吉高まりの発言 (環境委員会)

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○吉高参考人 おはようございます。
 それでは、早速、私から、今回の案件に関して、環境金融の観点からお話しさせていただきます。
 私、金融機関で三十年、そのうち半分以上を環境金融に関わってまいりました。現在、三菱UFJ銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三社兼務しておりまして、上場企業、投資家、お客様、そして地方自治体、地銀、それから中小企業に向けて、海外の動向を踏まえながら、サステーナビリティー、ESG投資のアドバイスをしております。
 本日は「グリーンシフトに必要なマネー」と題した資料を御用意しておりますので、最初のページから御参照ください。
 まず、私、長年、環境金融に関わってまいりましたが、これほど金融機関が環境や社会課題を重視する世の中になるとは思ってもいませんでした。百八十度変わったと言っても過言ではございません。それほどリーマン・ショックが金融システムの歴史において衝撃的だったかと思います。異常気象が世界で頻発し、二〇一〇年以降、ESG投資が劇的に進みました。そして、このコロナ禍では、業績見通しなど財務諸表が出にくかったのもありまして、非財務情報を統合して企業評価をするESG投資が更に進んだと言えます。
 ESGのEの環境は、環境にコストをかけて社会貢献することではありません。環境法を守るのはGのガバナンスです。Eは、環境の将来のリスク、ビジネス機会に対する経営戦略です。そして、Sは、人権、ジェンダーの将来へのビジネス影響やサプライチェーンに関するリスクが含まれます。つまり、投資家は、上場企業だけではなく、その契約関係にある非上場、中小企業も評価するわけです。
 次のページでございますけれども、コロナ禍の金融緩和政策で市場に多くの資金が流れましたが、その際、情報開示が進み透明性が高くESG評価の高い企業の方に、このリスク局面で株式、債券によい結果が得られたというデータも出てまいりました。
 さらに、コロナ禍でグリーン事業に資金使途を限定したグリーンボンドの発行が増えまして、投資家に大変人気を博しております。これは、結局、本業で、資金をグリーンで調達して成長していこうとしていることが分かりますので、投資家にとっては確実に実行ができるメリットがあります。投資家と話しますと、とにかくグリーンは企業の成長性を評価しやすいというふうに言っております。
 資料の三ページ、御覧ください。
 ESG投資の主流は、企業のネガティブ側面を評価するよりも、リスクとビジネス機会を統合評価し、将来性のある企業に投資をするESGインテグレーションが主流です。企業の将来の成長性を重視しています。これがESG投資になります。
 四ページにありますとおり、今、二〇二〇年でESGマネーは三千九百兆円と言われ、その後も非常に伸びております。投資先としては、上場、非上場も含め、将来性を見ると、気候変動など、グリーンの企業が注目されております。しかし、まだ投融資先は足りておりません。資本市場では新たに、グリーンで評価する企業を求めているということでございます。
 資料五ページ、御覧ください。
 先ほども申し上げましたとおり、ESG投資ではサプライチェーンも企業の力として評価します。米国では再エネは安価で、化石燃料のように国際市場での影響が少なく、長期安定的に調達できる地域もありますため、大手IT企業は、リスクヘッジのために再エネ一〇〇%で事業運営し、さらに、リスクを回避するためにサプライチェーンにもそれを求めています。アップルのサプライチェーンにいる日本企業の多くは、今、再エネ一〇〇%で製品を造っているわけです。
 これはITだけではないんですね。私、中小企業さん、地方にお伺いすると、自動車やその他の産業でもこれは始まっております。やはりESG投資家からの影響が増えていると思われます。
 六ページと七ページ、御覧ください。
 気候変動に関しては、投資家のことばかりではないんですね。銀行も含め金融機関にとって異常気象は金融システムを脅かすと認識されており、そのために発足したのが、G20で、金融安定理事会における気候関連財務情報開示タスクフォース、TCFDでございます。要は、世界のどこかで異常気象が起これば、それによって、損害保険というものの莫大な支払いはロンドンのシティーやニューヨークの再保険会社にヒットするわけです。その影響は、ひいては銀行など金融システム全体に影響するということが不安視されているわけです。
 そこで、銀行など金融機関は、自社の投融資ポートフォリオの気候リスクを把握する必要が出てまいりました。もちろん、金融機関ですから、返済や収益を考えれば、ビジネス機会の双方を評価する必要がございます。
 このTCFDによる情報開示はもう既にグローバルスタンダードになっており、我が国の金融庁も、コーポレートガバナンス・コードの改定では、今日から始まりますプライム市場上場企業はTCFDの情報開示、そして、それ以外の企業に対しても気候変動の情報開示を促しております。これはリードタイムを提供しているということだと思いまして、世界中では義務化が進んでいるということは御案内のとおりかと思います。
 資料の八ページでございますけれども、金融機関は、欧米の場合、カーボンプライシングでCO2に対する価格が明確化されまして、投融資へのリスク評価が非常に容易になりました。再エネ価格も化石燃料と競合いたすようになり、グローバルな行動規範のプレッシャーが増加したことで、今大変資金の導入が進んできたことというのはデータでももう分かっております。これがマネーのグリーンシフトです。
 資料の九ページでございますけれども、これが日本の環境資金の全体像を表しております。
 私自身、二十年近く、いかにこの環境資金を企業の技術に展開できるかということをしてきたわけですが、カーボンニュートラルに必要な主な資金源は赤字で示しております。民間からのグリーンプロジェクトの資金源は、株式や債券を買うことというよりかは、どちらかというと出資やローンなどが直接的な資金になります。したがって、公的資金、いろいろな政策と民間資金の循環がグリーンシフトを起こすというふうに考えます。
 次に、十ページでございますけれども、今申し上げた様々の資金でございますが、ここに、日本政府が掲げておりますグリーン成長戦略の産業・技術分野に必要な民間資金というのは、やはり、ローンや出資、非上場向けの投資などが主流かと思われます。では、これらの資金はこれらの今掲げている技術にどのようなフェーズでどのように入っていくのか、そのときの課題を解決することが大変重要かと思っております。
 十一ページを御覧ください。
 現在、我が国のグリーン成長戦略の政策枠組み、資金も大変多く手当てしていただいておりますが、重点技術分野別に工程表をつくっておられます。
 まず、技術開発フェーズから実証フェーズ、ここは、官民パートナーシップで、政府基金や補助金と、あと民間、事業会社の実証の投資などが中心になるかと思います。その後の導入拡大フェーズでは、下にございますような重要政策として、税制やら標準化など、様々な重点政策が立つかと思います。通常はこういったことをすることにより民間投資が参入でき量産化されるということが期待されるわけなので、その次に自立商用フェーズ、こういうふうに考えます。
 しかし、実際は、私自身が、温暖化ガス削減技術、日本の技術を海外に展開しようと思ったときに、それだけでは簡単に民間金融機関が入らないという経験をいたしました。そこで、今回の案件によりまして、公的資金によるリスクマネーを供給して民間投資を誘発することは大変有効だと考えております。
 次のページで、その理由について述べたいと思います。
 このページには、気候変動対応ビジネスの事業タイプを独立プロジェクト型と企業の設備投資型に分けて、そして各種のファイナンスの手法を示しております。リスクの度合いも違いますし、様々な手法が違います。
 これらのファイナンス手法の要件の主なものを幾つかここに挙げております。四つほど挙げておりますけれども、この中で、私自身がこれまでの様々な気候ファイナンスをする際に、最も金融機関の高いリスクが技術でございます。つまり、金融機関はなかなか新たな技術に対してリスク評価をする経験がないということです。実績が少なければハイリスクとなりますため、多少の政策措置はあっても、他の収益が高そうなビジネスがあれば、比較して、どうしてもそちらに行ってしまう。つまり、多少実証したぐらいでは民間金融機関はリスクを評価できず、簡単に資金が動かないということがございます。
 十三ページを御覧ください。
 この図は、ベンチャー企業のファイナンスのステージを表しているものです。通常、何かのビジネスを始めると。創業当時は、補助金やエンジェル投資家などのスイートマネーと言われるものがございます。そして、期待に沿ってある程度資金はできるんですけれども、今度、また、上場間際でも期待感が高まるので資金も集まります。ただ、問題は、この中間で本当に採算性が取れるのか、社会に実装できるのかという、その中間、これをデスバレー、死の谷と呼ぶんですけれども、ここで非常に資金調達に苦しい時期があります。ここを助けるファンドというのは通常たくさんあるんですけれども、グリーンではほとんどございません。
 私自身の経験から、日本の温暖化ガス削減技術を、非常に高い技術ですけれども、例えば途上国で展開しようと思っても、なかなか民間資金はついてこないんですね。やはり、金融機関にとって、日本にとっては当たり前でも海外にとっては当たり前じゃない技術は地元の金融機関は評価できないのでなかなかファイナンスを出してこない、こういった評価を共につくり上げるメカニズムというのは必要だと私は感じておりました。
 すなわち、今、日本で新しいイノベーションの技術を入れるためにはまさにこのメカニズムが必要だと思っています。これは本当に日本国内で言えることで、やはり、グリーンイノベーション戦略の過程で、導入拡大フェーズで、民間金融機関に新技術のリスク評価のこういった実績を共有するメカニズム、これがデスバレーを乗り越えるのに大変有効かと思っております。
 その温暖化ガス削減技術の展開を進めるために、十四ページですけれども、私自身もずっとファイナンスメカニズムを本当に考えてまいりまして、これは日本国内用にモディファイしたものなんですけれども、私自身が長年気候変動ファイナンスを金融機関の中でやってまいりまして、メガバンクでさえ、最初は海外で再エネにファイナンスを拡大するのに十年近くかかっています、大変時間がかかります。新たな技術に民間資金の導入拡大を助ける、評価実績をとにかく共有して、デスバレーを官民で乗り切るパートナーシップが必要かと考えます。
 民間の金融機関は将来を見て動きます。将来のグリーンシフトに向け、金融機関がリスクを分散しながら、新たなグリーン技術投融資への経験や評価の知見の蓄積をいたしまして、同時に世界の投資家へのメッセージにもなるかと思います。そして、これによってリスクマネーの関心も呼ぶことになると考えられます。
 最後に、参考資料として、当社がSDGsで成長する産業をちょっと分類して予想しているんですけれども、今の考え方は高成長を見込める産業創出にも非常に適応できるかと考えております。
 以上になります。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 吉高まり

speaker_id: 14912

日付: 2022-04-01

院: 衆議院

会議名: 環境委員会