田辺新一の発言 (経済産業委員会)

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○田辺参考人 おはようございます。
 本日は、参考人にお呼びいただきまして、大変光栄に存じます。早稲田大学建築学科教授で日本建築学会の会長を今拝命しております田辺と申します。第六次エネルギー基本計画の検討を行った総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員をしておりました。また、同省エネ小委員会の委員長などを務めております。
 本日は、お手元の骨子に従って、意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、省エネ法の歴史と現在を振り返ってみたいと思います。
 二度のオイルショックを契機に、一九七九年に省エネ法は制定をされました。正式名称は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律です。そのため、燃料、燃料起源の熱、電気の三つをエネルギーとして、その合理的な使用を求めています。年度のエネルギー使用量が原油換算で千五百キロリットル以上の事業者は、エネルギーの使用状況等を定期報告します。
 年間千五百キロリットルといっても分かりにくいと思うんですけれども、オフィスビルであれば三万平米ぐらい、コンビニですと三十から四十店舗ぐらい、それからホテルであれば客室が三百から四百規模ぐらいが目安でございます。対象事業者は、全国で約一万二千事業者になります。
 省エネ措置の取組状況、エネルギー消費原単位の推移、ベンチマーク指標の状況を報告しますけれども、取組が著しく不十分であれば、国による指導や立入検査、指示、公表、命令、罰則が科されます。
 ベンチマーク制度なんですけれども、産業分野だけではなくて、近年、コンビニ、ホテル、百貨店、食品スーパー、ショッピングセンター、貸し事務所、大学、パチンコホール、国家公務などへ拡大をしています。産業、業務部門の七割を現在カバーしております。
 五年間平均原単位を年一%低減する努力目標とベンチマーク指標で、事業者のクラス分け、いわゆるSABC評価が行われます。
 また、自動車、家電製品などの特定エネルギー消費機器などの製造事業者に対して、機器のエネルギー消費効率の目安、目標を、達成を求めるのがトップランナー制度でございます。効率向上が不十分な場合には勧告などが行われます。窓などの建材も対象となっております。
 加えて、電力、都市ガス、LPガスなどの小売事業者を対象に、一般消費者向けの省エネ情報提供やサービスの充実度を評価する省エネコミュニケーション・ランキング制度が二〇二二年度から開始されております。
 省エネ法は、我が国の省エネルギーに大きく貢献をしてきました。二〇一五年に、住宅、建築物に関しては建築物省エネ法が分離されておりますけれども、余談ですけれども、昨年開催されました、国土交通省、経済産業省、環境省の、脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会の座長を務めておりました。
 二番目の項目です。省エネ法の大転換が必要となっております。
 これは、燃料、燃料起源の熱、電気の三つのエネルギーに該当しない水素ですとか、アンモニアですとか、バイオマス燃料、地熱発電、太陽熱、風力発電、太陽光発電、廃棄物発電などの非化石エネルギーは、実は対象となっていないんです。カーボンニュートラルを実現するためには、非化石エネルギーの割合を増していく必要があります。しかし、非化石エネルギーだからといって無駄に使用していいというわけではありません。徹底的な省エネが重要です。
 第六次エネルギー基本計画に示された二〇三〇年度の、二〇一三年度からの省エネ量は、六千二百四十万キロリットルです。これは、今、日本の家庭で使われているエネルギーを全てゼロにしても不足します。家庭のエネルギーの消費の一・三倍に相当します。
 我が国の二〇一九年度のエネルギー自給率は一二・一%で、ほかの国と比較しても低い状況であります。
 ところで、非化石エネルギーといいますけれども、どういうものかというと、再生可能エネルギー、原子力、水素、アンモニアなどを示しております。非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直す必要があるというふうに考えています。
 水素、アンモニアについては、将来は再生可能エネルギーから製造されるようになるべきでございますけれども、それまで待つのではやはり遅れてしまいます。需要を喚起するには、グレーであっても、まずは必要だというふうに思います。ドイツなどの学術団体と交流しておりますけれども、議論では、水素、アンモニアは非常に急速に注目をされてきています。
 三番目の項目です。系統電気は全て火力発電であるという計算法から転換する必要があると思います。
 第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度の電源構成の五九%が非化石、すなわち、再生可能エネルギーは三六から三八%、原子力は二〇から二二%になるとしています。
 現在の省エネ法においては、系統電気は九・七六メガジュール・パー・キロワットアワーという、火力発電のみと仮定した換算係数になっています。現状では、我が国の系統電気に再生可能エネルギーが導入されても評価されていない状態になっているわけです。欧米では、これらを取り入れた評価に既に変更されています。
 ちなみに、二〇一九年度の我が国の全電源平均係数は、実績値で八・八メガジュール・パー・キロワットアワーです。少々難しいので、御質問があればお答えしたいと思います。
 四番目の項目です。非化石エネルギーに需要がなければ投資は進まないということです。
 民間事業者のRE一〇〇などの取組が急速に進みつつありますけれども、産業界全体では、非化石エネルギーへの転換はまだ道半ばでございます。中小企業は、この変革に迷ったり苦悩があったりしていますけれども、大局を伝えていくという必要があります。
 現在の省エネ法では、自家消費や自己託送の場合などは使用エネルギーから控除されていますが、非化石エネルギーへの転換を促すための積極的な評価は必ずしもできていないというわけです。
 非化石エネルギーの需要が拡大することが見通せなければ、供給側の投資も進まないということになります。対象事業者には非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画及び非化石エネルギー利用状況等の定期報告の提出を求めることは、中長期的に我が国の産業界を助けることになります。
 しかしながら、産業界には二〇三〇年は短い期間でございます。過度な規制よりも、まずは事業者の創意工夫を促す形の対応を進めていくことが現実的だと思います。非化石エネルギー利用状況の定期報告では、オンサイト又はオフサイトのPPA契約などによる調達ですとか、小売電気事業者別の非化石電源比率を反映できるような幅広な対応が望ましいというふうに思います。
 五番目の項目です。製造業があり、国土面積も似ているドイツと比較をしてみました。
 国土面積は、日本が三十八万平方キロ、ドイツが三十六万です。平地の面積は、日本が十三万平方キロ、ドイツが二十五万平方キロと、日本は平地面積が少ないんですね。人口は、日本が一億二千五百八十万、ドイツは八千三百二十四万人です。コロナ前の二〇一八年のエネルギー起源の一人当たりのCO2排出量は、日本が八・五トン、ドイツは八・四と、そんなに大きくは実は変わっていません。太陽光発電の設備容量は、日本が五十六ギガワット、ドイツは四十五ギガワットです。太陽光の発電量が、日本は六百九十億キロワットアワー、ドイツは四百六十二億キロワットアワーと、設備容量、発電量共に、日本の方が多くなっております。一方で、風力発電は、日本が七十七億キロワットアワー、ドイツは千二百六十億キロワットアワーになります。
 我が国の平地面積当たりの太陽光発電設備容量は世界一位でございまして、ドイツの二倍ぐらい、実はございます。したがって、設置が容易な次世代型太陽電池であるペロブスカイト開発など、あるいは価格の低廉化は非常に重要になってきます。
 風力発電が決定的に異なるわけでございますけれども、これまで、遠浅の海が日本に少ないとか台風などがあるということで非常に難しいと言われてきたわけですけれども、これは技術開発を進めれば、日本でも風力発電は非常に重要になってくると思います。
 ただし、風車設置にはリーディングタイムというのが必要になります。アセスメントなどを広範囲にできる方が無駄は少ないということで、JOGMECの業務追加は非常に重要だと思っております。また、系統の強化も必須になります。
 ドイツのロシアへの一次エネルギー依存度は、石油が三四%、天然ガス四三%、石炭四八%であり、動向が注目されます。我が国と同様に、エネルギー自給率の向上をさせるのが悲願であるわけです。コスト的に今まで普及していなかった省エネ技術なども普及してくるというふうに思います。
 液化天然ガスは、カーボンニュートラルの移行期のエネルギーとして非常に重要でございます。ウクライナ侵攻で価格が上昇しています。
 六番目の項目でございます。変動型再生エネルギーが増加してくることへの対応です。
 太陽光発電や風力発電は、変動型再生可能エネルギーと呼ばれます。時間によって変動します。この対応には、配送電網のスマート化ですとか出力制御ですとか蓄電池利用など、様々な技術が必要になります。
 その中で、電気の需給状況に応じて上げDRや下げDRなどを行って、再生可能エネルギーを無駄なく利用することが期待されています。これを後押しする制度が必要だと思います。
 電気自動車の利用などにより、変動型再生可能エネルギーを無駄なく利用できます。電力網に加えて、ガス網、通信網、水道網、交通網のいわゆるファイブグリッドと言われるインフラデータを、セクターを超えて活用するということが求められております。
 そのためには、情報が非常に重要です。太陽光発電設備などに設置されているパワコンなどの通信関係の機器の国産化堅持は非常に重要です。
 また、電力系統の安定には、普及率が高いエアコンなどの機器が自律的に調整に関与できれば、大きな力になります。トップランナー機器などにそういった性能を求めるということも考えられます。エアコンを必要とするアジア諸国でも求められていく機能でございます。住宅やビルにこれらの機能を持たせるディマンド・サイド・フレキシビリティーという技術が米国では注目をされています。
 最後の七番目でございます。安定的なエネルギー供給の確保です。
 国民生活のためにはエネルギーを安定的に供給するということが重要です。発電所の休廃止は非常に重要な情報でありまして、事前に分かっておく事前届出制というのが必要だと思います。
 変動型再生エネルギーが増える状況では、大型蓄電池というのは新たな発電所というふうに定義してもよいと思います。
 SプラススリーEの原則を再確認しながらカーボンニュートラルを実現していくという必要があります。そのためには、二〇三〇年、二〇五〇年へのトランジション、過程ですね、それをどのようにするかが非常に重要だと思います。
 最後ですけれども、エネルギーの供給側だけではなくて、カーボンニュートラルによって我が国の産業構造がどのように変わるのかということをしっかり考えて、需要側からエネルギーを考えるということも非常に大切だというふうに思っております。
 少し早口になりましたけれども、御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 田辺新一

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日付: 2022-04-20

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会