岸本周平の発言 (本会議)

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○岸本周平君 国民民主党・無所属クラブの岸本周平です。
 本法案につきまして、会派を代表して質問をいたします。(拍手)
 政府は、一月二十七日、ガソリン補助金制度を実施いたしましたが、現場のガソリンスタンドでは、値下げは一部に限定され、据え置き若しくは引き上げたスタンドすら見られ、大変混乱しています。さきの臨時国会で国民民主党と日本維新の会で法案を提出したトリガー条項の発動が今こそ必要であると考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 これまでのコロナ対応の予算が全てワイズスペンディングと言えるかどうか、疑問です。トリガー条項の発動は、費用対効果の観点からも是非とも進めるべき課題、政策だと考えます。
 仮に、これまでのコロナ対応策が緊急避難的なものとして許容されるとしても、二〇二〇年度、二一年度の補正予算を加えた公債依存度は、それぞれ、七四%、四六%となります。歳出の五割から七割を借金に頼る財政は放漫財政と呼ばざるを得ません。
 二二年度当初予算における公債依存度は三四%です。コロナ禍以前の数年と同様の比率です。これは、放漫財政とは呼ばないまでも、明らかに積極財政に分類されます。
 安倍内閣、菅内閣と積極財政を続けながら、押しなべて低い経済成長率しか実現できないばかりか、潜在成長率はほぼゼロになっています。アベノミクスが目標とした二〇二〇年度の名目GDPは六百兆円でした。皆さん、覚えていますか。実績は五百三十六兆円にすぎませんでした。財政金融政策は、カンフル剤にはなっても、経済の構造を変える力はありません。
 しかしながら、私も含めて、このような状況に感覚が麻痺をし、与野党共に、財源の議論はほったらかしにして、歳出増加の議論のみをしています。それが可能になっているのは、家計や企業の民間部門が消費や投資をせずにひたすら貯蓄を増やし、その金融資産を担保にして日銀が国債を吸収することができているからであります。
 経済が成長しないため、金利が上がらず、本来機能すべき財政規律が働きません。このままでは、低成長で低金利の生ぬるい経済状況の下、まさに、MMT、現代貨幣理論のモデルとも言えるような事態が今後数年間は確実に続くと思われます。
 しかし、経済学の教えるところによれば、ただのランチはありません。民間の貯蓄が公的な債務を吸収できなくなるか、大きな経済イベントが起きれば、インフレになることは確実であります。MMTの学者は、インフレになりそうになれば、そのとき、増税するか歳出をカットすればよいと言いますが、それは現実的ではありません。
 一九九二年に土地バブル対策として導入された地価税は、議論が始まってから施行まで三年かかっています。当時の国会議員よりも私たちの方が優秀であるとは私には到底思えません。インフレは三年も待ってくれません。
 しかし、コロナ禍と戦っている今現在、私は、増税や歳出削減の議論をするべきと申し上げているわけではありません。根拠のない高い経済成長率を前提に、国民の誰もが信用しないプライマリーバランスの黒字化目標を掲げてお茶を濁すのではなくて、コロナ禍が収束した後には財政の健全化に向けた建設的な議論をすべきだと考えますが、総理の見解をお示しください。
 東日本大震災の後、巨額の復興予算が必要となりました。そのときの国会は、将来の世代にツケを回さないために、震災復興特別税を決めました。その結果、二年間の復興特別法人税に加え、一世代の二十五年間、二・一%の所得税の付加税を徴収し、住民税は、十年間、千円引き上げる形で徴収し、財源に充てることができています。
 今回のコロナ対策の財源として、イギリスは、二〇二三年からの法人税率引上げ、配当所得への増税、国民保険料の引上げを決定しています。ドイツ、フランスでは、コロナ対応予算の公債は二〇四二年までに償還することを決定しました。アメリカでも、今、議会で議論中のビルド・バック・ベター法案の財源について、法人税や富裕層への増税が検討されています。
 コロナ禍に対応するため、真に国民の命と暮らしを守るための歳出増加はやむを得ないと考えますが、そのための債務は特別に管理し、将来は震災復興特別税のような仕組みで、後代に負担を残さないようにすべきではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 次に、本法案の目玉政策である賃上げ税制について質問します。
 この三十年間で、アメリカの名目平均賃金は約二・四倍増加する中、日本は横ばいです。賃金を引き上げることは日本経済にとって喫緊の課題であり、我が党も、さきの衆議院総選挙では、給料が上がる経済を公約に掲げました。
 しかし、企業の生産性が向上しない限り、賃金は上がりません。政策のターゲットは企業の生産性向上であるべきです。減税があるからといって賃金を上げる企業などありません。これまでの制度でも、たまたま、生産性が上がり、賃金引上げができた企業がいわば御褒美として減税の恩典に浴しているだけで、政策誘導効果はありません。総理の御認識を伺います。
 百歩譲って政策効果を認めるとしても、国民の税金で給料を上げるぐらいであれば、直接、所得型の給付つき税額控除を実施した方が分かりやすいのではないでしょうか。
 その財源を、総理が自民党総裁選で主張された株式配当などへの金融所得課税に求めれば、所得再分配にも資することになり、格差是正が進みます。財源は、所得控除の整理縮減でも捻出できます。所得控除から税額控除に移行すれば、富裕層の負担を増やし、所得再分配効果が更に強化されます。総理の御見解を伺います。
 ディカプリオ主演のアメリカのコメディー映画、「ドント・ルック・アップ」という映画がはやっています。アメリカの分断を風刺する映画です。地球を破壊する巨大隕石をめぐって分断が生じ、大統領派は、隕石が近づいている事実を認めないよう、国民に、空を見上げるな、ドント・ルック・アップとキャンペーンします。ついに最終的には、隕石が地球に激突して、人類が滅亡する物語です。
 与野党を問わず、私も含め、同僚議員の皆様とともに、日本の財政問題の不都合な真実から目をそらさないよう努力すべきことを訴えて、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

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発言者: 岸本周平

speaker_id: 26898

日付: 2022-02-01

院: 衆議院

会議名: 本会議