倉持仁の発言 (予算委員会公聴会)
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○公述人(倉持仁君) 今日はよろしくお願いいたします。
私、インターパーク倉持呼吸器内科の院長をしています倉持仁といいます。臨床の立場から今日はお話をさせていただきます。
大きく分けまして、コロナの臨床の実際、それから我々の取組、そしてコロナの問題点とそれに対する提案という形でお話を進めさせていただきます。
私は四十現在八歳で、栃木県宇都宮市生まれで、東京医科歯科大学を卒業後、都内のいろいろな病院で勤務をして、そして二〇一五年から発熱外来があるクリニックをつくって、呼吸器内科あるいはアレルギーの専門医として診療していました。
私が医科歯科大学の元学長である吉澤靖之先生に師事していたんですが、吉澤先生からは、患者さんのためにとにかく命を懸けろと、そして必ず科学的な視点でやりなさいと、それを踏まえた上で今おまえができることを精いっぱいのことをしろと、それを二十年にわたり学んできましたので、私はコロナに関しても同じスタンスで臨んでいます。
我々の取組なんですが、我々は昨年三月から約一万五千人のコロナ患者さんを診察をし、発熱患者さんですね、そして、うち四百名、約二・七%のコロナの患者さんを診断してきました。その中でPCR検査を一万一千件ほど行い、その中で一つ気付いた大きな点が、検査単体では偽陽性、偽陰性の問題が出てくるんですが、これ臨床のデータや複数回検査をすることで、少なくとも偽陽性はゼロです。これは科学的にしっかりと認識をしていただきたい点だと思います。
それから、国立遺伝学研究所の川上先生、井ノ上先生らとタッグを組んで、変異株の検索というのを五例、ここ最近陽性になった、三月六日からの五例に対して変異株を調べたところ、残念ながら、その三例にはE484Kという単独の変異が見られ、さらに、その二つ、三つの変異が見られた株のうち一つはポイントミューテーションといって、一か所また変異が起こっているような状況で、そういった変異が、栃木県でさえ、それも五例調べたうちの三例で出ているというですね。
そして、こういった変異の問題というのは、まず変異株の遺伝子のデータが膨大に集まらないと分かりません。そして、大事なことは、そこと臨床のデータとリンクをして初めて、どういう、感染性が強いのか、ウイルスを出し続けるのか、そういったこと分からないんですが、残念ながらそういう体制が今ないんですね。我々臨床の現場からすると、それが非常にもどかしく、一年前から思っていました。
また、我々の取組として、宇都宮で千世帯の無作為の抗体検査というのを行って、その結果では、実際の感染者よりも二百七十七倍の感染者が、既感染者がいたと。これは、実際、我々のように無作為抽出で行った検査というのは日本ではどこでも行われてほとんどないですから、非常に意味のあるデータです。
また、我々の職員五十三名いるんですけれども、毎日プール法で全職員ですね、出てくる者に関してはプール法でPCR検査を行い、全例で、昨年九月からやっているんですが、三百五十六件全員陰性だったんですけれども、一人当たりのコストは五千五百円、ああ、一検体ですね、五人でやりますから千百円で検査ができています。
それから、自院でも、PCR検査の体制を確立したり、あるいは二月には第三波のときの患者さん、自分の患者さん、肺炎でも入院させられない人がたくさん出てしまったということを反省して、国の補助も得られたので、コロナ病床を十床ほどつくって二月から稼働しています。
実際にクリニックでは、とにかく飛沫、エアロゾル、接触と、その感染をしないために、つい立ての設置をしたり、濃厚接触者等の診察は車中で行い、そして通常の風邪の患者さんの場合は発熱外来で行い、そして通常の診療でさえこういうつい立てを設置して、換気扇を増強して、感染をしないような形で診療に当たっています。
また、その発熱外来などは殺菌灯などで部屋ごと消毒をしたりとかそういった取組をしたり、あるいは採血やCTを撮るときなども、患者さんにビニール袋をかぶっていただいて、酸素を流しながら、その後工業用の換気扇で短時間換気することで十分おきにCTで撮影するような体制が取れています。
また、入院病棟でも、院内感染、これ都内の一月の死亡者の約八割が、経路不明者を除いた八割が病院や福祉施設で感染してしまった方が亡くなっているんですね。ですから、院内感染を防ぐという、徹底的に防ぐということも必要でして、我々は、お部屋の外から点滴をしたり、看護婦さんが安全に院内感染を起こさないような病院づくりというのを今回行ってきました。
また、今までのそういった臨床データを基に論文化を行ったり、結局日本のデータというのはほとんどないんですね。ですから、対策ができないのはそこに大きな原因がありますので、そういったことにも取り組んでおります。
また、第二波の発熱外来を受診した六百四名のうち三百七十名にPCRをやった結果なんですけれども、そのときには、PCR検査が有意に陽性になった方というのは、味覚障害があった方、あるいは、酒場に行ったか、頭痛があったか、たんがあったか、その三つのうち二つある方が陽性率が高かったんですね。つまり、熱があるから検査をするというのは明らかに間違った戦略なんですね。ですから、そういう間違った、これ、インフルエンザは熱があるから検査するんです。でも、コロナはそうじゃないんですね。ですから、こういう正しい日本のデータというのをきちんと認識をして行っていく必要がある。
あるいは、孤立や孤独を感じる方で、特に男性ではいろいろな炎症性の、炎症が起きやすいというようなデータも取られていますので、そういったことも念頭に対策を打っていく必要があると思います。
そして、コロナの問題でまず基本的に押さえなければいけないのが、三月十五日の段階で四十四・六万人の方が感染をしているんですが、これは日本人の〇・三五%にすぎません。これ、残念ながらこれが原因で、我々のように医療現場にいる人たちは毎日一年前からコロナ、コロナと騒いで、騒いでいると言ったら不適切かもしれませんが、まあ悩まされている一方、それに関係ない方というのは、周りに千人に三人とかですから、誰もコロナなんかいないんですね。そうすると、何でコロナのために我々はこんなに経済的な損失を生まなきゃいけないのかという声が聞こえてくるのは当たり前で、それを埋めるのがやはり政治が行うべきことだと思いますし、それを是非政治には行っていただきたいと。そして、徹底的な感染対策を行った上でやはり経済を動かすことが必要だと思います。
コロナの対策で大事なことというのは、生活様式というのが国によって、欧米の国と一方アラブ、アジアの国では感染者数が桁が違います。それはなぜかというと、マスク、手洗い、うがいの文化であったり、土足の文化であったり、そういったもの、あるいはキスをする、ハグをするとかそういった生活様式というのが大きく関わっていることが分かってきました。ですから、今までの日本というのはこの生活様式に対するお願いにこの一年終始をしてきて、ですから自粛しかできなかったんですね。ここをもういいかげんに変えて、必要なところは法整備、科学的な知見で法整備をしていくということが大事だと思います。
それから、何で日本でPCR検査の体制が拡充されないのかということを考えたときに、これ、逆に考えると諸外国では検査体制を拡充するしかなかったんですね。なぜかといえば、多くの国が皆保険制度がありません。つまり、簡単に外来アクセスができないんですね。入院に至ってはもっとできません。アメリカなどで、コロナで入院して保険に入っていなければ一億円以上のお金が実際に掛かります。ですので、日本では、そういったことにあぐらをかいてといったらいいのかは別として、PCR検査体制が、拡充が進んでこなかった。それから、外来の診療体制も、昨年の秋と今年の秋を比べると、発熱の患者さんを診なくてもいいですよというようなメッセージが流れてしまったがために、実際には今年、発熱の患者さんを診療した医療機関というのは昨年の二割しかありませんでした。ですから、大変なところは大変な思いをし、そうじゃないところはおびえながら様子を見ているというような状況が続いてしまいました。
また、第三波では、残念ながら患者さんの数が増え過ぎたことで、先ほど申し上げましたが、私の患者さんでも、肺炎でもうあした死ぬかもしれないのに入院させることができなかったと。これは医者として絶対許すべきことではないですし、つまり、皆保険制度は、私医者になって二十何年ですがこんなことはありませんでした。こんな状況になったことに対して正直怒りを覚えますし、それから、あともう一つ怖いなと思うのは、指定感染症という法律にもかかわらず、三万五千人以上の人が自宅待機を余儀なくされて、それが今余り問題にされていないのかなというふうに、一般の開業医の立場からするとですね。ですから、そういったことを大いに反省をして、こういった、そこに治療薬であったりワクチンというものが、この六本が必要だということになってきます。
飛沫、接触感染対策としては飛沫、接触、エアロゾルの対策ということが大事になってきますので、短期間の接触の場合にはマスク、あるいはソーシャルディスタンスを確保するとか、つい立ての設置とか、換気を義務付けるとかですね。そして、場合によって、抗原キットが簡易的に使えるのならば、そういったものを一般の市民の方々に使っていただいて、スクリーニング的に自分でやっていただくと。そういったことで、もしそれでイベントに参加しようとするときは自分でそれをして、もし陽性と出れば医療機関に相談していただければいいと思いますし、また、長期間の接触、福祉施設や入院の施設では、先ほど、八割が死亡している方なんですね。ですから、そういった方には、やはり入所者には二回以上の検査ですとか、スタッフの方にも定期的な検査を徹底的にしていただく必要があると思います。
生活様式に対する法整備ですけれども、例えばマスクの着用義務も、宇都宮の抗体検査の結果ですと、約二%の方はコロナ後もマスクは着けないという方がいらっしゃいます。そういった人たちのために感染が拡大してしまってもいけないですので、あるいはオリンピックをやるならばなおさら、海外の方は法律がなければルールは守りません、マスク着けてくださいと言ってお願いして聞いてくれるのは日本人だけかもしれません。ですから、そういったことを義務付けることが必要ですし、お店のつい立ての設置義務や、それから今、建築基準法で換気の基準というのが決められていますが、これはシックハウス症候群に対する基準なんですね。結核なんかでは一時間当たりに何回、部屋、十五回ですね、部屋の換気を入れ替えれば感染しないということ分かっていますから、まずはそういう基準を設けて、今までのクラスター対策班のデータを再分析して、そういった飲食店が具体的に見て守れるような対策というのを国が指示をしていただけたらというふうに思います。
また、コロナにかかった方や疑いの方がどのぐらい休まなきゃいけないとか、どのぐらいから休んでいいとか、何度もPCR検査を要求されて陰性にならないと職場に行けないとか、そういった方の問題もありますので、その辺のところもしっかりとルール決めが必要だと思います。
PCRの検査体制の拡充に関しても、医療現場においても、先ほど言いましたが、熱が一日だけだったら検査まず受けられません、これ地域差ありますが。嗅覚障害だけだと断られるところがたくさんあります。そういった状況が今あるので、医療だけでもPCR検査の体制というのは少ないですから、是非、行政検査としてもそうですし、自費の検査もそうですし、自治体で行うべき検査なども含めて、大事なことは一定数の検査数をきちんと保つことで感染者が正しく増えているのか減っているのか分かるということです。今、感染者は減っているのか増えているのかということで議論になっていますが、検査数が減っていればこれは正しく誰にも分からないんですね。いろんな場面でスクリーニング的な検査を取り入れながら、うまく感染コントロールをしていくことが必要だと思います。
あと、無症状感染者という言葉がありますが、これも無自覚感染者なんですね。確かにコロナにかかっても軽い方はいますが、ほとんどの方はその検査をする段階で無症状と言っているだけで、その後、コロナで、解除後に我々CTなんか撮ると肺炎の方はたくさんいます。あるいは、気付いていなくて、お医者さんも分かっていなくてということで、これはコロナの臨床の最初は外来、その後、保健所管轄、そのまま場合によっては自宅待機とか、重症化すれば病院にやっと入院できるという、こう分断された診療体制というような問題がありますので、そういった無自覚感染者をいかに適切に検査をして保護するかということが大事だと思います。
それから、当初から、医療現場から去年の今頃、アルコールがなかったんですね。手の消毒ができませんでした。我々、患者さんにどうやって診ていけばいいんだと。それから、マスクの問題もそうです。ゴムの手袋もなくなったり、十倍ぐらいに価格が今上がっています。ですから、そういったことも、もうこれワクチンの問題も同じだと思うんですね。自国で生産できないがためにどうしても不利な交渉をされざるを得ないような状況はやはり改善していくべきだと思います。
また、先ほどの変異種の問題に戻りますが、我々のクリニックでもその変異株の問題、実は去年から遺伝研究所というところと一緒に共同研究として四百例の検体をもう送っているんですね。でも、我々も、あるいは遺伝研の先生方も自分の自腹の手持ちのお金で研究しているような状況なので、残念ながらなかなかこれ進みません、一日に二人ずつぐらいしかできていないので。一方、その五例しか調べていないのに三例日本独自の変異株が、かもしれないものが出ているわけですから、是非そういったところに研究費を出していただけますと、我々もせっかくの機器を無駄にせずできると思います。
あるいは、海外の状況なども、感染コントロールをうまくしている海外の状況などの情報ですね、これは治療薬などにも生きてくると思いますので、そういったまだまだやることというのはたくさん我々から見るとあると思いますので、どうぞ御参考にされていただけると有り難いと思います。
どうもありがとうございました。