青木愛の発言 (本会議)

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○青木愛君 立憲民主党の青木愛です。立憲民主・社民の会派を代表して質問いたします。
 岸田総理は、今年、自民党総裁選に立候補の意思表明をされて以降、一旦発言された言葉やスローガンが、その後、いつの間にか変わっています。
 森友、加計、桜を見る会の再調査は消え、分配なくして成長なしは、成長と分配の好循環に変わりました。令和版所得倍増計画も金融所得課税もあっという間に消えました。新自由主義からの転換を唱えながら、新自由主義の権化と言われる竹中平蔵氏を首相直属委員会のメンバーに任命しました。
 発した言葉がすぐに二転三転されては、国民に混乱をもたらします。一億二千万人の命と暮らしを預かる総理がそうであっては困ります。総理は、御自身の理念やビジョンに自信をお持ちになられてないのか、なぜ人から言われた言葉に振り回されてしまうのでしょうか。この間の総理の発言の変化についてお伺いいたします。
 国の政治が果たす役割は、国民の命と健康、仕事と暮らしを守ることです。そのためには、国民が直面している課題を先送りすることなく、その解決に全力を傾け、国民が政治に信頼を寄せながら、安心と希望を持てる社会を築くことだと考えます。
 この考えに基づき、順次質問をいたします。
 子育て世帯に対する給付についても次々に方針が変化しました。全員が対象者だったのが、途中で所得制限が入りました。その後、現金とクーポンに分ける方法が提案され、事務経費が余分に掛かることに批判が殺到すると、今度は現金でもクーポンでもよいとの方針に変えました。
 総理は、十万円給付をどのように位置付けていますか。中には、選挙後のばらまきではないかとの声もあります。目的が子育て支援であるならば、このような一時的な給付金ではなく、また世帯主の年収九百六十万円の線引きによる不公平感を助長する方法でもなく、制度を改正し、全ての子供たちが継続的な支援を受けられるようにすべきです。総理御自身の見解を伺います。
 自公政権の新型コロナウイルス感染症対策は、当初から後手後手の対応でした。その結果、医療体制は崩壊の危機に瀕し、経済にも大きな悪影響を及ぼしています。また、水際対策は極めて不十分なため、変異株の流入を簡単に許し、感染の拡大に歯止めを掛けることができませんでした。
 今後の第六波に備えるためには、これまでの対策を徹底的に検証し、的確に対処していく必要があります。
 私たちは、当初から、感染を封じ込めるためにはエビデンスに基づく感染対策が重要であり、検査体制の拡充、医療体制の強化、ワクチン接種の推進と治療薬の開発、経済的な損失を被った方々への十分な支援などを求めてきました。しかし、政府の対応は後手後手で支援も不十分だったため、感染爆発が繰り返され、経済的にも大きな被害を受けました。
 総理は、これまでの対策で何が一番問題だったのか、特に、検査体制の拡充が遅れたのはなぜか、なぜ総理が指示しても現場が動かなかったのか、今回、岸田総理がワクチン接種を前倒しすると発言されても、厚生労働大臣からは消極的な発言がなされています。それら根本的な原因はどこにあるとお考えなのか、岸田総理の御答弁を求めます。
 コロナ感染第五波のピーク時には、東京を始めとする首都圏や大阪府において、感染しても病院に入院することができず、自宅や施設に放置され、亡くなられた方がおられました。医療崩壊です。
 この根本的な原因は、保健医療機関における慢性的な人員不足を長年にわたり放置し、地域の実情を顧みることなく、公立・公的医療機関の再編統合を促し、公衆衛生を担う保健所を削減し続けてきたこれまでの政府の政策が地域医療を破壊させ、公衆衛生体制の弱体化を招いたところにあります。
 政府は、これまでの方針の間違いを認め、方針転換を図るべきだと考えますが、総理の御見解を求めます。
 次に、自然災害から国民の命と暮らしをいかに守るかについてお聞きします。
 近年、気候変動により、自然災害はますます激甚化、頻発化し、これまで経験しなかった地域においても災害が発生しています。
 二〇一九年九月には台風十五号が千葉県を直撃し、房総半島全域に強風による被害をもたらしました。また、同年十月には台風十九号が静岡県や関東地方、甲信越地方、東北地方などで記録的な大雨を降らし、千曲川や阿武隈川などで堤防が決壊し、広範囲が水没し、東日本全域に甚大な被害をもたらしました。
 東京においても、荒川が氾濫危険水位七・七〇メートルに迫る七・一七メートルを記録し、決壊寸前の危険状態となりました。荒川と江戸川という大きな川が流れ込む東京東部の海抜ゼロメートル地帯は、二つの川の同時氾濫と高潮により最大二百五十万人の浸水被害が発生すると想定されています。洪水が地下鉄に流入すれば被害は更に拡大し、首都機能は完全に麻痺します。
   〔副議長退席、議長着席〕
 荒川上流に計画中の第二、第三、第四の調節池整備の進捗状況と、また、堤防が低くなっている京成本線の鉄橋が架かる箇所のかさ上げ工事の見通しについて、及び、更なる今後の対策について、国土交通大臣にお聞きします。
 一般に、被災時には主に陸路を通しての救援を考えがちですが、日本は海に囲まれた島国ですから、船舶による海路をもっと活用すべきだと考えます。船舶を活用すれば、救援物資の輸送や人の移動、医療の提供やホテルシップも可能です。
 被災時における船舶の積極的な活用について、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、COP26についてお聞きします。
 十一月上旬に開催された気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、COP26では、産業革命前の地球平均気温から上昇を一・五度に抑える目標と石炭火力の段階的削減を明記した成果文書が採択されました。
 COP26の期間中に三つの重要な合意がありました。一つ目は、英仏など四十六か国・地域が石炭火力発電の廃止について、二つ目は、米国など二十か国が国外での火力発電などの化石燃料事業への公的融資を二〇二二年末までに終了することについて、三つ目は、二十四か国が世界全体で二〇四〇年までのガソリン車の新車販売停止について、これらの重要な合意を各国・地域間で行いました。
 しかし、日本はいずれの合意にも参加しませんでした。その理由を総理にお伺いいたします。
 日本は、一九七〇年代のオイルショックに遭遇した際、国民や産業界はエネルギーの節約を余儀なくされましたが、それを契機にして世界一の省エネ技術を開発しました。今回も、カーボンニュートラルから逃げるのではなく、新技術開発に真正面から積極的に取り組むべきだと考えます。
 COP26の会場では、正式なオブザーバーとして参加した日本の高校生や大学生が日本の石炭火力発電の利用に異議を唱える手紙を総理に手渡そうと試みました。しかし、総理は、彼らの懸命な呼びかけに応えず、足を止められませんでした。その後、政府職員が手紙を受け取り、総理に渡すと約束したと聞いています。
 気候変動により深刻な影響を受けるのは今の若者たちです。政治に具体的な行動を求める若者たちの手紙を、その後、読まれましたでしょうか。何が書いてありましたか。また、若者たちの要望にどう応えていくのでしょうか。総理は、御自身の特技は人の話を聞くことだとおっしゃっていましたが、なぜそのときは受け取られなかったのでしょうか。以上、お答えをお願いいたします。
 カーボンニュートラルに向けては、創エネと省エネが鍵となります。ここでは住宅についてお伺いします。
 住宅は外壁、屋根、最下階の床、窓、扉などから構成されていますが、中でも、窓などの開口部からの熱の出入りは省エネの観点から非常に重要です。一般の住宅では、冬の暖房時には約六割が、夏の冷房時には約七割が、開口部を通して熱が出入りをします。
 日本では、ほとんどの住宅の開口部に熱伝導率が高い、すなわち省エネ性の悪いアルミサッシを使用しています。ヨーロッパではほとんど使用されておらず、アメリカでは使用を禁止している州さえあります。断熱性の高い木製サッシと複層ガラスを採用すべきと考えています。
 国は、住宅の大幅な省エネを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロを目指したネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、通称ZEHを進めています。
 カリフォルニア州は、二〇二〇年から新築の住宅への太陽光パネルの設置を義務付けることとしています。それに対して、日本では、新築戸建て住宅の太陽光発電設備目標は二〇三〇年で六割です。また、既存住宅への適用は先送りにしています。
 カーボンニュートラルを達成するためには、新規及び既存住宅のZEH目標を高めるべきです。そのために、中小の工務店や住宅購買者、つまり国民への支援を大幅に拡充すべきです。
 省エネ性能の高い木製サッシと複層ガラスの普及促進及び太陽光発電設備の設置目標の引上げと支援について、総理にお聞きします。
 次に、未来を切り開くのは人であり、先端科学技術であるとの認識に基づいて質問をいたします。
 総理は所信表明演説で、人がしっかりと評価され報われる、人に温かい資本主義、人への分配は、コストではなく、未来への投資、付加価値を創出し、経済的豊かさや力強さをもたらす原動力は人です、国の礎は人ですと語られました。
 人に焦点を当て、人を重視することには賛成です。しかし、小泉内閣、安倍内閣では全く逆の政策、すなわち新自由主義を掲げ、格差を拡大する政策を推進してきました。
 例えば、労働環境では、あらゆる分野で非正規雇用が可能となるような労働法改正などにより、非正規雇用は今や雇用全体の約四割を占めるようになりました。正社員と比較して、賃金が低く、雇用が不安定で、キャリア形成の機会が少ない状況に置かれています。企業の都合で雇用調整として使われてきました。また、福祉などの施設の経営者にとっても、派遣業者に高い手数料を取られ、経営を圧迫しているとの声も聞いています。
 厳しい生活環境に置かれている非正規雇用の現状を、総理は温かい資本主義と見るのでしょうか。また、このような雇用形態は人への投資でしょうか。国の礎は人ですと明言するのであれば、人を犠牲にした企業優先の政策を転換し、誰もが生きがいを持って働く労働環境を整備すべきです。総理の見解をお伺いいたします。
 日本は、GDPの約六割が個人消費です。国民の可処分所得の拡大が内需拡大をもたらし、景気を回復させ、経済の好循環が稼働します。非正規雇用に追い込まれた方々の生活が安定すれば、そのことは経済の好循環にも大きく貢献します。総理の見解をお聞きします。
 コロナ感染が蔓延し、外出や営業の自粛が要請されても、社会を維持するためにエッセンシャルワーカーの存在が必要不可欠であることが浮き彫りになりました。
 中でも、感染者の診断、治療に当たる医師や看護師などの医療従事者、患者の移送に当たる救急救命士、保育士や介護士、公共交通の従事者や物流を維持する人々などは、人の命と暮らしに直結をしているため、自らの危険を顧みず働いてくださいました。本人のみならず家族への感染や、子供がいじめに遭わないか、ストレスと不安を抱き、神経をすり減らしながらの仕事でした。
 総理は、現実の社会において人々の社会生活を真に支えているこのような従事者の社会貢献の重要性を改めて認識し、大胆な待遇改善、そして、今後の人員確保に向けて抜本的な対策を講じるべきだと考えます。岸田総理の御見解をお伺いいたします。
 東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故から十年が経過しましたが、避難者の数はいまだ正確に調査されておらず、三万九千人を超える人々が人権を侵害された状態にあります。
 一九九八年、国連人権委員会において採択された国内避難民に関する指導原則では、住まいから移動することを余儀なくされた人たちについて、人権を保障することが国の義務であることを定めています。
 二〇一八年から、国内避難民の人権に関する国連特別報告者であるセシリア・ヒメネス・ダマリー氏は、日本における国内避難民の人権状況を調査するため、日本政府に訪日調査の要請を行っています。しかし、日本政府からは何の回答もなく、その後、二〇二〇年一月と今年六月と、何回も督促していますが、一向に進展が見られません。
 総理は、内閣の基本方針を基に、先日の復興推進会議において、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意で被災者に寄り添い、被災地の復興に向けて全力を尽くすよう指示されたと聞きました。また、政府は、二〇一一年に国連人権理事会で特別報告者の訪問を原則、常時受け入れると宣言しています。
 言葉どおりであれば、国際人権規約に従って国内避難者が置かれた状況をきちんと調査し、世界に開かれた姿勢を示すためにも、また、ダマリー氏の残された任期があと数か月と迫っており、時間切れを狙っているとの誤解を払拭するためにも、ダマリー氏訪日受入れを関係省庁に指示すべきだと考えます。
 今なお避難生活を強いられている方々に対する総理の誠意ある答弁を求めます。
 社会を飛躍的に発展する契機を提供するのは技術革新であり、それを生み出すのは人間です。
 例えば、山中伸弥教授はiPS細胞の作製に成功し、再生医療や創薬への医療応用の面で画期的な道を開かれました。この度ノーベル物理学賞を受賞した眞鍋淑郎さんは、五十年以上も前に独自の気候モデルを編み出し、二酸化炭素が増えれば地球の気温が上昇し、地球温暖化につながることを究明しました。いずれも人類への大きな貢献です。
 近年、日本は優秀な学術論文の数が減少しており、危機感を抱いた政府は十兆円規模の大学ファンドの創設を決めました。これに関連して三点伺います。
 第一点は、大学ファンドの運用目標は何%を予定しているか、それは可能であるのか。
 第二点は、科学技術の研究開発費が米国や中国に比べて相当低い予算であること。
 第三点は、研究の成果を早期に求める余り、基礎研究が軽んじられる可能性が大きいという問題についてです。
 基礎研究がおろそかになれば、応用研究も成果も出せなくなると多くの研究者は危惧しています。これらについて、総理の見解をお聞きします。
 地球温暖化現象に見られるように、現在、人類は地球環境から強い制約を受け、これまでの文明の在り方を根本的に変革していかなければなりません。
 総理は、デジタル、人工知能、量子、ライフサイエンス、宇宙、海洋といった世界の未来にとって不可欠な分野における研究開発への投資を後押しすると語られました。
 しかし、最も重視すべき研究テーマが欠落しているように思えます。それは、バイオミメティクスです。日本語で言えば生物模倣技術です。
 生命誕生から四十四億年、その間、生命体は過酷な環境の中で、また厳しい生存競争の中で、巧妙な仕組みや形態を獲得してきました。生物は極めてエネルギー効率が高く、環境への負荷が非常に少ないという特色があります。これからの技術が目指すべき方向です。
 例えば、光るということを比べると、白熱電球は効率が一〇%、蛍光灯は二五%、LEDは三〇から五〇%ですが、蛍は驚きの九〇%です。トンボやハチドリが羽をばたつかせながら空中で静止するホバリングは、人間の技術で実現できていません。
 模倣して成功した例として、野原で衣服などにくっつく植物の実や種をまねてマジックテープが開発されました。オリンピックで記録を出した水泳選手は、サメの皮膚表面の形状をヒントに開発された競泳水着を着ていました。新幹線も、カワセミのくちばしを参考にして、走行時の抵抗の減少やトンネル出口での騒音の解決、消費電力の効率化を図ることができました。植物のウツボカズラが昆虫を滑らして捕食する機能を参考にして、寒冷地の屋根の雪下ろしに役立つ技術が開発されています。例を挙げれば切りがありません。
 注目すべきバイオミメティクスですが、日本は欧米の研究に比べて二周、三周遅れの状況です。岸田総理の御見解をお伺いします。
 最後に、未来を切り開くのは人であり、先端科学技術であることを強調して、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 青木愛

speaker_id: 10067

日付: 2021-12-10

院: 参議院

会議名: 本会議