瀧本司の発言 (文部科学委員会)
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○瀧本参考人 おはようございます。日本教職員組合の執行委員長をしております瀧本です。
今日、このような機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
それでは、私の方から、学校現場で今回の法案がどういうふうに見えているのかという観点で意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
お手元に資料をお配りしているというふうに思います。めくっていただきまして、まず、この法案に対する日本教職員組合としての基本的な考え方について述べたいというふうに思っています。
まず、教員免許更新制の発展的解消。現場においては、やはり、十年に一度とはいえ、免許更新制に関わって、長期休業中を含めて時間を割いて、そして金銭的な負担もありますので、非常に、早急に廃止してほしい、そういう声が多かったです。そういった意味では、今回のこの発展的解消ということで、免許更新制が制度的になくなるということについては歓迎をしたいというふうに思っております。
一方、教育職員特例法の改正もあります。これについては、四点にわたって、やはり国会の中でしっかりとその方向性について明らかにしていただきたいというふうに思っています。一つは、これは審議のまとめの中にもありましたけれども、期待する水準の研修とは何か。それともう一点は、研修受講履歴に一体どんな研修が記録されるのか。三点目は、研修受講履歴ということで、生涯にわたってどんな研修を受けたかということが記録される制度の導入がうたわれていますが、それが教員の人事評価とどういうふうに関係してくるのか。今の学校で本当に教員は望んでいても学び続けることが可能なのか。この四点について明らかにしていただきたいというふうに思っています。
めくっていただきまして、次のページですが、教員は十分に研修を受けているというふうなことです。
私の体験から申し上げても、やはり、授業をするときに、又は授業だけではなく子供たちの前に立つときに、教員というのは、どんな発言をしようか、どういうふうに語りかけようか、そういうところから考えるものだと思っています。そういった意味で、常日頃から、その問いを述べるために、やはり学んでいくということを続けていると思います。
それを実質的に担保しているのが、この教特法の第二十一条だと思っています。地方公務員法とは違って、やはり教特法の中では幅広い、例えば、教科とか専門性だけではなく、人間性も含めて幅広い研修を求めているんだろうというふうに思っています。二点目は、その研修をやはり教員自ら自主的に行うようにというのを求めているんだろうと思っています。そういった意味で、今回の審議のまとめの中に自律的とかそういった言葉が述べられているということは、この教特法の精神にも全く合致しているだろうというふうに思っています。
一方で、じゃ、学校現場の研修がどういうふうに行われているか。一つは、外で、官製研修もそうなんですが、教育委員会が実施する研修もそうなんですが、校外研修というのがあります。また、それぞれ、年度を通して、校内研修という学校で組織的に行っている研修もあります。あわせて、先ほども言いました、自分の興味があること、自分の教科に関わること、そういうことも含めて自己研修というのを行っています。この三点を行っているんですね。
先ほども申し上げたとおり、あしたの授業をどうするのか、子供たちに、分かったよ、そういうふうに笑顔でうなずいてもらうためにどうするか、そういうことを積極的にやっているというのが自己研修だと私は思っています。
そういった意味で、私、審議のまとめを何回も読み返していますが、「期待する水準の研修を受けているとは到底認められない」、これは一体何を指しているのかなというのが正直私は分かりませんでした。これだけやっているのに、まだ期待されなければいけないのかというふうに思っております。
めくっていただいて、今回の改正教特法の二十二条の五、いわゆる研修履歴に関わっての記録のところです。
二十二条の五の二項の後に、四つにわたって、どういう記録をするのかというのが明記されています。法律ですから、一つは、教特法に記載されている研修をそれぞれ記録すれというのが一から三までです。四点目のところで、当該任命権者が必要と認めるものということが記載されています。では、この当該任命権者が必要と認めるもの、これが、どういうものが今回対象となるのか。これについて明らかにしていただきたいというふうに思っています。
次のページをめくっていただいて、研修の種類と実施者というのを明記させていただいています。一から八まで記載されています。
一から六までは、実を言うと、今回の法令の中で明記するように義務づけられているというふうに私は解しています。一方、七と八、いわゆる職専免研修と自主研修という二つがあります。
職専免研修というのは、例えば、大学もそうですね、学会もそうですね。各種、それぞれ教員が都道府県ごとに研究団体をつくっています。私の経験でいくと、私、最初の初任は小学校だったんですが、小学校のときに、先生たちでつくっている美術の研究団体に、当時の教頭先生に言われて、ちょっと来いと言われて、日曜日に研修に行ったことがあります。そこで何をやったか。小学校の初任ですから、何から何まで分かっているわけではない。そのときに、じゃ、子供たちの絵がずっと飾られているときに何をポイントにそれを評価していくのか、そういうことをずっと教えていただきました。実践的な研修です。そういうことが行われているわけです。そういう研修をどうやって認めていくか。それが多分、先生たちのニーズに基づいて、本当に役に立つんだろうというふうに思っています。
職専免研修というのは勤務時間中に行われる研修ですから、職務専念義務を免除するということですから、これは課業日の研修です。一方、自主研修は、同じ研究団体が行ったとしても、勤務時間じゃありませんから、職専免研修というふうにはなりません。いわゆる自主研修というふうにまとめられます。そういった研修も是非認めていただきたいというふうに思っています。
めくっていただいて、次、二十二条の六に関わって、いわゆる指導助言の部分でございます。
今回の研修履歴に関わって、この研修履歴、どういった活用のされ方をするのかということなんだろうというふうに思っています。
今回の二十二条の六を見ますと、いわゆる、都道府県教育委員会が策定する指標、そして教員研修計画を踏まえ、今までどんな研修を行ってきたのかという履歴を活用しながら指導助言するというふうになっております。
じゃ、今度、指導助言というものがどうなのかということで、めくっていただいて、二〇一六年の第百九十二回の臨時会において先生方にいろいろ御議論をいただいた、そのときの話をここに記載をさせていただいています。
当時、松野文科大臣でございました。松野文科大臣は、一つは、指標と人事評価というのは目的も趣旨も異なるというふうになっています。
私の方で、この間、各県でどんな人事評価、どんな項目で行われているかというのも確認をさせていただいています。どの都道府県もと言っていいんでしょう、研修を受けたか受けないかが評価項目にはなっていません。ただ、備考として、どんな研修を受けたという記載をする県もないわけではないですが、研修を受けること自体が評価の対象にはなっていません。それはそうなんだろうと思います。
人事評価というのは、やはり、一年間の中でその教員がどれだけの能力を発揮できたか、それを評価するものだと思います。一方、研修というのは、何を自分で学ぼうとしたか、それを記録するものなので、まさしく、やはり、今回の受講履歴を記載したとしても、それは目的が違うんだろうというふうに思います。
そういった意味で、是非とも、履歴を残すことと評価というものは、改めて、趣旨が違うんだということを明確にしていただければというふうに思います。
次の次を行っていただいて、資質向上に関する指導助言、ここに関しては、中教審の審議のまとめの中で、積極的に対話をするようにということを求めています。まさしくそうなんだろうというふうに思っています。
管理職として、校長先生、どうやってマネジメントしていくかというときに、やはり、こういう研修があるから受けてみたらどうだろうかということをお話しいただくということは当然あるんだろうと思っています。当然、教員の側からも、自分は今年こういうことに取り組んでみたい、こういう研修を受けてみたい、そういうふうに思って、自分から調べることもあります。それとは違って、また校長先生の立場で、幅広い視点で、こういうのがあるからどうなんだろう、そういうお声がけをいただくということはすごく大事なんだろうと思っています。
そういった意味で、単に、この研修を受けなければいけないとかそういう話ではなくて、是非、積極的なアドバイスをいただくような、そういう対話を心がけていただきたいというふうに思っております。
最後になりますが、じゃ、実際、学校で本当に研修を受ける、そんな余裕があるのかということです。
これは、実質的にちゃんとした資料が残っているのが、文科省が二〇一六年に行いました勤務実態調査、これが詳細な記録を取っておりますので、それを例示して、最後にお話をさせていただきたいと思います。
昨年十二月に、文科省も働き方改革の進捗状況について公表しています。四十五時間以内の時間外勤務の割合は、若干減ったとはいうふうになっていますが、大方の傾向は変わらないと思っています。まだまだ、四十五時間以上、八十時間ぐらい長時間労働を行っている、そういう実態がある中で、じゃ、何の勤務をしているのかというのが、次のページで「研修の時間すらない」ということで、これは文科省が調べたやつです。
それぞれ、授業がやはり非常に大きなウェートを占めていて、見ていくと、「o」になります、「校内研修」というのは、実質は十五分しか時間を取られていないわけです。「校務としての研修」、これは外でやることだと思いますが、これは十三分です。
全然、十一時間以上長時間労働していても、研修に費やせる時間はこれしかないんです。この中で新たに学び続けるということが可能なんでしょうか。やはり、先生たちが、研修をしたい、自分たちで学びたいという余裕を是非つくってもらいたいと思います。研修の側面からも、どんな制度をつくっていただいても、その時間の余裕がないというのは非常に致命的だと思います。是非ともここの部分については御検討いただきたいと思います。
最後。今、学校現場、例えば、GIGAスクール構想でICTが入ってきました。現場からは、その対応で大変だという悲鳴の声を聞いております。また、業務量に対しても、教員の数は絶対的に不足していると思います。
さらには、これも昨年十二月に、教師不足の調査が出ました。四月、五月の調査結果でしたけれども、学校現場は慢性的に人が足りない。今どうにか、例えば教頭先生にお願いして担任をしていただいているとか、そういった中でどうにか、どうにかやっていっているという状況です。
是非とも、今回のこの法改正に合わせて、教職員の定数改善と業務の削減と、それと給特法の抜本的見直しということにも取組をしていただけたらというふうに思っております。
以上、ありがとうございました。(拍手)