青柳仁士の発言 (本会議)

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○青柳仁士君 日本維新の会の青柳仁士です。
 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました、政府提出、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案及び日本維新の会提出、経済安全保障に関する諸施策の実効的かつ総合的な推進に関する法律案について、それぞれ賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 経済安全保障について、我が党は、一月二十七日に行った大臣提言に始まり、三月十七日の国会審議入り以降、本日この場に至るまで、議員立法を提出して対案を示しつつ、本会議と内閣委員会を通じて質疑を重ねてまいりました。
 その中では、国会において充実した審議を行おうという基本姿勢を貫く小林大臣の誠実な対応と答弁により、本法案が必ずしも明らかにしていない本質的な論点についても一定程度生産的な議論を行うことができました。また、新たな国際経済秩序の形成を見越した経済安全保障の戦略的検討の必要性など、幾つかの重要な点について見解の一致が見られたことは、大変意義深かったと考えています。
 しかしながら、そうした協議の結果が実際の法案の条文に反映されることはありませんでした。我が党として客観的に見て合理性の高い修正案を提示し、それらについて質疑を通して政府側から説得力のある反論はなかったにもかかわらず、一文字たりとも条文修正が行われなかったことは、数の力を背景にした政府・与党による国権の最高機関である国会の軽視であると言わざるを得ません。
 そもそも、過去五年間の安倍政権及び菅政権では、およそ三十本の法案が国会審議を経て条文修正されました。しかしながら、岸田政権は、昨年の発足以来、ただの一度も国会において法案の条文修正を行ったことがありません。総理は聞く力を標榜していますが、国会においてはかつてなく異なる意見に耳をかさない政権になっていることについて、改めてこの場で強調させていただきたいと思います。
 我が党は、本法案に関するこれまでの一連の過程を通じて、昨今の国際情勢を踏まえれば、日本にとって経済安全保障法制を直ちに整備する必要性は極めて高いということを一貫して主張し続けてきました。
 ロシアのウクライナ侵攻でのハイブリッド戦で私たちが今目の当たりにしているように、経済や情報など非軍事領域へ戦争と安全保障の裾野は拡大してきています。各国は経済安全保障に関する法制度や体制の整備を急速に進めてきており、我が国も早急に体制構築を進めていかなければなりません。
 本法案に含まれる経済安全保障の分野は、原料、物資のサプライチェーン、基幹インフラの確保、官民の技術協力及び特許の非公開という四つの施策のみであり、最低限の防御と言える程度にとどまっていますが、それでも経済安全保障の統合的な実行体制のない現状に比べれば極めて意義のある前進であると評価しています。
 しかしながら、次に述べる三つの点で、本法案に疑問なしとはしません。
 第一は、本法案において経済安全保障の定義がなされていないことです。
 経済安全保障とは何かという定義がなければ、我が国にとっては新しい概念となる経済安全保障について、従来の安全保障とどのように融合させていくべきであるか、精緻な議論を行うことが困難です。
 また、経済安全保障の範囲を示さなければ、規制や保護をする物資、技術、産業等の範囲が不明確になり、本法案で示す四つの施策がどこまでを含んでいるのか、今後、何を拡充し、どの範囲まで広げて対応すべきなのかが明らかになりません。経済安全保障には国民の自由な経済活動を規制する側面があることを踏まえれば、その範囲を国民にあらかじめ明確にしておかなければ、経済活動は萎縮し、ひいては我が国の経済成長に悪影響を及ぼしかねないことも問題です。
 こうした視点を踏まえ、年内に予定されている国家安全保障戦略等の防衛三文書改定に係る議論等を通じて経済安全保障の定義を明らかにしていくことが重要であると考えます。
 第二は、本法案は実効性の面で深刻な懸念があるということです。
 特に、サプライチェーンの強靱化に関し、本法案第四十八条が定める、特定重要物資を見極めるための一般事業者の報告、資料の提出について、努力義務にとどめ、罰則を定めていないことは、本法案の実効性を著しく損なっていると考えます。
 我が党は、あまねく事業者に一律に厳しい罰則をかけることを是としているわけではありません。サプライチェーンの実態を知るには、民間企業による自発的な協力が不可欠であることも理解しています。
 しかしながら、サプライチェーンの全体像に関する一般的な調査や協力的な事業者を対象とした情報収集であれば、改めて法律を成立させる必要はありません。政府がふだん行っているシンクタンク等への外注調査で十分に対応が可能です。
 本法案がなぜ必要かといえば、経済安全保障上懸念される活動を意図的に行っているような事業者からも情報を引き出すことが安全保障の観点から不可欠であるためです。こうした事業者が虚偽の報告や応諾拒否に対する罰則なしで自発的に政府に情報を提供することはとても考えられません。
 サプライチェーンの実相が把握できなければ、経済安全保障は不完全なものとなり、我が国の国民の生命と財産を危険にさらすことになります。実効性の強化については、本法案が成立した後であっても、引き続き検討を続けていくべきと考えます。
 第三は、インテリジェンスの問題です。
 本法案の適切な施行に当たり、特に戦略物資の見極めの際などには、政府の持つインテリジェンスが成否を分ける鍵となります。さきの半導体における失敗を見ても、我が国のインテリジェンスは他国の比較対象とはならないほどに脆弱であり、抜本的に見直さなければなりません。
 政府・与党からは、政策部門に関する定員を約二百五十名、経済インテリジェンスに関する情報コミュニティーの定員を約百三十名増やすとの説明がありましたが、ただ人を増やしても意味がありません。何の能力を持つ人材がどのような役割を持って何を達成するために動くのか、それが安全保障にどのようにつながるのか、戦略的かつ実効性の高い体制を考案し、構築していかなければなりません。
 日本維新の会は、政府案とは別に、独自に法案を提出しました。その中では、経済成長に配慮した施策の実行、新たな国際経済秩序形成の促進、客観的な指標に基づく評価と選定過程での公平性の確保、罰則を含めた実効性の担保といった、政府案では不十分な部分を含めた必要な措置を定めています。経済成長に配慮しつつ、戦略的に必要最小限の対象を絞り込むと同時に、選定された対象については、罰則の措置を含め、実効性を担保して進めていくという、めり張りのある内容になっています。
 政府案の足らざる点を明確にし、反論とともに対案をぶつけていく、是々非々の提案型政党という日本維新の会の基本姿勢をはっきりと示したものです。政府においても、この維新案を参考としつつ、今後の経済安全保障政策を進めていただければと考えます。
 経済安全保障は、日々刻々と変化する国際情勢や技術革新に即時に対応していかなければなりません。本法案は、経済安全保障の一部の施策を定めるものにとどまらず、国民の生命財産を守るという本来の目的を達するためのものでなければなりません。そのための実効性を担保するためにも、三年ごとといわず、絶え間ない見直しを行うことを求め、両法案の賛成討論とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 青柳仁士

speaker_id: 9336

日付: 2022-04-07

院: 衆議院

会議名: 本会議