青柳仁士の発言 (本会議)

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○青柳仁士君 日本維新の会の青柳仁士です。
 ただいま議題となりました、政府提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び日本維新の会提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案について、会派を代表して質問します。(拍手)
 まず、政府提出の法案について質問します。
 ロシアによるウクライナへの全面的な侵攻が始まった二月二十四日、私たち日本維新の会は、松井一郎代表の声明を通じて、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、国家主権と領土の一体性を侵害する露骨な侵略行為であり、力による現状変更を重ねるロシアの不法行為は断じて容認できないとの基本的認識を明確にし、その後、二度の緊急提言を通じて、日本政府に対して、民主主義陣営と固く結束しつつ、終始一貫した行動と、状況変化に応じた迅速な対応を取るよう求めてきました。
 ウクライナの危機は、我が国の安全保障について、二つの現実を私たちに教えています。
 一つは、戦後の世界の平和を担ってきた国連安保理を中心とする国際秩序は機能不全に陥っており、現在の国際情勢下においても、大国による核兵器による威嚇や侵略のリスクが現実に存在することです。
 もう一つは、核保有国がしかける戦争に対してアメリカは及び腰であり、これまで我が国の安全保障上の唯一のよりどころであった日米同盟は、将来にわたっての絶対的な抑止力、防衛力とは言い難い状況にあることです。
 今こそ、独立国として、自らの意思と努力により、国民の生命と財産を守る覚悟、決断力、そして実行力が政府に求められています。そのためには、従来の枠組みにとらわれない、安全保障の抜本的な強化が必要不可欠です。我が党は、今国会での経済安全保障法制への取組は、その重要な一歩になると確信しています。
 総理に伺います。
 緊迫化する昨今の国際情勢を踏まえた安全保障についての認識、及び、その一環として本法案の成立に取り組む決意をお聞かせください。
 次に、我が国の経済安全保障の現状に対する政府の基本認識についてお尋ねします。
 ロシアは、ウクライナ侵攻に当たり、いわゆるハイブリッド戦をしかけていると言われています。
 ハイブリッド戦とは、二〇一四年のクリミア危機によって世界に広まった新たな戦争の概念であり、戦争行為を、軍事だけでなく、経済制裁のよりどころともなる貿易、金融、資源、経済援助といった経済分野に加え、外交、サイバー、情報といった非軍事、超軍事領域まで拡大して捉える考え方です。
 安全保障の裾野の拡大を受けて、各国は、経済安全保障に関する法制度や体制の整備を急速に進めてきています。こうした中、我が国は、周回遅れの状況にあり、各国並みの体制を早急に構築する必要があります。
 しかしながら、今回の法案に含まれる経済安全保障の分野は、原料、物資のサプライチェーン、基幹インフラの確保、官民の技術協力及び特許の非公開という四つの施策のみであり、最低限の防御と言える程度にとどまっています。
 総理に伺います。
 本法案において整備される我が国の経済安全保障体制は、日々刻々と変化する現在の国際環境に適切に対応できるものになっているとお考えでしょうか。基本法制の制定で終わらせず、今後の拡充、フォローアップ、点検、アップデートなど、随時の見直しと拡充が必要だと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 次に、経済安全保障の定義についてお尋ねします。
 今回のロシアの暴挙に対し、NATO、そしてG7を中心とした国際社会は、国際ガスパイプライン計画の撤回、ロシアの金融機関の国際銀行間通信協会、SWIFTからの排除、武器供与を含む軍事的後方支援など、自国にも影響が大きく、国内でも賛否の分かれる政治決断をトップダウンで矢継ぎ早に打ち出してきました。
 こうした欧米の政治リーダーの行動は、今のこの世界がこのまま続くことを前提にしているようには見えません。ここが新たな国際秩序が形成される歴史の転換点である、そういった大局観と覚悟を持ち、次の時代の世界をつくり上げ、その中での自国の安全と繁栄を目指しています。我が国も同様に、次の世界の構想を描き、そこから振り返って、今なすべきことを考え、迅速かつ大胆に行動することが求められています。
 我が党は、政府に対する緊急提言において、その構想として、あらゆる国が世界経済のつながりを保ちつつも、安全保障上重要な技術、インフラ、物資等については、ロシアや中国など懸念される国、地域からは戦略的に切り離されている緩やかなブロック経済というビジョンを示しています。そして、そのような新しい世界経済システムの構築に当たり、何をどのようにつなげ、切り離すかについて、安全保障と経済成長の両方の観点で国家が戦略的に考えることを経済安全保障と定義しています。
 総理に伺います。
 今回の政府の法案は、四つの個別の施策が並んでいるだけで、そもそも経済安全保障とは何かという定義が欠落しています。本来であれば、まず定義があり、その中で今回の四つの施策がどのような意味を持つのかについて法案の中で説明されるべきと考えます。
 定義を定めずに法案を提出した政府の責任において、現在、総理の考える経済安全保障の定義、そしてその背景にあるビジョンについて、この場でお示しください。
 また、食料安全保障については、経済安全保障の重要な要素の一つと考えます。有事に備えた食料自給率の向上や国内需要の維持等については、経済安全保障の文脈の中でどのようにお考えでしょうか。
 次に、経済安全保障を実現するための政府のインテリジェンスについてお尋ねします。
 本法案に基づき、経済安全保障に関する施策を進める上では、安全保障上重要性が高いと認定された原料、物資、技術及び産業等は、特別な措置により保護を受けることになります。この際、何を重要性が高いと認定し特別扱いするかについては、高度な分析に基づく合理的な選定が行われなければなりません。
 一方、昨今の経済安全保障上の最重要物資の一つである半導体について、我が国は、一九九〇年頃には世界一のシェアと技術を持っていましたが、現在は高性能半導体の自給率はゼロです。昨年末の臨時国会で総理は様々な反省の弁を述べておられましたが、将来的に経済安全保障上重要な位置づけになるものをこれまで見抜くことができなかった今の政府に、今後それができるとは到底思えません。
 総理に伺います。
 経済安全保障を実効性のあるものにしていくためには、適切な対象を見分ける組織的なインテリジェンスが不可欠と考えますが、これはどのように担保するのですか。今の政府の体制でできるとお考えですか。
 次に、経済安全保障の対象を選ぶ際に起こり得る恣意的な決定のリスクについてお尋ねします。
 本法案の中では、経済安全保障の対象物、すなわち、戦略的重要性の高い技術、産業、原料、物資の多くは特定されていません。主に、決め方に関するルールを決めていると理解しています。
 実際の意思決定を行う際、安全保障を名目にすると、決定プロセスが不透明化することが懸念されます。安全保障の名の下での既得権への資金導入、市場原理では淘汰されるはずの企業や産業への過剰な保護、費用対効果を度外視した施策の実行などが起こり得ます。これらは、精緻に法律を作り込んだとしても、運用の際に起こるリスクが払拭できません。
 総理に伺います。
 本法案に基づき、経済安全保障の対象となる原料、物資、技術及び産業等を決める際には、対外的に非公開であっても恣意的な判断は絶対に起こさせないということについて、政策の最終決定責任者である総理から、この場で明確にお約束いただけないでしょうか。
 最後に、罰則の適用についてお尋ねします。
 我が党は、一月二十七日の大臣提言及びその後の国会質疑を通して、経済安全保障の対象となる技術、製品、サプライチェーン等は、経済成長や民間企業によるイノベーション創出への影響を最小限とするため、戦略的かつ限定的に選定されるべきとする一方、一たび選定されたものについては、経済安全保障上の実効性を高めるべく、刑事罰を含む厳しい罰則を適用することを提言してまいりました。
 本法案では、施策に様々な罰則が適用されております。しかし、最も肝腎なサプライチェーンに関する事業者等の報告、資料提出義務については、罰則が除外されています。これについては、政府内の当初案には恐らく条文案の第四十八条に該当する部分に記載があったと思われますが、公明党の要望により、与党内の協議を経て、罰則が削除されたとの報道がありました。
 総理に伺います。
 サプライチェーンに関する事業者等の報告、資料提出義務に関し、罰則を適用せず、努力義務としたのはなぜでしょうか。
 これは、実際に経済安全保障上問題のある行動を行っている事業者が、本法案に基づき政府から調達先などの情報提供を求められた際、断っても罰則が適用されないということを意味しています。
 そうした悪意を持つ事業者が、本法案の求める努力義務のみで政府に対する情報提供を自発的に行うと本当に考えているんでしょうか。もしそうお考えであれば、昨今の厳しい国際情勢の中で、政府・与党は余りにも楽観的かつ非現実的な前提で安全保障を捉えており、国民の生命と財産を託すに値しないと言わざるを得ません。一方、そう考えていないのであれば、この法案は国会審議以前に最も肝腎な部分を骨抜きにされてしまった不完全な法案であるということを自ら認めているに等しいと思います。
 この罰則の適用について、総理の明確な答弁を求めます。
 続いて、日本維新の会提出の法案に関し、質問します。
 本法案は、これまで指摘してきた政府の法案の内容を補完し、あるいはその枠組みを柔軟に捉えることにより、経済安全保障のあるべき姿を描いていると理解しています。
 本法案では、経済成長に十分配慮しつつ、経済安全保障上重要な利益を確保すること、新たな国際経済秩序の形成の促進の観点など、三つの事項を基本原則として位置づけ、さらには、配慮事項として、実施能力の確保と罰則その他必要な措置を講ずることを規定することにより、実効的かつ総合的な施策の推進を可能にしています。
 そこで、法案提出者である足立康史議員に伺います。
 本法案の提出に至った現状の認識及び政府案との違いについて、お考えをお聞かせください。
 一方で、経済安全保障とは、経済学的な観点で見れば、市場が解決できない問題への政府による介入を意味し、効率や自由競争をゆがめる可能性のある施策という側面もあります。政府が企業活動に過度に干渉するようになれば、経済全体としては大きなコストと非効率を招くことになります。
 本法案において経済成長とのバランスを図りつつ経済安全保障を実現するための方策について、お考えをお聞かせください。
 以上、最後に、私たちの子供たち、孫たちの世代まで安心して暮らせる日本をつくるために、政府案と維新案のどちらが真に我が国の安全保障に資するのか、政府・与党と真っ向から議論し、国民の皆様につまびらかにしていくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

speech_id: 120805254X01220220317_064

発言者: 青柳仁士

speaker_id: 9336

日付: 2022-03-17

院: 衆議院

会議名: 本会議