加治佐哲也の発言 (文部科学委員会)

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○加治佐参考人 どうも皆様、おはようございます。兵庫教育大学学長、加治佐哲也です。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、二点お話しさせていただきたいと思います。一つは、本法案の背景になった中教審における審議のあらまし、もう一つは、それを基にして本法案ができていると思いますが、法案に対する私の意見を申し述べさせていただきます。
 まず、この法案の背景となった中央教育審議会における審議のあらましについて説明をさせていただきます。
 私は、中央教育審議会において、教員養成部会長及び「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の副部会長を務めさせていただきました。また、教員免許更新制の発展的解消について審議を行う、特別部会の下に置かれた教員免許更新制小委員会の主査も務めました。
 中教審におきましては、令和三年三月十二日の文部科学大臣の諮問を受けまして、特別部会において鋭意審議を進めてきているところでございます。
 教員免許更新制の見直しにつきましては、諮問の中で、先行して結論を得ることを求められたところであり、特別部会、小委員会では、更新制導入後の大きな社会的変化を踏まえて、教師の学びについてどのような在り方が望ましいのかという基本的なところまで遡って審議を行いました。
 審議の中では、教師として必要な資質、能力が保持されるよう、最新の知識、技能をたゆみなく修得することが重要であることを確認した上で、次の三点について一致を見たところです。
 一つは、教師の主体的な姿勢を重視しながら、個別最適な学びと協働的な学びを教師の学びにおいても取り入れていくこと。二つ目は、教師と管理職が積極的な対話を行い、具体的な目標などを共有した上で、体系的、計画的な学びを進めていくこと。三つ目は、質の高い有意義な学習コンテンツを整備することなどを通じて令和の日本型学校教育を担う教師にふさわしい新たな教師の学びの姿を確立していく重要性ということであります。
 この教師の新たな学びの姿は、高度な専門職である教師にふさわしい主体的な姿勢の尊重、教師のニーズに応じた広範、多様な学びの内容、そして校内研修など現場の経験を重視した学びなど、スタイルの多様性がポイントであると思っております。
 昨年十一月に決定されました審議まとめでは、こうした姿を支える観点から、公立学校の教師について、研修受講履歴の記録や、履歴を活用した受講の奨励などの制度改正を行うことや、現職研修の更なる充実に向けた国による指針の改正を行うことを求めたところであります。
 また、更なる高度化に向けて、研修履歴の記録システムや一元的なプラットフォームなど、新たなシステムを構築していくことを盛り込んだところです。
 一方で、教員免許更新制につきましては、教師の学びの拡大、教師の資質、能力の向上に対する大学の関与の拡大、良質な学習コンテンツの形成など、一定の成果を上げてきたと私自身は思っております。また、審議のまとめでもそのようになっております。
 しかしながら、十年に一度、特定の期間に免許状更新講習を受講することが、教師が常に最新の知識、技能を学び続けていくという必要性と整合的とは言えないなど、新たな姿の阻害要因になることを否定できないため、大学等のこれまでの成果を生かしながら発展的に解消することが適当とされたところでございます。
 中教審における審議のあらましについては、以上にさせていただきます。
 続きまして、今回提出された法案につきまして意見を申し上げます。
 今回の法案の内容については、全体として中央教育審議会の審議まとめを的確に反映していただいているものと考えております。
 まず、任命権者による教員ごとの研修等に関する記録の作成については、学びを振り返りつつ、適切な目標の設定と現状の把握を行うために必要不可欠なものであります。すなわち、自律的、体系的、計画的な学びを実現する上でのベースになるものと言えます。
 記録の範囲につきまして、多様な内容、スタイルの学びが教師の資質、能力の向上に不可欠なものであることに鑑みれば、市町村教育委員会の行う研修や学校における研修、授業研究なども含め、多様な学びの履歴等も含むことができるような仕組みとされることが望ましいと思っております。
 次に、教育委員会、具体的には校長による教員に対する相談対応、情報提供、指導助言、いわゆる対話と奨励の仕組みについては、教師のキャリアアップの段階を適切に踏まえつつ、教師本人のモチベーションとなるような形で、一人一人に最適な研修を奨励することが可能となり、教師の資質の向上に関する中核的な仕組みとなることを望んでおります。
 一方で、こうした研修履歴等の記録や、対話と奨励を実効的に機能させるためには、こうしたプロセスが関係者にとって過度な負担とならないように留意することが重要でございます。
 また、校長が、教師が研修に参加しやすくなるような環境整備、協働的な職場づくりを積極的に行うことが必要であるとともに、教師の学びが画一的、規格的なものに陥らないよう、奨励の候補となる研修自体の多様化、例えば地域や学校現場の課題の解決を通した学びなどです、を図ることが必要と考えております。
 法案が成立した場合、校長、市町村教育委員会、都道府県教育委員会、国のそれぞれが、このような点についても留意して制度を運用していくことが求められます。
 文部科学省や独立行政法人教職員支援機構においては、できるだけ速やかに、研修履歴の全国的な記録システムや、全国の教育委員会や大学の優れたコンテンツが集約された一元的なプラットフォームの構築に努めていただきたいと思っております。
 教員免許更新制につきましては、今回、制度としては廃止ということになると思いますが、教員免許更新制は、教師の学びの機会の拡大、大学による教師の資質、能力の向上に対する関与の拡大に貢献するとともに、良質な学習コンテンツの形成、免許状更新講習の経験を生かした養成段階の教育の充実など、一定の成果を上げてきました。教育委員会と大学との関係が深化したことも重要な成果でございます。
 教員免許更新制の下で生み出されたこうした成果については、新たな教師の学びの姿を構築する上で、発展的に継承していくためにも、先ほど申し上げたプラットフォームの構築が重要であると思っております。
 最後に、審議のまとめの重要なメッセージの一つは、学びに専念する時間を確保した一人一人の教師が、自らの専門職性を高めていく営みであると自覚しながら、誇りを持って主体的に研修に打ち込むことができるという姿の実現を目指していくというものであります。こうした姿を実現するために、学校における働き方改革を進めていくことが重要であると思っております。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 加治佐哲也

speaker_id: 82

日付: 2022-04-01

院: 衆議院

会議名: 文部科学委員会