早川悟司の発言 (厚生労働委員会)
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○早川参考人 皆さん、こんにちは。児童養護施設子供の家の早川と申します。よろしくお願いいたします。
私は児童養護施設の現場におりますけれども、今回の法案あるいは二〇一七年からの新しい社会的養育ビジョンについては、業界の中でも様々な反応がございます。ただ、それについて統一した見解があるわけではないので、私からは、一施設の職員として、報告ということで捉えていただければと思います。
パワーポイントのスライドを中心にお話をします。
まず、1、社会的養護とはということで、国による定義は一応書きましたが、割愛をします。
赤字で書いたところは、適切に養育を受けられないにもかかわらず社会的養護にも結びついていない児童等が少なからず存在することに留意が必要というふうに書かせていただいております。
権利条約でも、十八歳未満の全ての者について、二十条では、国が代替的養護の責任を持つ、第一義的には家庭で育つ権利があるんですけれども、それができない場合には国が責任を持つということになっているんですけれども、実際は、社会的養護に結びついていなくて、保護者の元を離れている子供だったり、あるいは、社会的養護に結びついても、十五歳、十六歳で結果的には自立を強いられている子供たちがいます。そういった人たちの存在を忘れてはならないということを留意しないといけないと考えています。
3、社会的養護下の児童等や退所者が負わされている二大不条理ということで書きました。
一つは、若年、低学歴で強いられている社会的自立ということで、今言ったように、極めて適切でないような養育環境で育った子供もいるわけですけれども、一般の子供よりも早く、そういった低年齢、低学歴で社会に出されている現状がある。
二番目に、地域生活の連続性の欠如。これが私は非常に配慮が足りていないなと思うんですけれども、子供は、虐待や保護の名の下に、ある日突然、家庭、学校、地域という三つの柱を同時に奪われます。場合によっては、これが里親さんのところに行って里親不調とか施設不調ということになれば、この家庭、学校、地域の引っ剥がしというのはまた繰り返されます。このことが子供の発達に及ぼす影響は極めて甚大なんですけれども、その辺りに対する配慮が十分でないなというふうに常々考えています。
貧困、虐待、養護問題の世代間連鎖を止めるにはこれらへの対応が不可欠と考えており、4のところで、子供の家では、どうやってこの二大不条理に立ち向かっていくかということで日々検討しております。
赤字で書きましたが、中段のところで、社会的養護自立支援事業利用者、今八名ということで、多いときには十名を超す利用者がいました。
どういうことかというと、二十歳までは措置延長で在籍できるんですけれども、二十歳を超えると、二〇一七年から、社会的養護自立支援事業ということで、二十二歳年度末までの在籍が認められるようになっております。そういったことで、子供の家では、今はもう二十二歳まで在籍するのが当たり前ということで、先月も、三月に三人の人が社会に出ていきましたが、三人とも二十二歳年度末でした。二人は四年制大学を出て、一人は、専門学校を中退してしまったんですけれども、その後、就職をして社会に出ていきました。
そういったことで、昨今、非常に議員の皆さんや厚労省の皆さんの御尽力もありまして、非常に手厚い支援ができるようになったなというふうに感じておりますけれども、ただ、全国的な状況を見ると、大半がいまだに十八歳自立です。せっかく制度がつくられても、使われていないというのが現状です。
あと、家庭、学校、地域の引っ剥がしということを言いましたけれども、6、7のところでちょっと紹介をしていますけれども、子供の家では、一度預かったお子さんは二度とたらい回しにならないように精いっぱい、最大限二十二歳まで、場合によってはそれ以上、そこを超えて支援を継続するということと、あともう一点は、地域の中で、措置されている子供を施設の中で待っているのではなくて、我々から地域に出ていって、地域のお子さんを支えましょうということで、そだちのシェアステーションという取組をしております。
基本活動は、ショートステイ、トワイライトステイ、あとは、放課後児童、不登校児童の居場所、生活支援、学習支援、食事提供、保護者への養育相談を柱にしています。
次のスライドに行ってもらって、8、これは付言ですけれども、こういった活動も、この後拡充していきたいなというふうに考えております。
この辺り、児童養護施設全体にこういった機能強化とか機能転換といったことが言われていますけれども、是非こういった辺りも強化していっていただきたい。
ただ、このときに自治体の負担率がかなり課題になります。私がいる清瀬市は、私ども社会福祉法人は税金を納めていなかったり、あるいは、都営住宅が非常に密集しているところなので低所得の御家庭の皆さんがかなりいらっしゃって、非課税世帯だったり、あるいは生活保護受給世帯だったりが多くて、そうすると、市の収入が少ないわけですね。市の収入が少ない自治体ほど支援のニーズが高いわけです。でも、これを一律に、市町村が三分の一とかそういった負担を負わされると、結局、必要な自治体が必要なことができない、裕福な自治体はできるという矛盾が生じております。この辺り、十分御検討いただければと思っております。
9から児童福祉法改正案というところですけれども、先ほど言ったように、二十二歳年度末までの支援は実施施設が極めて少なく、格差が拡大しているということで、大半の施設は十八歳でやはり出ないといけないと思っています。先ほど言ったように、子供の家は大学卒業まではみんないられるというふうに思っていますけれども、子供は施設を選べないのにそういった格差が看過されるべきではないと考えます。
次に、児童自立生活援助事業。この辺りについては、今までの社会的養護自立支援事業が、法的根拠がないために都道府県によって取組がまちまちだったんですけれども、今回、六条の三で法的に裏づけられて、義務的経費になったということは非常に大きな前進だと思っております。
ただ一方で、支援が一旦途絶えると、措置延長から継続、連続していないと支援が継続できないんですね。一旦途絶えて出戻るみたいなことが想定されていませんので、この辺りは今後の課題だということで考えています。
10の(16)のところ、社会的養護支援拠点事業のところです。いわゆるアフターケアの拠点なんですけれども、こちらも根拠法に明示されたのは前進なんですけれども、こちらについては義務的経費になっていないんですね。生活支援に関しては義務的経費になりました。だけれども、アフターケアになると義務的経費にはなっていないということです。
あと、ここも、対象に、先ほども申し上げたように、社会的養護に本来来た方がいいんだけれども来られなかったお子さん、青年たちがいるというところで、そういった方々が困難の中にあるといったときに、ここの、こういう拠点事業から排除するということがないようにお願いしたいなと思っております。
(17)、意見表明等支援。これも先ほどからお話がありましたが、今回、十八歳成人になりますので、今まで措置延長とか社会的養護自立支援事業が十分に活用されていない大きな理由に、子供不在で、施設だったり里親さんだったり児童相談所だったりが決めているということですね。ここを十分に、サービス利用の主体は子供だったり、十八歳を超えて成人になりますので、そういった方々がどうやって、意見を表明するだけではなくて、それを支援に反映していくか、この辺りが非常に大きな検討課題になっていくと思っております。
あとは、国連の児童の代替的養護に関する指針というところでお示しをしましたが、こちらについては、国連が社会的養護はどうあるべきかということを示しているということで、御参照いただければと。
あと、二点、資料を追加しておりますけれども、その辺りも、二〇一一年の末に、厚労省が措置延長を積極的に活用すべきということで通知を出していただいております。そこがいまだに、十年以上たちますけれども十分に生かされていないという現状、こういったところをどうやって生かしていくか。これは、子供の主体的な選択というところをどう強めていくかというところに懸かっていると思っております。
私からは以上です。ありがとうございました。(拍手)