような消費生活相談の実態なども踏まえ、消費者庁において検討を行い、特定商取引法等において、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
次に、なぜ訪問販売やマルチ商法等による消費者被害が撲滅されないのかとのお尋ねがありました。
消費者庁では、訪問販売や連鎖販売取引等について、特定商取引法に違反し、消費者被害をもたらす行為に対しては、迅速かつ厳正に対処しているなど、悪質商法の撲滅に向けて取り組んでおります。他方、社会経済情勢の変化等により、消費者の脆弱性に付け込む形で悪質商法の手口が巧妙化し、それによる消費者被害が発生していることは事実です。
消費者庁としては、厳正な法執行に加えて、消費者への注意喚起、御審議いただいている改正法案による制度改革などを講じることで、消費者被害の防止に向けて全力で取り組んでまいります。
次に、高齢者や若年者の被害の未然防止についてのお尋ねがありました。
加齢により判断力が低下した高齢者や、判断力が十分でない若年層を含め、消費者被害の未然防止に万全を期すことは消費者庁の最重要責務の一つと認識しています。
厳格な法執行、法制度の充実強化、相談体制の整備、消費者への啓発など、消費者被害の未然防止のための施策を講ずる上で、消費者の年齢その他の特性に配慮し、多様化する消費者にきめ細かく対応してまいります。
次に、承諾を得ずに電磁的交付をした場合に行政処分を行う際、承諾があったかをどのように判断するかについてお尋ねがありました。
特定商取引法の解釈は、一義的には法令所管省庁において行うものであり、かかる判断を踏まえ、個別具体の事案に即し、行政処分であれば執行権限のある消費者庁及び都道府県において事実認定を行い、罰則の適用を含む刑事手続については捜査機関において適切に執行されるものと承知しています。
法執行に関する個々の調査プロセスについては、今後の法執行に関する調査に支障が生ずるためお答えは差し控えますが、いずれにしても、法違反があった場合には、法令に基づき、迅速かつ厳正に対処してまいります。
次に、法の穴をかいくぐる悪質事業者に対する消費者庁の調査能力などについてお尋ねがありました。
法の穴をかいくぐることを企てるような悪質事業者に対して、法律に基づく取締りを強化していくことは極めて重要です。
今回の改正法案においては、既に設立されている会社で同様の違反行為を行う場合の業務停止命令を新たに創設するとともに、個人に対する業務禁止命令に係る制度も強化するなど、時々の消費者被害の実態を踏まえ、抜本的な取締り強化策を盛り込んでいます。
より巧妙化する悪質商法に対しては、こうした制度改革を行うほか、研修の強化等を通じた調査能力の向上や人事交流等による専門人材の確保などに常に取り組んでいく必要があると考えており、更なる執行強化に全力で取り組んでまいります。
次に、政府方針を転換した理由についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて新たな日常が模索される中で、経済社会のデジタル化は必要不可欠なものとなっています。
そのような状況下において、政府全体におけるデジタル化の議論の中で、規制改革推進会議において特定商取引法の一部取引類型の契約書面等の電子交付についても取り上げられました。また、規制改革推進会議の事務局である規制改革推進室からは、各省庁の所管法における全ての民民手続の書面規制について、法改正が必要な事項の検討依頼がありました。
これらを受け、消費者庁において検討を行い、消費者の利便性の向上や消費者利益の擁護を図る観点から、消費者の承諾を得た場合に限り例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする改正を行うこととしたものです。
次に、契約書面の電子化を許容できる環境かとのお尋ねがありました。
この十年間で、我が国の国民生活におけるデジタル化の状況は大きく変化しています。そうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることが必要不可欠となっています。
さらに、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人との接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっていると考えております。
次に、ワクチン予約代行詐欺など、被害に遭ってしまう消費者の感情や孤独を踏まえた対策についてお尋ねがありました。
高齢者を始め、新型コロナウイルス感染症の影響や経済社会のデジタル化の進展などに不安を覚える消費者は少なくありません。
このような消費者の不安な心理に付け込んだ詐欺等は許されるものではなく、御指摘のワクチン接種をかたる詐欺被害の防止を含め、注意喚起、相談体制の整備、見守りの強化などの施策を通じ、消費者一人一人の気持ちに寄り添いながら被害防止策を講じてまいります。
次に、政省令で定める対策の方向性についてお尋ねがありました。
承諾を実質的なものとすることは極めて重要であり、政省令等で消費者保護の観点から万全な制度設計を行っていく方針です。
消費者からの承諾の取り方については、承諾を得ていないにもかかわらず、承諾を得たなどとする悪質事業者を排除する観点から、例えば、政省令等において、口頭や電話だけでの承諾は認めない、消費者が承諾したことを明示的に確認することとし、消費者から明示的に返答、返信がなければ承諾があったとはみなさない、承諾を取る際に、その承諾によってどのような効果があるのか、どのような内容のことが電子メール等で送付されるのかを明示的に示すことなどを規定することが適切であると考えています。
次に、政省令等で規定する承諾の実質化により十分な歯止めとなるかとのお尋ねがありました。
消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法を可能とすることについて、それを悪用されないようにすることは極めて重要です。
そのため、消費者からの承諾の取り方が重要な要素となると考えており、法律ではなく政省令で手続の細則を定めることによって、消費者トラブルや取引実態を踏まえて細かい制度の機動的な見直しが可能となるとともに、取引の特徴や契約当事者となる消費者の置かれている状況に応じて承諾の取り方を柔軟に規定することも可能となるなど、より手厚い制度設計を行うことが可能であると考えています。
このため、消費者庁としては、政省令等による承諾の実質化は十分な歯止めとして機能するものと考えております。
次に、電子化に関する規定を削除し、意見を聞く場を公で設け、法律案を出し直すことが適切ではないかとのお尋ねがありました。
国民生活におけるデジタル化は急速に拡大、深化しており、こうした社会状況の大きな変化に即応した施策を講ずることは必要不可欠となっております。とりわけ、昨年来、新型コロナウイルス感染症対策が求められる中、極力人の接触を減らす等の新たな日常が模索され、自宅にいながらインターネットを利用する取引や手続の規定を整備する重要性は、いまだかつてなく高まっているところです。
こうした状況を踏まえ、消費者のニーズに応えるとともに消費者保護も併せて図る観点から検討を行い、消費者の承諾を得た場合に限り、例外的に契約書面等の電磁的方法による提供を可能とする制度改正を行うこととしました。
消費者庁としては、法案成立後、オープンな場で広く意見を聴取する検討の場を設けるとともに、消費者委員会でも議論いただき、消費者相談の現場にいらっしゃる相談員の方々などから丁寧に意見を伺うこととし、それも十分に踏まえながら、消費者の承諾の実質化や電磁的方法による提供の具体的方法の在り方を検討したいと考えており、法律案を出し直すことは考えておりません。
最後に、消費者委員会のガバナンスについてお尋ねがありました。
消費者委員会は、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策に関する重要事項等について自ら調査審議を行い、内閣総理大臣や関係各大臣等に対して建議を行うこと等を目的として内閣府に設置された第三者機関です。消費者委員会の委員は独立して職権を行うこととされ、会務を総理する委員長を中心として積極的に調査審議を行い、その任務を適切に果たしていただいております。
消費者委員会が本年二月に発出した特定商取引法及び預託法における契約書面等の電子化に関する建議については、契約書面等による消費者保護等の機能を維持した上で、デジタル技術を活用した消費者保護を図る観点から委員の総意として取りまとめられたものであり、安易に電子化の推進を容認するものではないと承知しております。
なお、御指摘の事務局長につきましては、委員長の命を受けて適切に局務を掌理していると承知しております。(拍手)
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