小此木八郎の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○国務大臣(小此木八郎君) 大塚議員からいただいた御質問に順次お答えいたします。
 まず、地籍調査未了地、所有者不明土地、外国人所有地の面積及び割合について御質問をいただきました。
 我が国の国土のうち、国有林等を除いた地籍調査の対象地に占める地籍調査が未了の土地は、令和元年度末時点において約四八%、約十四万平方キロメートルであると承知しています。
 また、所有者不明土地については、その総面積や割合は政府として把握できていないと承知していますが、平成二十九年度に実施した地籍調査対象となる筆数ベースで申し上げれば、不動産登記簿から直ちに所有者の所在が判明しなかった土地が約二二%、市町村の調査の結果、最終的に所有者の所在が判明しなかった土地が約〇・四%であると承知しています。
 なお、現行制度においては、国は土地の所有者の国籍を調査する法律上の権限を有しておらず、国土全体において外国人が所有する土地の面積やそれが全体に占める割合を把握しておりません。
 次に、土地の所有に関する相互主義等に関して御質問をいただきました。
 安全保障の観点から、国として、土地を管轄する制度の在り方に関し、御指摘のような相互主義に関わる議論、指摘があることは承知しております。
 一方、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する行為については、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であるとの考えに立ち、本法案は内外無差別の枠組みとしております。
 なお、国土利用の実態把握等に関する有識者会議の提言においては、我が国の法律に基づいて設立された会社であっても、実質的な所有者や支配者が日本人ではないケースもあり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないとされたところであります。
 次に、外国資本等による重要施設等の周辺土地の取得に関する基本認識について御質問いただきました。
 安全保障をめぐる内外情勢は厳しさを増しており、御指摘のあったような防衛関係施設等、安全保障上重要な施設の周辺の土地を利用し、それらの施設の機能を阻害する行為が行われるリスクは高まっているものと認識しております。
 また、外国資本による防衛関係施設等の周辺の土地の買収は、国会や地方議会でも議論されてきたほか、全国の地方公共団体から、安全保障の観点からこの土地の管理を求める意見書が提出されており、対応の必要性は広く議論されてきたところであります。
 安全保障の確保は国の重大な責務です。本法案は、土地等を利用した重要施設等の機能阻害行為を未然に防ぎ、安全保障上のリスクを回避することを目的として取りまとめたものであります。
 次に、本法案の対象となる国境離島等について御質問をいただきました。
 本法案における国境離島等としては、第二条第三項において、領海基線を有する離島である国境離島に加え、有人国境離島法に基づく有人国境離島地域を構成する離島である有人国境離島地域離島を規定しています。第二条第三項第一号に規定する国境離島のうち、我が国が現に保全、管理を行っているものは四百八十四島あります。このうち、例えば無人であって民有地が所在するものは四十島あります。
 一方、御指摘のあった土地取引が行われる可能性がある離島については、土地取引は所有者の意向によりますので、政府としてその規模感をお答えすることは困難であります。
 次に、第二条第二項第三号の規定について御質問をいただきました。
 まず、本法案第二条第二項第三号の国民生活に関連を有する施設とは、日常生活に必要なインフラを提供するなど、国民生活に必要な施設を指しております。また、その機能を阻害する行為とは、生活関連施設が有する国民生活の基盤としての機能の正常な発揮に支障を来し得る行為を指しております。さらに、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものとは、その施設が有する機能に照らして、機能の正常な発揮に支障が生じた場合に、国民の生命、身体又は財産に広範又は甚大な被害が生ずるおそれがある施設を指しております。
 次に、政府の過去に行った調査と法案の要件に該当する土地の所有事例について御質問をいただきました。
 まず、政府として、これまでに、重要施設の周辺及び国境離島等を対象として、重要施設等の機能を阻害するような土地等の利用の状況に関する包括的な調査は行っておりません。一方、防衛省や内閣府は、従来、防衛施設の隣接地や国境離島の領海基線の近傍の土地について所有状況等の調査を行っております。ただし、それらの調査は、不動産登記簿等の一般に入手可能な資料による確認など限られた情報の把握にとどまっており、詳細な利用実態までは把握できなかったものと承知しております。
 本法案に基づく調査等の対象となる具体的な区域の指定については、法定する手続に沿って指定の要否、範囲等を判断していくこととしております。このため、現時点において対象となる土地等の規模感をお答えすることは困難であります。
 次に、中央銀行や民間金融機関のシステムセンターの取扱いについて御質問をいただきました。
 本法案では、重要施設として、防衛関係施設、海上保安庁の施設及び生活関連施設の三つの類型を掲げております。このうち、生活関連施設については、その具体的な施設の類型を政令で定めることとしており、現時点では、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を指定することを想定しております。
 生活関連施設の類型については、国際情勢の変化や技術の進歩等に応じ、検討を続けていく必要があると考えておりますが、現時点において、御指摘のあった中央銀行及び民間金融機関のシステムセンターを政令で指定することは想定しておりません。
 次に、国民生活の基盤について御質問をいただきました。
 御指摘のあった水源地である森林、ソーラー用地、産廃用地については、個々の土地によって状況が異なるため、本法案における位置付けについて一概にお答えすることは困難ですが、その所在状況によっては、第一条に規定する国民生活の基盤に該当し得るものと考えております。一方、本法案に基づく措置の対象は、安全保障に直接関係する防衛関係施設、生活関連施設等の重要施設の周辺や国境離島等としているところであります。
 次に、土地取引の事前届出に関する条例を定めている道府県について御質問をいただきました。
 水資源の保全等を目的として、水源地域における森林等の土地取引について事前届出義務を課すこと等を内容とする条例を定めている道府県は、令和二年十月末時点において、政府として把握しているものとして十八道府県であります。具体的には、北海道、秋田県、山形県、茨城県、群馬県、埼玉県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、徳島県、宮崎県であると承知しています。
 次に、条例と本法案との違いについて御質問をいただきました。
 本法案は、安全保障の観点から、防衛関係施設等の重要施設や国境離島等が有する重要な機能を阻害する土地等の利用を防止することを目的として、土地等の利用状況を調査した上で、機能阻害行為として土地等の利用が判明した場合に中止等の勧告、命令を行うこととしています。
 条約の内容は道府県ごとに異なっており、失礼、条例の内容は道府県ごとに異なっており、それらと本法案の違いについて一概にお答えすることは困難ですが、条例には、例えば、水資源の保全等を目的として、水資源、水源地域における森林等の土地取引の事前届出義務のほか、水源地域内における開発行為の事前届出、取水に係る許可制度等を定めているものがあると承知しております。
 次に、本法案と条例の関係について御質問をいただきました。
 水源涵養機能を有する森林については、現行の森林法において、国土の保全等を目的として、土地取得の際の事後届出、大規模な開発行為に係る許可制度等の措置が講じられています。御指摘の条例は、こうした制度を前提とした上で、地域の特性に応じて水源となる森林等の保全を図るための独自の取組であると考えております。
 有識者会議の提言においては、森林法のような既存の措置があることを踏まえ、水源地の取扱いについては、これらの土地を対象とすることについては慎重に検討していくべきとされました。また、防衛関係施設の周辺や国境離島の土地は、まず最優先で制度的枠組みの対象とすべきとされたところであります。
 本法案は、こうした状況を踏まえ、安全保障に直接関係する防衛関係施設等の周辺や国境離島等を対象として必要な調査、利用規制を行うものであり、内容に不十分な点があるとは考えていません。
 次に、取得規制を導入しなかった理由について御質問をいただきました。
 御指摘のあった取得規制とは、一般に、土地等の取引を事前に審査し、安全保障の観点からリスクがあると認められる土地等の取得を規制する枠組みであると認識しております。
 こうした取得規制について、有識者会議の提言では、あらかじめ規制の基準や要件を明確に定めることが困難であり、慎重に検討すべきとされたところであります。政府としては、この提言を踏まえ、本法案では取得規制は導入しないことといたしました。
 次に、基本方針の内容について御質問をいただきました。
 御指摘のあった第四条第二項の基本的な事項と基本的な方向は、いずれも基本方針に定めるべき事項として規定しているものであり、この点で、それらが異なる意義を有するものではありません。
 第四条第二項第一号の重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する基本的な方向としては、我が国の安全保障をめぐる内外情勢について記述した上で、本法案に基づく措置の趣旨、必要性、措置を行うに当たっての基本的な考え方を示すことを考えております。
 次に、第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項の趣旨について御質問をいただきました。
 本法案に基づく区域指定に当たっては、我が国の安全保障と自由な経済活動の両立を図る観点から、指定に伴う社会経済活動への影響を勘案することが必要であると考えます。
 このため、基本方針には、御指摘のあった第四条第二項第二号の規定を踏まえ、重要施設の周辺における密集市街地の形成状況等の地理的特性など、区域の指定に関し、経済的社会的観点から留意すべき事項を盛り込むこととしております。
 次に、法目的と経済的社会的観点の関係について御質問をいただきました。
 第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項は、先ほどお答えしたとおり、対象区域の指定に当たって、指定に伴う社会経済活動への影響を勘案する趣旨を定めたものであります。
 具体的な区域の指定の過程では、重要施設等の機能阻害行為を防止するという安全保障上の必要性と経済的社会的観点から留意すべき事項を総合的に勘案します。そして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、法目的を確実に達成することを前提として、指定の要否、範囲等について慎重かつ適切に判断してまいります。
 次に、損失補償を行わない事例について御質問をいただきました。
 本法案第十条は、内閣総理大臣の勧告、命令によって受けた損失に対する補償について規定したものでありますが、そのただし書において、損失補償の対象とならない場合について規定しております。
 具体的には、他法令に基づく許可の申請が必要な行為について、その申請が却下されたにもかかわらず、その行為を行い、本法案に基づく勧告、命令の対象となった場合等に、勧告等に従ったことによって損失を受けたとしても損失補償の対象としない旨を規定しています。これは、そうした場合には補償を行う必要性が乏しいと考えられることによるものであります。
 例えば、国境離島の低潮線保全区域において、低潮線保全法に基づく許可申請が却下される場合における海底の掘削行為が本法案に基づく勧告、命令の対象となるケースが想定されます。
 次に、第二十一条の規定の意義について御質問をいただきました。
 第二十一条では、内閣総理大臣が、機能阻害行為を防止するため、関係大臣に対し関係法令に基づく措置の実施を要請すること、その実施について報告を求めることができることとしております。
 仮に第二十一条の規定がなくても、本法案に基づく事務を所掌する内閣総理大臣が、各行政機関の長に対し、その所掌事務の範囲内で事実上の要請を行うことは可能です。しかしながら、第二十一条の規定のように法令上の特別の定めがない場合には、この事実上の要請を行った後の対応は各行政機関の裁量に委ねられることになります。そこで、第二十一条の規定を設け、機能阻害行為を防止するために関係大臣が実施すべき措置について内閣総理大臣が関与できるようにしたところであります。
 次に、第二十三条の土地の買取り等について御質問をいただきました。
 本法案では、国が土地等を義務的、強制的に買い取る制度は設けておりません。これは、有識者会議の提言において、土地等の収用など、私権制限の程度が強い措置を設けることについて慎重に検討していくべきとされたことを踏まえたことによります。
 一方、有識者会議の提言では、安全保障の観点から、政府として、リスク顕在化への備えとして前広に対応することが求められるとして、土地の買取りを申し出る措置を設けておくべきとされました。
 こうした経緯を踏まえ、御指摘のあった第二十三条においては、強制性のない努力規定として、国による土地の買取り等の措置を盛り込んだところであります。
 次に、本法案の運用に当たって取り扱う情報に関し、特定秘密との関係等について、それぞれ御質問をいただきました。
 まず、特定秘密は、特定秘密の保護に関する法律において、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものと定義されています。
 一方、本法案に基づく調査では、土地等の利用者等の個人情報や土地等の利用状況に関する情報などを取り扱うことを想定していますが、それらの情報は、いずれも先ほど申し上げた特定秘密には該当しないものと考えております。
 このため、本法案に基づき取り扱う情報に関して、御指摘のあった情報監視審査会に報告する事項はないものと考えております。
 最後に、執行体制について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査や利用規制等は、内閣府に新設する部局が行うこととしております。御指摘のあった担当部局の規模や、いずれの省庁から人材を集めるのかといった執行体制に関する点については、法案成立後、関係省庁とも連携、調整しながら、必要となる体制の在り方について検討を進めていく考えであります。
 また、本法案の運用のベースとなる基本方針の策定については、我が国の安全保障をめぐる内外情勢を踏まえて定める必要がございます。このため、その策定は、国家安全保障局と内閣府に新設する部局が連携してその任に当たることとしております。(拍手)
    ─────────────

発言情報

speech_id: 120415254X02820210604_018

発言者: 小此木八郎

speaker_id: 23042

日付: 2021-06-04

院: 参議院

会議名: 本会議