藥師寺順子の発言 (厚生労働委員会)
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○藥師寺参考人 よろしくお願いいたします。
大阪府中央子ども家庭センターの藥師寺と申します。
それでは、早速説明をさせていただきます。お手元の資料を御覧ください。
二ページを御覧ください。
大阪府子ども家庭センターは、児童相談所機能、郡部福祉事務所機能、配偶者暴力相談支援センター機能を有しております。児童福祉法改正案にあります、市町村が設置するこども家庭センターと紛らわしいと思いますが、御了承ください。
大阪府の児童相談所の担当する地域の状況ですが、所管地域は大阪府内、政令指定都市である大阪市、堺市を除く全四十一市町村を六つの児童相談所が担当しております。
三ページを御覧ください。
大阪府子ども家庭センターの職員体制です。児童相談所の相談支援を担う児童福祉司二百六十五名、児童心理司八十一名、医師二名、保健師六名を配置し、一時保護所には、子供のケアを担う児童指導員や保育士、心理職、栄養士、看護師を配置しております。
令和四年四月時点では、国の配置標準と比べ、児童福祉司百九十四人、児童心理司百四十六人不足しているという非常に厳しい状況にございます。
なお、優秀な人材を一度に確保することは困難であり、採用後の育成にも一定期間を要するため、毎年度、児童福祉司二十名の計画的増員を進めております。
四ページを御覧ください。
児童福祉司の状況です。計画的増員を進める理由は、児童相談所が組織として専門性を確保するためでもあります。令和四年度現在、児童福祉司の児童相談経験年数の平均は四・五年です。平成二十八年度の百六十二名から令和四年度までに百三名増員しており、児童相談経験年数三年未満の職員はおよそ半分になっております。
まさしく職員の育成が急務であり、体系的な研修を実施し、実務では若手職員とベテラン職員が複数で保護者に対応し、子供には児童心理司とチームを組んで支援しております。特に、児童虐待対応の専門性は、職員一人一人が十年、二十年と経験を積み重ね、最新の知見を取り入れながら、組織として培っていく必要があると考えております。
五ページを御覧ください。
大阪府の二十年余りの児童虐待に対する取組について、大きく三期に分けて整理しております。
第一期は、平成十二年に児童虐待防止法が施行され、支援的なアプローチから転換し、弁護士、医師との協働を得て、児童虐待への介入をしっかりできる組織にしようと取り組みました。
第二期は、介入保護と法的対応の蓄積を進め、子供の生命と安全を守るため、弁護士の協力を得て家庭裁判所に積極的に申立てをし、現在では年間七十件に上ります。
第三期は、虐待を防止するために、切れ目のない包括的な支援を地域でどう構築していくかという課題に取り組んでいるところです。まさしく児童福祉法改正案が実現しようとしているものです。
まず、児童相談所が二十四時間三百六十五日対応するために、平成二十七年度より、全センター職員輪番の夜間休日当直チームを開始しております。若い職員が多い中、警察官OBとともに、子供の安全確認や保護を適切に実施できる体制を整えております。緊急対応にとどまらず、改正案に示されております一時保護解除後の親子支援や市町村と連携した家庭支援に取り組んでいるところです。
六ページを御覧ください。
具体的なデータをお示ししております。虐待相談対応件数、一時保護件数、家庭裁判所への申立て、立入調査や警察への援助要請、弁護士への相談の件数の推移を見ていただきますと、年々厳しい状況になっております。児童相談所が介入するより前に、市町村や地域の支援で虐待を未然に予防することが非常に重要であると考えております。
七ページを御覧ください。
計画的な増員とともに、児童相談所の機能を強化するため、平成二十八年度から、組織再編、効果的な業務分担に取り組んでおります。大きくは、地域の保護者や子供、関係機関からの通告や相談を受けて対応する相談対応課と、施設入所や里親委託児童のケア、保護者支援を担う育成支援課の二課体制とし、組織として介入と支援を分けております。
年間一万六千件を超える虐待通告や様々な相談をインテーク・初期対応チームが一手に初期調査、初期アセスメントを行って、よりリスクの高いケースの継続支援を地域担当児童福祉司が担うなど、より効果的な組織対応を目指しておりますが、増加する新採、新任職員の育成を担う指導教育職員の負担が大きいことが課題になってまいりました。
八ページを御覧ください。
大阪府では、昭和三十五年より福祉専門職を採用し、相談機関や福祉施設の支援業務の全てを福祉専門職が担っております。児童福祉司や心理司の計画的増員を進め、児童相談所の機能を高める優秀な人材を確保するために、八年前から採用セミナーや職場体験実習、大学訪問など、積極的なアウトリーチを行っております。
しかし、他府県、児相設置を進める中核市、市町村の専門職採用も活発になっておりまして、人材確保は非常に厳しい状況にございます。
九ページを御覧ください。
大阪府の児童虐待相談対応件数の推移です。過去十年間で三・三倍と急増しております。中でも、近隣住民からの泣き声通告や、警察からの面前DV通告などの心理的虐待に関する通告が増加しておりまして、約六割を占めており、職員たちが子供の安全確認や保護者面接に走り回っている状況です。
十ページを御覧ください。
夜間休日対応の現状です。夜間休日対応班の出動件数が年々増えておりまして、令和二年十月より、休日は出動二班体制にしております。ただ、夜間休日は、市町村が閉庁しておりますので、家族の状況、市町村での支援の状況、学校等の情報が得られず、情報の少ない中で対応を検討せざるを得ません。
夜間休日も含め、市町村と連携した対応体制が取れることが次に取り組む課題だと考えております。
十一ページを御覧ください。
一時保護件数と、そのうちの虐待相談における一時保護件数の推移です。少し増減はありますが、高止まりの状況となっております。特に中高生の一時保護が増えており、一時保護先の確保が困難であり、一時保護所だけでは対応できず、児童養護施設や児童自立支援施設、自立援助ホームなどにも委託をお願いしております。
十二ページを御覧ください。
一時保護全体のうち、子供の安全を優先して保護した結果、職権保護の割合が八割弱になっておりまして、対応困難なケースが増加しております。また、一時保護所への夜間休日の入所が約六割となっておりまして、夜間休日の保護等の対応体制とともに、一時保護所の受入れ体制の整備も必要となっております。
十三ページを御覧ください。
改正案では一時保護開始時の司法審査が導入されますが、職権による一時保護開始直後、児童相談所が保護者に初めて会うことが多く、虐待等の事実や養育状況を確認し、児童相談所の役割や一時保護の必要性を説明しても、初回面接では納得されないことが多いため、ほとんどが司法審査を受けることになると考えます。
現状では、七日以内の裁判所への請求事務を行うには非常に厳しい状況にありますので、必要な体制を整備するには一定の時間が必要です。国には、法施行までの体制整備への支援をお願いしたいと思います。
また、一時保護中、担当者は、子供の気持ちを聞いて、どうしたいかを話し合う時間、保護者と養育について振り返る時間を優先したいというのが切実な思いです。司法審査に係る事務負担はできる限り少なくなるよう、運用上の工夫をお願いいたします。
また、一時保護所の設備運営基準を独自に設定することは、二十四時間三百六十五日、緊急に保護され、様々な背景を持った子供のニーズを把握し、必要な個別的ケアや支援を行うために必要不可欠です。基準の設定に当たっては、現状や現場の意見を十分に反映いただきたいと思います。
十四ページを御覧ください。
児童相談所の対応は、弁護士や医師との連携が欠かせません。平成十二年度より、弁護士と医師から成る大阪府児童虐待等危機介入援助チームを設置し、令和四年四月一日時点で九十六人の弁護士に登録いただいております。各児童相談所二、三名の担当弁護士が定期的に児童相談所に来ていただくとともに、個別の法的対応について、電話やメール、事務所への訪問相談などにより、日常的に相談しております。
また、通告を受けた子供の受傷や骨折などの法医学鑑定、性的虐待被害の医学的診断を必要とするケースも増加しておりまして、チームに登録いただいた医師に医学的な診断を求めております。
里親や施設に措置された後も、虐待を受けた子供のケアは必要不可欠です。平成二十五年度に開設した診療所、こころケアに児童精神科医の常勤医師二名を配置し、虐待を受けた子供への医療、心理治療を集中的に実施しているところです。
十五ページを御覧ください。
新たに施設に入所する中学生、高校生の割合が増加し、入所先の確保に苦労している現状があります。思春期の子供たちと関係を構築し支援するには、高い専門性とスキルが必要です。また、自立について考える期間は短く、退所後の支援が必要な子供が多いため、支援体制の構築が急務となっております。
十六ページを御覧ください。
一時保護や入所に至った子供のケアだけでなく、保護者への支援が親子関係の再構築には欠かせません。児童相談所が子供の安全確認や緊急保護という初期対応だけでなく、中長期に子供と保護者の虐待からの回復を支援するためには、児童相談所における保護者支援の体制を強化するとともに、専門性の高い民間団体の育成、支援、市町村の支援体制の強化と民間団体との連携が急務となっております。
私からは以上です。ありがとうございました。(拍手)