脇田隆字の発言 (予算委員会)
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○脇田参考人 感染症研究所所長の脇田でございます。
本日は、このような機会をいただきまして、予算委員会の皆様に改めて感謝を申し上げます。
私のただいまの所見について述べさせていただきます。
まず、現状の問題点といたしましては、現在のオミクロン株による感染拡大は、年末年始などにおける会食などにおける感染者急増から、感染の場が家庭、職場、学校、医療機関、介護福祉施設などに移り、拡大をしております。今週先週比あるいは実効再生産数は減少をし、一に近づきつつある局面であります。一部の地域で減少傾向、上げ止まり、あるいは多くの地域で増加速度の鈍化傾向も見られております。
今後の推移ですが、まず、若者世代の減少が始まりつつありますが、小児、高齢者など、ほかの世代でも減少傾向がないと全体の減少にはつながらないと考えております。
既に多くの地域で、若者層中心の急激な感染拡大により、軽症者の健康観察者あるいは自宅療養者が急増し、一部の地域では、その後、高齢者に感染が波及し、コロナ感染による肺炎がなくても、基礎疾患の増悪による重症者が急増、死亡者も増加しております。
急増した感染者、濃厚接触者の隔離による医療機関を含めた社会機能の低下が懸念されますが、療養期間、待機期間の短縮で対応が進みつつあります。
小児の感染拡大や職員の感染により、学校休校、保育所休業などによる教育機会の低下、保護者が家庭で子供を見なければいけないことによる社会機能の低下があります。
感染者、濃厚接触者の急増による保健所機能の低下、崩壊が懸念されております。
まず、蔓延防止策でございますが、感染の場所が移り変わってきているため、感染リスクに応じた対応が必要と考えます。
家族以外との飲食を避けること、大人数での集まり、大声、混雑を避ける。職場では、テレワークを再度徹底していただき、職場での接触を減らすために、社内の会議もリモートを活用することが重要と考えます。
学校、保育園などにおける感染対策と教育の機会と社会機能維持について、小児の感染が社会全体の流行拡大の主要な拡大要因にはなっていないと我々専門家の間で議論はしております。学校、保育園などの休校、休所は最小限にすべきですが、その基準も明確にしておく必要があると考えております。
学校、幼稚園、保育所などは、学びの場所であると同時に、保護者が就労などの社会活動を継続するための預かりの場の機能もございます。こうした場での感染を防ぎ、休校、休園を最小限にするため、感染対策の徹底、感染リスクの高いプログラムを中止していただくこと、分散登校、リモート授業などを更に活用、教師、保育士など周りの大人へのワクチンの接種の前倒しをお願いしたいと考えます。
高齢者など重症化リスクの高い人たちを守ることが必要でありまして、介護福祉施設における感染が増加しております。施設での感染者が出た場合には、地域による感染管理や医療の支援が重要です。そうした施設の従事者の定期検査、高齢者の三回目ワクチン前倒しの加速をお願いしたいと考えております。
医療提供体制では、年齢、基礎疾患、ワクチン接種歴などが重症化の見極めに非常に重要です。最近のデータでも、高齢者でワクチン未接種者はオミクロン株でも重症化リスクがあると考えられます。
リスクの低い軽症者には効率的な対応、自己検査、自己管理、フォローアップなど、ただ、必ず医療につながることが必要です。重症化リスクのある陽性者はしっかり医療の監視下に置き、地域医療のサポートなどが必要です。
また、救急搬送困難事案が増加しております。この時期は例年でも通常医療、救急が逼迫しております。柔軟な病床運用が必要と考えております。
通常医療が必要な方、例えば心筋梗塞、外傷、虫垂炎などで緊急検査、治療、手術など、が入院できる体制を維持することが必要と考えます。
保健所の体制ですが、保健所は、検査の陽性者について、医療機関からの発生届を確認し、本人に連絡して就労制限や勧告を行い、疫学調査を実施して濃厚接触者を特定、また、本人の療養方針を決定して入院、宿泊療養、自宅療養を決め、自宅療養者のフォローアップをする、最後に療養解除をする、一連の手続で様々な書類の発行や患者のサポートを行っております。
しかし、感染者の爆発的な急増で保健所の対応は危機的な状況であります。保健所長会からの提言や専門家有志の提言でもその対応が出ております。重症化リスクのある患者を見逃さないような対応が必要と考えております。
予防接種におきましては、三回目の接種が始まり、二月三日には、一日の三回目の接種回数が五十万件を超えました。まだオミクロン株の流行拡大が続いておりまして、たとえ流行のピークを越えても高齢者の感染がしばらく続くことから、感染予防と重症化予防のため、三回目接種を更に進めることが重要と考えております。
新型コロナワクチンの効果についてですが、初回シリーズから時間がたつと、ワクチンによってつくられた抗体の量は下がっていきますが、逆に抗体の質については高まることが分かっています。つまり、より幅広い変異株に対応できる抗体ができるようになります。しかし、抗体の量自体は減っていきますので、三回目の接種をすることにより、質の高い抗体をたくさんつくることが可能になり、変異株に対応できる抗体がたくさんつくられます。変異株対策のためにも、三回目の接種を進めることが重要と考えております。
今後更に四回目の接種が必要なのか、また実施するならどの程度の間隔でに関してはまだエビデンスが十分ございません。
サーベイランスについてですが、流行状況の把握と評価のため、全数把握を継続することが必要と考えております。しかし、オミクロン株の感染拡大による感染者急増により保健所機能が逼迫し、これまでと同レベルで全数の把握というのは非常に困難になっております。流行対策上、感染者数とその状況の把握は重要です。様々な対策でサーベイランスの継続が必要と考えております。
今後の見通しですが、ウイルスが進化を続けております。オミクロン株の祖先がアルファでもデルタでもない。インフルエンザと異なって、まだその進化が連続的には起こっていない、起こっているとは言えません。季節性もまだ明らかではありません。どんな変異株が次に出現するかの予想は困難ですが、人と動物で新型コロナウイルスの感染が継続する限り、新しい変異株が出現する可能性がございます。
その際、新たな変異株が感染拡大するとすれば、これまでに自然感染やワクチンによって獲得された免疫を乗り越えてくる可能性があります。しかし、新たな変異株の病原性について予測することも難しいところです。オミクロン株のように上気道感染が主体となることで感染力を高め肺炎を起こす割合が減るという方向性が維持されるのか、それとも全く別の方向性になるのか、今後もサーベイランスによるモニタリングを継続し、ワクチン、治療薬の開発を継続することが重要と考えております。
研究開発についてですが、感染性の高い変異株が突然出現して流行拡大しているといったサイクルを繰り返している間は、地域流行への移行を見通すのはまだ難しい状況です。ただ、この状況から抜け出すためには、軽症者も広く使用できる新規治療薬が使用可能となることが重要と考えております。早期治療で重症化リスクを軽減できることが広く認知できることが重要と考えます。現在、臨床開発中の薬剤の有効性が早期に確認をされることを願っております。
今後のコロナ対策ですが、新たな感染症対策には研究開発が重要です。ワクチン研究開発のファンディング機能の強化、ワクチン研究開発拠点の形成、創薬ベンチャーの育成などの予算化には大変感謝をしております。
その際、対象となる感染症の選定や研究開発のマネジメントといった司令塔機能が重要です。そこには是非、科学者のレビューが必要です。例えば、専門家によるアドバイザリーボードのようなものの設置を検討していただきたいと考えます。
我が国あるいは近隣のアジア地域において、重要な感染症を疫学的に調査し、選定をし、その感染症の特性に基づき、どのようなワクチンが必要なのかを検討するステップを置いていただきたいと考えます。また、課題進捗管理においても、科学者による科学的な目利きが重要と思います。
また、層が薄いと言われる感染症領域の研究者育成も重要です。大学院生、ポスドク、大学のポストを増やすのには限界がありますが、関連をするベンチャー企業育成によって、ベンチャーあるいは製薬企業で、若い企業が、雇用され、活躍できる場が広がると考えます。この領域で研究していくことで将来にわたり活躍できることが見えることが、研究者を育てることに重要と思います。
最後に、感染研の機能強化についてですが、感染研の役割は、感染症の発生防止、予防及び新たな感染症の発生に関する研究を通して、我が国の感染症対策に役立つことでございます。
感染研の機能は大きく三つございます。
一つ目が感染症に関する基礎的な研究、二つ目は予防ワクチンなどの品質保証、三つ目が感染症の実態把握のためのサーベイランス、感染症危機対応などでございます。
感染研は、その歴史的な背景などから、最初の二つの機能に重点がありました。今回の新型コロナウイルス流行においては、三番目の感染症疫学及び公衆衛生機能が非常に重要です。また、ワクチンや抗ウイルス薬の研究開発も非常に重要でございます。
既に、予算、定員の増強がございました。機能強化を図っておりますが、日本全体の研究能力を底上げするために、感染研は、地方衛生研究所と連携して、日本の感染症対応力を強化するということが必要と考えております。このため、地方衛生研究所の強化が重要でありまして、その地衛研の設置についての法的な位置づけの明確化を是非お願いしたいと考えております。また、大学、企業とも連携をして、感染症に関する研究能力の底上げが必要と考えておりますので、是非サポートをお願いしたいと考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。(拍手)