尾身朝子の発言 (外務委員会)
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○尾身委員 ありがとうございました。
昨年、日本にゆかりのある二人のノーベル賞学者が誕生しました。ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士と、ノーベル化学賞を受賞されたドイツのベンジャミン・リスト博士です。この二人は、日本から見たときに実に対照的な経歴を持っています。
真鍋博士は、東京大学で博士号を取得後、すぐに渡米されて、気象学の先駆的なモデル化を進めるなど、この業績の大部分は米国で行われた研究成果です。
他方、ドイツのベンジャミン・リスト博士は、フランクフルト・アム・マイン大学から化学の博士号を取得後、米国で研究生活を始め、二〇一八年からは北海道大学化学反応創成研究拠点で主任研究者となり、現在は同大学で特任教授を務め、研究を続けています。
真鍋博士は研究環境を求めて世界に羽ばたき、リスト博士は同じく研究環境を求めて日本に来ました。
また、沖縄科学技術大学院大学、OISTのピーター・グルース学長は、ドイツ最大のマックス・プランク研究所の所長を終えた後に、OISTの建学の精神に共鳴し、来日して学長として勤務しています。
私は、日本でも海外でも、場所にかかわらず、日本の研究者が世界のどこかで学び、働き、あるいは起業することにより、価値を創造し、世界のどこかで活躍し続けることが重要であると考えます。そして、彼ら、彼女らが国際機関、二国間、多国間の枠組みの中で日本のプレゼンスを示す、そのグローバルな活動が結果的に日本の国益に寄与することとなります。他方、世界の優秀な研究者が研究環境を求めて来日する。これが世界規模の研究者の交流のあるべき姿ではないでしょうか。
学術と産業の世界では、着実に動き出しています。しかしながら、交流の把握とネットワークづくりが最も遅れているのが政府です。この解決のためには、総理や外務大臣が海外のトップサイエンティストと直接ネットワークを築くことが最も効果的です。
二〇一五年、安倍元総理が訪米されたときに、米国エネルギー庁長官、NIH所長、全米科学協会会長を筆頭に、米国のトップサイエンティストと九十分に及ぶ意見交換の機会を持ちました。これは過去に例を見ない画期的な会合であり、非常に有意義でした。私は、幸運にもこの会合に司会者として参加しておりました。
外務省も、このような機会を積極的につくり出すことで一歩前に進んでいただきたいと思います。自ら有する世界に広がるネットワークの力を使い、科学技術外交を支える基盤をつくること、また、海外で頑張っている日本人の研究者や起業家にエールを送る取組なども新たに実施する価値があるのではないでしょうか。
そこで伺います。
科学技術外交の基盤を強化するため、各国との科学技術ネットワークを構築することが必要です。そのために、トップ外交の機会を捉え、積極的にトップサイエンティストとの交流を促進すべきと考えます。御見解を簡潔にお聞かせください。