原子力問題調査特別委員会

2022-05-10 衆議院 全94発言

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会議録情報#0
令和四年五月十日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 赤澤 亮正君
   理事 大西 英男君 理事 神田 憲次君
   理事 鈴木 淳司君 理事 古川  康君
   理事 野間  健君 理事 伴野  豊君
   理事 伊東 信久君 理事 中野 洋昌君
      畦元 将吾君    石川 昭政君
      今村 雅弘君    上田 英俊君
      江渡 聡徳君    勝俣 孝明君
      門山 宏哲君    神田 潤一君
      新谷 正義君    高木 宏壽君
      長坂 康正君    西田 昭二君
      堀井  学君    堀内 詔子君
      三ッ林裕巳君    宮内 秀樹君
      宮澤 博行君    阿部 知子君
      菅  直人君    米山 隆一君
      渡辺  創君    藤巻 健太君
      堀場 幸子君    吉田とも代君
      河西 宏一君    平林  晃君
      浅野  哲君    田村 貴昭君
    …………………………………
   参考人
   (アドバイザリー・ボード会長)
   (政策研究大学院大学名誉教授)          黒川  清君
   参考人
   (アドバイザリー・ボード会員)
   (東京理科大学経営学研究科教授)         石橋  哲君
   参考人
   (アドバイザリー・ボード会員)
   (原子力コンサルタント) 佐藤  暁君
   参考人
   (アドバイザリー・ボード会員)
   (長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授)           鈴木達治郎君
   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十日
 辞任         補欠選任
  簗  和生君     上田 英俊君
  笠井  亮君     田村 貴昭君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 英俊君     簗  和生君
  田村 貴昭君     笠井  亮君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力問題に関する件(原子力規制行政の在り方)
     ――――◇―――――
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赤澤亮正#1
○赤澤委員長 これより会議を開きます。
 原子力問題に関する件、特に原子力規制行政の在り方について調査を進めます。
 本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会長及び会員の、政策研究大学院大学名誉教授黒川清君、東京理科大学経営学研究科教授石橋哲君、原子力コンサルタント佐藤暁君及び長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授鈴木達治郎君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に委員会を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず黒川参考人にお願いいたします。
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黒川清#2
○黒川参考人 今日は、このような機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。
 ちょうど去年は福島の事故から十年でございまして、この資料にありますように、ちょうど十年ということで、十年して日本はどのぐらい変わったのかという話で、いろいろなところのインタビューとセッションをやりました。主にZoomでありますが。世界の問題としてこれから原子力は非常に大事だということと、日本のあの事故はどういうふうに生かすべきかという話で、どのぐらい変わったのという話がみんな聞きたくて、ここにあるようないろいろなセッションがありました。
 それは、私がその後で一つ本を出しましたけれども、「規制の虜」という。それは、ノーベル経済学賞をもらったジョージ・スティグラーという人が、国会にしろ、議会が、あるいは政府が、国民の優先よりは、ある企業なりなんなりの方を応援してしまうということが起こる、これが規制のとりこということでありますけれども、それでノーベル経済学賞をもらっている人ですが、それと同じ格好ができているというので、私は「規制の虜」という本を書きました。
 これが、なぜそんなことが起こったのかということが日本の社会構造と私たちの常識の問題があるということです。つまり、一つは民主主義になっているのかというのが私の最近の考えでありまして、戦後になってマッカーサーが来たから、これが民主主義だよと言われてなっただけじゃないのかという話を考えております。
 なぜかというと、それまでは、どこでもそうですが、ロイヤルファミリーがいて、土地のあった人たちがフランス、イギリスをそれぞれつくっているわけですが、日本は、マッカーサーが来て、これが民主主義だよといって、実際に権力を引っ剥がしてやったという経験はないんですね。というところがありまして、是非これは、国会の先生たちがいかに行政府をきちんとガバナンスするかというところが一番の問題があるんじゃないだろうかという気がしております。
 そういうわけで、私どもは、こういう機会をいただきまして、独立して日本の行政府をチェックするということをさせていただいたわけですが、これは日本の憲政史上初めてのことだったんですね。先生たちが法律を作ってほかの人たちに自由にさせたということで、これは実は大島衆議院議長がずっと言っておられたことで、議員さんが議運ということで一生懸命いろいろなことをやるのはいいんだけれども、時には専門家のヒアリングをするというのもいいんだけれども、実は全部を外のエキスパートに任せるということをするのが大事で、それが国会事故調の意味なんだということをおっしゃっておりました。
 大島先生はさすがにすごいことをおっしゃるなと思ったので、早速そのときに御挨拶に行きましていろいろ話をお聞きしまして、私どもも、国会事故調がそのいい例で、やはり議会はそういうプロセスをもっともっと利用してつくらなくちゃいけない、使わなくちゃいけないということをおっしゃっていたので、そのお礼もあって、先生のところに御挨拶に行って、一時間ぐらいいろいろな話を伺ってきました。そういう方がトップにおられるというのは私は本当にすばらしいことだと思いまして、ちょっと感動した覚えがあります。
 そんなことで、ちょうど十年ということで、ここの資料にあるように、世界中が日本から何が学べるかという話で、たくさんのセッションが、私は、去年の三月ですね、ちょうど十年を迎える前に、このようないろいろな、Zoomですが、世界中でいろいろなことを聞かれました。どのぐらい日本が変わったかということと、どうしても原子力が、CO2の、グローバルウォーミングの問題と、これは非常に大事な原子力のリソースですけれども、今やウクライナの問題となってくると、これはむしろアセットよりはリスクがすごくでかくなったなということが分かると思います。
 そこで、どのぐらい日本は、日本を始め原子炉をどのようにして守っているのかということは皆さんに周知しておくことが必要なんじゃないだろうかと思います。
 例えば、機動隊が守っていると思いますが、ほかの国はほとんどが軍隊が守っていますよね、今。これはいわゆるニューヨークの9・11以後の、原子力はすごくテロリストのアタックにやばいことになっているので軍が守るようになっていると思いますけれども、日本では多分機動隊だと思います。その辺が、軍でするのかどうかという話なんかはどのぐらい国民に知らせてあるのかという話も一つの問題になりますし、今になってみると、プーチンさんの話を見ていると、やはりこれは意外にリスクがでかいものを抱え込んでいるなということになってきたんじゃないかと思います。
 というわけで、私は余りこの分野での専門家ではないので、本当に、大島先生にそういうことを言われて、御挨拶して一時間ばかりいろいろな話を聞かせていただきましたし、そういう意味では国会の役割というのは非常に大事だと思います。
 国会がこのようなことをやらせていただいたということは、日本では初めてだったんですね。イギリスではしょっちゅうやっています。だから、やはりこういうことを先生方が是非つくって、もっと頻繁に使われるのが私としては希望でありますし、それをまたどういうふうに終わらせるかというのも、どういうふうな立法府としての役割をするかというのが非常に大事な三権分立の基本だろうと思いまして、そういうことを是非先生方にも、この独立した国会事故調ということをどうやっていろいろなイシューについて使うかという話は是非、もっともっと増やすのが大事ではないかなと思います。
 その点は、大島衆議院議長が常に、議運というのを使うのはいいんだけれどもああいうプロセスをもっと使った方がいいということをおっしゃっていましたので、これからも是非先生方に、立法府ですので、どうやって行政府を使いこなすかという話についても、こういうことを幾つも幾つも繰り返していくとやはり行政の在り方も変わってくると思いますので、それが私としては是非、こういうことをやらせていただいたことからいうと、非常に大事な役割を先生方が立法府として、国民の代表としてやっているわけですので、是非、深くまた、一つのエグザンプルとしてまたいろいろ適宜に使っていただくと、こういうプロセスが三権分立として、立法府として非常に大事だなということで、私の御挨拶とさせていただきます。
 どうもありがとうございます。拍手
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赤澤亮正#3
○赤澤委員長 ありがとうございました。
 次に、石橋参考人にお願いいたします。
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石橋哲#4
○石橋参考人 石橋哲でございます。本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 今、画面に出していただきますけれども、先生方のお手元にも資料をお配りいただいております。
 今日は、二〇二二年五月十日。東日本大震災から四千七十八日、国会事故調の発足から三千八百六日、国会事故調報告書の御提出から三千五百九十六日経過しました。前回、当委員会で発言の機会をいただきましてから三百七十八日目でございます。
 私、当委員会で発言の機会を頂戴するたびに申し上げているところでございます。国会事故調報告は、結論と提言の中で、問題解決に向けて今なお多くの犠牲を伴って進展、拡大している人災である福島原発事故を起こした真因、組織的、制度的問題を指摘して次のように述べております。
 これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先に、記録を残さない不透明な組織、制度、さらにはそれを許容する法的枠組みであった。また、関係者に共通していたのは、およそ原子力を扱う者に許されない無知と慢心であり、世界の潮流を無視し、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存のマインドセット、思い込み、常識であった。
 当委員会は、事故原因を個々人の資質、能力の問題に帰結させるのではなく、規制される側とする側の逆転関係を形成した真因である組織的、制度的問題がこのような人災を引き起こしたと考える。この根本原因の解決なくして、単に人を入れ替え、あるいは組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能である。
 この真因である組織的、制度的問題の解決に向けて、様々な意思決定プロセスの透明性、公開性を確保、担保し、再び規制する側がされる側の規制のとりこにならないよう、七つの提言を申し上げております。
 国会事故調について言われる憲政史上初とは、立法府が行政府を監視する機能を初めて発動させたというものであります。
 この原子力問題調査特別委員会は、国会事故調報告の提言一に基づいて設置されたと聞き及びます。提言一は、原子力安全規制当局に対し様々な規制のとりこの力を及ぼした行政府、電気事業者の動き全体を立法府として監視すべきであると提言しています。監視対象は、行政府、電気事業者の動き全体です。
 当委員会設置当初の与野党申合せでは、当委員会の監視対象は原子力規制委員会であるとされたと聞いております。この監視対象は、行政府、電気事業者全体を対象とする提言一の趣旨と異なります。いつ、どこで、なぜ、提言の趣旨がずれた申合せがなされ、そのままそれが維持されているのか、私としては理解に苦しむところでございます。
 国会事故調報告では、原子力安全規制が再び規制のとりこに陥らないように行政府を立法府が監視するために七つの提言を行いました。
 これら憲政史上初と言われる仕組みをつくるのは容易ではないことから、実施計画を速やかに策定し、その進捗を国民に公表することも求めております。これは、国権の最高機関である国会が自ら透明性を確保し、公開性を担保する第一歩であると思います。私は、本委員会で発言の機会をいただくたびに申し上げて、前回、二〇二一年の四月二十七日にも申し上げたとおりでございます。先生方におかれましては、既に十分御承知のことと思います。
 事故から九か月後、当時の衆参満場一致で成立した東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法に基づいて設置された国会事故調は、調査期間を約六か月と法定され、七つの提言を含む報告書を国会に提出したのは二〇一二年の七月の五日でございます。
 冒頭に申し上げましたとおり、それから約百十四か月。少なくとも、前回私が発言の機会をいただいてから三百七十八日が経過いたしました。
 前回発言の機会をいただきましたのは、昨年の四月の二十七日です。それ以降本日まで、当委員会は十回開催されました。その開催時間は合計で五百七十四分です。開催時間を確認いたしましたところ、実質的な議論が行われたのはそのうち三回、ほか七回は特別委員会としての設置手続でございました。
 衆議院ホームページにあるインターネット審議中継の整理によりますと、実質審議三回のうち、当委員会の先生方による審議は計五百三十分でございました。なお、この五百三十分の中には、更田原子力規制委員会委員長の御発言八分を含んでおります。
 各先生方の御発言を確認させていただきましたところ、七つの提言の実施計画の策定、ましてやその進捗状況の公表についての御議論は一言もございませんでした。
 当委員会、先生方、国会職員の皆様、この百十四か月と同じことを、これからも、あるいは一体いつまで続けられるのでしょうか。これまでも、また先ほども申し述べたとおりでございますが、当委員会が基づいて設置されたとする国会事故調提言一、その趣旨をいま一度振り返っていただきたいと強く思います。
 そのためには、国会事故調の調査資料をいま一度確認するということも大変重要だと思います。政府事故調では、ヒアリング記録の開示に向けた、ヒアリングに協力をいただいた方々の開示意向の確認が進められているというふうに理解しております。国会事故調資料についても同じことができるはずでございます。この取組はいつになったら始まるのでしょうか。
 これまで何度も申し上げているとおりでございますが、国会事故調は、机と卓上電話しかないオフィスからスタートし、調査人員の調達やPC等の備品の調達、報告書の印刷作業も含めて、たかだか半年強の調査期間しかございませんでした。扱えなかったことはたくさんございます。検討すべき課題も多岐に及びます。この後御発言されるアドバイザリー・ボード会員の佐藤先生、鈴木先生からも御指摘があるというふうに思います。
 国会事故調は、原子力安全規制行政が再び規制のとりこに陥ることのないよう、広く電気事業者、行政府に対して立法府が監視を行うことを提言しております。そのために必要な国会による立法手当て、国会による実行も含めた七つの提言を行っております。
 これら七つの提言は、事故の根源的原因であった制度的問題の解決を目的としております。透明性の確保と公開性の担保の両立が核心になるということは言うまでもございません。
 二〇一一年三月十一日当時、私たちの社会は、人災の真因となった制度的問題を抱えた状態で福島原発事故の発災を迎えました。以降様々な事象が起こり、今もたくさんの方々が様々に対峙しておられます。再発防止のためには、この真因である制度的問題の解決が不可欠であると国会事故調は述べています。このことは繰り返し申し述べたいと思います。
 私が学生のとき、先生からイェーリングという方の「権利のための闘争」という本を御紹介いただきました。十九世紀の本でございますけれども、引用いたします。
 私権に関する個人の権利感覚が鈍感、臆病、無気力であり、不公正な法律や劣悪な制度に遮られて個人が自分の力を自由に力強く発揮する場がなく、支持と助力を期待してしかるべき場合に迫害が行われ、その結果、不法は耐え忍ぶもの、どうにもならないものだという見方が慣れっこになっているとしよう。そんな卑屈な、いじけた、無気力な権利感覚が、一たび個人ではなく全国民の権利が、例えば国民の政治的自由の圧殺、憲法の違反、破棄、外国の侵寇によって侵害されるや否や突如として敏感になり、精力的な行動に転ずるなどと誰が信じられようか。
 外国から敬意を払われ、国内的に安定した国たらんとする国家にとって、国民の権利感覚にも増して貴重な、保護すべき宝はない。国民各個人の健全で力強い権利感覚は、国家にとって自己の力の最も豊かな源泉であり、対内的、対外的存立の最も確実な保証物である。権利感覚は一本の樹木の根である。砂れきに張った根が枯れてしまい、役に立たなければ、その木はウドの大木のようなもので、風が吹けば根こそぎにされてしまう。しかし、根が地中にあって目に見えないものであるのに対し、幹やこずえは人に見てもらえる。
 不公正な法律や劣悪な制度が国民の倫理的力に及ぼす破壊的な影響はいわば地面の下で効いてくるのだが、世の政治評論家どもがこれに注目することはない。彼らは見事なこずえを仰ぐだけで、根からこずえに上ってゆく毒については知らぬが仏である。しかし、専制者は木を倒すにはどこに手をつければよいのかを心得ている。したがって、専制者に立ち向かうには何よりもこの段階で対応することが必要である。
 時機を失してから歴史の教訓を理解するというのは我々が悪いのであって、歴史が適切な時点に教訓を与えてくれないわけではない。歴史はいつでも大声ではっきりこう教えているのだ。国民の力は国民の権利感覚の力にほかならず、国民の権利感覚の涵養が国家の健康と力の涵養を意味すると。
 今日は、国会事故調報告から三千五百九十六日です。国会議員の先生方、先生方を選出し代表と頂く私たち国民は、一日一回として、三千五百九十六回、毎日、再発防止を放棄してまいりました。
 今、世界では極めて不幸な状況が報告されています。その状況に敢然と立ち向かう国があります。私は、この国が外国から敬意を払われ、国内的に安定した国であってほしいと強く望みます。
 国権の最高機関である国会、その構成員であり、私たち国民の代表者である国会議員の先生方には、大木の幹やこずえに関する議論で事足れりとするのではなく、地中の根っこ、人災であった原子力安全規制当局に対する規制のとりこの発生、その真因である制度的原因にこそ着目し、原発事故が再び起こることのないよう取り組んでくださることを強く望みます。
 提言の実現に向けた実施計画、その進捗状況の国民への公表について、今日、どのような御議論が展開されるのか、お聞きしてまいりたいと思います。
 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。拍手
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赤澤亮正#5
○赤澤委員長 ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いいたします。
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佐藤暁#6
○佐藤参考人 それでは、私、佐藤暁からの意見を資料に基づいてお話しさせていただきます。資料はこれです。スライドはございません。
 二ページ目。私の意見は、ここにある三つの点に関してです。これを御参照しながらお話を聞いていただければと思います。
 三ページ目です。では、早速、原子力規制委員会の規制機関としての組織についてですけれども、米国の原子力規制委員会、NRCと比べまして、それぞれの国にある運転可能な原子炉の基数の比に照らしますと、予算も職員数も多からず少なからずという規模ではないかと思われます。
 しかし、米国のNRCにあって日本の原子力規制委員会にはない部署が幾つかあります。ここでは四つに注目したいと思います。
 ASLBPというのは、行政審判の権限が与えられているNRCだからこその部門ですけれども、本部ビルの中に法廷のような一室があります。原子力に精通した判事がいて、二審制で審議されます。日本のように、設置許可の有効性の審議がいきなり地方裁判所で争われるということはありません。ASLBPで裁かれます。連邦裁判所に持ち込んでも受け付けられません。
 それから、OIGはNRCの業務の効率や職員を監督する組織で、委員長さえもその監視の対象です。職員が六十三人もいるというのは驚きではないでしょうか。
 それから、悪質性のある申告案件を捜査する部署、FBIの出身者もいるプロ集団です。
 そして最後は、不正者や事業者を処分する部署ですね。
 四ページ目。ここでは、原子力規制委員会がここ十年余りで成し遂げたことのうち規制インフラ整備に関する事項を列挙しています。運転を四十年から六十年に延長する法令が作られ、再稼働の可否を審査するための新規制基準が作られました。それから、最近は新検査制度も導入されています。これらは、ことごとくと言ってよいほど米国の制度に倣ったものです。
 五ページ目。今述べましたように、原子力規制委員会の新規制基準のほとんどは米国NRCの規制指針の内容を取り入れたものなのですけれども、その基準にも弱点があることは認知されなければなりません。新規制基準の最も大事な特徴は重大事故対策を含めた点なのですが、その基本概念にパッシブ性が欠如しているということです。
 分かりにくい言葉遣いかもしれませんが、要は、事故が起こったときに、ばたばた右往左往しなくても、人手や動力を駆使しなくても、自然に安全な状態に導く性質のことです。二〇〇〇年以降ぽつぽつと建てられ始めた新型炉には、劇的にそのような特徴が盛り込まれています。
 その代わりとして、新規制基準に適合するために行われたのは、膨大な可搬式設備の導入、一分を争うような機敏な動作を求めるような対応マニュアルと訓練です。また、同じような迅速な避難行動が近隣住民にも求められます。そのような対応は平時においても大変なのですから、ましてや、テロ攻撃とか、パンデミックの最中とか、何か不測の事態があったときには一層困難が増すことになります。
 ですから、原子力発電所の新設や増設を求める声も聞くわけですけれども、そのような弱点や国際的な趨勢を踏まえて考えても、従来型の新設はあり得ないだろう、新型でなければならないだろう、しかし、それはそれでコスト高で困難も多く、規制インフラも整備されておらず、今は現実的な選択肢ではないだろうと考えます。
 六ページ目です。今日時点までで再稼働にこぎ着けた原子炉は三十三基中十基だけです。どうお感じになるでしょうか。更地から始めた建設ではありません。どうしてこのようなペースとなってしまったのだろうかとお思いの先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。何かどこか、審査のプロセスに効率的でない問題があったのではないかと疑問もあるかと思います。私も、そのような問題は確かにあったと思います。そして、その原因は原子力規制委員会の側にも事業者の側にも求めることができると考えます。それは、例えばアメリカのプロセスと比較することで浮かび上がってきます。
 原子力規制委員会について言えば、米国NRCのような標準審査指針を制定せず、事業者と個別に会合形式で審査を行う方式を採用したことがプロセスを手間取らせた要因として考えられます。一方、事業者側について言えば、全事業者の方針を統括する米国のNEIのような組織がなく、自主的な事業者指針を策定する、パイロットプラントでの試行を行って最初に成功モデルをつくるという取組をしませんでした。ですが、そのような反省をしてみたところで手遅れです。今のまま続けるより仕方がないと思われます。
 七ページ目です。規制の在り方に対しては、しばしば客観性、科学性が必要だと訴える方々がいらっしゃいます。感情論や直感で規制が運営されるべきではないというのは当然です。
 米国では、一九九〇年代から、従来の深層防護の思想を尊重しながらも、規制にリスク評価の考え方を盛り込んでめり張りをつけよう、それによって競争力のなくなった原子力発電を立ち直らせようという動きが活発になりました。その駆動力、推進力に使ったのが、確率論的リスク評価、PRAという技術です。
 もし日本の原子力規制においても同じことを目指すのであれば、やはりそのPRAを成熟させなければなりません。しかし、リスクの容認に関しては、日本においては、PRAの技術だけでなく、安全目標の設定も含めて根強い抵抗があるように感じられます。原子力規制委員会が一方的に採用を宣言しても、国民感情との間にミスマッチ、ミスアライメントが生じるだけであるように思われます。もっと公衆との対話が必要と感じられます。米国では、この規制改革なくして今日の原子力発電の存続はあり得なかったと思われます。日本では、国策の下での一種の甘やかしがあり、必要としてこなかったということもあったと思われます。
 八ページ目です。福島第一の事故がきっかけとなって一気に廃炉が増え、その処理のことも考えなければなりません。しかし、もう一方の現役の原子炉の運転認可の延長に関するほどの熱心さがないように感じられます。ただし、手つかずの問題が山積しています。
 今クリアランスレベルは本来のレベルの八十倍に引き上げられた状態になっているのですが、これをそのまま廃炉で発生する放射性廃棄物に対してまで適用するのかという問題、敷地を無条件解放する場合の基準をどうするのか、地下深く汚染土壌が残っているとき完全に掘削して取り出すのか、曖昧なままです。高レベル放射性廃棄物を地層処分するための安全審査指針もありません。廃炉の原子炉は一気にその数が増えたのですが、このように規制インフラが整っていません。
 九ページ目です。最近、原子力発電所の管理や工事施工に関する不正行為の発覚が続発しています。それで思うのは、やはり米国と比較しての処分の甘さです。
 米国では、このスライドに示した例にもあるように、原子炉施設での不正行為は公衆を危険にさらす重罪なのです。現場で働く人たちをおびえさせるような厳罰化を語るのは彼らのモチベーションを低下させるようで本意ではないのですけれども、やはり近くの住民の安全が一番重要です。まずは、電力会社を頂点とした原子力発電産業界の意識改革を原子力規制委員会が強く指導すべきだと思います。
 十ページ目です。米国と比較した日本の原子力産業界の弱点は、これに携わる人々のプロフェッショナリズムの欠如だと感じられます。特にそれが際立っているのが品質保証体制と安全文化の領域です。
 日本の品質保証体制は、国際市場でしのぎを削ってきた自動車産業、電子産業などの分野ではしっかりしているのでしょうけれども、原子力産業のようなドメスティックな分野になると形骸化やずさんさが目立ちます。米国NRCによる監査には到底耐えられないと思います。安全文化も空念仏のままであるように感じられます。
 十一ページ目。米国では、このように具体的な九項目を注力するポイントとして掲げていて、NRCが電力会社に対して実施する検査の中にも安全文化に対する検査というのがあり、そのための検査手順書が何と六十九ページもあるのです。
 十二ページ。ここから先は、公衆との関係に着目した意見になります。原子力発電を支持するかしないかは、地元自治体では大きなイデオロギー論争になり、同じ地区内の住民同士でも不和の種になっています。選挙の論点にもなります。
 原子力規制委員会は、このような問題に巻き込まれることを恐れる余りなのか、火に油を注ぎたいということなのか、幾つかの重要な基準や目安に対して一方的にそれらを示すだけで、それらの根拠などについての対話の努力が足りないように思います。トリチウムが除去できない処理水の希釈排水の問題や、年間一ミリシーベルトを下回ることが当分見込まれない地域への住民の帰還や復興の停滞が、いつまでもだらだら続く根本的な原因になっているように感じます。もっと現場に踏み出すべきだと思います。
 十三ページ目です。原子力規制委員会は規制のとりこを脱したのか。彼らは、イエスだと自信を持って答えるかもしれません。しかし、世間が本当にそう思ってくれているだろうかということも考えてほしいものだと思います。そして、注意深く考えてみれば、自分たちは原子力産業界にこそとりこにはされていないかもしれないが、世間にとっては、ここに幾つか列記したような、どうもすっきり納得しない違和感があることに気がつかなければならないと思います。
 十四ページ目です。透明性、公開性を目指すべき原子力の印象を損ね、逆に不透明性、閉鎖性を感じさせているものに、事業者の黒塗り、白抜きの文書があると思います。もちろん、そのような処理をして秘密を守らなければならない内容の情報もあります。しかし、事業者はその濫用を感じさせることがしばしばあります。
 十五ページ目です。公衆を守ることをミッションに掲げている原子力規制委員会は、地元の人々との対話、すなわちツーウェーコミュニケーションを大事にすべきだと思います。やがて新検査制度が定着すれば、米国NRCが行ってきたように四半期ごとの地元説明会を開くようになるかもしれませんが、ほかに様々なホットトピックが湧いて出てきたときには迅速にプロアクティブに対話の機会を設けるべきだと思います。
 最後、十六ページです。まとめです。原子力規制委員会に関しては、かつての組織に比べれば随分頑張って成果を出したと評価されてもいいと私は思っております。しかし、まだまだ気を緩めてはならず、未処理、未着手の問題が山積しているとも思います。
 私の意見は以上です。お聞きくださいまして、どうもありがとうございました。拍手
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赤澤亮正#7
○赤澤委員長 ありがとうございました。
 次に、鈴木参考人にお願いいたします。
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鈴木達治郎#8
○鈴木参考人 鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 冒頭に三点だけちょっとお話しさせていただきたいと思いますが、毎回お話しさせていただいているんですが、この委員会で取り扱っていただく問題は是非超党派で取り組んでいただきたいというのが第一点でございます。
 二番目は、それに関連するんですが、私が提案している事項も全て、原子力発電の推進や反対にかかわらず重要な課題であるというものを優先的に取り扱っていただきたい。これが二点目です。
 三番目は、先ほどから黒川委員長からも御指摘がありましたが、フォローアップですね。毎回毎回同じことを提案させていただくのではなくて、過去の議論を踏まえてどういうふうな行動を取っていただいたか、国会でどういうふうにここでの委員会の活動をフォローアップしているのかについても是非御議論いただきたいと思います。
 私、今日のお話は、要旨は、次のスライド、四点ございます。
 第一に、今、佐藤委員からもありましたが、原子力規制委員会、規制庁は全体的には、私は、大変努力が報われてきているのではないか、その信頼性は少しずつではあるが改善しているというふうに思います。
 一方、今日は二点お話ししたいんですが、規制基準に避難計画が含まれていない点、これが再稼働の問題につながっているのではないか、これが一点目です。
 もう一つは、これも何回もお話しさせていただいているんですが、この国会で規制委員会ができるときの附帯決議、これで要請されていた住民との対話の場がまだ設置されていない。これも、再稼働だけではなくて原子力規制全体に対する国民の信頼の問題に関わってくるのではないかと思います。
 最後に、ちょっと新しい話題として、ロシアのウクライナ侵攻時における原発への軍事行動を踏まえて、核セキュリティーの見直しについてちょっとお話しさせていただきます。二点です。一つは、内部脅威対応としての個人の信頼性確認制度の見直し、二点目は、潜在的リスクの高い使用済燃料貯蔵のプール貯蔵から乾式貯蔵への移行、これについてお話しさせていただきます。
 では、次のスライドをお願いいたします。
 先ほど申しましたように、原子力規制委員会は非常に努力をしていただいて回復していると思うんです。特に、問題になっておりました独立性、透明性、中立性の改善ですね、まだまだ十分ではありませんが、旧体制よりは大きく改善していると評価しております。特に、先ほど佐藤委員からもお話がありましたが、二〇一七年の新たな検査制度の導入、これはうまくいけば大変効率的な規制に貢献すると期待されておりますので、是非これを今後も有効性のある制度として活用していっていただきたいと思います。
 問題は、そこに書かれていますように、避難計画が規制基準に含まれていない、これの結果、一体その避難計画の是非を誰が責任を持って決めるのかということが非常に曖昧になっております。それと関連して、先ほど申しましたように地域住民との対話の場が設置されていない、これが大変問題ではないかと思います。
 次のスライドをお願いします。
 これは、新たな検査制度の概要を説明した規制庁の説明資料なんですが、先ほど佐藤委員からもありましたように、我々、以前から、右手の方ですね、リスク情報の活用ということをかなり前から申し上げているが、なかなかこれが実現しなかった。
 これをやるには、先ほど佐藤委員からもありましたが、リスク分析、リスク評価の技術そのものの研究の蓄積が大変重要なんです。それともう一つは、データですね、運転に関わる例えば部品の故障のデータとか、そういういろいろな現実のデータの蓄積が必要なんですね。これがまだまだ不十分。アメリカでは、八〇年代後半から二十年ぐらいかけて、このリスク、規制導入をされるときに、データの蓄積がありましたので。これをやっていかないとなかなか難しいので、これに今規制委員会が取り組んでいるところと思うんですが、業界との協力関係も大事だと思います。このリスク情報を活用することで、効率的な規制に移ることができるのではないかと思います。
 次をお願いいたします。
 避難計画が含まれていないということは国会でも何回も議論されておりまして、前回の私の発表では阿部知子先生の質問を引用させていただいて、ここでは、また二年後に、逢坂議員が質問されております。このときにはっきりと、含まれていないということを元安倍首相が回答されているんですが、この結果、避難計画を誰が一体最終的に判断するかということがはっきりされていないということがいまだに残っている。なぜ規制基準に避難計画が含まれていないのか。海外では含まれているんですね。
 次のページを見ていただきますと、最近、毎日新聞の記事にこういう記事がありまして、当時、避難計画がどうして含まれなかったのか取材されたんですね。そうすると、やはり、国会での審議が不十分であったということが分かったと。要するに、理由があって外したというよりは、うっかり入れられなかった、話題にもならなかったということで、当時の議論、規制庁をつくるときの、規制委員会をつくるときの法案審議の中で抜けていたということなんですね。だから、是非これをもう一度国会で審議していただいて、規制基準に含まれるようにしていただきたいと思います。
 この結果、先ほども佐藤委員からありましたが、裁判になると、いろいろな判断が絡んできますと、オーケーが出たり駄目になったりすることが当然出てくるわけですね、これが再稼働の不確実性につながっているのではないかと私は思います。これは国民の信頼の問題にもつながっていくと思います。
 次、お願いいたします。
 これは原子力文化財団が毎年調査をしている世論調査の結果なんですが、一番上のところは、ちょっと見にくいですけれども、原子力発電所の再稼働を認めることについて国民の理解は得られているかいないかというと、これはやはり得られていない方が多いんですね。ところが、下の赤でくくった部分は、規制委員会が認めたものについては再稼働は認めてもよいという意見は結構あるということで。規制委員会に対する信頼は高まっているけれども、再稼働全体に対する国民の理解はまだ得られていない、このギャップをどう考えたらいいのかというと、先ほどの避難計画の話が結構大きいのではないかというのが私の解釈でございます。
 次、お願いいたします。
 住民との対話と合意形成についても、これも毎回私はここで御紹介させていただくんですが、国会の参議院の環境委員会での附帯決議というのがありまして、規制委員会に対して、本法施行後一年以内に、一年以内ですよ、一年以内に地方公共団体と国、事業者との緊密な連携協力体制を整備するとともに、三年以内に諸外国の例を参考に望ましい法体系の在り方を含め検討し、必要な措置を講じることという附帯決議があるんですが、これが全く実施されていないということです。是非これをフォローアップしていただきたいと思います。
 次のスライドをちょっと見ていただきたいんですが、当時は、これは経産省の資料なんですけれども、海外の事例を扱ったものを発表されていたんですね。これは、フランスの地域情報委員会、CLIと呼ばれているんですが。
 フランスは国会、法律で各地方自治体にこういう地方情報委員会をつくって、そこで国民との信頼醸成の場をつくる。CLIは決定機関ではないので、ここで再稼働の決定をするわけではないんですが、安全に対するいろいろな質問、疑問に対して自治体や業界や産業界や規制委員会が答える、そういう場なんですけれども、この資料が、私がリンクを捜してみたんですが、今、見つからない、消えてしまっています。是非、経産省の方にもこの資料はあるはずですので、こういうことをもう一度国会でも議論していただいて、地方自治体においてこういう信頼醸成の場をつくるということを是非検討していただきたいと思います。
 次、お願いします。
 次は、核セキュリティーの改善なんですが、東京電力の柏崎刈羽発電所の核物質防護規制違反、これは大変深刻な事例でありまして、もし、ほかのいろいろな、パンデミックとかウクライナの件がなければ恐らく一面に載ってもおかしくないような、大変深刻な核セキュリティー文化の欠如の問題だと思うんですね。フォローアップの調査を見てみますと、これは必ずしもほかの電力ではそれほど深刻な問題になっていない、あくまでも東京電力のこの柏崎刈羽の問題に限ってというふうな調査結果が出ておりますが。
 私は、この問題の根本にあるのは、先ほど佐藤委員からもありましたが、核セキュリティー文化の改善という、これは安全文化も関わってきますけれども、これをどう改善していくかという具体的項目がなかなか出てこないんですね。生体認証とかハード面での提言はいっぱい出てくるんですけれども、核セキュリティー文化の改善はなかなか難しい問題がありまして。これは原子力規制委員会、規制庁の中の問題でももちろんあると思うんですね。これを大変改善しなきゃいけない。
 というのは、次に書かれていますように、原子力規制委員会に核セキュリティーに関する検討会というのがあったんですが、平成二十八年以降開催されていません。それから、活動記録ももう委員会のホームページにない、国会図書館の方に行かないと見つからないということで、核セキュリティーに関する検討会の開催を是非要請していただきたい。
 二つ、今日お話ししたいのは、信頼性確認の問題、それと使用済燃料貯蔵の問題です。
 次、お願いします。
 この信頼性確認制度は、実はこれは核セキュリティー文化の中で一番大きな問題としてずっと議論されておりまして、国際原子力機関の核物質防護勧告の中にもはっきり書かれています。
 ここで重要なことは、政府が責任を持ってこういう制度を導入することというふうに書かれているんですが、一応規制委員会で議論した結果、個人の信頼性確認制度は導入されてはいるんですが、まだ今のところ自己申告制で、確認の実施は事業者の責任になっています。これではなかなか事業者は大変だと思います。
 信頼性確認制度を実施するに当たっては、例えば個人情報も手に入れる必要が出てくるんですが、これはなかなか、事業者の責任と置かれていますとそれがなかなかできないということもありまして、今はあくまでも自己申告制です。これは、制度として入っていること自体は評価するんですが、本当はやはり国の機関が主体的に関与すること。
 これは最近いろいろな分野で取り上げられてきてはいますので、原子力規制についても是非個人の信頼性確認制度を考えていただきたい。今問題になっています経済安全保障の法案でもこの問題が議論されていると存じ上げておりますが、是非、原子力規制委員会の面でもここが重要なポイントですので、御検討いただければと思います。
 次、お願いします。
 原発への軍事攻撃のリスクですけれども、何が一番大事かといいますと、原発、原子力施設には大量の放射性物質が存在します。既に更田原子力規制委員長が委員会でも前回発言されておりますが、とにかく破壊行為をされてしまいますと大変な結果になるということですね。軍事占拠、軍事行動を起こされたときはどういうリスクがあるかというと、ここに書かれていますように、要は、戦争ではもう無力ですね、いろいろな安全システムというのは。問題は、今回は軍事行動なんですけれども、核テロリズムとの境目をどこまで考えるか。なかなか難しいところがあると思います。
 次のページには、ジュネーブ条約第一追加議定書の文章を書かせていただいたんですが、見ていただけますように、入っているのは原子力発電所だけなんですね。そのほかの核燃料サイクル施設だとか使用済燃料貯蔵施設は対象になっていないということなので、攻撃をしても条約違反にはならないということです。
 次、お願いいたします。
 ザポリージャ原発攻撃で、幸い今のところ大変な事故につながっていないんですが、攻撃のビデオ分析が、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオというところがビデオ分析をされまして、ここに赤丸で囲んでいるところは実は砲撃が当たっていたということで、危機一髪だったのではないかと。要するに、意図的ではないにしても、戦争状態に入ってしまいますとこういうことが起こり得るということですね。意図的だったかもしれませんが。要は、原子力に対しても実際に攻撃が行われたということであります。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは韓国の元の原子力安全規制委員会の委員長である姜政敏さんが最近会議で発表された資料なんですけれども、実際にザポリージャ一号機で炉心溶融の事故が起きた場合、あるいはそこにある使用済燃料貯蔵施設が大事故を起こした場合の放射性物質の拡散状況を示したものですが、昨年の気候条件にのっとって計算したものなんですね。この広がり方を見てみますと、使用済燃料貯蔵の方がやはり大きな影響を及ぼすと。
 右手の分析は、日本の六ケ所再処理工場で仮想核事故が起きた場合に、やはり風向きによっては日本全土を覆うということですね。含まれている放射性物質の量が非常に多いということですね。
 次、お願いいたします。
 次は、六ケ所再処理工場の仮想事故の、これも姜政敏さんの分析なんですけれども、もし大量の放射性物質が出てしまうと、大変な避難住民、避難面積になるということであります。
 では、最後のページをお願いいたします。
 武装警護の件なんですが、結局、核テロリズムでも使用済燃料の破壊というのは起こり得るということなので、実際に軍事行動に対しては軍隊が出てくることはあるわけですが、平常時では軍隊が常時警護に当たっている国はありません。ただ、例外として、ロシアはロスアトムと軍が合同で警備しているとか、フランスは憲兵隊と電気事業者が合同で防護しているという例はありますが。一般的に軍隊が守っているわけではないんですが、本当に今のままでいいのか。使用済燃料貯蔵プールへの攻撃は、非常に核テロリズムでも起こり得るということですね。これは原子炉が停止していても同じでありますので。
 先ほど申しましたように、ジュネーブ条約には使用済燃料貯蔵施設は含まれていません。こういうこともありまして、提案としては、できるだけ早くプール貯蔵から乾式貯蔵に替える、それから、非公開なんですけれども、原子力規制委員会が検討している設計基礎脅威を是非再検討していただきたいというのが私からのお話です。
 以上でございます。ありがとうございました。拍手
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赤澤亮正#9
○赤澤委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
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赤澤亮正#10
○赤澤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木宏壽君。
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高木宏壽#11
○高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽です。
 本日は、黒川会長を始め、アドバイザリー・ボードの会員の皆さん、忙しい中、御出席ありがとうございます。
 早速、質問に入らせていただきます。
 あの東日本大震災と東京電力第一原発事故から、昨年でちょうど十年が経過をいたしました。原発事故の調査を政府から独立した立場で行うため、国会に国会事故調が設置されて、衆参両院議長宛てに提言をまとめた報告書が提出されたのが二〇一二年の七月でありますから、本年でちょうど十年を迎えます。
 この提言を受けて、翌年には国会に当委員会であります原子力問題調査特別委員会が設置され、また、助言機関として、二〇一七年、平成二十九年でありますけれども、アドバイザリー・ボードも設置をされています。
 また、福島第一原発事故発生後、提言でも触れられていますが、これまでの原子力安全規制体制の問題点、すなわち旧保安院と内閣府のダブルチェック体制の実効性や規制と推進の分離が不十分であったといった指摘を受けて、いわゆる三条委員会の原子力規制委員会が環境省の外局として立ち上げられ、その事務局として原子力規制庁が二〇一二年九月に設置をされて、新規制基準の下、再稼働に向けた安全性審査が現在進められております。そこに貫かれている理念というのは、提言にもあったように、独立性と公開性であると考えております。
 アドバイザリー・ボードの黒川会長、当時の国会事故調の委員長として報告書をまとめられたわけですが、ちょうど報告書の提出から今年で十年になるわけで、まず初めに、この十年間の原子力規制行政をどのように見ているのか、その総括と現状の原子力安全規制の評価、認識について、これは参考人全員にお伺いしたいと思います。
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黒川清#12
○黒川参考人 私はこの分野の専門ではありませんので、結果として日本の組織の関係に関わっていることだなと思います。
 最近かなり考えているんですが、例えば、三菱銀行に入ります、十年、十五年すればそれなりのバンカーですよね、住友銀行に移れますか、非常に移りにくいですよね。では、東京大学でマスターも取って、工学部ですね、エンジニアになります、日立に入ります、十年、十五年もすれば相当なエンジニアですよね、その人はパナソニックに移れますか、非常に移りにくいですよね。そんな国がありますか、移れない国。世界中にあるかという話を聞くと、役所の人は、ありませんねと。ではどうしてそうなんだという話をするんですけれども。
 そうすると、横に動けないことが常識だと思っているだけの話で、それで三十年前までは経済成長していたからだと思います。つまり、忖度男しか上がらなかったんですよ。今の上の人たちも、よそに動けないので、結局、大会社のトップになっても自分で決めたことがないんですね。だから、今GDPは全然増えていないですよ、この三十年間。つまり、自分で決めたことのない人が幾ら上に行ったって決められないんです。しかも、企業が何か困ったときに霞が関に行くんですよ。こんなことがアメリカやイギリスであると思いますか。
 だから、そこに日本の何か慣れというか、たまたま三十年前までうまくいった理由は何かといえば、冷戦という枠組みがあって、冷戦の枠組みの一番のフロントは日本とドイツだったわけですよ。そのときに日本は、幸か不幸か、日本が引き揚げた朝鮮半島でまず戦争が起こったものだから、一気にアメリカが来て基地をどんどん増やしたわけですよね。本当に韓国の人たちがかわいそうだと思って、日本が引き揚げた途端に冷戦の枠組みで戦争し合ったわけでしょう。これがようやっと終わったと思ったら、次、ベトナム戦争が始まったわけですよ。またアメリカのフロントは日本とそれからフィリピンですよね。それで日本はすごく経済成長したわけです。
 アメリカのGIさんが来て、新しいラジオとかテレビを持ってくると、それを見て、ちいちゃく軽く安くするというのは日本人は得意なんですよ。それで、貿易で調子に乗ってきて、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるとばか売れしちゃうんですね。
 あのとき、エズラ・ボーゲルさんは、ジャパノロジーじゃないんですけれども、たまたま日本に、中国へしょっちゅう行っていましたけれども、行っているうちに日本のことを研究しようと思って、日本に何年もいていろいろなインタビューをして、これを書いたらばか売れしたんですね、また。だから、日本はおだてると調子に乗るんだということが結構分かっちゃったということがあるんです。
 ですから、なぜこの三十年間は経済が上がっていないのかということを考えてください。それまではそういう枠組みで、だから、忖度していれば上がれただけなんですよ、私に言わせると。だから、この三十年、ベルリンの壁が落ちて冷戦が終わり、冷戦が終わっていわゆるDXというふうになったわけですけれども、今頃DXなんて言っていることが時代遅れで。これは三十年前ですから。
 だから、そういう意味で、日本が全然成長していないところに、これは財界の問題ですけれども、これは明らかに、今度東電の会長になった小林さんが言っていましたけれども、こんなのは政府の政策とかそういう問題じゃなくて財界の問題だと言っていました。財界が駄目だからGDPが増えないんですよ。だから、そういうところでみんな何か閉塞感があるのが今だと私は思っています。
 だから、これをどう変えるかという話が非常に大事な問題ですけれども、将来の人たちがやるよりしようがないのかなというのが私の感想です。
 ありがとうございます。
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石橋哲#13
○石橋参考人 ありがとうございます。
 この十年を振り返って原子力安全規制行政をどう思うか、そういう御質問というふうに。
 まず、先ほど高木先生のお話がありましたけれども、今の原子力規制委員会設置法の閣議決定は、国会事故調報告が提出される五か月前に閣議決定されています。今の原子力規制委員会設置法は国会事故調提言を受けたものではないということをまず御指摘したいと思います。その後、報告書の提言が出ましたので、様々な御尽力を頂戴しているんだろうというふうに思いますけれども、そのようなことを申し上げたいと思います。
 この十年を振り返ってどうですかという話がございました。先ほど、黒川先生、鈴木先生、佐藤先生からも御指摘がありましたとおり、私も、過去の原子力安全規制行政に比べると、水準というんでしょうか、透明性、公開性というものの担保についての大きな御尽力はなされていらっしゃるんだろうなということは非常に強く感じるところでございます。
 一方で、私が先ほど申し上げましたけれども、国会事故調報告は国会の先生方に対する御提言を差し上げております。国会の先生方はこの十年間何をなさってこられたのかということは、非常に大きなはてなマークを掲げております。
 以上でございます。
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佐藤暁#14
○佐藤参考人 同じ質問に対してのお答えです。
 まず、原子力規制委員会は、以前は国内での仲間意識みたいなのがあったわけなんですね、産業界と。それが新しく、規制機関としてのコミュニティー、国際的なコミュニティーと一緒に働かなければならないんだ、そういうふうな意識に変わったんだろうというふうに、外から見てはっきりとそれが感じられるようになった。それが規制委員会が体質的によくなっていろいろな成果を上げてきた理由としてあるのではないかなというふうに思います。
 一方で、規制委員会のミッションとして、公衆と環境を守る、これも元々アメリカのNRCが昔から掲げていたことですけれども、日本の原子力規制委員会もそれをはっきりとうたうようになった。
 ですけれども、果たして、公衆を守るということで、そこのところを常に思い出しながら取り組んでいるかというふうに見ますと、非常に、そこら辺、疑問に感じるところがある。やはり、公衆を守るというからには、公衆とのコミュニケーション、ツーウェーコミュニケーションが必要なんですね。そこがやはりまだまだ消極的なところがあるといったところが私の全般的な感想です。
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鈴木達治郎#15
○鈴木参考人 ありがとうございます。
 福島原発事故の教訓として私がよく挙げるのは想定外のことを想定するということなんですけれども、これがまだちょっと十分ではないんじゃないか。例えば避難訓練を見ますと、相変わらずシナリオどおりの避難訓練をやっています。やはり、避難訓練を見ても、シナリオのない避難訓練のようなことを導入する必要があるのではないか。これは全般的に、想定外のことを想定するという体制がまだできていないのではないかなというのが一点。
 もう一つは、私、工学的リスク評価だけではなかなか安全性の確信が得られないということも福島事故の教訓なんですけれども、先ほど佐藤委員からもありましたが、やはり、工学的リスク評価以外にも、もちろん経済リスクもありますし、福島の被災者の方を考えますと、文化面とか、モラルとか、基本的人権とか、そういういろいろないわゆる人文社会学的な評価というのも大事だというふうに思います。その辺の評価体制をどう考えていくのか。これは原子力規制委員会だけではないんですけれども、原子力の安全を考える場合、そういう分野も考えていかなきゃいけない。これはコミュニケーションの問題にもつながると思います。
 最後にもう一点、実は規制業界だけではないんですけれども、原子力産業界自身が果たして福島事故の教訓をちゃんと踏まえているのかという点も、十年見ますと、どうしても、ハード面は大変設備が整って確かに安全性は高くなっていると思うんですが、やはり先ほど申しましたようなソフト面での、先ほど申しました文化の面、これがまだ十分ではないんじゃないかというのが私の不安です。
 以上です。
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高木宏壽#16
○高木(宏)委員 ありがとうございました。
 エネルギー政策の基本でよくSプラススリーE、セーフティー、安全を核に、エネルギー安全保障・安定供給、経済性、環境性、この三つの観点からバランスをどう取っていくかということにあると言われております。このバランスのつけ方、優先順位は、それぞれの国、地域の置かれた状況、例えば、化石燃料にどれだけ恵まれているかといった条件や人口構成、産業構造によっても異なりますし、また、同じ国であっても、時代によって何が重視されるかというのは変化すると思います。
 今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いて、ウクライナ情勢による原油高などでエネルギー供給が不安視されて、電力の逼迫やガス料金の高まりが懸念される中、以前にも増してエネルギー安全保障・安定供給、エナジーセキュリティーというものが優先課題として浮上していると思います。
 エネルギー安全保障の重要性とか、その観点から、電源を多様化することの必然性については党の様々な場で議論されておりますが、岸田総理も民放番組で、エネルギー市場の安定化のためには再エネの最大限の導入と原子力の活用を進めることが極めて大切であり、エネルギーの安定的な供給を確保するため、原子力規制委員会の審査体制の効率化を図りながら、新しい規制基準に適合すると認められた原発は可能な限り活用していきたいという意向を示しました。
 また、これについて、官房長官も記者会見で、原子力発電所の再稼働については、安全性の確保を大前提に、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合に、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら進めるのが政府の方針だとした上で、審査体制の効率化について、原子力規制委員会において、審査内容が共通する案件を同じチームで担当するなど審査官の機動的な配置を行うことに加え、過去の審査の主な論点などを公表して事業者の予見性を向上させることや、審査すべき項目の趣旨の明確化にも着手していると説明しております。
 そこで、審査の効率化については様々な意見があると考えておりますけれども、効率化という概念についてどのように捉えられるのか、これは佐藤参考人にお伺いしたいと思います。
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佐藤暁#17
○佐藤参考人 お答えしたいと思います。
 私の先ほどの説明でも一応述べさせていただいたわけなんですけれども、今回、原子力規制委員会は新規制基準というところまでは作ったわけです。ですけれども、審査指針というものは作らなかったんですね。
 その審査指針というのはどういうものかといいますと、アメリカのケースですけれども、要は、事業者が提出する申請書のフォーマットをそろえて、それぞれのパラグラフにどういうことを書くのかということを全部決めちゃうわけです。審査側はどういう点で審査をしていくのか、それを克明に書き込んだものなんですね。それが審査指針なんです。ですから、それが一つあれば複数の審査官が同時並行して審査することができるわけです。
 それに対して、日本の今般の審査のやり方は、一つ一つの事業所の申請書を会合形式でレビューする。これはこれで私は公開性とかそういう点では意味はあったんだと思うんですけれども、ただ、効率という点では非常にプアだったというふうに思います。それと、また事業所側の努力も足りなかった。
 私の先ほどの説明では、事業者を統括するような、そういう組織、アメリカにはNEIという組織があるんですね、そういうところが事業者指針というものを作るんです。自分たちでそういうフォーマットだとかを、規制機関が作る前に彼らがプロアクティブにそういうものを作って、こういうものでどうでしょうかというものを規制機関に出して、それでいいでしょうというふうになれば、ほかの事業者が右に倣えをして同時に進んでいく。そういうことで、たくさんの規制活動が並行して進むような仕組みがあるわけですね。それを採用しなかったというのが日本の非効率的なやり方の原因だったというふうに理解します。
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高木宏壽#18
○高木(宏)委員 黒川参考人、原子力の専門家ではないと言いながら幅広い知見をお持ちなので、お伺いをしたいと思いますけれども。
 原子力発電に関しては、事故が発生したときの情報を含めて国際的な知見を共有するというのが極めて大事だと考えております。国会事故調の調査報告書も、事故の原因を世界と共有すべきとの理念から海外に積極的に発信して、国際的に評価されていると理解しております。世界はこの事故からいろいろ学びたいと思っていると私は考えておりますけれども。
 国内では福島第一原発事故をめぐる多くの優れた著書、報告書が出されていると承知しておりますけれども、一方で、米国の原子力規制委員会が、NAS、全米科学アカデミーですか、ここに依頼した事故調査では、引用文献の二〇%程度しか日本発の各種報告書が引用されていなかったとのことであります。文科省の調査で、注目度の高い論文数の世界ランキングで日本は二〇〇〇年代以降低下傾向にあり、論文市場で見た日本の存在感は低下しております。
 いわば国際知識ネットワーク、頭脳循環からの日本の脱落が顕著なわけで、その背景の一つにはやはり言語の壁、英語の壁があるのかなとは思うわけですが、こうした事故を含め原発に関わる教訓や知見を世界と共有していくということは国としての信頼性向上にもつながりますし、評価にもつながると思います。
 そこで、世界は福島第一原発事故からいろいろと学びたいと思っているということで、その公開性をめぐる課題、どうしたらもっと国内の優れた知見を世界に発信していくことができるようになるのか、黒川参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
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黒川清#19
○黒川参考人 これは非常に難問でありまして、私、最近、そのことは随分自民党でも話しておりますし、役所とも話しておりますし、特に財務省は私の言い分については随分気にしていて、この間もブレストしたんですけれども、向こうも三人ぐらい来て、文科省の人たちが課長も五人ぐらい連れてきて、三日前にやはり二、三時間やったんですけれども。
 日本の研究は、今、全体の研究のインパクトのあるペーパーということですけれども、大体九位ぐらいになっていますね、世界で。今、トップが初めて中国になりました。二番がアメリカですけれども、三、四、五はドイツ、イギリス、フランスあたりで、日本が九位なんですよ。それもこの間自民党でも話しましたし、いろいろなところで話していますが。
 これはなぜかというと、やはり他流試合をしないんですね。企業と同じように、例えば東京大学の教授を見ると七〇%が東大卒です。カリフォルニア大学というのは十ありますけれども、カリフォルニア大学の教授を見ると、カリフォルニア大学卒、UCLAとかがありますけれども、カリフォルニア大学卒業の人は二〇%そこそこです。つまり、一つ一つのステップで必ず他流試合をさせるわけですね。それが日本は最初から、入口からずっと縦になっているんです。そうなると、研究も先生のテーマをやるわけです。だから、横に行かないので、これが日本の一番の弱さになっているわけで、インパクトのある論文が出てこないんですよ。
 私もアメリカで十四年やっていましたけれども、やはりそれは、どういうところで自分が認められて、どんどんどんどんお互いにセミナーをやったりしますけれども、動きやすいので、どういうところにまず引っ張り上げてもらうか、その大学よりもっといい大学にしておこうと思うとどんどん常に頑張れるんですけれども、日本は入口からずっと縦に行っちゃうので。それがうまくいった理由は、今考えてみると、冷戦構造だったから大きな枠組みは日本の政治が考えなくてもよかったということだと思います。
 だから、私は本当に、国会議員の先生たちがすごく大事だというのが、大きな枠組みを議論をしながらつくっていく。行政府はディテールをつくってくれるだけの話なので。これができていないんじゃないかな。専ら行政府がやっているのを国会が審議してオーケーするという、プロセスが逆になっていますね。アメリカの場合は、法律をやるのは全て国会ですから。ディテールをやるのは行政府にやらせますけれども。国会が全部決めるというのは、まあ、ここでもそうですけれども、それが基本になっています。だから、そういう意味では、たまたまそうじゃないシステムでうまくいっていたところで調子に乗っちゃったというのがあるのかなと思います。だから、三権分立をしていない。
 私は本当に、国会議員の先生たちはいろいろな案件があるんだけれども、一番大事なんですよ、国民の意見を受けてどういう政策をつくっていくかということが。全部それにやるのが、アメリカはそうですし、イギリスもそうですので、行政府は決まったことをちゃんとやれよなということで、誰がこれをチェックしているか。
 これは会計検査院なんですけれども、実は、アメリカや何かでは、会計検査は、お金だけじゃなくて、実際のそのやった政策がどのぐらいの効果があっているかということをどんどんどんどんやるようになりまして。ガバメント・アカウンタビリティー・オフィスとなっていますけれども、アメリカの場合はそれが今、国会の下にくっついているんですね。だから、行政府が何をやっているのかをみんな会計検査院が、お金だけじゃなくて、効果がどのぐらいあったのか、高速道路を造ったらどのぐらい利用されているのかとか、それを全部調べてきて議会に上げてくるんですね。そうすると、議会はどんどん行政府をチェックできる。こういうふうになっていただきたいなというのが私の希望です。
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高木宏壽#20
○高木(宏)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
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赤澤亮正#21
○赤澤委員長 次に、浅野哲君。
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浅野哲#22
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
 本日は、質疑の順番に御配慮をいただいた他会派の皆様には感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
 また、アドバイザリー・ボードの四名の皆様には、お忙しい中、本日も、示唆に富んだお話をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。
 事故から十年が経過して、一年前のこのアドバイザリー・ボードの質疑、私もこの部屋におりましたけれども、その頃を思い出しながら先ほどの話を伺っておりました。
 改めて、今日、まず最初、四名皆様に見解をお伺いしたいと思っておりますが、黒川参考人からも規制のとりこという話がございましたし、佐藤参考人からも、この規制のとりこを脱したのかどうか、こういった問いかけがございました。規制のとりこを脱したのかどうかという問いについて、ほかの皆様の御見解も是非お伺いしたいと思い、まず最初には、その質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。四名皆様からお願いいたします。
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黒川清#23
○黒川参考人 ありがとうございます。
 規制のとりこというのは日本でもまだまだあると思います。企業でも困ったときに霞が関に行くなんということ自身が非常におかしいと思いますし、お上頼みなんですよね。だから、そういう意味では、三権分立がきちんとしていないなということが問題だと思いますし、企業が問題があれば国会の先生のところに行くのが普通ですよ。
 行政府がなぜ上になっているのかというのは、恐らく明治時代は天皇陛下の役人だったからだろうというふうに思っています。となると、日本は本当に民主主義になったのかというと、誰が民主主義にしたんでしょうか。マッカーサーが来たからじゃないですか。それが民主主義だよと言ってみんな選挙をするようになったんだけれども、自分たちで民主主義でやるというのは、やはりロイヤルファミリーがいるところからの返還があるわけで、それがやはりある程度の、イギリスもフランスもみんなそうですけれども、王様から権力を取るというプロセスがあるわけですね。
 だから、それがたまたま戦後に来て、マッカーサーにこれが民主主義だよと言われた話だけで来ているんじゃないかというのが、私の、最近ずっと考えていたんですけれども、そうじゃないかなと思っております。
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石橋哲#24
○石橋参考人 ありがとうございます。
 まず、御質問は、規制のとりこを脱したのかという御質問だったと思いますけれども、規制のとりこを脱したと思った途端に規制のとりこになると思います。なので、これは不断の改革の努力をし続けるしかないというふうに思います。
 先ほどからいろいろな御議論の中で、安全を大前提に云々という御議論が世の中にはたくさんございます。日本の様々な御議論を拝見すると、大前提になった途端に、その大前提が本当に成り立っているのかということについては放置するということが多々見られるように思います。サイバーセキュリティーも同じでございます。
 海外との知見の共有ということについても、国会事故調提言五、新しい規制組織の要件の3)に、海外との交流、しかもこれは、ただ単に研修を受けるというわけではなくて、海外の動いている若しくは止まっている原発の操作員、作業員として日本の原子力関係の方々が行かれる、若しくは、海外の方々が、日本の原子力、廃炉作業中のものも含めて、そこに来て実際に作業をする、一緒にやる、それによってグローバルな安全文化というものが醸成されていくんじゃないかということについての御提言を差し上げているところでございます。
 以上でございます。
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佐藤暁#25
○佐藤参考人 お答えいたします。
 私も、黒川先生がレギュラトリーキャプチャーという言葉を使い出してからいろいろなものを調べてみました。そうしましたら、レギュラトリーキャプチャーだけでなくて、レギュラトリー・アンド・アカデミカル・キャプチャー、そういうのも出てきたんですね。実は、日本の原子力の場合、まさにそうだったんですね。
 というのは、私は元々原子力産業界で仕事をしていた人間ですのでその仕組みがよく分かっているんですが、つまり、規制側に十分な知見の蓄えがないわけです。ですので、新しい問題が起こったときに、規制側は何とか委員会というものをすぐにつくって、大学の先生を集めて委託するわけですね、検討を。ですけれども、実は大学の先生方も十分な知見がない、それでその大学の先生方は電力会社を呼び出す、そういう形で、三つどもえ構造になってしまって。単なるレギュラトリーキャプチャーではない、規制機関は大学の先生には一定の敬意を払っていますので、まさに三つどもえ構造ができ上がっていたということなんです。それは昔の話です。
 今の規制委員会になってからは、そこのところはしっかりと脱却したなと。つまり、彼らの中でしっかりとした研修制度を確立して、アメリカに勉強しに行ったりとか、そういうこともするようになりまして。これも、私、先ほど申し上げましたように、世界の規制のコミュニティーの中で仕事をするようになった、そういうふうに見受けられます。
 ですので、私の判断としては、規制のとりこから脱却したのか、かなりいいところで脱却しているというふうに私は感じています。
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鈴木達治郎#26
○鈴木参考人 ありがとうございます。
 規制のとりこを脱したかという面で、原子力規制委員会の独立性は担保できたかという意味ではイエスだと思います。だけれども、今、既にいろいろな、ほかの委員からもありましたけれども、私の質問はむしろ、福島事故の教訓をちゃんと踏まえたかという観点から考えますと、全体的にはノーだと思います。
 特に、今ありましたけれども、学界、産業界、政界、国会を含めて、やはり原子力規制委員会に圧力をかける人たちもまだいっぱいいます。これは自然といえば自然ではありますが、これが実はやはり福島事故の教訓を踏まえていない。それから、ゼロリスクを追求するという原子力、一般の住民の皆さんとか反対派の方々もそこはまだなじんでいないというか、福島事故の教訓を踏まえていない。
 これは、やはり、規制のとりこを脱したかという今の、委員長からもありましたけれども、社会全体が独立した規制機関をどう育てるかというカルチャーが育たないと、規制委員会がまた孤立してしまう可能性があります。そういう意味では、私は、福島事故の教訓を踏まえたかという観点で見ると、まだ不十分だというのが私の答えです。
 ありがとうございました。
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浅野哲#27
○浅野委員 ありがとうございました。まだまだ課題が多いということを再認識させていただきました。
 今、鈴木参考人からもございましたけれども、今、最後の部分は、提言の五、新しい規制組織の在り方についてという部分に関連するのかなというふうに理解をしておりますけれども、改めて、この原子力問題調査特別委員会という場において、これまで、私も二〇一七年から約五年間この委員会に在籍して議論をさせていただいておりますが、ではこの委員会の中でどのくらいの提言について触れてきたのかということを振り返りますと、私自身は、まだまだ七つある提言のうち一部しか触れられていないのではないか、そのように今感じているところでございます。
 是非、黒川参考人そして石橋参考人にお伺いをしたいんですが、この七つの提言のうち本委員会でどのくらいのことが議論されてきたのか。私はごく一部だと思っておりますけれども、そこに対する御見解、お二人の認識をお伺いできればと思います。
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黒川清#28
○黒川参考人 私の個人的な意見ですけれども、これは、国会が法律を作ってこういうことをやらせていただいたわけです。それで、私たちは報告書を国会の両院議長に渡しました。ですから、先生方がこれをどれだけやらせるかというところに懸かっていると思います。
 私たちのスポンサーはあくまでも先生方でしたので、両院の議長にこういうふうになりましたというのを渡したので、今度は国会の方に今渡しているという格好になっているので、是非先生方の方で、行政をどうしたどうしたという話が一つすごく大事だと思います。
 二つ目は、その頃からかなり私はいろいろなところで、外でしゃべったんですけれども、やはり原子力というのは世界共通のグローバルウォーミングにはいい発電ですよね。だけれども、そうなると、アメリカとかイギリスとか日本のアライのところでは運転する人が、いろいろなことをやる人が常にお互いに共有している方がいいんじゃないかという話をしたわけです。つまり、交換して、一対一で、ではアメリカでやっている人たちが日本に来て一年間やろうよという話になると、何かあったときに、お互いにみんな、すぐに電話で、こうなったときにどうしようという話がすぐできるわけじゃないですか。
 だから、是非、それをやると、原子力のオペレーターも、ルールを作るのも、OECDとかこちらのアライですけれども、みんな共通のスキルセットとレギュレーションをきちんと書いておけば、こっちでやる人も、アメリカやイギリス、フランスの連中も来ているよ、向こうでも日本の人がやっているよといったら、何かあったときにすぐに自分たちでメールなりなんなりできるようなネットワークをつくるのがいいと言っているんですけれども、なかなか、日本の人は外に行くというのと交換するのが嫌なんですね。英語ができないというのもあるのかもしれないけれども。お互いに慣れちゃいますよ、原子力のオペレーターも。
 そういうふうにしてというのが、一つ、日本のイニシアティブでやるというのは非常に向こうも喜ぶと思うんですけれども、是非そういう、オペレーターもルールを作る人たちもOECDのグループは一緒にやっているよという話は非常に大事なことなんじゃないかなと私は思っています。それは是非考えてやっていただけるとうれしいです。
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石橋哲#29
○石橋参考人 ありがとうございます。
 この原子力問題調査特別委員会で七つの提言がどこまで触れられたのかという御質問だと思います。
 私、こちらにお邪魔をさせていただくと、何度も申し上げておりますけれども、提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、その進捗状況を国民に公表することを先生方にお願いしております。昨年も同じことを申し上げましたけれども、この一年間の議事録若しくはインターネット配信の動画を確認させていただきましたが、そのことについての御議論は一言もございませんでした。それが全てを表していると思います。
 以上です。
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