平田充の発言 (厚生労働委員会)
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○平田参考人 経団連、平田でございます。
本日は、雇用保険法の一部を改正する法律案に対する経団連の考え方を御説明する機会を頂戴し、誠にありがとうございます。
改正案の内容は多岐にわたりますが、私からは、主に、雇用保険法、職業安定法、それから職業能力開発促進法について、賛成の立場から考え方を述べたいというふうに考えております。
まず、雇用保険法の改正について申し上げます。
今回の改正案でございますけれども、新型コロナウイルス感染症が雇用に甚大な影響を与えるリスクが高まる中、雇用の安定と就業の促進を図るとともに、雇用保険財政の安定運営に配慮した適切な改正案であるというふうに考えております。
その上で、三点申し上げたいというふうに思っております。
まず第一に、雇用保険料率について申し上げたいと思います。
雇調金の財源である雇用安定資金への多額の貸出しによって積立金が減少し、本来であれば二〇二二年度の雇用保険料率は本則に戻すべきところでしたけれども、労使の負担感を考慮していただきまして、改正案では、急激な料率引上げを回避する激変緩和措置を講じていただいております。こうした配慮に改めて感謝を申し上げますとともに、二〇二三年度以降も、雇用情勢だけではなく財政状況も慎重に見極めながら、適切な対応をお願いしたいというふうに考えております。
第二に、失業給付に要する費用に対する国庫負担割合について申し上げたいと思います。
改正案は、財政状況が悪化した場合の国庫負担を四分の一、それ以外は四十分の一というふうにして、これに加えて、機動的な国庫からの繰入れの常設化を盛り込んでおります。コロナ禍が長期化し先行きが不透明な中で、セーフティーネット機能を確実に果たし、財政の安定運営を実現するという観点からは適切な改正であるというふうに考えております。今後、必要なタイミングで確実に国庫を繰り入れ、このような仕組みを適切に運用していくことが重要だというふうに考えております。
第三に、雇用調整助成金に関する費用負担について申し上げます。
雇調金を含む雇用保険二事業は、事業主のみ負担する保険料と単年度の剰余を積み立てた雇用安定資金によって賄われております。雇調金の二〇二〇年度の当初予算は約四十億円に満たないレベルであったというふうに記憶しておりますけれども、特例措置等により、この二年間で五兆円を超える支出が行われております。雇用安定資金につきましては、失業等給付の積立金から約二・六兆円を借り入れており、来年度末には三兆円近くまで膨れ上がる見込みと、当初全く想定していなかった状況にあるというふうに考えております。
こうした想定を大きく上回ることとなった支出や借入れを誰が最終的に負担をするか、すなわち、多額の累積債務に関するその返済の在り方については、改正案では二〇二四年度までを目途に検討することとされております。
このこと自体は評価をしたいというふうに思っております。ただし、感染症対策として国ですとか地方自治体の要請により休業を余儀なくされているということを踏まえれば、仮にその全てを最終的に全額事業主の負担とすることには、大きな疑問そして強い懸念を持っているところでございます。
今後の議論であるとは承知しておりますけれども、雇調金の本来の役割である急激な景気変動に対する一時的な雇用の維持という範疇を大きく超えるような長期間の特例の運用の結果、雇調金が本来の運用をしていれば失業給付に移行していたであろう部分までカバーし、失業給付に係る負担を実質的に肩代わりしたという見方も可能だというふうに考えております。
したがいまして、雇調金として支出されたという外形的な理由で、全額事業主のみの負担として形式的あるいは固定的に整理することは適切でないというふうに考えております。制度の持続可能性の確保に向けて、適切な御検討をお願いいたしたいというふうに思っております。
次に、職業安定法の改正について申し上げたいと思います。
ICT等の活用により、求人メディア等の雇用仲介サービスが多様化し、これまで想定していなかったビジネスモデルが生まれております。今回の改正は、こうした実態を踏まえ、多様化する事業者が依拠すべきルールの整備を企図しており、事業運営の適正化の推進に寄与するものというふうに承知しております。
また、雇用仲介サービスを労働市場において積極的に位置づけると同時に、マッチング等につながる有益なイノベーションを阻害しないという観点からも制度設計がされているというふうに理解しております。結果として、求人者や求職者等のユーザーが安心して求人メディア等を利用できる環境の構築と、労働市場の需給調整機能の向上につながる改正というふうに評価しているところでございます。
最後に、職業能力開発促進法について申し上げたいと思います。
ポストコロナ社会を見据えますと、雇用維持ではなく、成長産業や分野への労働移動の促進も重要な政策課題というふうになると考えております。さきに述べました労働市場のルール整備に加えて、働き手の職業能力の開発それからスキル向上は不可欠になるというふうに考えております。
新型コロナウイルス感染症によって社会全体が甚大な影響を受けた一方で、業績については、業種や企業、あるいは地域ごとに大きな差が出ている状況です。職業訓練におきましても、画一的な内容とするのではなくて、地域経済の状況ですとか特性、ニーズ等を適切に反映することがこれまで以上に求められている。そうした中にあって、都道府県単位で関係者が参画する協議会を法的に位置づける改正案は妥当であるというふうに考えております。
以上が、簡単ではございますけれども、今回の改正法案に対する私どもの認識でございます。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)