小此木八郎の発言 (本会議)

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○国務大臣(小此木八郎君) 田村議員からいただいた御質問に対し、順次お答え申し上げます。
 まず、本法案は外国からの投資の呼び込みという政策の転換を目的としているのかという点について御質問をいただきました。
 経済活動のグローバル化が進展する中、外国資本による対内投資は、イノベーションを生み出す技術やノウハウをもたらすとともに、地域の雇用機会創出にも寄与するものであり、我が国経済の持続的成長に資するものと考えています。
 他方、本法案は、安全保障の観点から、重要施設の周辺等の土地の利用状況を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められる場合に利用規制を行うものであり、海外からの投資を規制することを目的としたものではありません。(発言する者あり)ありません。したがって、本法案は、外国資本による対内投資の促進といった政府の経済政策の転換を図ろうとするものではありません。
 次に、自治体の意見書における要望等について御質問をいただきました。
 御指摘のような基地周辺や国境離島の住民を対象に監視をすることを求める要望はありませんが、全国各地の地方公共団体からは、安全保障の観点から土地の管理を求める意見書が提出されております。
 本法案は、そうした社会的な要請も踏まえ、安全保障の観点から重要施設の周辺等の土地等の利用実態を調査し、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に土地等の利用規制を行うものとして取りまとめたものであり、御指摘のあった住民の方々を監視するものではありません。
 第三条には、本法案に基づく措置は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、土地等が重要施設等の機能阻害行為に利用されることを防止するために必要最小限度のものとなるようにしなければならないと定めております。政府として、本法案の目的を逸脱して住民の方々の情報を収集することはありません。
 また、制度運用の適正さを確保する観点から、生活関連施設に関する政令の改廃、対象区域の指定、勧告の実施などについては、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で判断することとしております。
 したがって、国民監視のフリーハンドを得るための立法という御指摘は当たらないものと考えています。
 次に、土地等利用状況調査の対象者について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査は土地等の利用状況を把握するために行うこととしており、所有権、賃借権といった権原に基づく利用者の情報やその利用状況を把握することとしております。
 御指摘のあった住宅の居住者については、所有権、賃借権といった権原を有していなければ、その者が権原に基づく利用者と共同して機能阻害行為を行っている場合等を除き、調査の対象とはなりません。また、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方についても同様に、土地等について権原を有していなければ、原則として調査の対象とはなりません。このような調査の対象者の範囲については、法案第六条から第八条までで規定しております。
 次に、利用者等に関する情報の提供について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査では、不動産登記簿、住民基本台帳、戸籍簿など、複数の公簿を収集し、土地等の利用者等を正確に把握することとしております。
 調査の一環として行う公簿の収集の実効性を確保するため、第七条第二項の規定により、内閣総理大臣からの情報提供の求めを受けた関係地方公共団体等に対し情報提供を義務付けております。御指摘のあった第七条第一項の政令で定めるものとしては、本籍、国籍、生年月日、連絡先等を規定することを検討しております。御指摘のあった戸籍簿については、例えば、不動産登記簿上の所有権の登記名義人が死亡していることが判明したときに、相続人を把握するために提供を求める場合もあると考えております。
 次に、本法案に基づく調査の内容及び手法について御質問をいただきました。
 本法案に基づく調査としては、不動産登記簿等の公簿等の収集、土地等の利用者等からの報告徴収、現地・現況調査がありますが、これらの調査は、いずれも内閣総理大臣、具体的には内閣府に新設する部局が行うこととしております。
 この調査は、注視区域内にある土地等の利用状況を把握するためのものであり、御指摘のあった日常的な行動監視を行うものではありません。その上で、本法案に基づく調査において、警察や公安調査庁が保有する情報を活用することや、それらの機関に情報の収集を依頼することは考えていません。
 次に、防衛関係施設を所管する防衛省については、例えば、機能阻害行為の兆候等に係る情報提供をいただくことや、現地・現況調査において必要に応じて防衛省及びその地方支分部局に協力を依頼することが考えられます。防衛省を含め、関係省庁等の協力の在り方など、具体的な調査の進め方については、法案成立後、施行に向けた準備を行う中で検討してまいります。
 なお、御指摘のあった、重要施設等に設置する監視カメラでの顔認証によって行動監視を行うことは考えていません。
 次に、本法案に基づく調査によって収集された個人情報の分析と開示請求等への対応について御質問いただきました。
 本法案に基づき収集した土地等の利用者等に関する情報については、内閣府に新設する部局が管理し、本法案の目的を達成するために必要な分析を行います。
 また、調査によって収集した個人情報について、本人から、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づき、開示、訂正又は削除の請求がなされた場合には、同法の関連規定に定めるところにより開示等が行われることとなります。
 次に、勧告及び命令の内容について御質問をいただきました。
 本法案に基づく勧告及び命令は、土地等が重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止するために特定の行為の中止等の対応を取ることを求めるものであります。
 機能阻害行為は、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な類型が想定されることから、勧告及び命令の内容について一概にお答えすることは困難ですが、例えば、一般的な日常生活や事業活動の場として土地等を平穏に利用すること自体は、勧告及び命令の対象にならないと考えております。
 次に、重要施設の機能を阻害する行為について御質問をいただきました。
 重要施設に対する機能阻害行為については、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定されるため、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難ですが、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置が該当し得るものと考えております。
 御指摘のあった注視区域内にある土地等において単に戦闘機やヘリコプターを撮影する行為であれば、機能阻害行為として本法案に基づく勧告、命令の対象にはならないと考えております。
 次に、勧告、命令の対象者に対する救済の仕組みについて御質問いただきました。
 本法案では、重要施設等の機能を阻害する行為としての土地等の利用に対し、中止等の勧告を行った上で、勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかった場合に命令を行うこととしております。この勧告には、罰則は設けておりません。また、行政処分にも該当しないことから、不服申立て等の対象にはなりません。
 一方で、命令については、不利益処分に当たることから、本法案に特別の規定は置いておりませんが、一般法である行政手続法に基づき、命令の相手方となる者に対してあらかじめ弁明の機会を付与した上で、その命令を行うことの当否を判断することとなります。その上で、命令に不服がある場合は、行政不服審査法に基づく不服申立てや行政事件訴訟法に基づく抗告訴訟を行うことが可能であり、それらの枠組みによって対応することとなります。
 次に、損失補償、財産権との関係等について御質問をいただきました。
 本法案では、勧告や命令を受けた者が勧告等に係る措置をとったことにより損失を受けた場合に、通常生ずべき損失を補償することとしております。
 この損失補償については、内閣総理大臣と損失を受けた者が協議を行い、また、協議が成立しない場合には、第三者機関である収用委員会による裁決を申請することも可能としております。このため、一方的に国が補償の額を決めるとの御指摘は当たらないものと考えております。そして、本法案に基づく損失補償は、憲法第二十九条第三項とも適合するものであると考えております。
 次に、事前届出についての御質問をいただきました。
 安全保障の観点から特にリスクが高い特別注視区域にある土地等については、機能阻害行為の兆候を可能な限り早い段階で把握し、適切に対応する必要性が大きいものと考えます。
 このため、特別注視区域では、取引の事前届出を通じて土地等の所有状況を逐次把握し、機能阻害行為の着手、実行が可能となる契約締結時から、空白期間を設けることなく、本法案に基づく措置を適時適切に講じられるようにする必要があると考えます。
 我が国の安全保障のための措置は、国が責任を持って判断をし、実施することが必要であることから、この事前届出の受理を含め、本法案に基づく措置は内閣総理大臣が行うこととしております。
 特別注視区域の指定については、重要施設又は国境離島等のうち、その機能が特に重要なもの又は阻害することが容易であるものであって、他の重要施設や国境離島等による機能の代替が困難であるものについて行うこととしております。その指定に当たり、期間を定めることは想定しておりません。
 事前届出の対象となる土地等の規模については、第十三条第一項において、二百平方メートルを下回らない範囲で政令で定める規模以上のものとしております。政令で定める具体的な面積要件については、今後検討し、法施行までに決定する予定であります。
 事前届出を通じて必要な情報を確実に収集するため、届出義務に違反した場合には懲役刑又は罰金刑を科すこととしております。この罰則は、先ほどお答えした意義を有する事前届出の実効性を担保するために必要不可欠なものであると考えます。
 最後に、生活関連施設の対象となる施設の類型について御質問をいただきました。
 第二条第二項第三号に規定する生活関連施設については、具体的な施設の類型を政令で定めることとしております。
 現時点においては、原子力関係施設及び自衛隊が共用する空港を政令で指定することを想定しており、御指摘のあった鉄道施設、ダムなどの水源地、原子力発電所以外の発電所、通信施設、水道施設、ガス施設を指定することは想定しておりません。
 政令で指定する施設の類型については、安全保障をめぐる内外情勢等に応じ、引き続き検討してまいります。
 以上です。(拍手)
   〔国務大臣岸信夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X02820210604_021

発言者: 小此木八郎

speaker_id: 23042

日付: 2021-06-04

院: 参議院

会議名: 本会議