鈴木達治郎の発言 (原子力問題調査特別委員会)

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○鈴木参考人 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 冒頭に三点だけちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、毎回お話しさせていただいているんですが、この委員会で取り扱っていただく問題は是非超党派で取り組んでいただきたいというのが第一点でございます。
 二番目は、それに関連するんですが、私が提案している事項も全て、原子力発電の推進や反対にかかわらず重要な課題であるというものを優先的に取り扱っていただきたい。これが二点目です。
 三番目は、先ほどから黒川委員長からも御指摘がありましたが、フォローアップですね。毎回毎回同じことを提案させていただくのではなくて、過去の議論を踏まえてどういうふうな行動を取っていただいたか、国会でどういうふうにここでの委員会の活動をフォローアップしているのかについても是非御議論いただきたいと思います。
 私、今日のお話は、要旨は、次のスライド、四点ございます。
 第一に、今、佐藤委員からもありましたが、原子力規制委員会、規制庁は全体的には、私は、大変努力が報われてきているのではないか、その信頼性は少しずつではあるが改善しているというふうに思います。
 一方、今日は二点お話ししたいんですが、規制基準に避難計画が含まれていない点、これが再稼働の問題につながっているのではないか、これが一点目です。
 もう一つは、これも何回もお話しさせていただいているんですが、この国会で規制委員会ができるときの附帯決議、これで要請されていた住民との対話の場がまだ設置されていない。これも、再稼働だけではなくて原子力規制全体に対する国民の信頼の問題に関わってくるのではないかと思います。
 最後に、ちょっと新しい話題として、ロシアのウクライナ侵攻時における原発への軍事行動を踏まえて、核セキュリティーの見直しについてちょっとお話しさせていただきます。二点です。一つは、内部脅威対応としての個人の信頼性確認制度の見直し、二点目は、潜在的リスクの高い使用済燃料貯蔵のプール貯蔵から乾式貯蔵への移行、これについてお話しさせていただきます。
 では、次のスライドをお願いいたします。
 先ほど申しましたように、原子力規制委員会は非常に努力をしていただいて回復していると思うんです。特に、問題になっておりました独立性、透明性、中立性の改善ですね、まだまだ十分ではありませんが、旧体制よりは大きく改善していると評価しております。特に、先ほど佐藤委員からもお話がありましたが、二〇一七年の新たな検査制度の導入、これはうまくいけば大変効率的な規制に貢献すると期待されておりますので、是非これを今後も有効性のある制度として活用していっていただきたいと思います。
 問題は、そこに書かれていますように、避難計画が規制基準に含まれていない、これの結果、一体その避難計画の是非を誰が責任を持って決めるのかということが非常に曖昧になっております。それと関連して、先ほど申しましたように地域住民との対話の場が設置されていない、これが大変問題ではないかと思います。
 次のスライドをお願いします。
 これは、新たな検査制度の概要を説明した規制庁の説明資料なんですが、先ほど佐藤委員からもありましたように、我々、以前から、右手の方ですね、リスク情報の活用ということをかなり前から申し上げているが、なかなかこれが実現しなかった。
 これをやるには、先ほど佐藤委員からもありましたが、リスク分析、リスク評価の技術そのものの研究の蓄積が大変重要なんです。それともう一つは、データですね、運転に関わる例えば部品の故障のデータとか、そういういろいろな現実のデータの蓄積が必要なんですね。これがまだまだ不十分。アメリカでは、八〇年代後半から二十年ぐらいかけて、このリスク、規制導入をされるときに、データの蓄積がありましたので。これをやっていかないとなかなか難しいので、これに今規制委員会が取り組んでいるところと思うんですが、業界との協力関係も大事だと思います。このリスク情報を活用することで、効率的な規制に移ることができるのではないかと思います。
 次をお願いいたします。
 避難計画が含まれていないということは国会でも何回も議論されておりまして、前回の私の発表では阿部知子先生の質問を引用させていただいて、ここでは、また二年後に、逢坂議員が質問されております。このときにはっきりと、含まれていないということを元安倍首相が回答されているんですが、この結果、避難計画を誰が一体最終的に判断するかということがはっきりされていないということがいまだに残っている。なぜ規制基準に避難計画が含まれていないのか。海外では含まれているんですね。
 次のページを見ていただきますと、最近、毎日新聞の記事にこういう記事がありまして、当時、避難計画がどうして含まれなかったのか取材されたんですね。そうすると、やはり、国会での審議が不十分であったということが分かったと。要するに、理由があって外したというよりは、うっかり入れられなかった、話題にもならなかったということで、当時の議論、規制庁をつくるときの、規制委員会をつくるときの法案審議の中で抜けていたということなんですね。だから、是非これをもう一度国会で審議していただいて、規制基準に含まれるようにしていただきたいと思います。
 この結果、先ほども佐藤委員からありましたが、裁判になると、いろいろな判断が絡んできますと、オーケーが出たり駄目になったりすることが当然出てくるわけですね、これが再稼働の不確実性につながっているのではないかと私は思います。これは国民の信頼の問題にもつながっていくと思います。
 次、お願いいたします。
 これは原子力文化財団が毎年調査をしている世論調査の結果なんですが、一番上のところは、ちょっと見にくいですけれども、原子力発電所の再稼働を認めることについて国民の理解は得られているかいないかというと、これはやはり得られていない方が多いんですね。ところが、下の赤でくくった部分は、規制委員会が認めたものについては再稼働は認めてもよいという意見は結構あるということで。規制委員会に対する信頼は高まっているけれども、再稼働全体に対する国民の理解はまだ得られていない、このギャップをどう考えたらいいのかというと、先ほどの避難計画の話が結構大きいのではないかというのが私の解釈でございます。
 次、お願いいたします。
 住民との対話と合意形成についても、これも毎回私はここで御紹介させていただくんですが、国会の参議院の環境委員会での附帯決議というのがありまして、規制委員会に対して、本法施行後一年以内に、一年以内ですよ、一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備するとともに、三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講じることという附帯決議があるんですが、これが全く実施されていないということです。是非これをフォローアップしていただきたいと思います。
 次のスライドをちょっと見ていただきたいんですが、当時は、これは経産省の資料なんですけれども、海外の事例を扱ったものを発表されていたんですね。これは、フランスの地域情報委員会、CLIと呼ばれているんですが。
 フランスは国会、法律で各地方自治体にこういう地方情報委員会をつくって、そこで国民との信頼醸成の場をつくる。CLIは決定機関ではないので、ここで再稼働の決定をするわけではないんですが、安全に対するいろいろな質問、疑問に対して自治体や業界や産業界や規制委員会が答える、そういう場なんですけれども、この資料が、私がリンクを捜してみたんですが、今、見つからない、消えてしまっています。是非、経産省の方にもこの資料はあるはずですので、こういうことをもう一度国会でも議論していただいて、地方自治体においてこういう信頼醸成の場をつくるということを是非検討していただきたいと思います。
 次、お願いします。
 次は、核セキュリティーの改善なんですが、東京電力の柏崎刈羽発電所の核物質防護規制違反、これは大変深刻な事例でありまして、もし、ほかのいろいろな、パンデミックとかウクライナの件がなければ恐らく一面に載ってもおかしくないような、大変深刻な核セキュリティー文化の欠如の問題だと思うんですね。フォローアップの調査を見てみますと、これは必ずしもほかの電力ではそれほど深刻な問題になっていない、あくまでも東京電力のこの柏崎刈羽の問題に限ってというふうな調査結果が出ておりますが。
 私は、この問題の根本にあるのは、先ほど佐藤委員からもありましたが、核セキュリティー文化の改善という、これは安全文化も関わってきますけれども、これをどう改善していくかという具体的項目がなかなか出てこないんですね。生体認証とかハード面での提言はいっぱい出てくるんですけれども、核セキュリティー文化の改善はなかなか難しい問題がありまして。これは原子力規制委員会、規制庁の中の問題でももちろんあると思うんですね。これを大変改善しなきゃいけない。
 というのは、次に書かれていますように、原子力規制委員会に核セキュリティーに関する検討会というのがあったんですが、平成二十八年以降開催されていません。それから、活動記録ももう委員会のホームページにない、国会図書館の方に行かないと見つからないということで、核セキュリティーに関する検討会の開催を是非要請していただきたい。
 二つ、今日お話ししたいのは、信頼性確認の問題、それと使用済燃料貯蔵の問題です。
 次、お願いします。
 この信頼性確認制度は、実はこれは核セキュリティー文化の中で一番大きな問題としてずっと議論されておりまして、国際原子力機関の核物質防護勧告の中にもはっきり書かれています。
 ここで重要なことは、政府が責任を持ってこういう制度を導入することというふうに書かれているんですが、一応規制委員会で議論した結果、個人の信頼性確認制度は導入されてはいるんですが、まだ今のところ自己申告制で、確認の実施は事業者の責任になっています。これではなかなか事業者は大変だと思います。
 信頼性確認制度を実施するに当たっては、例えば個人情報も手に入れる必要が出てくるんですが、これはなかなか、事業者の責任と置かれていますとそれがなかなかできないということもありまして、今はあくまでも自己申告制です。これは、制度として入っていること自体は評価するんですが、本当はやはり国の機関が主体的に関与すること。
 これは最近いろいろな分野で取り上げられてきてはいますので、原子力規制についても是非個人の信頼性確認制度を考えていただきたい。今問題になっています経済安全保障の法案でもこの問題が議論されていると存じ上げておりますが、是非、原子力規制委員会の面でもここが重要なポイントですので、御検討いただければと思います。
 次、お願いします。
 原発への軍事攻撃のリスクですけれども、何が一番大事かといいますと、原発、原子力施設には大量の放射性物質が存在します。既に更田原子力規制委員長が委員会でも前回発言されておりますが、とにかく破壊行為をされてしまいますと大変な結果になるということですね。軍事占拠、軍事行動を起こされたときはどういうリスクがあるかというと、ここに書かれていますように、要は、戦争ではもう無力ですね、いろいろな安全システムというのは。問題は、今回は軍事行動なんですけれども、核テロリズムとの境目をどこまで考えるか。なかなか難しいところがあると思います。
 次のページには、ジュネーブ条約第一追加議定書の文章を書かせていただいたんですが、見ていただけますように、入っているのは原子力発電所だけなんですね。そのほかの核燃料サイクル施設だとか使用済燃料貯蔵施設は対象になっていないということなので、攻撃をしても条約違反にはならないということです。
 次、お願いいたします。
 ザポリージャ原発攻撃で、幸い今のところ大変な事故につながっていないんですが、攻撃のビデオ分析が、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオというところがビデオ分析をされまして、ここに赤丸で囲んでいるところは実は砲撃が当たっていたということで、危機一髪だったのではないかと。要するに、意図的ではないにしても、戦争状態に入ってしまいますとこういうことが起こり得るということですね。意図的だったかもしれませんが。要は、原子力に対しても実際に攻撃が行われたということであります。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは韓国の元の原子力安全規制委員会の委員長である姜政敏さんが最近会議で発表された資料なんですけれども、実際にザポリージャ一号機で炉心溶融の事故が起きた場合、あるいはそこにある使用済燃料貯蔵施設が大事故を起こした場合の放射性物質の拡散状況を示したものですが、昨年の気候条件にのっとって計算したものなんですね。この広がり方を見てみますと、使用済燃料貯蔵の方がやはり大きな影響を及ぼすと。
 右手の分析は、日本の六ケ所再処理工場で仮想核事故が起きた場合に、やはり風向きによっては日本全土を覆うということですね。含まれている放射性物質の量が非常に多いということですね。
 次、お願いいたします。
 次は、六ケ所再処理工場の仮想事故の、これも姜政敏さんの分析なんですけれども、もし大量の放射性物質が出てしまうと、大変な避難住民、避難面積になるということであります。
 では、最後のページをお願いいたします。
 武装警護の件なんですが、結局、核テロリズムでも使用済燃料の破壊というのは起こり得るということなので、実際に軍事行動に対しては軍隊が出てくることはあるわけですが、平常時では軍隊が常時警護に当たっている国はありません。ただ、例外として、ロシアはロスアトムと軍が合同で警備しているとか、フランスは憲兵隊と電気事業者が合同で防護しているという例はありますが。一般的に軍隊が守っているわけではないんですが、本当に今のままでいいのか。使用済燃料貯蔵プールへの攻撃は、非常に核テロリズムでも起こり得るということですね。これは原子炉が停止していても同じでありますので。
 先ほど申しましたように、ジュネーブ条約には使用済燃料貯蔵施設は含まれていません。こういうこともありまして、提案としては、できるだけ早くプール貯蔵から乾式貯蔵に替える、それから、非公開なんですけれども、原子力規制委員会が検討している設計基礎脅威を是非再検討していただきたいというのが私からのお話です。
 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 鈴木達治郎

speaker_id: 33395

日付: 2022-05-10

院: 衆議院

会議名: 原子力問題調査特別委員会