米山隆一の発言 (法務委員会)
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○米山議員 それでは、御要望どおり、早口で答えさせていただきたいと思います。
昨日の委員会において、木村響子参考人からは、侮辱罪厳罰化にプラスして、立憲民主党案のような法律が必ず必要になってくると思うとの御意見をいただきました。
被害者の方々の処罰感情に十全に応えるためには、木村参考人の御指摘のように、刑の厳罰化と処罰範囲の拡大が共に必要となるのかもしれません。しかし、政府が提案する侮辱罪の厳罰化には、原則として逮捕が可能となり、教唆犯や従犯が処罰されることになるなど、単に法定刑が重くなっただけにとどまらない影響があり、言論の自由を強く萎縮させるものであることから、賛成することはできません。
立憲民主党案では、SNS、インターネット上の誹謗中傷という新たな課題に対応するために、次の三つの措置を講ずることとしております。
すなわち、加害目的誹謗等罪を創設し、侮辱とは言いづらい誹謗中傷や、DMや電子メール、LINEなどによる公然性を欠く少人数での誹謗中傷などの処罰すべき行為を適切に捉え、犯罪被害者保護法の損害賠償命令制度の対象事件に、名誉毀損罪、侮辱罪、そして新設する加害目的誹謗等罪に係る被告事件を追加し、誹謗中傷の被害者が損害賠償請求を行う際の負担を大きく軽減させ、その被害の実効的な救済を図ることとし、プロバイダー責任制限法の発信者情報の開示請求を被害者にとって利用しやすい制度に改めることにより、インターネット上の権利侵害に対する被害者救済手段の充実を図ろうとしております。
立憲民主党案は、このような措置によって、被害者の方々の処罰感情に少なからずお応えすることができているものと考えております。
ただ、その上でも、もしかして、木村響子さんの処罰感情には十分応えられないこともあるかもしれません。例えば、昨日の委員会に木村響子さんと一緒に来られた松永さんは、交通事故、暴走事故で妻子を失いました。もしかしたら、被告に非常に重い刑を望んでいたのかもしれません。しかし、過失運転致死傷罪の法定刑は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金であり、被告は禁錮五年の刑でした。
最愛の人を失った家族の処罰感情は時に非常に強くなりますが、しかし、処罰は、常に公序のバランスを失してはいけません。特にSNS、インターネット上の誹謗中傷は、木村響子さん自身がいみじくも言っていたように、本人はそんなつもりはなく行っていたものが少なくありません。もちろん、その重大な結果に対する責任は強く認識し、罪を償っていただかなければなりませんが、その行為を余りにも重い罰で罰するのは、行為にふさわしい量刑を与える応報刑論の考え方から適切でないと思います。
同時に、木村響子さんは、ガイドラインを作ってくださいとも訴えておられました。一般予防を考えるのであれば、むしろ、刑罰の厳罰化よりも、明確な構成要件を定める、若しくは明確なガイドラインを定めるなどして、刑に何が当たるか当たらないかを明確に示すことの方が重要であろうと思います。
被害者の処罰感情には寄り添いながら、しかし、刑法の謙抑性と処罰のバランスを忘れないのが、私は、立法府の、法を守る者の矜持であると思います。