小此木八郎の発言 (本会議)
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○国務大臣(小此木八郎君) 木戸口議員から十問御質問いただきました。順次お答え申し上げます。
まず、本法律案提出に時間を要した経緯及び地方の要請に応えているかを御質問いただきました。
御指摘のとおり、我が国の防衛関係施設等の周辺や国境離島等において外国資本が土地を買収していることは、安全保障の観点から長年問題視されてきた課題です。
政府は、御指摘の二〇一三年の国家安全保障戦略を踏まえ、防衛施設の隣接地や国境離島の領海基線の近傍の土地について所有状況等の調査を行いました。しかしながら、これらの調査は不動産登記簿等の資料の確認にとどまり、土地利用の実態を十分に把握するには至りませんでした。
こうした状況を踏まえ、政府は、令和二年七月の骨太方針二〇二〇において、安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用、管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる方針を閣議決定し、国土利用の実態把握等に関する有識者会議を開催して、いかなる対応が適切か検討を行い、本法案を取りまとめたところであります。
また、全国各地において、外資による水源地周辺の土地の取得に懸念が示され、適切な管理体制を構築するための法整備を求める意見書が出されてきたことは承知しております。一方、水源を涵養する森林や農地については、現行の森林法や農地法において、既に土地取得の際の許可や届出等といった措置が講じられております。
有識者会議の提言においても、既存の措置があることを踏まえ、これらの土地を対象とすることについては慎重に検討していくべきとされ、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところであります。これらを踏まえ、本法案において、水源地については対象としないとしたところであります。
次に、機能阻害行為について御質問いただきました。
機能阻害行為について、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが該当し得るものと考えています。
機能阻害行為として具体的に想定している行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されます。このため、特定の行為を普遍的、代表的な機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないものと考えています。
いずれにせよ、閣議決定される基本方針において、可能な限り具体的に機能阻害行為の例示をお示ししたいと考えています。
次に、機能阻害行為に対する措置について御質問をいただきました。
本法案においては、勧告を受けた者が、正当な理由がなく、勧告に関わる措置をとらなかったときは、その措置をとるべくことを命令することができるほか、命令に違反した者には罰則が科せられることとしています。
また、例えば、施設機能を阻害する構築物の撤去等を命令した場合において、その命令が履行されないときは、行政代執行法に基づき、内閣総理大臣が自ら構築物を撤去する形で代執行を行うことができるものと考えています。
本法案の目的を達成し得るよう、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合には、これを是正するために本法案に基づく措置を適切に実施してまいります。
次に、生活関連施設について御質問いただきました。
生活関連施設に関してどのような施設を対象とするかについては、国際情勢の変化、技術の進歩、運用状況等に応じ、柔軟かつ迅速に検討を続けていく必要があります。
このため、政府の責任において、迅速かつ適切に具体的な生活関連施設の類型を定められるよう、法律の規定として、その機能を阻害する行為が行われた場合に、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものという範囲を設けた上で、政令で定める仕組みとしたものであります。
次に、本法案に基づく措置と国民の権利や自由との関係について御質問いただきました。
本法案は、安全保障等の観点から、防衛関係施設等の周辺や国境離島等の土地等の利用状況を調査し、必要に応じてそれらの機能を阻害する利用を規制しようとするものであります。
このため、御指摘のあった基地等の監視活動や抗議活動に参加している方々について、そうした活動への参加を理由に、本法案に基づく調査を行うことやその行動を制限することはありません。
また、本法案の第三条において、運用上も、本法案に基づく措置は、機能阻害行為に利用されることを防止するために必要な最小限度のものとなるように実施する旨を明記しています。
いずれにせよ、本法案に基づく措置により、憲法で保障された国民の権利や自由が不当に侵害されることはないものと考えております。
次に、第八条の報告徴収について御質問いただきました。
第八条の報告徴収等は、土地等の利用状況を把握するために行うものであり、その対象者としては、土地等の利用状況を知り得る者が該当します。
具体的には、報告徴収等の対象となるその他の関係者については、条文上で例示されている土地等の利用者のほか、土地等の利用状況を知り得る者として、例えば、土地等の利用者が法人である場合その役員、土地等の利用者との契約等により、当該土地等における作業、工事等に従事している下請業者等を想定しております。
対象となる土地等の利用状況を知り得る者は、個々のケースによって様々であると考えられ、その他の関係者について具体的に例示することは必ずしも適当ではないと考えています。
また、御指摘のあった報告徴収に関する罰則規定は、報告徴収の実効性を担保し、必要な情報を確実に収集されるために必要なものであります。この罰則については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは考えていません。
次に、区域指定と対象施設のリストの開示について御質問いただきました。
御指摘のあった防衛関係施設の候補リストは、自衛隊の各施設の役割とその重要性の評価をうかがい知る手掛かりとなり得るものであり、我が国の安全保障上、開示することが適切でないと考えております。
具体的な区域の指定については、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価し、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。
次に、基本方針に定める経済的社会的観点から留意すべき事項について御質問いただきました。
注視区域又は特別注視区域の指定は、指定に伴う社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があると考えます。閣議決定する基本方針において、そうした考えを明らかにするため、御指摘のあった法第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項を示すこととしたところであります。
その具体的な内容について、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合、その区域における社会経済活動への影響、施設機能の阻害行為の兆候等の把握が困難であるかどうかといった重要施設の周辺の実情、重要施設自体の形状や周辺区域における地形、国有地の所在状況などを考慮し、区域指定の要否、区分、範囲を判断するという考え方を明らかにすることを想定しております。
具体的な区域の指定については、先ほど申し上げたとおり、法施行後に、個々の重要施設の周辺や離島ごとに法律の要件や基本方針の内容に照らして評価をし、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、必要最小限の原則を踏まえ、判断することとしています。
こうした枠組みの下、御指摘のような恣意的な運用のおそれはないものと考えており、その文言を削除する必要はないと考えております。
次に、特別注視区域における事前届出制度について御質問いただきました。
本法案では、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを踏まえ、重要施設及び国境離島等の機能を阻害する行為の防止に資する措置として、特別注視区域における事前届出制度を導入することとしております。
特別注視区域にある土地等については、機能阻害行為の兆候を可能な限り早い段階で発見し、適切に対応する必要性が特に高いと考えられます。
機能阻害行為を未然に防止する観点からは、土地等の所有状況を逐次把握し、機能阻害行為の着手、実行が可能となる契約締結時から、空白期間を設けることなく、本法案に基づく措置を適時適切に講じられるようにする必要があると考えております。
仮に、御指摘のあった事後届出制とした場合には、機能阻害行為に着手、実行した後で届出がなされ、本法案に基づく措置を講ずる機会を逸するおそれもあることから、適当ではないと考えています。
また、御指摘のあった事前届に関する罰則規定は、事前届出制度の実効性を担保し、必要な情報を確実に収集するために必要なものであります。この罰則については、他の類例も参考としつつ定めたものであり、削除することは考えておりません。
最後に、執行体制の整備について御質問いただきました。
本法案に基づく調査や利用規制等は、内閣府に新設する部局が行うこととしております。法案成立後、関係省庁とも調整しながら、必要となる体制の在り方について検討を進めていく考えです。
なお、不動産登記簿の収集などに際して、効率性の観点から、外部委託を活用することも考えられます。その場合であっても、当然のことながら、委託契約において秘密の保持に関する条項を設けるなどして、情報の管理をしっかりと行ってまいります。
私からは以上です。(拍手)
〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕